あの犬もいつの間にか消えていたようだ。
梓「ガンツがちゃんとやってくれたようですね…」
唯「え?」
梓「私達を最後に転送してくれって頼んだんですよ…。時間がいりましたからね」
律「が…?」
梓「…GANTZ…です」
律「なにそれ?」
梓「そこの球の人の名前ですよ。」
唯「へ、へ~…」
梓「あ、そろそろ来ましたね…それじゃ、お先に…」ギャコン
梓が消え始めた。
梓「行った先でまってますから、安心して下さいね…」
…梓は完全に消えた。
律「次は私達か…」
唯「うん…そうみたい…」
律「なんか夢見てる気分だよ」
唯「うん…。あ…」
律「お、来たのか?じ、じゃあ先に行って待ってるよ…」
唯「わかった…」
そして私は唯の前から消えた。
律「…うわあ」
目の前にはさっきまでのマンションの壁ではなく、商店街のようなものがあった。
律「ほ、ほんとに外だ」
今何時ぐらいなんだろう…あたり一帯がシーンとしている
梓「律先輩?」
律「うわッ」ビクッ
突然の声に驚いて振り返ると、いつの間にかさっきの日本刀を握っている梓が立っていた。
梓「…そんなに驚かなくても…」
律「ご、ごめん」
梓「…とりあえず唯先輩を待ちましょう…」
律「うん…」
…さっきから夢の中にいるような感覚が続いている。
梓「…あ」
唯「…あ、みんな…」
唯が出てきた。なぜか目に涙を浮かべている。
律「お、お前なんで泣いてんの?」
唯「わ、私だけ取り残されたらどうしようと思って…」ポロポロ
律「…」
梓「…とりあえず移動しましょう。たぶんここは東京都内だと思うんで…」
梓は商店街を通って、何かを目印にして進んでいるようだった。時々腕を見ている。私と唯の二人はその梓の後を着いていくだけだった。
梓「…あれ?」
律「どうした?」
梓「ここ、東京じゃないみたいです…」
律「あ、そうなの。…それってダメなの?」
梓「私は東京にしか転送されたことがありません…」
今更だが、やっぱり梓は今みたいなことを何度か経験しているらしい。
唯「…で、ここはどこなの?」
唯がそう言うと、梓はなにも言わず、「道頓堀」と書かれた看板を指差した。
唯「お…大阪ぁ~…?」
梓「は、はい…」
律「…頭が痛いよ、梓」
梓「…と、とにかく私に着いてきて下さい!」
梓「…」
唯「…ねえ、あずにゃん?」
唯がダルそうに言った。
仕方ないだろう。あの駅からいろいろと事が起こりすぎだ。私もしんどい。なんで私は電車にはねられて大阪にいるんだ?
梓「な、なんですか?」
唯「私達はさ~…何をすればいい訳?さっきの転送される前の説明じゃ、よくわからないよ…」
梓「…。え、えっとですね…。簡単に言うと、化け物を今もってる武器で倒して、点数をかせぐんです」
唯「…へえ。なんで?」
梓「そ、そうしないと自由になれないんですよ!百点貯まったらあの黒い球の部屋から解放されるんです。それまでは今みたいなことを延々と繰り返さなければならないんです!」
唯「…そう」
梓「はい!」
唯「わかったよ…。じゃあ二人でやってて?」
梓「…はい?」
唯「さっきから眠くてさ~…私はちょっと寝てから行くよお~…」
梓「…そ、そんな!」
律「…そうだな」
梓「…?」
律「さっきの説明だと、何回かやって累計で百点とれば良いんだろ?じゃあ今回は休みでいいじゃん」
梓「…」
律「梓は戦いたいなら行けばいいじゃん。私達二人はここで休んでるからさ~。な、唯?」
唯「…」グウグウ
律「ね、寝てる…」
梓「…そんなの出来ませんよ!先輩達は初心者ですから!ほっといたら確実に死にます」
律「へぇ」
梓「だから私もここにいますよ!」
律「そっか。んじゃ、そういうことで…」フアア…
梓「…」
ドカアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
律「!!」ビクッ
律「な、なんだ!」ガバッ
梓「あ、律先輩!起きましたか!」
律「…え、あたし寝てたの?」
梓「はい、二十分ほど」
律「そか…。じゃなくて!今の爆音はなんだ!!」
梓「あ、そうですよ!あッちから聞こえてきました。たぶんぬらりひょんが暴れてるんでしょう…」
律「ほ、ほんとにいたんだ…」
梓「信じてなかッたんですか!?」
律「あ、いや、はは…」
梓「…」
律「…そんなことより梓!!ちょっとそのぬらりひょんとやらを見てみたいぞ!」
梓「え!?…ほ、ほんとですか!?ぜひ!ぜひ行きましょう!点数稼ぎましょう!」
律「よし!行くぞ~!!おい、唯!起きろ!!」
梓「唯先輩!!」
律・梓「…あれ?」
律「お、おい、唯いないぞ…?梓、お前起きてたんだろ?」
梓「え、ええ。まあ…」
律「…」
梓「な、なんですか。…たぶん、寝返りうった時にたまたま透明化のスイッチ押しちゃったんですよ!それで見えてないに決まってます!」
律「と、透明化…?そんなことできるの?」
梓「はい」
律「…なんかすっごいワクワクしてきた」
梓「ち、ちょっと待って下さい!唯先輩は?」
律「透明になってるんだろ?探すのは無理だろ!?」
梓「いや、こっちも透明になれば透明化した相手が見えるんです!」
律「へぇ…。なんで?」
梓「さあ…」
律「…まあいいや。透明化しようぜ!」
梓「そこのコントローラーがあるじゃないですか、…そこを押すんです」
律「よし…」ポチ
律「…」バチバチバチ
律「…格好いいな!」
梓「そうですね!」
律「…あれ?見えてるの」
梓「私も透明化しましたから」
律「…そう」
律「まあいいや…とりあえず、ぬらりひょんの所にいこう。あんなに大きな音がしたんだから、唯もきっと向かってるだろうし…。場所はわかるの?」
梓「だいたいは、このコントローラーで分かります」
律「よし、行こう」ダッ
梓「はい!」ダッ
…
…
唯「おかしいなあ…」キョロキョロ
唯「起きたら二人とも寝てたからそれまでちょっと大阪見物しようと思って散歩してただけなのに…」テクテク
唯「…」キョロキョロ
唯「誰もいないや…。でもところどころ町がグチャグチャ…」
唯「…橋がある…」テクテク
自衛隊「おいお前!」
唯「へ?」
自衛隊「何者だ!市民は全員退去したはずだぞ!…その手に持ってるモノはなんだ!」
唯「これ?これ…ええと、なんだっけ…なんとかガンとかいうやつだよ」
自衛隊「ガン!貴様、武装してるのか!何者だ!所属を言え!」
唯「…?」
自衛隊「…包囲しろ!」
ドンッ!
天狗「…」
犬神「…」
自衛隊「な、なんだこいつら…」
自衛隊「に、逃げろ!」ダッ
天狗「…」
犬神「…」
唯「なにこれ…」
ドンッ!
天狗「」
犬神「」
唯「」
紬「…しとめたかしら?」
和「…いや、まだ生きてる」
天狗「…」ググ…
犬神「…」ググ…
唯「…(か、からだが痛い…)」
紬「しぶといわねぇ…」
最終更新:2010年08月06日 00:00