1. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:27:56.80 ID:fFHni6dE0
ちょっと前「今日澪とセックスした」スレ立てたものですけども。
覚えている方はいらっしゃいますか。


前回のあらすじ
●律と澪はラブラブカップルwww
2. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:29:32.91 ID:WGJTR0XHO
りっちゃんさんや!!!!
3. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:30:26.05 ID:3oUajrMG0
はーいはーい おぼえてますよー
4. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:31:14.58 ID:fFHni6dE0
>>2

>>3


おられましたか。
ありがとうございます。

あの続き書いていくので気が向いたら読んでやってくださいまし。
7. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:39:17.84 ID:fFHni6dE0
期末試験が終わった。
終わった、のは嬉しいけど、答案が返ってくるのは嬉しくない。
おかえり!って言って笑って出迎えてあげるほど、生徒は寛容じゃない。

先生「次、田井中」

律「はーい」

先生に名前呼ばれて取りに行く。
おぉ、思ったより悪い点数wwww
笑えねーwwww
点数のところ見えない様に折って席に戻る。

8. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/14(水) 23:51:53.79 ID:fFHni6dE0
律「勉強しないと…」

唯「そうだね!特にりっちゃんは!」

律「何だと?唯はどうなんだよー」

唯「今回は頑張りました!そろそろ私の番だから取り行ってくるね」

律「いってらっしゃいな」

まぁ私といい勝負なんだろうけど。

唯「思ったよりも出来なかったです…」

唯がしょんぼりして戻ってくる。
やっぱりwwww

9. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:03:19.64 ID:Nd9MlquL0
律「まぁまぁ。一緒に頑張ろうぜ」

和「唯?どうだった?」

唯「和ちゃん…これ…」

69点。平均よりちょっと上か…
ってマジ??私より31点も高いwwwww

和「注意って言ったところ間違えてるじゃない」

唯「簡単な引っ掛けに足を取られてしまいました…残念!」

和「でもまぁ、今までと比べたらよく頑張ったわね」

唯「和ちゃんのおかげだよー」
10. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:05:25.31 ID:Nd9MlquL0
まじやばいかも。私どこの大学にも行けないかも。
こうなったら永久就職か!澪ちゃん雇ってくれるかなwwww
だめだめ。本気で考えないと。
勉強するぞ。勉強するぞ。やれ勉強するぞ。それ勉強するぞ。

先生が解説してんの必死に書き込む。
今日の授業はいつもより早く終わった気がした。少し賢くなった!
クラスの雰囲気もちょっぴり真面目モード。
皆今回のテストで危機感持ったらしい。
受験までこれからずっと勉強だなんて考えるだけで気が遠くなるけど、皆と一緒だから頑張れそうな気がする。

12. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:10:09.78 ID:Nd9MlquL0
唯「お昼ごはんだぁ」

和「なんか嬉しそうね」

唯「勉強頑張ったからお腹すいた!」

紬「はぁ…」

和「こっちは苦しそうね…」

澪「どうしたムギ?」

紬「今回のテストあまり出来なくて…」

澪「あぁ。いつもより難しいテストだったよな」

紬「でも澪ちゃんは点数よかったじゃない」

澪「ヤマ当たっただけだって」

唯「ほら、ムギちゃんテスト勉強って言うより赤本やってたから」

和「唯の言う通りね。範囲が違うもの」

澪「志望校受かればいいんだから…気にするなよ」

紬「…うん」

13. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:13:45.90 ID:Nd9MlquL0
ついてけません。何この会話。英語?
英語なら仕方ないなwwww
だから、私!真面目に考えろって!!
赤本。テスト勉強。受かればいい。
何で皆受験生なの?私と同じ3年生なのに。

暗くなった気分かき消すように、お弁当かきこんだ。
のり弁だったから、歯にくっついて余計暗くなった。

14. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:18:42.64 ID:Nd9MlquL0
澪「律、いーして」

律「いー」

澪「うん大丈夫」

律「ありがとー」

澪に歯見てもらった。なんか照れちゃうーwwww
夫婦みたいwww

16. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:21:59.06 ID:Nd9MlquL0
お弁当食べ終わってムギに赤本見せてもらった。
いろいろ書き込んであってすごい。勉強してるって感じ。

