78. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:29:05.36 ID:2Mlr1uky0
唯先輩が死んだ。

居眠り運転のトラックに轢かれて飛ばされた時に頭を打ってだ。
不思議なことに傷はなかった。唯先輩は綺麗なまま死んだ。

病院に駆けつけた私が見たのは綺麗なまま静かに眠る唯先輩の姿だった。
唯先輩が死んだなんて信じられなかった。だってあんなにも綺麗だったんだから。
でも唯先輩に話しかけてもなにも返事はかえってこなかった。

私には唯先輩が死んだなんて信じられない。

79. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:30:39.98 ID:2Mlr1uky0
今私は、通夜、葬儀を終えて一人自宅のリビングに座っている。
自宅には唯先輩の色がまだ濃く残っている。
作りかけの料理や干しっぱなしの洗濯物。
私はそれらをなんの感情もなしに眺める。

そういえば私は泣いていない。

唯先輩がいなくなったというのに泣いていない。

なぜだろう?

とりあえず洗濯物を取り込もうと立ち上がり、庭に向かう。

私の視界に一枚の手紙が見つかる。

これは…

バレンタインの時にチョコの箱に挟まっていた手紙だ。

そういえば出勤する前に日課として毎日見てたっけ。

手紙を見る。
80. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:32:11.11 ID:2Mlr1uky0
(あずにゃんいつもお仕事お疲れ様!大好きだよ♪by唯)

82. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:33:29.68 ID:2Mlr1uky0
梓「…」

梓「…」ポロッ

梓「ふっうううぐうぅぅぅ」ポロポロ

梓「うわあああぁぁぁ…」ボロボロ

そうだ。唯先輩は死んだんだ。

梓「ゆ…いせんぱ…うぐうぅぅ」ボロボロ

死んだ人とはもう会えないんだ。

梓「うううぅぐぅうう」ボロボロ

もう唯先輩とは会えないんだ。

梓「いや…だあぁぁぁ…ゆいせんぱ…ううう」ボロボロ

涙が…止まらない。

梓「ゆいせんぱ…どうして…どうして死んじゃったんですか…どうして…ううう…」ボロボロ

梓「いっじょにいるっでやぐぞぐじだのに…うう…うぐうぅぅ」ボロボロ
83. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:34:21.50 ID:2Mlr1uky0
唯先輩なぜですか?なぜですか?

梓「おばあちゃんになるまえに…死んじゃっだじゃないでずが…ああぁぁぁ」ボロボロ

今までの唯先輩との思い出が蘇ってくる…

84. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:35:23.52 ID:2Mlr1uky0
(あずにゃんが楽しいときも寂しいときも悲しいときも幸せなときもそばにいる。
あずにゃんがおばあちゃんになって私もおばあちゃんになってもずっとずっと一緒。)

(もう!子供扱いしないでよあずにゃん!)

(サインをね、中野///中野唯って///)

(いいよ♪今日はどんどん私に甘えちゃって♪)

(だって、Gってあずにゃんに似てるし…。
私あずにゃんに似てる子が潰されるとこなんて見たくないよ!)

(ウンメイノー ウワアアアアアアアア ドカーン)

(私はあずにゃんの奥さんなんだから。奥さんは旦那さんのことを一番に考えるものなの。だから大丈夫。
あずにゃんはなんにも心配しないで寝てて?)

(この変態)

(殺されたみんなや破壊された地上はドラゴンボールでもとにもどれるんだ気にすんな)

梓「うわあああぁぁぁ!うわあああぁぁぁん!」ボロボロ
87. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:36:43.69 ID:2Mlr1uky0
唯先輩!唯先輩!
もう一度あずにゃんって呼んでください!私にあなたの笑顔をください!私にあなたの温もりをください!
私と一緒にいてください!私を一人にしないでください!
お願いです!お願いします…。
神様…私をもう一度唯先輩と会わせてください…
88. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:39:03.05 ID:2Mlr1uky0
梓『ここは?』

真っ白な世界。ここはどこだろう…。

梓『なんで私…こんなところに…』

唯『あーずにゃん』

梓『!?ゆ、唯先輩!!?』

唯『そうだよー♪えへへ。久しぶりだねあずにゃん』ニコ
90. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:40:36.12 ID:2Mlr1uky0
あ…あぁ。唯先輩だ…。唯先輩だ!私の大好きな…世界で一番愛している唯先輩が今目の前にいる!
唯先輩は死んでなかったんだ!唯先輩はちゃんと生きていたんだ!そうだ!あれは夢だったんだ!
悪い夢…。私は悪夢を見ていただけだったんだ!

