唯「ごっ、ごめんねみんなっ」ズキッ
律「そうなると、やっぱり唯に嘘をついた純ちゃんが怪しいな!」
紬「梓ちゃんと同じで、唯ちゃんを心配させたらいけないと思ったのかしら?」
律「でも、純ちゃんはそこで『嘘』を付くからダメなんだよ」
唯「!?」ドキッ
律「その場を取り繕う『嘘』ってのは、結局は自分を追い詰めていくんだ」
唯「!!!?」ズキズキ
律「」
律「あれ?」
律「おかしいな…?」
唯「えっ、なっ、何っ!!!?」
律「いつもなら、ココで澪が『嘘つきのお前が言うなっ』とか
律「突っ込んで来そうなもんだけどー」チラッ
澪「……」
唯(びっくりしたよー)ホッ
律「澪、お前、さっきから何黙ってんだよ?」
澪「いや、考え事…」
澪(本当に純ちゃんが嘘を?)
澪(実は、純ちゃんに『梓は風邪だ』って聞いたのも)
澪(唯の嘘なんじゃないか?)
紬「澪ちゃん、梓ちゃんの事が心配なのね」
澪「うん…」
律「心配するなよ、家出なんて思春期にはよくあることだろ?」
さわ子「そうよ、後は私達大人に任せて」
さわ子「もちろん、梓ちゃんの事で何かわかったら」
さわ子「直ぐに私に知らせなさいねっ!」
憂の教室!
憂「じゃあ純ちゃん、部活がんばってねっ」
純「う、うん…」
憂「」
憂「あっ、それとね…」
純「なにっ?」ビクッ
憂「梓ちゃんの事、あまり心配し過ぎないで…」
憂「私、いつもの明るく元気な純ちゃんが好きだから…」ジロッ
純「ひぃっ!」ガタッ
純(怖いっ、こんなの憂じゃないよっ)
純(憂、一体どうしちゃったの?)
純(梓の事と何か関係があるのっ!?)
ガラッ
さわ子「ちょうどいたわね、ちょっと二人に聞きたいんだけどー」
純「えっ、私達ですか?」
憂「……」
さわ子「梓ちゃんの事でちょっとね…」
さわ子「お休みしてる理由、何か知らないかしら?」
純「私は何も…」
さわ子「本当かしらね」
純「ほっ、本当だもんっ!」
さわ子(この子、しらを切るつもりね…)
さわ子「憂ちゃんは?」
憂「私も何も知りません」
純「……」
さわ子「とりあえず、憂ちゃんはいいわ」
さわ子「ねえ、純ちゃん、何か隠してるんじゃない?」
純「そんなこと無いですっ、梓の事、私が知りたいくらいですよっ!」
さわ子「へー、だったら、なんで唯ちゃんに嘘を教えたのかしら?」
純「唯先輩に…、私がっ?」
純「何の話しだか分かりませんっ!?」
さわ子「とぼけてはダメよっ」
さわ子「唯ちゃんに、『梓ちゃんは風邪で休んでる』って嘘を教えたんでしょ?」
純「私、そんなの知りませんっ」
さわ子「おかしいわね、唯ちゃんは確かにあなたから聞いたって言ってたわっ」
純「そんなぁ、何かの間違いですっ」
さわ子「じゃあ、最近で唯ちゃんと話したのは何時?」
純「それは…」
純「昨日の夜、電話でっ」
憂「……!」
さわ子「昨日の夜?一昨日の夜じゃなくて?」
純「一昨日は私、唯先輩と連絡を取ってません!」
さわ子「それだと話が合わないわ」
純「そんなのっ、私っ、わからないもんっ」ジワッ
さわ子(まったく強情ねぇ)
さわ子「いいわよ、純ちゃん」
さわ子「ちょっと話が長くなりそうだから」
さわ子「生徒指導室まで来なさいっ」
純「そんなっ、私の言ってることは本当ですっ」
純「なんで先生は信じてくれないんですかっ!?」
さわ子「話しは生徒指導室で聞くわ」
さわ子「いいからこっちへいらっしゃいっ」グイッ
純「あっ!」
憂「ちょっと待って下さいっ」
さわ子「何よ?」
憂「純は本当に、何も知らないんです!」
純「憂…」
さわ子「……そうね」
さわ子「友達同士でかばいあって、秘密を守りたい」
さわ子「そんなあなた達の気持ち、よく分かるわ」
さわ子「でもね、家出中は危険なトラブルに巻き込まれる事が多いの」
さわ子「あなた達を守る教師の立場として」
さわ子「梓ちゃんの事、隠さずに話してもらうわっ!」グイッ
純「やっ!」
憂「違うんです、先生!お姉ちゃんは誤解をしてるんです!」
さわ子「唯ちゃんが?」
憂「梓ちゃんが昨日お休みした時」
憂「純ちゃんが、お姉ちゃんに『梓はきっと風邪なんじゃないですか?』って」
憂「自分の予想を言ってたんですけど」
純(憂…?)
