梓「かわいすぎんだろ」

梓「天使のような笑顔」

梓「きれいな顔立ちを際立たせるポニーテール」

梓「それによって現れる心洗われる艶やかなうなじ」

梓「ぷにぷにもちもちの白い肌」

梓「けしからんおっぱい」

梓「他には…」


――1時間後…

梓「と、まあ半分くらいは挙げられたかな」

梓「残りは帰って復習しないと」

梓「それはさておき作業に戻ろう」


梓「えーと憂は…」

梓(いたいた。いました。無垢な表情で授業を聞いています)

梓(まずはいつも通り顔のスケッチから…)

梓(…)


――1時間後…

梓(よし、だいたい描けたかな)

梓(さて、ここからが本番だ)

梓(憂の裸体を想像し)

梓(この顔のスケッチに組み合わせる!)

梓(迸れ!わたしのイマジネーション!)

梓「ふおぉ…」



――1時間後…

梓(できた)

梓(あとはこれにさくらんぼと桃を書き足せば…)

梓(…ってそういえば誰にも見られてないかな)キョロキョロ

梓「…誰もいない…」

梓(この時間は…教室移動か…)

梓(というかなんで誰も声かけてくれないんだちくしょう)

梓「ちくしょう」

梓(まあいい、ほんの些末なことだ)

梓(はやく描かないと…おっと涎が)ジュルリ

梓(まずいまずい…)



――1時間後…

純「あずさ~さっきなにしてたのー?いなかったよね?」

梓「…」

純「梓?」

梓「…」

純「ちょっと…」グイッ

純「うわっ!」

純(なにこの顔…形容できない…)

純「…ん?なにその紙?」

梓「ああ、純…ってダメ!見ないで!」グシャ

純「見られちゃまずいの?というかなんか憂っぽいのが見えた気が…」

梓「気のせい!それに憂は絵じゃないよ!」

純「わかってるよそんなの…」

純「憂の絵みたいなのが見えたの」

梓「あははそうだね。あっ!もうお昼だ!ご飯ご飯」

純(むむ…)



憂「じゃあ食べよっか」

純「うん」

「「いただきまーす」」

憂「梓ちゃん?」

梓「…はっ!な、なんでもない」

梓(見惚れてた)

梓(ええと今日の憂のお弁当は…)

梓(オーソドックスに卵焼き、メインおかずのハンバーグ、口直しにプチトマト…あとは…)カキカキ

純「なに書いてんの?」ズイッ

梓「なんでもありません」パタリ


梓(それにしても憂のお弁当…)

梓(ほんと美味しそうだなあ)ジー

憂「…」

憂「あ、梓ちゃん、よかったら食べてね」

梓「ほんと!?食べる!」パクパク

憂(すごい食べてる…)

純「…」



梓「…っぷう…ごちそうさま」パンパン

純「ごちそうさまって梓…」

純「全部食べるなよ…」

梓「あっえっ?うそ!ごごごめんね憂!」

憂「ううん。そんなに美味しそうに食べてもらえたらこっちも幸せだよ」

純「でも憂食べるものないでしょ」

純「あずさ!なにか買ってきなよ!」

憂「い、いいよ。でも代わりに…」

梓「!」

梓(ま、まさかわたしの…か、かかかから、からだ?)

梓「いつでもどうぞ!」ドキドキ

憂「ほんと?じゃあもらうね…」

梓(落ち着けわたし!落ち着け落ち着け落ち着け…ん?)

憂「梓ちゃんのお弁当!」

梓「…」

憂「ふふっ…食べてみたいと思ってたんだー。美味しそう!」

梓「あ…はは、どうぞどうぞ…あは…」



梓「…」

梓「まあいい」

梓「午後は気を取りなおして」

梓「今度は着色…と」

梓「うわ」グチャリ

梓「純め…」

梓(なんか今日はすっごく無意味に終わっている気がする)

梓(いや、人生に意味なんて無い。心配ない)

梓「心配ない!」ガタッ

梓「……いえなんでもありません先生」



―放課後。

梓「…はあ」トボトボ

梓(そこら辺に憂落ちてないかなあ)

梓「うい~うい~」

憂「なあに?梓ちゃん」

梓「うわあっ!」ビクッ

憂「わたしがなあに?」

梓「いやその…」

梓「!そう、酔っ払ったおじさんのマネ!」

憂「へ、へー…?」

梓「う、うん」

憂「…」

梓「う、憂!よかったら一緒に帰らない?」

憂「うん。わたしも梓ちゃんと帰ろうと思ってたの」

梓「そ…そうなんだ」

梓(…嬉しいじゃないかこの!)

梓「このこの!」ガシガシ

憂「わっ…な、なに梓ちゃん」

梓「ごめんなさい」

梓「…」

憂「…ねー」

梓「なに?」

憂「明日どっか遊びに行こうよ!純ちゃんも一緒に!」

梓「…!うん!行きたい」

憂「じゃあどうしよっか」

「……」ワイワイ



―次の日。

梓「プールだ」

純「ああ、プールだ」

憂「どうしたのふたりとも」

梓「ううん。それより早く着替えようよ!」

純「おう!とつげきー!」タタタ

梓「…」

純「ついてきてよ…」



梓(憂のお着替えシーン…)

梓(カメラ忘れた…)

梓(いや、放送禁止ものだ。仕方ない)