律「これ本屋さんで売ってる?」

紬「うん。赤本コーナーあると思う。いろんな大学の赤本があるのよ」

律「そっか。今日行ってみる」

澪「律、今日の部活の後、予定ある?」

律「本屋さん行く」

澪「ならいいや。何?赤本買うの?」

律「おお!そろそろ本気出さないと!」

澪「律が本気だ…頑張ろうな!」

17. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:23:59.13 ID:Nd9MlquL0
部活もちゃちゃっと練習して切り上げて。もちろんティータイムはしたけど。
商店街の大きな本屋さん行った。
赤本なら澪詳しいと思ったから一緒に行ってもらいたかったけど、先生と話あるらしくて1人で来た。

律「赤本ってどこですかー?」

店員さんにご丁寧に案内された。
一面真っ赤。こんなにあるの?
私の志望校はどこだー…?探すだけでも一苦労だよ…

20. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:35:41.90 ID:Nd9MlquL0
志望校はこの前決めた。
家から通えそう且自分の学力で行けそうなところ。

律「あった…」

手にとって開いてみる。
受験生になった感じがした。
した、だけだった。
さっぱり分からない。困った。
これからだよな。これから勉強すればいいんだから。

他の参考書とかいろいろ買おうと思って店内を回る。
こんなに種類があるものなのかと驚いた。
やっぱり澪に来てもらえば良かったな。
澪と来たかったな。

21. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:42:48.29 ID:Nd9MlquL0
澪「律」

律「うわ!澪!」

澪「驚きすぎだろ」

律「いや、澪のこと丁度考えてたから」

澪「え?あ、そうなんだ」

澪なんか顔赤い。可愛いwwww
唇噛んで、目逸らせて、頬ぴくぴくさせてる。
じーっと見てたら澪がちらっと私のほう見た。
一瞬目があったら、また慌てて逸らされた。

24. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 00:50:07.89 ID:Nd9MlquL0
律「何喜んでんだよー」

澪「喜んでないから」

律「口元緩んでる」

澪「いや、これは、律が本気になってくれたのが嬉しくてだな!」

律「そうかそうか」

澪「でも。…私もずっと律のこと考えてた、ぞ」

澪ちゃーん!!!!!
私もいつも澪ちゃんのことばっかり考えてるよー!!!
げへへへへへwwwwwww

25. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:02:02.46 ID:Nd9MlquL0
澪にお勧めの参考書聞いて買った。澪とおそろいwwww
商店街でクレープ買って、公園のベンチで食べる。

律「澪、一口」

澪「ん」

澪が差し出したクレープにかぶりつく。
チョコバナナ。定番だな。美味い。

律「澪も食べる?」

澪「いや、いいよ」

律「でも一口もらったしあげるよ」

澪「いらない」

律「なんでだよ!」

澪「ぎょうざクレープなんて買うからだろ!もっとおいしいもの買えよ!」

26. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:05:58.20 ID:Nd9MlquL0
律「いやいや、おいしいですから」

澪「なんで律はいつも冒険するんだよ?」

律「まさかの組み合わせが絶世の美味を生み出すんだよ!」

澪「へぇ」

律「自分で聞いといて薄い反応だな。とにかく一口!」

澪「だからいらないって!」

律「そこまで言うなら食べさせてあげるよ」

澪「え?」

一口食べて、澪に唇突き出す。

27. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:09:24.55 ID:Nd9MlquL0
澪「何する気だよ…」

律「くひうふひー」

澪「口移し?」

大きく頷いてにっこり。澪はげんなりしてた。

律「たへないの?」

澪「食べないって」

律「きすしはいの?」

澪「キスも、しない」

律「なんへ?」

澪「ぎょうざだから」

29. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:17:23.99 ID:Nd9MlquL0
無念なり。しょぼーんだよ。
いいや、もう自分からしちゃえばいいや。
一緒に餃子臭くなろうぜwwwww

澪「律、待て、ま…」チュ

してやったりwww
唇舌でこじ開けて、無理やりぎょうざクレープ押し込んだ。
澪が顔振るから、がっしり両頬押えてホールド。
澪も私の頬掴んで離そうとする。
させまいぞ。澪殿。
私のキスでとろけさせてやる。
しばらく澪の口の中楽しんだ後、離された。
もう少し楽しもうと思ったのになーwwww

31. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:24:12.57 ID:Nd9MlquL0
澪「何するんだよ!」

