12:15厨房


紬「梓ちゃーん!これとあれとそれとそっちとこっちとオーブンとガス台とサンダーと湯煎機お願ーい」

梓「任せて下さい余裕っす!ステルスモモばりの余裕すよ」

紬「梓ちゃんが居ると本当に仕事が楽しいわ」

梓「何言ってるスカ私以上の仕事と手の速さの紬さんに敵う相手は居ないっスヨ」

梓「私はいつも紬さんの仕事を勉強させて貰ってるだけっスカら」

梓「一生付いて行くっスから」

紬「あらあらウフフッ」

シュバババババババ



澪「っしゃあっ!気合い入れとくぞオイ!」

唯「はっはい!」

澪「オーダー確認OK」

澪「いっくぜぇぇ」

澪「まずはヅケ丼だ準備は出来てるな?」

唯「あっ!スイマセン!出来てません」

澪「はぁっ?お前何十分浸け込んでんだ!すぐ上げろ阿保」

唯「はっはいぃぃぃ!スイマセン!」

澪「素材の旨さが消えてるっ!」
プルプル

唯「すいませんでしたっ!」

澪『イライラ』

澪『こいつ殴りてぇ』
ギロリ

唯「みっ水とかに浸けたら少し薄くなるんじゃないでしょーか?」

澪『がっ我慢!今はオーダーを熟すことが先決』

澪「テメェは金輪際何もするな」

澪「今度私の目に入ったら理性が切れるからな」

澪「解っか?理解したか?」

澪「テメェみたいな池沼にももっと解りやすく言ってやーろーか」

澪「今度会った時はテメェをブチ殺してやるって事だ!」

澪「町で偶然出会っても必ずテメェをブチ殺してやるからな」

澪「一生私に怯えて過ごせ嫌ならここで自殺しろ!」

唯「ふぇぇぇぇふぇぇぇぇ」

唯「ういーういー」



14:10 店裏


唯「ふぇぇん!ふぇぇん」

唯「ういー怖いよー皆怖いよー」
エッグエッグヒッグ

唯「怖いよう怖いよう憂ここ怖いよ!」

唯「もう、私頑張ったよね?憂」

唯「もう逃げたいよもう逃げたい」

唯「たった一日半で逃げるお姉ちゃんを憂は許してくれる?」

唯「許してくれる訳無いよね?これが社会なんだね?」

唯「これが働くって事なんだよね」

唯「小学生から高校までずっと虐められて」

唯「高校の同級生に騙されてレイプされて」

唯「三年間引きこもって」

唯「中絶してやっと憂のお陰で前向きになれたのに」

唯「憂の奨めでここに拾って貰えたのに」

唯「たった一日半で逃げるなんて憂が許す訳無いよね」

唯「憂・・・ゴメンね・・・・」

唯「ダメなお姉ちゃんで・・・」

唯「私は最後まで・・・ダメな・・・お姉ちゃん・・・みたいだよ」

唯「ゴメンね・・・」



律「さぁっーて!次のバイトはまで少しあるな

律「そーだ!あそこの店でハンバーガーでも食ってこー」

律「んっ?」

律「なんだ変な声が聞こえるな」

エッグエッグヒッグビェェェ

律「こっちかな?」

律「ありゃ?お前は新人だな?」

唯「あっ!」

律「今日お前が急に居なくなって澪が大変だったんだぞ!」

律「わかってんのか?」

唯「ビェェェビェェェビェェェエッグヒッグビェェェ」

律「何言ってるか解んねーよ」

律「とりあえず落ち着け!あっそーだ飴で舐めるか?」

唯「ビェェェビェェェビェェェ」
コクッ

律「ほらよっ!美味いだろ?あまり手に入らない飴だぞっ」

唯「凄く美味しくて落ち着きます」
コロコロ

律「んでっ、何があったんだ?」


唯「私が悪いんです」

律「それじゃ解決にならねーだろ?」

律「泣く程辛い思いしてるって事はさ全て自分が悪いとは思ってないんだろ」

律「原因は自分かもしれないけどさ本当の所は」

律「周りの奴らだろ?まぁ、その中に私も入ってるだろうけどさ」

律「私、秋山さんってか澪とは幼なじみなんだよ」
唯「えっ?」

律「あいつは本当に真面目すぎるんだよな!真面目過ぎるから厳しい」

律「真面目すぎて厳し過ぎて誰も付いて来れない」

律「でも、あいつが作る料理は本当に美味い! 不景気な世の中に逆らって安かろうまずかろうを気持ち良い位逆らってる」

律「梓いるだろ?中野だよ!元々あいつは違う店で澪の下で働いてたんだよ」

唯「えっ?じゃあなんで?」

律「時代の煽りで澪と梓が働いてた店は閉める事をになってしまった」

律「それまでの過程つーのが今の澪を作り上げてるのかもな」

律「澪はその店で辛くとも楽しく働いてたんだよ」

律「でも安さが売りの店に大手がどんどん参入してきた」

律「澪達がいた所謂街の高級レストランは大打撃を受けた」

律「澪は店の方針が急に変わって安い食材で値段も安く提供しようとした事に納得行かなかった」

