ー次の日の放課後

梓「先輩がた!身長伸びませんでした!」

澪「!…突然大声出すな、びっくりしただろ」

唯「じゃあもうケーキが原因で決まりだね!あずにゃんケーキあげるよ~」

梓「ありがとうございます、唯先輩!」

紬「…それなんだけどね、今日はケーキないのよ~」

唯「えー!?」

どうやら今日はムギの家がゴタゴタしててケーキを持ってこれなかったらしい。

紬「お茶はあるから~」

梓「…お茶じゃダメなんです!」

律「そんなこと言ったってケーキは出てこないぞ~」

梓はしぶしぶお茶を飲んだ。
その後の練習も梓はしぶしぶだったが、演奏は上手くいった。



ー次の日、放課後

梓「ムギせんぱ~い…ケーキはありますか…?」

部室に入るなり梓はムギに飛びついた。

紬「どうしたの、梓ちゃん?」

梓「身長が…縮んじゃったんです!」

唯「やっぱりケーキ食べさせないとダメなんだよ~」

澪「…不思議なこともあるもんだな」

紬「今日はちゃんとケーキあるわよ♪」


今の梓は155cm、1日でそんなに身長が縮むのは異常だろ。
みんなもうちょっと心配しろよ…

唯「じゃああずにゃん、あ~ん」

梓「モグモグ」

律「おいおい唯、お前は食べないのかよ」

唯「縮んだ分も取り戻さないと!」

梓「そうですよ律先輩!縮んだら伸ばさないと!」



ー次の日

梓は170cmぐらいになっていた。

律「おいおい梓、これは伸びすぎじゃねーのか?」

梓は制服のサイズが合わず、ジャージで登校していた。

梓「ふふーん♪どうです?すらっと高身長!」

澪「うらやましいな」

唯「じゃあ今日もケーキ食べよう!」

紬「はいは~い♪」

練習はいつも通り…ではなかった。
梓の調子が悪い気がする。

律「おい澪、梓の調子悪くないか?やっぱり負担がかかるんじゃ…」

澪「そうかもしれないけど…多分気のせいだろ…」

こいつらには危機感というものはないのか!?
もし梓が死ぬようなことだったらどうするんだよ!


ー次の日

梓は180cmぐらいになっていた…

律「いやいや、ねーよ!」

梓「何ですか、律先輩」

律「さすがに伸びすぎだろ、生活に支障出てるだろ?」

梓「い、いえ…そんなことないです!服も新しく買いましたし、頭ぶつけちゃうぐらいです」

律「…これ以上身長伸ばす気か?」

梓「…もちろんです」

もう十分身長が高いのにまだ伸ばそうとする…
こいつ、完全に正気を失ってるな…

律「梓!ちょっとこっち来い!」

梓「にゃ!何するんですか律先輩!」

私は梓を廊下に連れ出した。

律「おい、梓!お前は今正気じゃない!もう身長十分高いだろ!?」

梓「いえ!まだまだ伸びるんだったら伸ばしたいです!」

律「それが正気じゃないんだよ!このペースで伸びてったらお前明後日には2mだぞ!」

梓「…」

律「さすがにもうみんな気持ち悪いとしか思わなくなってくるぞ!」

梓「…」

律「それに最近…お前の演奏ぎこちないんだよ…」

梓「え…それは…感覚が…」

律「これはお前だけの問題じゃないんだ…私達だってお茶会しかしたくないわけじゃないんだ」

梓「だって、食べてないと身長縮んじゃうし!」

律「梓はちっちゃくて可愛い、それでいいじゃんか」

梓「身長伸びたら唯先輩も喜んでくれます!」

律「それは梓が喜んでるからだろ」

梓「…」


しばらくの間の沈黙…

梓「あ…あの…すみませんでした…私おかしくなってましたね…」

律「わかればいいんだ、んじゃ練習するか~!」

梓「はい!」

ガラッ

澪「…何話してたんだ?」

律「ああ、梓の身長伸ばすのはもうやめようってな」

紬「ケーキはいらないの?」

梓「はい、今日は私はいいです」

唯「だめだよ~、ちゃんと食べないと~」

律「梓もけっこう身長伸びすぎても不便だろうし、演奏にも支障でるだろ」

唯「…りっちゃん、嫉妬?」

律「…なっ!そんなことない!」

唯「りっちゃん…見損なったよ~…さぁ、あずにゃんケーキ食べようね~」

梓「…!ゆ、唯先輩…私は」

唯「ダメだよ~、ちゃんと食べないと~」

唯「あずにゃんもっと大きくなあれ…」

律「唯、もうやめろ!」

唯は無理やり梓の口にケーキをねじ込もうとしている。

梓「んー!むぐぐ…」

澪「やめろ!唯!梓が嫌がってるだろ!」

紬「オロオロ…」

律「唯のバカヤロー!」
ガスッ!