梓『唯先輩!』ギュー

唯『えへへ。あずにゃんに先に抱きつかれちゃった』

梓『唯先輩!唯先輩!』ギュー

唯『今日のあずにゃんは甘えん坊さんだねぇ』ヨシヨシ

梓『唯先輩!私…怖い夢を見ていて…。唯先輩が死んじゃう夢で…。私怖くて…辛くて…悲しくて…』ボロボロ

唯『…そっか…。ごめんね、あずにゃん…。悲しい思いさせちゃって…』

梓『唯先輩のせいじゃありません!あれは私の見た悪夢なんです!でも大丈夫です…。
あれは夢だったんですから…。だって唯先輩は私の目の前にいるんですから!』エヘヘ

唯『…ごめんね、あずにゃん』
91. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:41:43.72 ID:2Mlr1uky0
なぜ唯先輩は謝るんだろう…?なにも謝ることなんかないのに…

唯『あずにゃん…よく聞いてね?』

唯先輩は小さな子供を諭すように、優しく、落ち着いた声でゆっくりと話し始めた。

唯『あずにゃん…。あずにゃんが見た私が死んじゃったっていうのはね夢じゃないの』

唯先輩は意味のわからないことを言う。
唯先輩が死んだのは夢じゃないって…。じゃあここにいる唯先輩は誰?
この人は唯先輩じゃないとでも?
そんなはずはない…。この人は唯先輩だ…。私が大好きな唯先輩だ…。
この愛らしい姿、この優しい匂い、この安心する温もり…。
どう考えても唯先輩だ…。

92. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:42:37.46 ID:2Mlr1uky0
梓『唯先輩…。悪い冗談はやめてくださいよ』

なぜ?声が震える…。

梓『唯先輩は今私の目の前にいるじゃないですか…』

唯『あずにゃん…。よく聞いて…。この私はあずにゃんの夢が作り出した私なの。
つまり、今あずにゃんは夢の中で私と話しているの…。』

これが…。夢?こんなにリアルなのに…?だって唯先輩の温かさも匂いも感じるよ?

梓『…』
93. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:43:26.64 ID:2Mlr1uky0
唯『あずにゃん…。私が死んじゃったほうが現実なの。』

やめて

唯『ごめんね…。私…あずにゃんと約束したのに…。
おばあちゃんになっても一緒にいるって言ったのに…』

やめてやめて

唯『あずにゃんを一人残して先に死んじゃうなんて…。私…お嫁さん失格だね』
やめてやめてやめて

唯『でもね、あずにゃん。私、あずにゃんにどうしてもいいたいことがあって…。
それで夢を利用してあずにゃんに会いにきたんだ』

梓『やめて!!!』ギュッ!

唯『!…。』

梓『唯先輩なにを言ってるの!?これが夢のはずないでしょ!!
だってこんなに唯先輩を感じるのに!唯先輩が私に笑いかけてくれるのに!』
94. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:44:45.60 ID:2Mlr1uky0
そう。私には唯先輩が全て。その唯先輩がいない世界なんていらない。

だから。

梓『だから…。私はこっちにる。夢なら夢でいい。
唯先輩がいるこっちの世界で永遠に唯先輩と暮らすんだ…』

唯『…あずにゃん…』

梓『そうですよ。それがいいです。そう考えたら夢のほうが都合がいいですね。
だって現実ならいつかは離ればなれになるけど、夢なら永遠です。
私は唯先輩とずーっと一緒にいられるんです』エヘヘ

唯『あずにゃん…。ダメだよ』

ダメ?なんで?

梓『どうしてダメなんですか?
あぁ、そうか現実世界の私はまだ生きてますもんね。生きてたらいつかは夢から覚める。
そうだ、唯先輩、少し待っていてくださいね。今からちょっと起きて、死んできますから』

バシッ!
95. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:45:51.77 ID:2Mlr1uky0
え?叩かれた??
誰に?
唯先輩に?
どうして?