律「納得しなくても雇われの身で経営方針に逆らえず」

律「その店は結局前の高級イメージが拭えないまま中途半端な店のイメージが固定して閉店した」

律「前に澪と一緒に飲んだ時あいつが酔いに任せて叫んだんだよ」

律「私は絶対に妥協なんかしない!安い物なんて誰でも作れる!」

律「私は私にしか作れない物を私は作って行く!誰にも求められ無い時があろうと私は作り続ける!本当の和食を!」

律「私が死んだ後でも良い!必ず私を認めてくれる人はいる筈だっ!」

律「てなっ、真面目過ぎて厳し過ぎて恥ずかしがりやの澪が始めて私に夢を語った時だったよ」

唯「恥ずかしがりや?」

律「あー!そーなんだぜ!」

律「あいつ結構恥ずかしがりやでな」

律「例えばそーだなぁ、お前が澪に対してふざけたりした事ないか?」

唯「あっ!あります!昨日、実はふざけて仕事するなら帰れって言われました」

律「それはちょっと違うな!仕事をふざけてやる奴は大嫌いだから」

律「それは澪の恥ずかしがりやって所じゃ無いな」

唯「そーなんですか…あの言葉に少しは救いの余地があると思って期待したんですが…」

律『こいつも澪とのコンビは無理そうだな…』

律「ま、まぁつい出ちまったて事もあるし気にすんなよ」

唯「ハァ、ハイ」


律「で?どーするんだ?」

唯「えっ?」

律「ディナーだよ!このまま逃げるつもりだったんだろ?」

律「この世界じゃ結構いるよ!そんなに気にすんな!私も少し時間あるから飯でも食いに行くか?」

唯「ハイ…・・・やっぱり出ます!」

唯「私ディナーも頑張りますっ!」

律『こいつちょっと見所あるのか?まさかな!』

律「そっかぁ!まあ、頑張りな私10時まであそこの本屋でバイトしてるから逃げ出して行く所無い時は何時でもきなよっ」
ニカッ

唯「ぶー!私もう絶対逃げないもん!」
ニヘヘ

律「じゃーなー明日は嫌味言わないでおくよ」

唯「あれやっぱり嫌味だったのー?」

律「アッハッハッハッがーんばーれよー」

唯「うん!ありがとう頑張るよ」


唯「よしっ!ありがとう田井中さん」

唯「不思議に元気が出たよ!」

唯「さてと!次はこの厨房への扉を開く勇気だ!頑張れ私!さっきの田井中さんとの笑顔を無駄にしない為に」

ガチャ
キー

唯「本当に申し訳ありませんでしたぁ!」

澪「良く来れたなお前」

唯「申し訳ございませんでした」

澪「お前が謝ってる意味を教えろ」

唯「えっ?」

澪「疑問形だな!ただ謝ってるだけなら帰れっ!」

唯「いえっ!少し驚いただけです」

唯「このまま何も聞かれずに帰れと言われると思ってたので」

澪「ハァ、じゃあ聞いてやるよ何対して謝ってるんだ?」

唯「マグロです」

澪「んっ?」

唯「私が浸け込み過ぎて折角のマグロの素材を台なしにした私の愚行に謝罪してます」

澪「なるほどな」

澪「早くランチの片付け手伝え」


唯「秋山さん私間違ってました」

唯「働くってきっと楽しい事ですよね?」

澪「あぁ、勿論!でも辛くて悲しい事もあるぞ」

澪「なぁ、梓?」

梓「そーですね、でも信じた道は必ず成功の道だと私は信じてますから」

唯「中野さんカッコイイですね」

梓「平沢さん?」

唯「ハイ」

梓「貴女みたいなあまっちょろい人間じゃここのレストランの私達の様々な思いなんて理解出来ないのは当たり前」

梓「だから、適当な発言はイライラするだけなんだよ」

唯「ス、スイマセン」

梓「理解したら余計な事言うなよ池沼!」

梓「ったく!ふざけんな!」

唯「ゴメンなさい」

澪「さて、夜の予約はっと?」

澪「八組かぁ、えっとぉ都合五ニ名かぁ」

澪「唯!大丈夫か?」

唯「はっはい!必ず!」

唯『初めて名前で呼ばれた!』

唯『なんか認められた気がする!うはー!嬉しいよー!』

唯『よーし!今日は頑張るぞー』

唯『ありがとう田井中さん!』



16:00


澪「そろそろお昼にしないかー?」

澪「準備出来たぞー」

唯「えっ?秋山さん!言ってくれたら私が準備しましたのに」

澪「ハハッお前に何が作れるんだよ?」

澪「それから賄い当番は一日置きで洋食と和食って交代するから一応覚えとけな」

唯「ハイっ!少しでもはやく作れるように頑張ります!」

梓「入店してからあんたの頑張りますって何回聞いたかしらかね?」

唯「うぅっ…」

澪「とりあえず早く食って一眠りしよう」

澪「今日は一段と忙しい…」

梓「秋山さん!食べながら寝ないで下さい」







最終更新:2010年07月30日 23:23