律「澪がいらないってしつこいんだもん」

澪「しつこいのはお前だ!」

律「で、どうだった?おいしかった?」

澪「味なんてわかんなかったよ…」

律「じゃぁもう一口!」

澪「え?おいちょっと待て!」

32. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:35:10.24 ID:Nd9MlquL0
人の声聞こえてきたからやめた。

律「残念だったね」

澪「いやいや」

律「残念だったね」

澪「いやいや」

律「残念じゃなかったね」

澪「いやいや」

律「むふ」

澪「あっ!違う!違うぞ!」
33. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:43:00.78 ID:Nd9MlquL0
律「さて、クレープも食べ終わったところで帰りますか」

澪「そうだな」

律「帰ったら勉強するぞ」

澪「おぉ。まさか律の口からそんな言葉が聞けるとは」

律「ははは。りっちゃんは進化したのです!!」

私の家の前きて、別れる。

澪「じゃぁお互いに勉強頑張ろうな」

律「うん。じゃぁまた明日」

34. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:51:24.54 ID:Nd9MlquL0
澪が歩いて、私はその背中を見送った。
10mくらい先で振り返った。
あ、へらへらした顔見られたかも。

澪「律」

律「え、あ、分かってる。勉強します。じゃぁね!」

速効家の中入った。
有言実行!さっそく頑張ります!

35. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 01:59:07.21 ID:Nd9MlquL0
ちなみに今書いているの一週間くらい前の内容ね。
結局この日は寝たwww
でも、ちょっとは勉強した。古文!
澪に会ったら頑張ったねって誉めてもらおう

澪「おはよう」

律「我が恋は  千引きの石を  七ばかり  首に掛けむも  神のまにまに」

澪「は?」

律「昨日勉強したんだ!古文!」

澪「そうなんだ」

37. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:14:54.24 ID:Nd9MlquL0
あれ?誉めてくれない?
予想外れたんですけどwwww
歩き出す澪の右手に腕絡めると、恥ずかしそうな顔してまた前向いて歩きだした。

律「誉めてくれないの?ねぇねぇ!」

澪「偉いね」ナデナデ

澪の手大きいから、頭なでられるとすごい安心する。

律「うひひー。あっ!」

澪「どうした?」

律「今まで勉強なんてする気起きなかったけど、モチベーションあがる方法を思いついた!」

澪「おぉ。何?」

38. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:17:44.83 ID:Nd9MlquL0
律「澪に誉めてもらえるって考えればいいんだ!」

澪「そうだぞ。律が頑張ってたらまたナデナデしてあげるからな」

律「頑張れる気がする…ちなみに撫でるのは頭?」

澪「頭以外にどこ撫でるんだ?」

律「やだ澪ったら…朝からそんなこと言わせないで」

澪「……ばかっ!頭だけだ!」

律「怒るなよー…でもやる気でた!!!頑張るよ!!!」

勉強は嫌いだけど、澪にまた撫でてもらえるなら頑張るよ!
それでもっと頑張ったらいろんなところ撫でてねwww

40. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:22:03.85 ID:Nd9MlquL0
澪「…可愛いなぁ」

律「今何か言った?」

澪「別に」

律「何々?もう一回言って!」

澪「何でもないって」

律「可愛いなぁって言って!」

澪「あ!お前聞こえてたな!」

律「あー澪ちゃん、そう言ったんだー。当てずっぽうだったんだけど」ニヤニヤ

41. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:25:53.75 ID:Nd9MlquL0
澪「うるさいうるさい!早く学校行くぞ!」

律「まったく照れちゃってー。澪は相変わらず可愛いね」

澪「恥ずかしいこと言うなっ!」

律「澪かわいい澪かわいい澪かわいい」

澪「静かにしろっ!唇塞ぐぞ」

律「えっ…それって…き、しゅ?」

澪「え…照れるなよ。私のほうが恥ずかしくなる」

律「だって澪がそんなこと言うなんて思ってなかったし」

澪「律が可愛いのがいけないんだ」

42. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:27:53.75 ID:Nd9MlquL0
澪が立ち止まるのに合わせて私も止まる。
澪が周り見渡してる。誰もいないのに。
不思議がってる私の肩に澪の手が置かれた。
どんどん顔が近づく。
ちょっといきなりすぎて、びっくりして、ぎゅっと目を瞑った。
息が掛かるくらい近い距離。

