廊下

梓「なんとかしなくては……」

憂「梓ちゃん、おはよ!」

梓「おはよう」

憂「朝一番の梓ちゃんいただきます」ペロペロ

梓「ういぃ……」

憂「ごちそう様ー! 私お姉ちゃんにお弁当渡してくるから、また後でね!」

梓「やはりなんとかしなくては」

梓(ここ一週間程おかしい)

梓(何で急に皆、私をペロペロしてくるようになったんだろう)

梓(親しい人ほどペロペロ率が高い)

梓(しかし親は何もしてこない)

梓(何か原因があるとは思うんだけど)

律「よう梓、難しい顔してどうした?」

梓「なぜ皆がペロペロしてくるのか考えていました」

律「あはは、まだ悩んでたのか」

梓「当たり前です」

律「諦めて……ペロペロさせろー!」

梓「嫌ですよ!」ダッ

律「あ、おい!逃げるな!」ダッ

梓「お断りします!澪先輩でもペロペロしてて下さい!」

律「そんなこと出来るか気持ち悪い!」

梓「えー……」

キーンコーンカーンコーン

梓「ほ、ほらチャイムですよ、授業に遅刻しますよ」

律「ちょっとくらい良いや」

梓「よくない!」

ダン

梓「うわ、壁……」

律「追い詰めたぞ~」

律「観念してペロペロさせろ」ジリジリ

梓「嫌です」

律「梓は私が嫌いなのか?」

梓「そうじゃないですけど、誰だって無差別にペロペロされたら嫌でしょう」

律「憂ちゃんにはさせてたくせに。見てたぞ」

梓「あれは不意をつかれて……」

律「とにかくペロペロさせろ、1ペロペロでいいから」

梓「何でそんなにペロペロしたいんです?」

律「解らん。解らんが梓を見てると無性にペロペロしたくなる」

梓「そんな無茶苦茶な……誰か助けて……」

律「まぁまぁ、優しくするからさ」

梓「うぅ……」

律「いただきます……ぐっ!」

さわ子「遊んでないで授業行きなさい」グイ

梓(助かった)

律「さわちゃ……首苦しい……」

さわ子「あ、ごめんごめん」

律「けほけほ……命拾いしたな梓」

梓「優しくするって嘘だったですか!」

さわ子「……」ジュル

梓「ひっ!」

さわ子「先生は大人だから我慢するわ」

梓「ほっ」

さわ子「その代わり、時間がある時にたっぷりとね」

梓「……え?」

さわ子「ほら、行くわよりっちゃん」

律「覚えてろー!」

梓「全く……」

梓「私も授業行かなきゃ……」

梓「体育……生きて帰れるかな」



更衣室

梓(しめた、皆着替えた後だ)キョロキョロ

梓(これならゆっくり着替えられる……)ヌギヌギ

バタン!

