紬「…唯ちゃん」
律「わかってるっての…」
澪「だからこんな風に話ができるんだろ?」
唯「あれー?」
澪「まったく…しっかりしてくれよ、唯」
律(さっきまで泣き喚いてたくせに、なんとまあ…)
唯「いいじゃんいいじゃん、気長にやろーよ!」
律「お前ものんきだなっ」
梓「いいんですか唯先輩、このまま出られないとティータイムも無いですよ?」
唯「はっ、それは困るよ!みんな何やってるの!?はやく何とかしなきゃ!」
律澪(単純だ)
紬「でも仲間でピンチを乗り越えるって、なんだかドラマチックね!」
唯「私たち主役だよムギちゃん!」
澪「ムギまで…もっと危機感持とうよ」
律「まあ焦ったって今すぐどうにかなるわけじゃねーし、あんまり気負うなよ?」
澪「律…そうだな、焦らずに出来ることを」
律「唯ー!パントマイムだぞー!」ペタペタ ベチャー
唯「あははは!りっちゃん変な顔ー!私もー♪」ベチャー
律「ぶははははっ」
澪(…私がしっかりしないと!)
紬「それにしても、この壁丈夫ね」
紬「さっき椅子で思い切り叩いてみたんだけど、ビクともしないの」
澪「そんなに分厚くは見えないんだが…何で出来ているんだろうな」
律「ていうかムギ、意外と大胆だな…」
梓「脱出どころか、合流すら出来ない感じですね。どうしましょうか」
梓「えっ」ビクッ
唯「突然ですが、私たち、閉じ込められちゃってます!」
梓「ゆ、唯先輩?」
唯「お茶っ葉入れるカンカンみたいな所です」
唯「色々あるけど、食べ物がないです。食べ物が!一切!」
律「ヤバい、もともと変だった唯が更に変になった!!」
唯「空は見えます。でも、食べ物はありません!」
紬「唯ちゃん、しっかりして!!」
澪「うううぅ…」ブルブル
唯「私たち5人を隔てるのは透明な板、というか壁!」
唯「きっと上から見た私たちは学研の学習キットみたいなんだろうなあと思います!」
唯「つまり、私が言いたいことは」
唯「ってことです!」ドヤ
律「ありゃりゃ…」
澪「それさっき言っただろ!」
唯「だってぇ、どうしたらいいかわかんないんだもん」
唯「お腹すいたよー…誰かお菓子持ってない?」
律「気長にやろうっていったの誰だ。食べ物持ってても渡せないだろー?」
唯「あずにゃーん、お菓子ちょーだーい」
律「無視かいっ」
唯「あずにゃん?おーいあずにゃーん」
梓「……」
唯「あずあずにゃんにゃんあずにゃにゃにゃーん、あーずにゃんにゃん♪」
梓「聞こえてますから歌わないでくださいっ!」
唯「じゃあ返事してよお」
梓「すいません。ちょっとおかしなものを見つけたので」
唯「お菓子っ!?」
梓「おかしなものですっ!どれだけお腹すいてるんですか!」
澪「まあまあ、ところで梓は何を見つけたんだ?」
梓「パイルバンカー、だそうです。説明書もあります」
律「パイルバンカー!?」
澪「何、それ?」
律「武器だよ武器!杭をズバーン!って打ち出すんだ。カッコイイんだぜー?」
律「工事現場にある長ーい機械あるじゃん。あれを小さくしたような奴だよ」
澪「ふーん…?」
梓「カッコイイですか?これ」ヒョイ
律「装着タイプだとっ…!ちくしょー、羨ましすぎる!!」
澪「私には良さがよくわからない…」
唯「あずにゃんこっちにも見せてー!」バンバン
紬「私も見たーい♪」
梓「あ、ハイ」チャッ
唯「勇ましい!勇ましいよあずにゃん!!」
紬「梓ちゃんステキ!」
梓「こ、こんなので褒められても別に嬉しくないです///」スチャッ
澪(梓、さりげなくポーズとってる)
律「で」
梓「はい?」
律「使えるのかそれ?メッチャ見たい」ウズウズ
梓「別にいいですけど…」カチッ
ヒュィイィン ガションッ
梓「うわっ」ドタッ
プシュウゥゥゥゥゥ
梓「ったぁー…。反動めちゃくちゃですよ、これ。…律先輩?」
律「か、カッコイイ…」ポー
梓「…」
律「もっかいだけ!もっかいだけお願い!お願い梓サマー!」
梓「嫌ですよ!それと、これあと二回しか使えませんからね?」
律「漢兵器過ぎる…」ジーン
梓(ダメだこの人)
梓「とりあえずコレは置いときます。皆さんのほうでは何か見つからなかったんですか?」
澪「そうだな、見たところ私たちのスペースにもいくらかモノがあるみたいだし…」
律「各々で探すって事だな!行くぞ唯隊員!」
唯「了解でありますりっちゃん隊員!」
紬「なんだか宝探しみたい♪」
梓「私ももう少し探してみます」
律「ドリルドリルドリルドリルドリルドリル…」
ガサガサゴソゴソ
澪「…で、結局見つかったのは」
紬「いつもの楽器でしたー」
唯「えへへ、ギー太ー♪」ムチュー
律「ドラムあるけどドリルない…」ショボン