澪「最近お前、可愛すぎて困る」

43. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 02:34:32.42 ID:Nd9MlquL0
ちょっと寝ます。
またスレ立てたのは聞いてほしいことがあったからなんだけど、
まだ書けてないからスレ残しておいてくれるとありがたい。

保守頼みます。誰か見てくれてる人いたら。
68. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 20:52:36.14 ID:Nd9MlquL0
ただいま。
保守ありがとう。

70. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 20:54:44.73 ID:Nd9MlquL0
澪のほうが絶対可愛い。
そのせいで困ってるのも私。
言い返そうと思って、とりあえず目を開けたら澪の顔が近くてびびった。

てっきりいつもみたいに笑顔隠そうとしてニヤニヤな顔してるかと思ったけど違った。
すごい悲しそうな顔してたから何も言えなくなった。
何でそんな顔するの。私まで悲しくなる。
それでも、どんな澪の顔でも愛しくて、澪への想いが溢れてくる。
少し顔を近づけると鼻がぶつかった。
ただそれだけのことなのに、胸が跳ねた。

71. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 20:56:16.74 ID:Nd9MlquL0
澪「ごめんな」

律「え?」

澪「学校行こう」

澪が背中向けた。
誰もいないからキスしてくれてもよかったのに。
澪の恥ずかしがり屋さんwwwwにくいねお嬢さんwww
私の手握って、少し前を歩く。
いつもより強く握られた左手が痛かった。

72. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 20:59:54.59 ID:Nd9MlquL0
唯「澪ちゃんりっちゃんおはよー!」

唯が遠くで手振ってるのが見えた。
澪の手が離れて、その手で唯に手を振っていた。
突然離された手の行く場所がないから、頭をかく。

唯「澪ちゃん歌詞順調?」

澪「あんまり進んでないんだ…」

唯「そっかぁ」

学園祭に向けての曲作りだ。
最後の学園祭だから、いつも以上に練習しようってこの前話し合った。

73. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:03:42.42 ID:Nd9MlquL0
唯「りっちゃんの愛が足りないんじゃないの?」

律「そんなぁ!誰よりも愛してるのに!」

唯「田井中君!君ならまだ上を目指せるぞ!」

律「はい!コーチ!」

唯「よし!夕日に向かって走ろう!」

律「コーチ!夕日がありません!あれは朝日です!」

唯「That is ASAHI」

律「おぉ…ネイティブ…」

74. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:09:26.17 ID:Nd9MlquL0
澪が唯の頭にぽんと手を置く。
ぐしゃぐしゃと髪の毛いじった。

澪「唯。律のせいじゃないからね」

唯が髪の毛を手櫛で直して、澪がまたぐしゃぐしゃにして。
いつも見慣れたスキンシップに心がちくんとした。

本当に困ってるのは私のほうだ。
澪が好きすぎてどうしようもない。

75. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:16:00.02 ID:Nd9MlquL0
部活の時間。今日もいつものティータイム。

澪「そろそろ練習するぞ」

律「あとちょっとだけ…」

梓「この前頑張るって言ったじゃないですか」

律「うぅ…」

澪「律の負けだな。ふふっ」

澪の笑顔につられてしぶしぶ立ちあがる。
寝たふりを決め込んだ唯を引っ張ってティーセットから離れた。

76. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:21:36.79 ID:Nd9MlquL0
ドラムの前に座る。

律「じゃぁ最初からなー。1・2・3・4!」

唯「え?何の曲?」

律「今さらかよ!次の学園祭の新曲!」

唯「ごめんーえへへ」

律「じゃぁ最初から」

スティックを上に掲げる。

律「1・2・3・4…って言ったら始めるからな」

唯がジャンと音を鳴らして噴き出す。

唯「りっちゃんってばー」

梓「もっと真面目に練習してください!!!!」

梓が叫んだ。感情的ないつも聞きなれたセリフも、違って聞こえた。
しん、と音が聞こえるくらい静かになった。

78. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:23:29.22 ID:Nd9MlquL0
梓「すみません…強く言いすぎました」