梓『…』

右頬に手を当てて考える。なんで私は唯先輩に叩かれたんだろう。
っていうか痛くない。夢では痛みを感じないって本当だったんだ…。
なんて、それはどうでもいいか。
今はなんで叩かれたかのほうが問題だ…。

梓『…』

唯先輩は泣きそうな顔で、でも凄く怖い顔で怒ってる。
こんな顔いままで見たことない…。
なんで怒ってるんだろう…?
私に対して怒ってるんだよね。
嫌だな…。唯先輩に怒られるのは凄く嫌。
96. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:48:19.43 ID:2Mlr1uky0
梓『…唯先輩。なんで怒ってるんですか?』

とりあえず唯先輩が怒ってる理由が知りたい。

唯『あずにゃん』

梓『はい?』

唯『あずにゃんは私が死んじゃったのが悲しいんだよね?』

梓『はい。当たり前じゃないですか』

唯『じゃあ、もし今回死んじゃったのがあずにゃんだったらどう?悲しい?』

梓『…悲しいです。唯先輩に会えなくなりますから』

当然だ…。唯先輩に会えなくなる辛さは身をもって知っている。
97. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:49:08.55 ID:2Mlr1uky0
唯『じゃあ、今のように私の夢にあずにゃんが出てきたらあずにゃんはどう思う?』

梓『…嬉しいです。とても』

唯『うん。私も嬉しいよ。
…じゃあ、私があずにゃんとずーっと一緒にいるために死んじゃうって言ったら?』


梓『!………。嫌です。絶対に嫌。唯先輩には生きていてほしい。あの世界で生きていてほしい。
こんな、なんにもない世界じゃなくて唯先輩にはあの温かい世界で生きていてほしい』

唯『…。あずにゃん、なんでぶたれたかもうわかるよね?』

梓『はい…』

唯『じゃあ私が今あずにゃんに伝えたいこともわかるよね?』

梓『…。はい…』
98. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:50:08.69 ID:2Mlr1uky0
唯『あずにゃん…。ごめんね。』

梓『謝らないでください。全部、唯先輩に責任はありません』

唯『ううん。それでもごめん』

梓『…』

唯『本当はもっと優しい言い方もあったんだ。でも…優しい言い方じゃあずにゃんが』

梓『はい。たぶん、絶対に引きずることになってました。
今はよくても、そのうち唯先輩がいないことに耐えきれなくなってました』

唯『…ごめんね』

梓『もう、謝らないでください。今はそれが一番辛いです』

唯『うん…』

99. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:51:14.04 ID:2Mlr1uky0
梓『唯先輩…。ありがとうございます。唯先輩にはいつも…いつも支えられてばかりです』

唯『そんなことないよ』

梓『いいえ。唯先輩がいなければ私はいままでやってこれませんでした』

梓『唯先輩の強さがあったから。唯先輩の優しさがあったから。
私はあずにゃんとして生きてこれたんです』

唯『…』

梓『でも…。これから先は唯先輩はいません。唯先輩の支えはないんです』

梓『でも…私はくじけません。唯先輩に笑われたくありませんから』

梓『私は…。唯先輩の分まで生き続けてやるです』

梓『だから唯先輩…。私のことを見守っていてください』

梓『あずにゃんのことを見守っていてください』

唯『…。うん!私はあずにゃんのお嫁さんとして天国からあずにゃんのことを見守ってるよ』

唯『だから安心して』ニコッ

梓『…。ありがとう…ございます…唯…先輩』ギュッ

唯『あずにゃん』ギュッ
100. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:52:20.74 ID:2Mlr1uky0
梓唯『…』

唯『私…もう…いくね』

梓『…はい』

唯『最後に』

梓『最後に』
101. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:52:55.69 ID:2Mlr1uky0







                                  チュ
103. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 20:55:21.78 ID:2Mlr1uky0
梓「…」

梓「…」

梓「夢なんだよね」

ううん。夢じゃない。唯先輩の温もりがまだ残っている。

梓「唯先輩…。私…唯先輩の分まで頑張ります…。だから…」

だから…。

梓「今だけは…泣いてもいいですよね?」
107. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 21:04:46.22 ID:2Mlr1uky0
う…。うぅ…うわああああああん!!ああああああああああん!
やだよおおおおおおおおおおおお!!!
もっといっじょにいだかった!!もっといっじょに笑っていだかった……
唯先輩!唯先輩!うわああああああん!!!………………

空に無数に浮かぶ星の一つがキラリと輝く。
一人の女の子を見守るように笑いかけるように。
温かく。優しいその輝きは、泣いている女の子をいつまでも…いつまでも見守っていた。
110. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 21:06:03.84 ID:2Mlr1uky0






梓「とかどうよ?」

憂「長い」
113. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/22(木) 21:07:33.73 ID:2Mlr1uky0
平沢家!

憂「」トントン

憂「」グツグツ

憂「」アジツケアジツケ

憂「」アジミアジミ

憂「」カチャカチャ

梓「唯先輩、きょ憂「ねえよ」



おしまい!



最終更新:2010年08月03日 23:17