梓「アンプもありました。電気は通ってるみたいですね」ジャーン
澪「演奏でもしろと…?」
澪「…そうか、わかったぞ!ここから出る方法が!」
唯「ホント?澪ちゃんすごーいっ!」
律「マジで!?あたしらは何したらいいんだ?」
澪「演奏だよ!演奏するんだ!」
律「…へ?」
澪「この閉じられた空間と透明な壁、これは今の私たちの状態を表しているんだ」
澪「私たちは知らないうちにお互いの間に壁を作りあっていた、それがこの壁だ」
律「あのー澪さーん…?」
澪「そして用意してあった私たちの楽器。つまり、これが解決のツールになる」
澪「だからみんなで演奏することで心の壁を取り払う!」
澪「そうすればこの窮地を脱することが出来る!私はそう確信したんだ」
紬「すごいわ澪ちゃん!この場所にそんな哲学的な意味があったなんて…」
唯「澪ちゃんがいれば放課後ティータイムは無敵だね!」
梓「澪先輩尊敬します!一生ついていきます!!」
律「え…?え…?」
律「そ、そうだよなー!澪しゃんサイコーー!!」
「「「「みーお!みーお!みーお!みーお!」」」」
澪「そ、そんなに褒められると照れる…」テレテレ
澪「そ、それより早く始めよう!」
「「「「おーー!!」」」」
ジャララララッダラダダダンダダダン
澪「どうしてこんなことになったのか…それはわからない」
澪「でも、それが何だって言うんだ」
澪「私はどんな逆境にも負けない」
澪「だって、私たち放課後ティータイムに不可能はないんだから!」
澪「君を(中略)~ム♪」
ダダッダダッジャーン
澪(『けいおん!』完!)
…
澪「ふぅ…いい演奏だった」
紬「あの…すごくいい顔してるところ申し訳ないんだけど」
澪「なんだ、ムギ」ニコッ
紬「何も起こらないわ…」
澪「なん…だと…」
律「ですよねー」
梓「よく考えたら心の壁とか意味わかりませんよね」
梓「はぁ…メルヘンは結構ですけど、現実見ましょうよ澪先輩…見損ないました」
唯「ていうか歌の前の語り?私ちょっとヒいちゃったんだけど」
律「私たち放課後ティータイムに不可能はないんだからぁんっ!」キリッ
唯「ぶほぉっ!や、やめてりっちゃーん!」ゲラゲラ
紬「わ、私はちょっと変でも秋山さんのこと友達だと思ってるから!」
澪「うわああん!お前らも乗ってたくせにー!!」
律「澪が死にました。精神的に」
澪「ブツブツ」
梓「でもどうしましょうか?さすがに手詰まり感が否めません」
唯「もう疲れたー。お腹すいたー!うーいー!…あずにゃん分が足りないよぉ」
梓「唯先輩…」
律「どうしようもないだろー?なんかいいアイデア出さないとさあ」
紬「…あ、あの!」
律「どしたームギ?」
紬「梓ちゃんのところにあったパイルバンカー、使えないかな?」
梓「あっ、非現実的すぎてすっかり忘れてました!」
唯「それで壁を叩いて壊すんだね!ムギちゃん頭いいね!」
律「そんな使い方を思いつくお前はアホだけどな」
紬「さっきの反動からして、たぶんすごい威力だと思うの」
紬「その分、梓ちゃんには無理させちゃうことになるんだけど…」
梓「……いえ、やります。やらせてください!」
唯「あずにゃん…」
梓「今度は大丈夫です。唯先輩、壁から離れて。…いきます!」カチッ
ヒュィイィン バアァァァァァン!!!
梓「きゃあっ」ドサッ
ガラガラガラガラ
律「わ、割れた!(ていうかカッケー!!)」
唯「あずにゃぁーーん!!」タタタタ ギュッ
梓「あっ…唯先輩…」
唯「会いたかったよあずにゃん!大丈夫?痛いところない?」
梓「正直、全身が痛いです…」
唯「ところでさ、あずにゃん」
梓「なんですか?唯先輩」
唯「それ、私も使ってみたい」
梓「だ、ダメですっ!唯先輩には危なすぎます!もっと大人になってからです!」
唯「お願いあずにゃん…ダメ?」ウルッ
梓「うっ…しょ、しょうがないですね、今回だけですよ///」
唯「わあ♪ありがとーあずにゃん大好きー!」ギュー
梓「にゃああああ///」
律「帰ってこーい」
紬「良かったわね梓ちゃん」ニコニコ
梓「ほら、ここをこう持って…ここを押すんです」
唯「なるほどー。ではさっそく!」
梓「あ、待って唯先輩。危ないですから私が補助します」ガシッ
梓「どうぞ!」
唯「んではポチっとな」カチッ
ガションッ
唯梓「わあっ」ドテーン
梓「ふふ、やっぱりこけちゃいましたね」
唯「あずにゃんってば、一人でこんなの使ってたんだねー。偉い偉い」ナデナデ
梓「…えへへ」
律「…で、残り回数がなくなったわけだけど、あたしらの壁は?」
梓「え?何でですか?」
律(こいつ…)
最終更新:2010年07月29日 21:20