憂「だけどお姉ちゃんは、純ちゃんが梓ちゃんは風邪だって知っているもんだと」
憂「勘違いしちゃったんですよっ!」
さわ子「うーん、まあ、ありえる話ね」
さわ子「でも、純ちゃんっ、さっき一昨日は唯ちゃんと話してないって言ってたわよね?」
純「えっ、それは…」
純(そんなっ、本当に会ってないんだもんっ!)
憂「それは、先生がそんなだからですっ!」
さわ子「どういう事?」
憂「そんな純ちゃんが悪いと決め付けた様な態度をとられると」
憂「逃げたくなって当然ですっ!」
憂「今日の先生、威圧的過ぎますよっ」
憂「いつもの優しくて、おしとやかな先生は何処に行ったんですか?」
さわ子(うっ…)
さわ子「でもね、今回はただ事じゃないの」
さわ子「梓ちゃんが危険かもしれない」
さわ子「なんとしてでも居場所と安否が知りたいのよっ」
憂「だったらこんなの時間の無駄ですっ!」
憂「私達と梓ちゃんは友達です!」
憂「梓ちゃんを危険な目に合わせることに、協力したりしません!」
憂「梓ちゃんがもし家出してて、私達がそれを知ってるのなら」
憂「早く帰る様に説得しますし、先生にも居場所を教えますっ!」
さわ子「うーん…」
憂「先生っ、私達を信じて下さいっ!」
純「憂…」
さわ子「」
さわ子「そうね…」
さわ子「やっぱり純ちゃんは、こっちへいらっしゃいっ」グイグイ
純「うぁーっ!!!なんでぇー!?」
憂「先生っ!?」
さわ子「憂ちゃんは信じれても、あなたは信じれないのよっ」
純「そんなっ、酷いっ!」
さわ子「残念ね、こういう時に日頃の行いって出てくるの…」
純「そんなぁーっ!!!私は何も知らないのに」
純「ただ梓が心配なだけなのにっ!」ジワッ
憂「……」
さわ子「いい加減、観念しなさいっ!今日は本当のことを言うまで帰さないわよっ!」
憂「」
憂「止めて…」プルプル
憂「本当のことを言うから、止めてくださいっ」ポロポロ
純「えっ?憂っ、泣いてるの!?」
さわ子「憂ちゃん、どういうことかしら?」
憂「本当に純ちゃんは何にも関係ないんですっ!」
さわ子「だから、それを今から調べるのよ…」
憂「その必要はもうありませんっ」
憂「私が全て知っています!」
憂「今、梓ちゃんが何処へいるのか」
憂「一昨日の晩、梓ちゃんに何があったのかも…」
さわ子「それ、本当なのっ!?」
憂「だから、止めてください…」
憂「関係ない純ちゃんが責められるの、私見てられなくて…」
純「憂…」
純「やっといつもの憂に戻ってくれたね…」
憂「ごめんね、ごめんね純ちゃんっ」ポロポロ
純「それで、梓は今何処にいるのっ!?」
憂「梓ちゃんはいっちゃった…」
憂「ずっとずっと」
憂「遠いとこに…」
純「えっ…?」
憂「私が、全部私が悪いんだ…」
憂「私のせいで、梓ちゃんは…」
純「まさか、憂、あんた…」タジッ
純「嘘だよね憂っ、嘘なんだよねっ!?」
憂「わたし、つい我慢できなくて」
憂「カッとなっちゃって…」
憂「でも、それを認めたくなくて」
憂「だから必死に取り繕って」
憂「結局お姉ちゃんも傷つけちゃった…」
憂「本当のことも辛いし」
憂「嘘のことは傷つくし」
憂「あはは、どっちも嫌なことだね…」
純「ちょっと憂っ?しっかりしてっ!」
さわ子「憂ちゃん、先ずは落ち着いて」
さわ子「順を追って説明しなさいっ!」
憂「私は…」
回想
梓「おじゃましまーす!」
唯「ただいまー」
憂「梓ちゃんいらっしゃい、お姉ちゃんお帰りっ」
梓「あっ、イイ匂い」
憂「えへへっ、今日は梓ちゃんが来るからね」
憂「腕によりをかけたんだー」
唯「やったー、楽しみーっ」
梓「ありがとう憂…」
憂「梓ちゃん、今夜は三人で、いっぱい遊ぼうねっ」
梓「うん!」
憂「じゃあ、私はごはんの用意をするからね」
唯「じゃあ、あずにゃん、いっしょに遊ぼっ」
梓「そんなのダメですよっ、憂にばっかり働かせちゃ悪いですっ」
唯「えーっ、憂はいっつもやってくれるよーっ?」
梓「そんなに妹に甘えて、恥かしくないんですかっ!?」
梓「憂、私も手伝うよっ」
憂「いいんだよ梓ちゃん、私は梓ちゃんがお姉ちゃんと遊んでくれた方がうれしいなっ」
梓「そんな、憂はいつも先輩を甘やかすんだからーっ」
唯「いいじゃん、あずにゃん」ダキッ
梓「にゃっ、ちょっと、抱きつかないで下さいっ」バタバタ
唯「良いではないかぁー」
梓「ちょっと、憂が見てますからーっ!」モジモジ
唯「見せ付けてあげれば良いではないかぁー」ギュッ
憂「」
憂「……」
憂(あんなにお姉ちゃんにギュッとされてっ!)
