紬「うふふ」

澪「ん?どうした?」

紬「昨日の夜からずっと楽しみにしてたの」

澪「そっか」

紬「ねぇ澪ちゃん…大丈夫?」

澪「え?」

紬「なんかね、すごい辛そうな顔してる…」

澪「そうかな?」

紬「うん。私に出来ることあるかな?」

澪「…ムギに話さなきゃいけない事があるんだ」

紬「私に?何?」

澪「ごめんね」

紬「え?どうしたの?私謝られるようなことしてないわ」

澪「別れてほしいんだ」


澪「ごめん」

紬「どうして?澪ちゃん私のこと好きって言ってくれたよね?」

澪「…ごめん」

紬「ごめんじゃなくて答えて…私何が駄目だったの?直すから。澪ちゃんの求めてるような女の子になるから」

澪「ムギが悪いんじゃない。私が駄目なんだ」

紬「澪ちゃんは駄目じゃない。澪ちゃんが好きなの」


澪「私は…ムギのこと好きじゃない」

紬「うそ。うそ!昨日はあんなに好きって言ってくれたのに!」

澪「ごめん」

紬「ひどいわ澪ちゃん…」ボロボロ

澪「ムギ、泣かないで…」

紬「嫌!触らないで」パシン

澪「…」

紬「澪ちゃんなんて大っ嫌い!!もう顔も見たくない!出てって!!」

澪「ごめんな…」ガチャ

梓「澪さん…」


澪「梓。皆と帰ったんじゃないのか」

梓「帰ったけど、やっぱり最後にもう一度澪さんと会いたかったから戻ってきました」

澪「そう」

梓「あれ?澪さん左頬赤いですよ?どうしたんですか?」

澪「ムギに叩かれた」

梓「なんで!ムギ先輩ひどいです!!どうしてそんなことするんですか!?」

紬「澪ちゃんが私と別れるって言うから!!!」

梓「え?」

澪「ムギと別れた」

梓「どういうことですか…?」

澪「ムギと付き合ってたんだ」

梓「嘘でしょ?澪さんは私と付き合ってるんですよ」ギュ

澪「ムギとも付き合ってた」

紬「ムギとも?梓ちゃんともってこと?違うよね?澪ちゃん」

梓「これが証拠です!昼休みに澪先輩がくれたメール。梓が好きだよって書いてあるでしょ?」

紬「澪ちゃん…梓ちゃんと付き合うから私と別れたの?」

澪「そうなのかな?」

紬「なんではっきり答えてくれないの?ねぇどうなの?私、梓ちゃんに負けないように頑張るわ」

梓「うるさい!ムギ先輩は捨てられたんです!だからもう澪さんは私だけのものですよね?」

紬「梓ちゃんより私が良いに決まってるわ!私のほうが澪ちゃんのこと好きだもの」


梓「澪さん」チュ

紬「澪ちゃん」チュ

澪「…」

梓「ムギ先輩はもう別れたんでしょ?そうですよね澪さん?」

澪「ああ」

紬「澪ちゃん…どうして…うぅ」

梓「澪さんは私のもの」チュ

澪「…梓」

梓「喋らないで!私の澪さんは、私の事だけ見ててくれる!他の人なんていらない!」


澪「もうやめよう」

梓「嫌です!澪さん!私だけを見ててください!」

澪「無理だよ」

紬「梓ちゃん、あなたも捨てられたのよ。澪ちゃんはこういう子だったの!」

梓「嫌だ!…うわぁぁああんん…」ボロボロ

澪「泣くなよ…うざい…」

梓「澪さんはそんなこと言わない。澪さんはいつも優しい…」

澪「お前が好きなのは私じゃないんだよ。優しくて頼りになる誰かなんだよ」

梓「違う。私は澪さんが好き!澪さんが…」

澪「重いんだよ」

梓「ごめんなさい!気をつけるから…だから言わないで…」

澪「別れよう」

梓「やだやだ!行かないで澪さん。澪さん。澪さん」ヒシッ

澪「離せよっ!」ドン

梓「きゃっ!」ズテ

澪「別れる」ガチャ

梓「やだ!待って澪さん…待ってよ!!あぁあぁあぁっぁ!!!」

澪「…」スタスタ

澪(ムギじゃない。梓じゃない。私が好きなのは…違う)