純「梓発見!」

梓「うわっ!」

女子1「更衣室を空にしとけば油断する、純の作戦通りだね」

純「ふふん」

女子2「さぁ梓ちゃん、ペロペロしようね、全身くまなくペロペロしようね」

梓「や、やめてこないで!皆変態だよ!」

女子3「最高の誉め言葉よ……捕まえた!」ガッシリ

梓「いやーー!!」

ペロペロペロペロチュパチュパペロペロパンパン

梓「ぐすっ……」ベトベト

女子2「梓ちゃん、良かったよ」

女子3「ちゃんと一人3ペロペロのルールも守ったし」

梓「ベトベトだ……」

女子1「どうせ水泳だし良いじゃん」

純「早く着替えなよー」

バタン

梓「うぅ……皆ペロペロするだけしていって酷いよ……」

梓「早く水着着なきゃ……」

梓「ん?そういえば憂がいなかったような」




プール

憂「梓ちゃん!?どうしたの!?」

梓「純達に複数ペロペロされた」

憂「そんな……私が一緒にいれば良かった」

梓「憂だってペロペロしてくるでしょー」

憂「私は集団でなんて下品な真似しないもん!」

梓「そういう問題かなぁ」

憂「梓ちゃんはデリケートだからね、愛でるようにペロペロしないと」

梓「なんにせよ早く入りたい」

先生「では準備体操しまーす、皆で中野をペロペロしなさい」

一同「はーい!」

梓「えっ?」

梓「か、囲まれた」

女子1「わっしょいわっしょい!」

梓「う、憂!憂助けて!」

憂「ごめんね、いくら私でも無理だよ」

梓「そんな!」

純「誰か羽交い締めにしなさい」

女子2「大人しくしようね」ガシ

梓「あ、あぁ……」

先生「出席番号順に列並べー」

ペロペロペロペロンチョ

梓「う、ういぃ!憂ー!助けてー!憂ー!」

憂「あぁ……梓ちゃんが泣き叫びながら私の名前を連呼してる」ゾクゾク

女子3「憂って一番変態だよね」

ペロペロペロロロンモムホドネーナチュポチュポペロリンリン

先生「よーし全員終わったな、じゃあ始めるぞー」

一同「はーい!」ツヤツヤ

梓「……」グッタリ

憂「立てる?」

梓「……無理」

憂「寝てたらまたペロペロされちゃうよ?」

梓「う!……それは嫌だ」グググ

憂「泳いだらすっきりするよ」

梓「だと良いけど」

梓(何とかして原因を突き止めないと)

梓(このままじゃペロ殺されてしまう)

梓(死因がペロペロされ過ぎなんて、笑えないよ)

純「梓の髪ってさー、動く時邪魔じゃない?」

梓「ちっちゃい頃からだから別に」

純「今も小さいくせに」

梓「なにーー!」

梓(ある程度ペロペロすると、しばらくは普通に戻るんだよね)

梓(うーむ)


キーンコーンカーンコーン

先生「はい授業終わり、次の授業にも遅れないように」

梓「ふぅ……さすがに普通の授業なら皆もペロペロ出来ないはず」

梓「……」ブルッ

梓「トイレ行こうっと」


トイレ

梓「はぁ、トイレが一番落ち着くよ」

憂「だよね」

梓「うん、誰も入ってこないし……え?」

憂「え?」

梓「うううう憂!?」

憂「うん」

梓「うんじゃないよ!出てってよ!ていうかどうやって入ったの!?」

憂「しっ!そんな大声出したら不審がられるよ」

梓「いやいやいやいや」

梓「とにかく、用を足したいから出てってよ」

憂「気にしないで」

梓「しないわけないでしょ」

憂「した後はちゃんとペロペロしてあげるから」

梓「いらないよ……ん?え?どこをペロペロする気?」

憂「えへへ、皆と同じところだとつまんないもん」

梓「バカ言わないでよ!不潔!」

憂「だからペロペロして綺麗にしてあげるよ」

梓「ダメだラリってやがる……憂だけはまともだと思ってたのに」

憂「まともだよー」

梓「どこが……とにかくそれだけはいや!」

憂「どうしても?絶対?」

梓「どうしても!絶対!」

憂「仕方無いなぁ……今日はこっちで我慢するよ」ムチュー

梓「んん!?」

憂「んっ……ふっ……」

梓(う、憂の舌が入って……ていうか躊躇無くキスするな!)

憂「あん……」レロレロ

梓(し、舌をペロペロされてる……)

憂「ぷはっ……梓ちゃん……可愛い」

梓「唾液まで吸われた……」

憂「梓ちゃんのお口の中をペロペロしたのは私だけだよね?」

梓「うん、まぁ」

憂「えへへ……満足」シュタ

梓「やっと出ていった……」

梓「それにしても危なかった……もういいやとか思っちゃった、相手は憂なのに」

梓「…………ていうか尿意消えた」



廊下

梓(さて、どうしたものか)

梓(この同時多発無差別ペロペロを止めるには、まずは原因を突き止めないと)