私は唯を殴った。
床に高級ケーキがべちゃっと落ちた。

唯「…ひどいよりっちゃん…」

律「ひどいのはお前だ!唯!」

澪「大丈夫か!?梓…」

梓「…はい…なんとか…」

梓は口の周りだけじゃなく、制服までケーキでぐちゃぐちゃだ。

律「唯、お前ココ大丈夫か?」
頭を指さして私は言った。

唯「…あずにゃん」

正気に戻ったか…?

唯「…あずにゃんに…ケーキ…身長…」

唯が這い寄ってくる…ゾンビかこいつは…!
正直あまりの唯の恐ろしさに足がすくんでしまった。

梓「…先輩!もうやめにしてください!」

唯「あずにゃん…?」

梓「私は…身長高くなれてうれしかったです…でも…唯先輩がマトモじゃないと私…」

唯「…」

梓「だから…正気に戻ってください!」

唯「あずにゃん…」

唯の動きが止まった。

紬「私も…こんな唯ちゃんは見たくなかったわ!」

澪「お願いだ、唯!元の唯に戻ってくれ!」

一向に唯は俯いたまま止まっている。
声が届いてるのか…?

唯「…ご、ごめんね~みんな…ついつい調子に乗っちゃって~…」

律「唯!正気に戻ったか!」

唯「りっちゃんごめんね…心配かけちゃって…」

律「わかればよろしい!」

唯「…あずにゃん…ホントごめんね…」

梓「いえ…私も調子に乗ってましたし…」

今日は練習はやめておこう。
明日、落ち着いてからでも遅くない。

梓「律先輩、いいですか?」

律「お?おう…」

梓が私を廊下まで引っ張る。

梓「さっきは…ありがとうございました」

律「いいってことよ!」

梓「あの…本当にありがとうございました…」

梓の目が潤んでいる。

梓「あのときの唯先輩…本当に怖くて…抵抗できなくて…」

律「…梓」

梓「…はい?」

律「そうしんみりするな~、私そういうの苦手だからさ~」

梓「…え」

律「嫌なことは忘れて、楽しいことを考える!それでいいだろ?」

梓「…だ、だめですよ~、ちゃんと楽しいこと以外も覚えてないと…」

律「はははっ、そうだな!」

梓「…ふふ…あははは」

私達は迷惑なことに廊下で大笑いした。

澪「おーい律、梓、何笑ってんだ?」

律「なんでもねーよぅ」

梓「何でもないです」

澪「?」

唯「…私の話じゃないっぽくって良かった~」

紬「りっちゃんと梓ちゃん、いい感じね~」

梓「いい感じってどんな感じですか!?」


その日は部活を終了し、帰宅した。

律「はぁ~…今日は大変だったな~」

聡「ねーちゃん、ケーキあるって」

律「…今日は…いいや~」

聡「?」

こんな日にケーキなんて食べれるかい!


ー次の日

梓「先輩、こんにちは~」

梓は170cmぐらいになっていた。このままどんどん戻っていくのだろうか。

梓「今日は律先輩、一人ですか?」

律「いや、みんなすぐ来るぜ」

梓「今日こそしっかり練習しましょうね!」

律「ああ!」

ガチャ

唯「りっちゃん速いよ~」

紬「梓ちゃんも来てたのね~、じゃあ早速お茶会にしましょ♪」

澪「昨日あんなことあったのによくお茶会できるな…」

紬「今日はお茶だけだし大丈夫よ~」

ガラッ

さわ子「みんな~来てる~?」

律「さわちゃん久しぶり~」

さわ子「…あれ?今日はケーキないの~?」

澪「昨日いろいろあって…」

さわ子「チェ、久しぶりだから期待してたのに~」

紬「お茶飲みますか~?」

さわ子「もちろんよ!」

ジャジャーン♪

梓「今日は息ぴったりでしたね!」

澪「やっぱりケーキなんてなくても私達は息ぴったりになれるな!」

律「でもたまには欲しいよな~」

紬「明日は持ってくるね♪」

梓「わ、私の分はいいです…」

唯「私もいらないかな~…」

さわ子「じゃあ明日は私がもらうわ~」



ーあれから2週間

梓は元の身長に戻り、唯もいつも通りだ。
練習も調子いいし、最近はケーキも毎日に戻った。

律「今日はさわちゃんがいないからケーキ1個余るな~」

澪「ここは公平にじゃんけんで決めよう」

紬「負けないわよ~」

じゃんけん、ぽん!
律「よっしゃー!勝った~!」

紬「は~い、りっちゃん、あ~ん♪」

次の日、私は体重が増えていた。


おわり



最終更新:2010年08月07日 00:24