律「いや、悪いのうちらだし、ごめんな」

梓「…謝ら、ないで…」

後ろからだと梓がどんな顔してるか分からない。
だけど、震えた肩から、なんとなく伝わってきた。

律「ごめん。泣くなよ」

梓「泣いて…ふぇ…ないです…ひっく…」グス

唯「あずにゃんごめんね」

梓「だから…謝らないでください…」

梓はずっと泣いていて、今日の練習は終りになった。
梓は澪と二人で帰って、残された私たちは楽器の手入れをしていた。
梓が帰ってくれてよかった。
あれ以上梓の気持ちが伝わってくることに耐えれなかった。
帰ろうと澪が言ってくれなかったら、多分爆発してた。

79. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:24:57.63 ID:Nd9MlquL0
紬「最後だもん」

5人での学園祭は最後だから頑張りたい。
悔いのない演奏をして、頑張ったねって言って笑いたい。

唯「いつもと同じだったのにね」

私と唯がふざけて、梓がプリプリ怒って。
いつもの練習風景だった。
私たちは文句を言いながらしぶしぶ楽器を触る。
謝ることなんて今まで無かったのに。

80. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:26:36.20 ID:Nd9MlquL0
上手くなる度に思う。
上手くなるだけの練習をする時間がもう過ぎて行ってしまったこと。
もう、その時間に終わりが迫っていること。

練習したいのに、したくない。
部活に行きたいのに、行きたくない。
終わっちゃうから。
楽しいと一つ感じるごとに、楽しいが一つ終わっていく。

時間は待ってくれない。

分かってるけど。

律「分かってるよ」

明日もいつも通りの部活だろう。
容赦ない時の流れに、私は為す術を知らない。

81. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:31:05.42 ID:Nd9MlquL0
あの後、3人で話し合った。
最後の学園祭頑張ろう。
今日でた結論は、この前5人で誓ったことと全く同じだった。
ほら、やっぱりね。

家に帰ると、玄関の前に澪が座っていた。
膝に顔を埋めて表情は見えない。

83. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:41:25.82 ID:Nd9MlquL0
律「ただいま」

澪「…うん」

律「梓ありがとうな」

澪「…うん」

律「大丈夫そう?」

澪「多分…」

律「そっか…」

澪「…」

律「…」

澪が顔をあげた。
少し目が赤い。泣いてたのかな。
あえてそのことに触れはしないけど。

84. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:49:31.37 ID:Nd9MlquL0
澪「梓さみしいんだと思う」

律「だろうな。でもこればっかしは本人が受け止めるしかないから」

澪「来年も残ってやりたいけど」

律「無理だよねーははっ」

澪「何笑ってるんだよ」

律「え?」

86. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 21:54:45.57 ID:Nd9MlquL0
澪「お前部長だろ!真剣に考えろよ!」

律「考えてるよ」

澪「考えてない!」

律「何でそんな事澪に言われなきゃなんないの」

澪「もっと梓のこと想ってやれよ!!」

律「想ってるって!!」

澪「嘘だ!」

律「皆それぞれ考えてるのに、自分が一番だって思いこむの澪の悪い癖だ!」

澪「…」

律「皆悩んでるんだよ!ムギも唯も、梓だって!お前だけが悩んでるんじゃない!!」

87. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:00:57.63 ID:Nd9MlquL0
ずっと高ぶってる澪に私もイライラしてくる。
想っててもどうしようも出来ないんだよ。
澪も分かってるはずなのに。分かってるからこそ。
声を荒げて睨んだとき、澪は泣いてた。

律「ごめん。言いすぎた。澪まで泣くなよ」

澪「泣いてない」

腕で目ごしごしこすって私の横を通り過ぎる。
とっさに腕つかんで引きとめた。涙で濡れてた。
ぶんって腕振り払われた。
拒絶された。

89. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:07:20.30 ID:Nd9MlquL0
律「ごめん澪」

澪「律は悪くない。私こそごめん」

律「澪」

澪「帰る」

律「待てって」

澪「ごめん、1人にして」

走る澪の背中を追いかけることが出来なかった。
自分の気持ちも相手の気持ちも分かっているのに、何も出来ない。
悔しくて、苦しくて、拳をギュッと握った。

90. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:18:41.56 ID:Nd9MlquL0
次の日になって、教室で澪と会う。

澪「おはよう」

律「…おはよ」

唯とムギが来て4人で楽しく話す。
いつのまにか、喧嘩しても普通に過ごせるようになった。
気まずい空気が嫌だから、嫌なことはなかったことにする。
いつから、こんなこと覚えてしまったのだろう。
そしてきっと、梓も同じだ。

91. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:20:50.89 ID:Nd9MlquL0
予想通りいつものように楽しく部活して、帰り道の途中で初めて二人きりになった。

律「梓、我慢してたな」

澪「あぁ」

律「でも、いつも通りに過ごすしか出来ないんだよな」

澪「…うん」

律「だから、いつもみたいに楽しく過ごして、いっぱい想い出作ろうな」

澪「…嫌だ」

律「え?」

澪「想い出なんていらない」

歩きながら澪の髪が揺れているのを見た。その奥に見えた表情は何も映し出していない。
だから聞き間違いかと思ったんだけど、澪は次に言葉をつなげた。

93. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:23:00.22 ID:Nd9MlquL0
澪「今がずっと続いてほしい」

律「…無理だろ」

澪「梓をひとりにしたくない」

律「さっきから嫌だ嫌だって文句ばっかり…澪に何が出来るの?」

澪「……」

律「じゃぁ聞き方変えるけど、澪はどうしたいんだよ」

澪「…このままがいい」

律「卒業しないつもりか?」

澪「しなくてもいい」

94. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:25:00.56 ID:Nd9MlquL0
溜息をついた。澪にも聞こえるくらい。

律「そんなこと出来るわけないだろ」

澪「分かってるよ」

律「澪!いい加減にしろよ!」

堂々巡り。いつから澪はこんなに子供みたいになったんだろう。
大人としての責任を押し付けられてる気分になって、無性にイライラした。
止まって澪の身体こっち向けて、澪と顔を合わせる。
すぐに澪は横を向いた。それがまた感情を高ぶらせた。
また嫌な空気。こんな風に話したいわけじゃないんだよ。

95. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:26:05.16 ID:Nd9MlquL0
律「進むしかないんだよ。留まって居られないんだよ」

澪「律は私と離れてもいいの?」

律「…極端だな」

澪「卒業したら離れ離れになっちゃう。皆とも、律と」

律「そんなことない。毎日会えるよ」

澪「無理だよ」

律「無理じゃない。大学終わったら毎日デートだ。一緒にバンド組んだりとか」

澪「私…出来ない」

律「まぁ大学忙しかったらバンドは無理かー」

澪が梓に極端に入れ込んでいたのは、自分も同じ気持ちだから?
卒業して離れるのが嫌なのは私だって一緒だよ。
今が楽しくて、楽しくて、終わってほしくない。
思い出なんかにしたくない。

96. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:27:26.77 ID:Nd9MlquL0
澪「違う。そうじゃない」

律「何なの?」

澪「…京都に行く」

律「え?」

澪「京都の大学に行くから」

律「……」

澪「もう、律と一緒に居られない」

律「……」

澪「離れて寂しくて、律と一緒にいたこと思い出すだけの毎日なんて嫌だ」

97. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:29:14.71 ID:Nd9MlquL0
澪「だから」

律「…嘘だ…」

澪「ばいばい」

澪の唇がゆっくりと言葉を発する。
いつもみたいにグジャグジャに泣きじゃくってるかと思ったけど。
それは他の誰でも無い私のことだった。
正面を向いた澪は、綺麗に笑ってた。

98. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:30:43.60 ID:Nd9MlquL0
恋愛は二人でするものだと改めて分かった。
私1人がどんなに澪のこと好きで大事で一緒に居たいと思って、
離れてもいいからずっと澪の一番でありたいと思っても、
澪が嫌だと言えば一瞬で崩れ去る。
誰が悪いとかそういうことじゃなくて、ただ私たちが合わなかっただけのこと。

いつか澪よりも大好きな人が出来て、親友の澪に紹介するかもしれない。
結婚式で二人して号泣して、旦那さんを困らせるだろう。
それでも、今は、今だけは、そんな日が来ない事を願ってしまう。
私は、まだ澪が好きだった。

99. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/15(木) 22:33:11.16 ID:Nd9MlquL0
以上です。
お付合い頂きありがとう。
あれから日が経って少し落ち着きました。
ちょっと自分の中だけで発散しきれなかったのでスレ立てたけど、
思い出すたびに胸が痛んだ。いつかこの痛みが無くなりますように。



最終更新:2010年09月10日 20:41