唯「こんにちは。平沢唯です」

唯「最近シールがマイブームです」

唯「シールの良さは一口には語れませんが」

唯「そのひとつに誰の所有物か明らかにできる、というものがあるでしょう」

唯「そんなわけで、はじまります」



―学校。

梓「ちょっと唯先輩!いたるところにシール貼らないでくださいよ!」

唯「え~いいじゃ~ん。かわいいでしょー」

梓「あとで剥がすのが大変なんですよ!」

唯「これ剥がしやすいタイプだし~」

梓「とにかく少し控えてください」

唯「もーなにさー」ブーブー

梓「あっ!なんでわたしのカップにも貼ってあるんですか!」

梓「ギターケースにも!こっちにも!」

梓「いつのまに…」

唯「へへーかわいいでしょー」

梓「ともかく剥がしますからね!」

唯「えーひど~い」

梓「被害者はこっちですよもう」ペリペリ

梓「…あっ!」ビリ

唯「無理に剥がそうとするから~」

梓「唯先輩のせいでしょ!!」

ガチャ

律「おーす」

唯「ありっちゃ~ん」

律「おー…どした梓?」

梓「唯先輩に聞いてくださいよもう!」

律「…唯。なにしたんだ?」

唯「りっちゃんひどーい。わたしはシールを貼ってあげただけだよー」

律「…なるほどな」

律「どれどれ」

律「ええと…破けちゃったのか…」

律「こんなときは…」ガサゴソ

唯「ドライヤー?なににつかうの?」

律「まあまあいいから見てな」

梓「…」

律「…」ブオーン

律「…そろそろかな」ペリ

唯「おおっ!?」

梓「!」

律「ほれほれ~」ペリペリ

唯「すごいよ!りっちゃん!」

律「へへーシールは熱に弱いんだぜー」ヘヘン

唯「すごーい」

梓「…」

梓「あの…ありがとうございました…」

律「いいってことよ!てか悪いのは唯だろ!」

唯「な、なんのことやら…」

梓「唯先輩。つぎはもうないですよ」

唯「うう…」



―帰り道。

唯(シールだってかわいいのに)スタスタ

唯(あずにゃんはわかってないよ!)

唯(なにさなにさ!)

唯(…)

唯(…かえろ)


唯「ただいまー」

憂「おかえりーお姉ちゃん」タタタ

唯「えへーただいまー」

憂「うふふ、ご飯できてるから着替えてきてね」

唯「うん」



―部屋。

唯(やっぱり憂はかわいいなあ)

唯(まさか彼氏とかいたりしないよね…?)

唯(そんなの許さないよ!)

唯(でも…どうなのかなあ)

唯「…」ハア

憂「お姉ちゃん?どうしたの?」

唯「う、ううん。なんでもないよ!いただきまーす!」

憂(…?)

唯(おいしいぞちくしょー!)バクバク



―次の日。

唯「やー!」ガチャ

梓「どうしよう…どうしよう…」ガサガサ

唯「あれ…あずにゃんなにしてるの?」

梓「!…な、なんでもないです!」

唯「?」



澪「いやー久々に練習できたな」

紬「でも…」

梓「…」

紬「梓ちゃんどうかしたの?」

梓「へっ!?い、いえ!」

澪「確かに梓様子が変だったぞ」

律「そうだな…なんか心ここにあらず、って感じだったぞ」

梓「…」

唯「あずにゃーん。なんでも言ってごらん!」

梓「…えと…」

澪「心配しなくていいぞ。なにも怒ってるわけじゃない」

梓「…はい…実は…」

紬「き、キーホルダーをなくしたの…」

唯「ほほほんと!?あずにゃん!」

澪「と、とりあえずみんなで探そう!」

律「そうだな、そんな遠くにはいってないだろ」

梓「…みなさん…す…すいませ…」グスッ

律「気にすんな。困っている後輩を助けるのが先輩だ!」

紬「じゃあまずはここを探しましょう!」

唯「おー!」



澪「見つからないなあ」

律「うーん」

紬「教室も廊下もなかったね…」

梓「ご、ごめん…なさい…たっ大切なものなのに…」ポロポロ

唯「大丈夫だよあずにゃん!」

紬「うん…キーホルダーがないとばらばらってわけじゃないもの」

律「そうだそうだ。またなにか代わりのものを買おうぜ」

澪「そうだな…今度見に行こう!」



―自宅。

唯(あずにゃん大丈夫かな…)

唯(でも…あんなに悲しんでくれてうれしいな)

唯(明日はがんばって元気づけてあげよう!)

憂「おねーちゃーん!ご飯できたよー!」

唯「はーい!」ドタドタ



―次の日。

律「じゃあ部活いくかー」

紬「おー!」

澪「…ん?あれは…」

唯「…あずにゃんだ」

梓「せんぱーい!」タタタ

澪「どうした梓?そんなに息切らして」

梓「はあっ…はあっ…あの!」

梓「キーホルダー見つかりました!」サッ

紬「わ!ほんとだー!」

律「おーよかったじゃん!」

唯「どこにあったのー?」

梓「その…実は…」

澪「へえ…シールがついてたのを見つけてもらったんだ」

紬「シールすごいわ!」

唯「えっへん!」

律「…まあ今回は唯のおかげかな」

梓「…あの…唯先輩」

唯「…んー?」

梓「すいませんでした…その…ひどいこと言って…」

唯「謝ることないよ!見つかってよかったね!」

梓「!…はい」

梓「みなさんも…ありがとうございました」

澪「ははは。一件落着だな」

律「よーしじゃあ今日は祝いのティータイムだー!」

澪「…練習もす…」

紬「おー!」

澪「ムギ…」



―帰り道。

唯(ケーキおいしかったなあ)スタスタ

唯(…あずにゃん元気になってくれてよかった)

唯(シールのおかげかな)

唯(……)スタスタ



唯「ただいまー!」

憂「おかえりー!」パタパタ

憂「あれ?お姉ちゃんなんだか機嫌よさそうだね」

唯「え?そうかなー」

憂「うん。なにかあった?」

唯「へへへ実はねー。あとで話すよー」

憂「ほんと?楽しみだなあ」

唯(えへへー憂はわたしのことみんなわかってるんだ)

唯(うれしいなあ)デヘヘ

唯(はやくシールのこと話してあげなきゃ!)


唯「でねーシールを見た子に届けてもらったんだって」

憂「へえー。よかったね梓ちゃんもお姉ちゃんも!」

唯「うん!ハッピーエンドだよ!」

憂「シールのおかげだね!」

唯「えへ~そうかもねー。シールの…」

唯「!」

憂「?お姉ちゃん?」

唯「う、ううん…なんでもない!」

憂「…?」

唯「…」


2
最終更新:2010年08月04日 01:58