憂「よし、片しちゃお」

憂「……」テキパキ

憂「……」テキパキ

憂「……」


純『同じ女として憧れちゃうな~』

梓『うらやましいよ』


憂「……」

憂(私は…二人のことがうらやましいよ…)



帰り道



憂「……」

憂(今日もお姉ちゃん…遅いのかな)

憂(あとでメールしとこ…)

憂「……」チラッ

憂「あっ…」

憂(この服かわいい…)

憂「…」ジーッ

憂(いいなぁ…かわいいなぁ…)

憂(一度着てみたい…)

憂「…」チラッ

憂(……高い)

憂(私のお小遣いじゃとてもじゃないけど買えないよ…)

憂(でも一度でいいから、あれを着て遊びに行ってみたいなぁ…)

憂「……」ジーッ

店員(なんかすごい見てるなあの子…)


……

唯「うい~、あいす~」

憂「はーい♪」

唯「ゴロゴロ…ゴロゴロ…」

憂「お待たせ、お姉ちゃん♪」

唯「…あれ?今日の憂なんか機嫌がいいね」

憂「そう?」ニコニコ

唯「なんか嬉しいことあったの?」

憂「ううん、別に」

憂(いつかあの服、着てみたいな…)




翌日


憂「う~ん…」パラッ

憂「でも…」

憂「う~ん…」パラッ

憂「これとかどうかな…」

純「わっ!」

憂「きゃっ!?」ガサゴソ

憂「お、驚かさないでよ純ちゃん」

純「ん?なに隠したの?」

憂「えっ…」

純「なになに見せてよー」ガバッ

憂「あっ、だめっ…」

誌「えいっ!」パッ

憂「!」

純「…あれ?バイトの募集誌じゃん」

純「てっきりエッチな本だと思ってた」

憂「うぅ…」

純「どうしたの?」

憂「だって…恥ずかしいし…」

純「恥ずかしい!?なにが?」

憂「私がアルバイトするのって…へ、変でしょ?」

純「えっ?別に」

純「やればいいじゃん、アルバイト」

憂「でも…家のこともあるし…」

純「えー、高校生なんだから一回くらいやればいいじゃん」

純「あっ、このハンバーガーショップは?」

憂「これは…ちょっと時給が」

憂「だったらこっちのファミレスがいいと思ってるんだけど…」

純(結構真剣に考えてたんじゃん)

純「んー…あっ、これいいんじゃない?」

憂「どれ?」

純「ほら、メイド喫茶」

憂「メ、メイド…?」

純「時給高いし、憂にはこういうの似合うんじゃん?」

憂「そ、そうかなぁ…」

憂(お姉ちゃんの方が似合いそう…)

純「楽しそうだしいいじゃん、これにしなよ」

憂「うーん……じゃあそうしてみる」



メイド喫茶


憂「ごめんくださーい…」

紬「あら憂ちゃん、いらっしゃい」

憂「あれ?なんで紬さんが…?」

紬「ここ、父が経営してる会社の系列だから」

憂「そ、そうだったんですか…」

憂(紬さんって本当に何でもありなんだ…)

紬「それで、ご用件は何かしら?」

憂「あ、えっと…」

憂「ここでアルバイトを募集していると聞きましたので、是非面接の機会をいただきます様よろしくお願いいたします」

紬「アルバイト?」

紬「いいわよ、合格」

憂「……あれ?」

紬「うふふ」

憂「い、いいんですか…?」

紬「憂ちゃんなら全然OKよ(写真的な意味で)」

紬「それに今の挨拶だって礼儀正しかったし、文句ないわ」

憂「あ、ありがとうございます!」

紬「うふふ」

紬(いいわぁ…憂ちゃんのメイド姿が見れるなんて…!)

紬(唯ちゃんとは違った可愛らしさがあるのかしら)ハァハァ

憂(なんか興奮してる…?)


……

トントントン

憂「えへへ」

憂(楽しみだなぁ、アルバイト)

憂(なんだか高校生やってるみたい)

憂(仕事、覚えられるかな…)

Prrrr、Prrrr

憂(あっ、純ちゃんからだ)

ピッ

憂「もしもし純ちゃん?」

純『あっ憂、アルバイトどうだった?』

憂「うん、合格したよ」

純『本当!?凄いじゃん一発合格なんて!』

憂「ううん、紬さんのお父さんの系列のお店らしいから」

憂「たぶん知り合いのよしみで合格できたんだと思う」

純『そんなことないよ、憂だから合格できたんだって』

純『私が店長だったら憂みたいな人材欲しいと思うよ?』

憂「そ、そうかな?」

純『そうだって、もっと自信持ちなよ』

憂「うん…ありがとう純ちゃん」

純『じゃあ今度憂の働いてる所に行っちゃおうかな~』

憂「えっ!そ、それは恥ずかしいよぉ」

純『いいじゃん、そういう憂も見てみたいし』

憂「もう、純ちゃん!」

純『あはは、じゃあまた明日ね』

憂「…うん、またね」

ピッ
ツーッツーッ

憂「そういえば…純ちゃんのおかげだもんね、アルバイト見つかったの」

憂「何かお礼しなきゃ」




翌日



憂「お帰りなさいませ、ご主人様」ニコッ

紬(いいわぁ…凄くいい…)ウットリ

憂「お席はこちらです、どうぞお座りください」

憂(ふぅ…お仕事って思ってたより大変)