憂「梓ちゃん?着替えないの?」

梓「気にしなくていいよ」ジー

憂「その…ちょっと着替えづらいかな…」

梓「大丈夫大丈夫」

憂「う、うん」ヌギヌギ

梓(もうちょい…もうちょい!)ヌヌ

純「梓…」

憂「ちょっと…恥ずかしいよ…」

梓(照れてる…)

梓(マヨネーズつけてキャベツと一緒にパンに挟んで食べちゃいたいかわいさ)

純(むむ…)


憂「ま、まあ無事に着替えられたことだし」

憂「入ろっか」

梓「うん」

純「…ん?」

憂「あ…」

梓「どうしたの?」


憂純「だれ?」

梓「何言って…うわ焼けてる…」

純「なんて早さ…」

憂「さすがに…」

梓「やめて!そんな目で見ないで!」

梓「うわあああああん」ダッ

憂「あっ!梓ちゃん待って!」ダッ

純(ここはわたしも追いかけるべきか)

純「あずさー!待って…」タタ

純「…はやっ…」

純「なんなのあのふたり」

純「…もういいもん!ひとりで入る!」



憂「梓ちゃん…ちょっと…はあ…はあ」

梓(純は…いないか)ピタ

憂「わたし…焦げた梓ちゃんもいいと思うよ…」

梓「…ほんと?」

憂「うん。こげにゃ…焦げた梓ちゃんもかわいいよ」

梓(こげ…?)

憂「それに…なんかおいしそうだし」

梓「!」

梓(それは…わたしを食べちゃいたいということ…?)

梓「たっ、食べてもいいよ!」

憂「あははそんなこと言ってるとほんとにたべちゃうぞー」

梓「わたしは割と本気…」

憂「あっ!純ちゃんいないね。戻ろっか」

梓「……………………………うん」



純「ブーブー」バチャバチャ

憂「純ちゃ~ん!」

純「!!…憂…」

憂「ごめんね、梓ちゃんもいるから一緒に泳ごう!」

純「!…うん」


純「あーつっかれた~!」

梓「うるさい」

純「なによ、梓のせいで疲れたっていうのに」

憂「まあまあふたりとも」

梓「でも…楽しかったね」

憂「うん」

純「…まあね」



―自宅。

梓「今日は大変だ」

梓「憂の白ビキニ…」カキカキ

梓「…はあ…はあ…」カキカキ

梓「…んっ…はあ…」カキカキ

梓「…ん?」ピロリロリーン

梓「メール……純か」

純『いい加減憂で妄想するのやめなよ』

梓「…」

梓「なぜばれている」

梓「…まあいいか」

梓「ふふ~うい~」カキカキ


―翌日。

梓(今日も平常運行)

梓(憂のかわいさに一点の曇りも見られない)

梓(うむむ…そういえば最近進展がないな)

梓(行動にでるか)



梓「純!」

純「ん~?梓か。なに?」

梓「憂にアタックします」

梓「手伝って」

純「あんた…昨日の今日で…」

梓「使えるものはなんでもつかうよ」

純「つかうって…」

梓「ほらはやくいい案出してよ」

純「そんな急に…」

梓「ふーん。まあいいやなにか考えておいてね」タタッ

純「そんな…」



梓「憂ー!」

憂「ん?…わっ!」ダキ

梓「んふふー」スリスリ

憂「わわわ…どうしたの梓ちゃん」

梓「んー?なんでもないよ。…ダメ?」モミモミ

憂「ちょっと…ダメじゃないけど…あっ…だっだめ…んっ」

梓「…」モミモミ

憂「ああ…やぁっ…ああっ!」

梓「どうしたの憂」

憂「な、何でもないよ…」

梓「ふーん」ニタリ

憂(どどどうしよう…)ドキドキ



梓「やりました」

純「なにを?」

梓「もんできた」

純「はあ?」

梓「憂を」

純「はあ…で、どうだったの?」

梓「手応えはありました」

純「ふーん。よかったじゃん」

梓「柔らかかったです」ワキワキ

純「いやもんだ感触じゃなくて」

梓「そっちはわかりません」

純「へえ…」

梓「じゃあね」タタッ

純(報告をするためだけに来たのか)



梓「ういー一緒に帰ろー」

憂「部活は?」

梓「今日先輩みんないないから」

憂「そうなんだ。じゃあいこうか」

「……」

梓「……ねえ憂」

憂「なあに?」

梓「憂はさ…好きな人っているの?」

憂「ど、どうしたの急に」

梓「わたしは…いるよ」

梓「すぐ近くに」

憂「へっ!?そ、そうなんだ!」

梓「…うん」

「……」

梓「じゃあお別れだね」

憂「う、うん、またね」

梓「バイバイ」

梓「…」スタスタ

梓(今はまだ…言えないけど)

梓(いつかこの気持ちを伝えるからね)

梓(それまで待っててね、憂)

梓(それじゃあ…)

梓(帰ったら憂フォルダを整理しよう)

梓(よし!)

梓「ウイイイイイイイイイイイイイイ!!」ビッ





―平沢家。

憂(なにあれ…もしかしてわたしのこと?)

憂(でもまさかそんな…いやでも…)

憂(う~どうしよう…恥ずかしい…)

憂(…)

憂(まあいっか…いまはとりあえず…)

憂(梓ちゃんフィギュアを愛でる作業に戻ろう!)

憂(よし!)

憂「あずにゃあああああああああああん!!」

―その日、時を違え空に響いた二つの咆哮が時空を超え、
一つに混じり合い二人の人間を結ぶ架け橋になり
まあなんだかんだあって二人は幸せになりましたとさ。

                                      おしまい。



最終更新:2010年08月01日 23:36