和「あら、梓ちゃん」ペロペロ

梓「こんにちは……挨拶代わりにペロペロしないで下さい」

和「ごめんなさいね、ついつい」

梓「はぁ」

和「落ち込まないで、良い話があるのよ」

梓「良い話?」

和「なぜ皆があなたをペロペロしたがるのか、その原因が解ったわ」

梓「ほ、本当ですか!?」

和「ええ、私も気になって調べてみたのよ」

梓「ありがとうございます!和先輩だけは無条件でいくらでもペロペロして下さい!」ヒシッ

和「あ、ありがと……で、原因なんだけど」

梓「はい」

和「驚かないで聞いてね」

梓「覚悟は出来てるです」

和「なぜ皆が急に中野梓をペロペロしだしたか……それはズバリ、あなたから分泌されるアズニウムが原因よ」

梓「………………はい?」

和「未知の物質アズニウム……それは無限の可能性」

和「爆発的なエネルギーを最高率で発揮させる禁断の力」

梓「和先輩?頭やられました?」

和「私は正気よ」

梓「全く意味が解らないんですけど」

和「すっごく簡単に言うとね、今の梓ちゃんからはペロペロするととても元気になる物質が分泌されてるの」

和「しかも中毒性抜群……まるで歩く麻薬、らりにゃんね」

梓「人聞きの悪い……ん?でもペロペロしてこない人もいますよ?」

和「アズニウムは精神的な側面で効果が変わってくるわ、あなたを大好きな人ほど強い効果と中毒性を得るの」

梓「嬉しいような悲しいような」

梓「しかしそれだと両親が私を愛していない事に……」ガクリ

和「それは違うわ」

梓「え?」

和「これは私の仮説だけど、恐らくご両親は梓ちゃんの存在だけで大満足しているの」

和「だからわざわざアズニウムを摂取する必要がない」

和「もしくはある種の免疫を持っているのか」

和「いずれにせよ、ペロペロされない=嫌われてるではないわよ」

和「例えば梓ちゃんを知らない人が急にペロペロしてもアズニウムはあまり効果を発揮しないわ」

和「互いの愛情が生むエネルギー、それがアズニウムよ!」

梓「かっこよく言ってますけど、かっこよくないですからね」

梓「原因は解りましたが……いや半信半疑ですけど」

梓「どうやって解決したら良いんです?」

和「さぁ?」

梓「さ、さぁって」

和「んー……分泌が収まるのを待つしかないんじゃない?」

和「もしくは全身を何かでコーティングするとか」

梓「えー……」

和「まぁまぁ、皆に元気を与えてると思えば」

梓「与え方がおかしいですよ」

和「これは情報のお礼ね」ペロペロン

梓「うひゃっ」

和「ふふ……何だかペロペロするたびに梓ちゃんの味が濃くなってるみたい」

梓「……」ゾクッ

和「どこかの研究所とかに拐われないでね、それじゃ」スタスタ

梓「怖いこと言うなぁ……」

梓「うーん……結局何も解決しなかった」

梓「アズニウム……中毒性以外にも副作用があったら危ないんじゃ?」

梓「よし、これからは黙ってペロペロさせるのは止めよう」

梓「まぁでも」

梓「求められるのはそんなに嫌じゃないかも……」

梓「いやいや、いけないいけない」

梓「でも待てよ、私から分泌されるなら何とかして固形化すれば」

梓「アズニウム飴として囮に出来るかも」

梓「……アホらしい」



放課後

純「じゃあねー」ペロペロ

梓「はいはい」

女子1「またね」ペロペロ

梓「へいへい」

女子2「1日10梓っと」ペロリーナ

梓「ほいほい」

女子3「部活頑張って」ペロペロ

梓「ふぅ……抵抗無くペロペロさせてしまった」

梓「アズニウムってそんなに凄いのかな……自分じゃ解らないよ」

梓「で、憂、そろそろ離して」

憂「はーい」

梓「押さえ付けられたせいで抵抗出来なかったじゃん!」

憂「皆にペロペロされる梓ちゃんが可愛くてつい」

梓「うー……」

憂「じゃあ最後は私の番だね」

梓「だ、ダメダメ!ダメ、絶対!」ジタバタ

憂「大人しくしてたら痛くしないから……んっ」

梓「んんー!」

ムチューペロペロゴクゴク

憂「ごちそうさま……」

梓「うぅ……なんで唾液まで飲むのよ?」

憂「美味しいもん」

梓(これはいかん……)

憂「じゃあまた明日ね!他の人にお口ペロペロさせちゃダメだよ!」タタタ

梓(もしかしたら憂はかなり中毒が進んでるのかも)

梓(元気になってくれるのは嬉しいけど、安全性が確認されるまでは控えて欲しいな)

梓(あぁ……ペロペロとかキス自体は平気になってきてる自分が嫌だ)


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最終更新:2010年08月04日 22:40