憂(大人の人って毎日こういう事やってるんだよね、すごいなぁ)


カラン


憂「あっ、お帰りなさいませご主人様」ニコッ



梓「アルバイト?…憂が?」

純「うん、メイド喫茶でバイトするんだって」

純「あっ、唯先輩には秘密にしてだって」

梓「それはいいけど…あの憂がアルバイト…」

梓「何か新鮮」

純「そりゃあ、憂だって欲しいものくらいあるでしょ?」

梓「まぁ、そうだろうけど…」

唯「あーずにゃん!」ガバッ

梓「にゃっ!?」

唯「何の話してるの?」ギュ~ッ
梓(く、苦しい…)

純「な、何でもありませんよ…あはは」

梓「ちょっと唯先輩、離れてください!」

唯「えー、だって可愛いんだもん」スリスリ

梓「く、苦しいですって…」

純「ホント仲良いね、結婚しちゃえば?」

唯「妻の中野唯です♪」

梓「いやーーーっ!!」

唯「あっ、そうだあずにゃん」パッ

梓「はっ…はっ…」

梓(ようやく離れた…)

唯「ギター教えて欲しいんだけど、今日ヒマ?」

梓「えっ…ギターですか?」

梓「今日部活ないのに?」

唯「うん!なんか今日はギターを弾く日って感じがするんだよ!」フンス

梓「意味分からないですよ…」

梓「…でもやる気があるのは唯先輩にしては珍しいし…いいでしょう」

梓「教えてあげます」

唯「ありがとー!」

梓「ただし、厳しくやりますから覚悟してくださいね?」

唯「はい!」ビシッ


純(これ本当に先輩と後輩?)


梓「じゃあ純、悪いけど私唯先輩に付き合わなきゃいけないから」

純「うん、分かった」

唯「行きましょうか、あなた」

梓「誰があなたですか?!」

唯「じゃあ、あずにゃんが妻役?」

梓「どっちもイヤです!」

純「ははっ、本当に面白い」

梓「む~…他人事だと思って」

唯「じゃあね、純ちゃん」

純「はい、お疲れ様でした」

唯「今度はあずにゃんが妹役ね」

梓「まだやるんですかこれ…」
唯「あーずにゃん!」ダキッ

梓「だ、だからくっつかないで下さい!」







純「……」

純(唯先輩は誰とでも仲良くなれるなぁ…)

純(憂はどう思ってるんだろう…寂しくないのかな?)

純「……」

純(憂、頑張ってるかな…)



……

憂「ふぅ…終わった」

紬「お疲れ様、憂ちゃん」

憂「あっ、お疲れ様でした」

紬「素敵だったわよ、すぐに仕事に慣れちゃうんだもの」

紬(あとメイド姿もね)

憂「いえ…まだまだですよ」

紬「そんなことないわ、もっと自分に自信を持ってもいいのよ?」

憂「あっ…」

紬「どうしたの?」

憂「…いえ、なんでもありません」

憂「ではこれで失礼します」ペコッ



帰り道


憂「疲れたなぁ…」

憂(お仕事って、こんなに大変なものだったんだ…)

憂「……」テクテク

憂(大人って大変だなぁ…私も将来ちゃんと働けるのかな…)

憂「……」テクテク

純「わっ!」

憂「きゃっ!?」

純「あはは、また驚いた」

憂「じゅ、純ちゃん…」

憂「びっくりした~」

純「ごめんごめん、たまたま姿が見えたから」

純「バイトの帰り?」

憂「うん、そうだよ」

純「なんだ残念、せっかく憂の晴れ姿見ようと思ってたのに」

憂「ふふっ、もう純ちゃんったら」

純「仕事はどう?大丈夫だった?」

憂「うん、まだいっぱい分からないことはあるけど…とりあえずは」

純「そっか、やっぱり憂はできる子だな~」

憂「……」

純「憂?」

憂「ううん…純ちゃん」

純「なに?」

憂「純ちゃん昨日…私にもっと自信を持てって言ったよね」

純「…うん、たぶん」

憂「今日紬さんにも同じこと言われちゃった」

憂「もっと自信を持ってもいいって」

純「ふ~ん…」

憂「でも私…別に自信がないわけじゃないんだよ?」

憂「ただ初めての事ばかりだから…不安で…」

純「そっか…」

憂「うん…」

純「……」

純(憂も…やっぱ普通に悩んでたりするんだね)

憂「……」

純「……」

憂「……」

純「……」

憂「……」

純「憂さ…」

憂「……」

純「憂なら…大丈夫だよ」

憂「うん…」

純「……」

憂「……」



平沢家


憂「ただいまー」

唯「あっ、お帰り憂」

唯「遅かったね、何してたの?」

憂「あっ…えっと…」

憂「友達と遊んでて…」

唯「ふ~ん、そっか」

憂「うん…」

憂(何でだろう…何で隠しちゃうんだろう…)

唯「ういー…」グゥ~

憂「あっ、ごめんねお姉ちゃん!」

憂「今ご飯作るから!」


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最終更新:2010年07月26日 00:13