澪(もう後には引き下がれない。別れなきゃいけない人がいる)

澪「電話しよう」ポチポチ

唯『もしもし』

澪「唯?今から会えるかな?」

唯『うん。いいよ』

澪(ごめんな…もう決めたんだ。これ以上傷つけるわけにはいかないんだ)


ピンポーン

律「はいはいどちら様ー?澪!来てくれたんだ!ほら、あがってけよ!」

澪「いや、いい」

律「どした?」

澪「律はすごい優しくて、私にはもったいないくらいの女の子だよ」

律「よせよ…照れんじゃん」

澪「本当、私にはもったいない」

律「そんなことないって!」

澪「唯と寝た」

律「え?」

澪「今日部活行く前、唯としたんだ」

律「ど、どうしたんだよ。冗談はよせよ」

澪「冗談じゃない」

律「…なんでそんなことしたの?」

澪「唯と付き合ってるから」

律「私と付き合ってるのに、唯とも付き合い始めたのか?」

澪「違う。唯のほうが前に付き合ってたんだ。律に告白されて舞い上がって、つい…」

律「…」

澪「ごめん、律。別れてほしい」


澪「…出てきて」

唯「りっちゃん」ヒョコ

律「唯…」

唯「りっちゃんごめんね」

律「嘘だろ?唯?なぁ唯!」

唯「私も澪ちゃんの事が好きなの」

律「体育の時にはおめでとうって言ってくれたじゃん…」

唯「ごめんね。でも、澪ちゃんが浮気するはずないって信じてたから…とっさに嘘ついちゃったんだ」

律「はは…何だそういう事か」

澪「律…」

律「ごめんな、私が変な事言っちゃったから澪困らせたよな?」

澪「…」

律「いいんだいいんだ。澪が幸せになれる人が他にいるんだったら別にいいんだよ」

澪「ごめん…」

律「ほら、私もちょっと勘違いしてたってゆうか…はは、なんか恥ずかしいな」

澪「律、無理しなくていいよ…」

律「してないって。これからは二人で仲良くしろよ!」

澪「うん」

律「よし!じゃぁ帰った帰った。りっちゃんこれでも忙しいんだから惚気話聞いてる時間なんて無いんだ」

澪「分かった。じゃあ行くね」

律「おう!またな!」

澪「ばいばい」トコトコ


澪「ごめんな唯。変な事付き合わせちゃって」

唯「別にいいよ。りっちゃん無理してたね」

澪「あいつのことだから、今頃部屋で泣いてるんだろうな」

唯「そうだね」

澪「唯、これで3人と別れた」

唯「うん」

澪「だから、唯」

唯「うん」

澪「お別れだ」


唯「あはは、やっぱりそう来るかー」

澪「分かってた?」

唯「うん…保健室で澪ちゃんとしたときに、何となくだけど気付いた」

澪「唯はすごいな」

唯「言ったでしょ?澪ちゃんは分かりやすいんだよ」

澪「そうかな?」

唯「分かりやすいって言うか…澪ちゃんのこと好きだから、ずっと見てるから、分かっちゃうんだよ」チュ

澪「ん…」

唯「今も澪ちゃんの事が好きだよ」チュ

澪「唯…ごめん」


澪「ずっと恋愛にあこがれてた」

澪「ドキドキするのが心地よくて、もっと相手のことを考えてドキドキしたかったから、欲張りすぎちゃったんだ」

澪「好きな人に好きって言ってもらえる事ってすごい幸せなことなんだよ。幸せなことって誰も傷つけちゃいけないんだよ」

唯「私は、好きな人になら傷つけられてもいいよ。澪ちゃんにならいい」

澪「皆の事が大好きだった。でも私が一番好きなのは…」

唯「誰だったの?」

澪「私が本当に好きだったのは恋してる私だったの」

唯「そう…」

澪「だから、私じゃない誰かを本気で好きになるまでは恋愛しない。誰も傷つけない恋愛が出来るまで誰も好きにならない」

唯「私はずっと澪ちゃんの事待ってるから…。ねぇ。いつまで待ってれば本気になってくれるかな?」

澪「そうだな…十分大人になった時…成人になったら、もう一度恋愛したいな」



おわり



最終更新:2010年08月08日 02:55