憂(許せないっ、絶対に許せないっ!!!!!)
数時間後
梓「あーん、また憂に負けたーっ!」
憂「惜しかったね梓ちゃん」
梓「今度は絶対に勝つよーっ!」
憂「へっ?何言ってるの?」
憂「梓ちゃんがこの尻相撲で、私に勝てるわけ無いよ」
梓「憂っ、何なのその言い方!」
憂「別にー、本当の事言っただけだから」
憂「梓ちゃんの貧相な硬尻ごときじゃ」
憂「私の程よいボリュームがキュッと締まったお尻に、勝てないのは明白じゃない?」
梓「もう頭にきたっ!もう一度勝負っ!!!」
唯「ちょっと二人ともー、尻相撲は楽しくやろうよーっ」
憂「いいけど次の勝負は、お姉ちゃんを賭けるってのはどお?」
唯「ちょっと憂、何言ってるの?」
梓「唯先輩を賭けるって、どういうこと?」
憂「つまりね、次の勝負、梓ちゃんが勝ったら」
憂「お姉ちゃんとの交際を認めてあげるよっ」
梓「えっ、ホンとっ!?」
梓(最大の難関を越えるチャンスが、こんな所でっ!?)
唯「ちょっと二人とも何言ってるの?女の子同士で交際なんて、あるわけ…」
梓「その勝負っ、乗ったっ!!!」
唯「へっ、あずにゃん!?」
梓「約束はちゃんと守ってもらうからねっ!!!」
憂「いいよ、でもね、梓ちゃんが負けた場合」
憂「お姉ちゃんから手を引いてもらうよっ!!!!」
梓「えっ!?」
梓「そ、そんなぁ…」
憂「どうしたの?怖気付いちゃったぁ?」
憂「そうだよね、梓ちゃんの駄尻が、私のパーフェクトヒップに」
憂「まったくかなう訳ないもんねー」
梓「ぐっ…」
憂「やっぱりお姉ちゃんに相応しいお尻は、私の様なお尻だよねー?」
梓「ぐぐっ…」
唯「え?ちょっと、私に相応しいお尻って…?」
憂(お姉ちゃんにくっつき過ぎな梓ちゃんも、これで少しは懲りただろうねっ)
梓「やるです…」
憂「へっ?」
梓「やってやるです!」
梓「その勝負っ!受けて立ちますっ!!!!」
憂「ええっ?」
憂「本当にいいの?梓ちゃんっ!?」
憂「負けたら、お姉ちゃん無しの生活になっちゃうんだよっ!?」
梓「それは覚悟の上っ!」
梓「あずにゃんには、越えなきゃならない壁と」
梓「守り貫かなければならないものがありますっ」
梓「ただ、その両方の闘いが、いま一度に起こるというだけっ!」
梓「一歩も引く気はありませんっ!!!!」ダーンッ
唯「あず…にゃん?」
唯(すごいっ、話しの流れは全然意味不明だけど)
唯(小柄のあずにゃんが山のように大きく感じるっ)
唯(なんと言う覚悟っ!!!なんと言う気迫っ!!!)
憂「!!!?」
憂「そう…」
憂「私、誤解してた」
憂「私、梓ちゃんを舐めてたっ!」
憂「あなたにそれ程の覚悟があると言うのなら」
憂「いいでしょう、今こそ私の本気、見せてあげますよ…」
憂「はぁーっ!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴッ
唯「!!!?」
唯(大気が、震えているっ!!!!)
唯(地球が憂のパワーに恐れをなしたとでも言うのっ!?)
梓「イザッ!!!!!!!!!!」
憂「勝負っ!!!!!!!!!」
ぽよんっ ぽよんっ ばいんっ
唯「!!!?」
唯「なんなのこれっ!?」
唯「未だかつて、この様な壮絶な尻相撲があっただろうかっ!?」
唯「私は神に、歴史の目撃者として選ばれたとでも言うのっ!?」
憂「えいっ、えいっ」
梓「とりゃっ、とりゃっ」
ぱいんっ ぱいんっ ぷりんっ
回想終わり
憂「その激しい戦いは六時間以上続き…」
憂「結局お互い衰弱するまで勝負付かず…」
さわ子「……」
憂「再戦で決着を付ける約束はしたけど」
憂「次の戦いに備えて、梓ちゃんはインドの尻仙人の元へ修行に行っちゃった…」
純「……」
憂「私は格下の梓ちゃんに引き分けた事がショックだったけど」
憂「さらにパワーアップしてくるであろう梓ちゃんの尻対策に」
憂「今だってお尻に鉄アレイを挟んだままの生活で」
憂「基礎尻力をアップ」
憂「そのせいでちょっと力んでイライラしてるように見えただろうけど…」
純「」
純「はぁ?」
完
最終更新:2010年07月28日 00:44