私は出来立てのお粥を持ち、憂の部屋に入りました

唯「おっとと!ふぅ、へいお待ち!自信作だよっ」

憂「ごめんね?お姉ちゃん、勉強の邪魔しちゃって」

 憂は気の毒そうに言いました
 そんなことないよ、昔から憂にお世話になりっぱなしだった私
 お粥を冷ましながら

唯「こういうときくらい、頼ってほしいんだよ」

憂「うん」

 私の差し出したお粥を1口頬張ると
 憂の顔はまた少しだけ赤くなりました

唯「ちょっと熱かったかなぁ?」

憂「そんなことない、おいしいよっ!」


唯「うい?」

憂「なに?お姉ちゃん」

唯「昔はよくわたしが看病してもらったよね」

憂「そう、だっけ?覚えてないや」

 憂は優しいね
 でも私はちゃんと覚えてる

 だからたまにはお姉ちゃんらしいことさせてね?
 私は心の中でそう呟き、憂の頭にそっと手をおきました

唯「こうやって頭を撫でて、寝かしつけてくれた」

唯「こうしてもらうととっても安心するんだぁ」

憂「うんっ、安心する」

 憂が笑ってくれました

 いつも2人、ずっと一緒
 これからもそれは変わらないよね

唯「ね?うーい♪」

 薬が効いたのか、憂の顔色は朝より良くなりました
 今は静かに眠っているみたいです

 高校生活はとっても楽しかった
 でもそれは陰ながら憂が支えてくれていたから
 ちょっとでも恩返し
 そんな気持ちで頭を撫でています

憂「…うん」

 今の寝言かな?


 それからいつも通り2人で夕食を作りました
 2人で食べるご飯はおいしいです

唯「う~ん、おいしいっ!」

憂「よかったぁ!それよりお姉ちゃん、勉強平気なの?」

唯「もちろん大丈夫だよっ!心配しないで」

 勉強も今は大事だと思います
 でも私のたった1人の姉妹は何にも代えられません

唯「あ、あのね?うい」

憂「どうしたの?お姉ちゃん」

唯「わたしには大切なものがいっぱいあるんだ~」

憂「?」

唯「ギー太、軽音部のみんな、和ちゃん」

唯「でも1番大切なのは」

 そう、恥ずかしいけど
 しっかりと気持ちを伝えるのは大事だよね

唯「わたしの妹のういだよ…」

唯「こんなお姉ちゃんだけど、何卒よろしくお願いしますぅ~」

憂「…うん」

 また憂の顔が赤くなっちゃいました

 夕食を済ませると私は部屋に追いやられました

憂「心配かけてごめんね?私はもう大丈夫だから、ちょっとでも勉強して」

 なんて言いながら食器を下げる憂
 私が心配してたより、思っているより
 憂は私のことを思ってくれているのかもしれませんね

 そんなことを呟き
 うまく回れないペンに目をやる

唯「大丈夫だよっ!わたしも最初はうまくできなかったもん」

 私の右手のペンに話しかけました
 ちょっとおどけて独り言

憂「入るね?お姉ちゃん」

 ドアのノックと共に憂が入ってきました

憂「あの…ね?よかったら今日は一緒に寝てもいいかな?」

 ペンは私の手の中でくるりと1回転
 うまく逆上がりできたね!


唯「うん…もちろんだよっ♪」


 おわり



最終更新:2010年08月08日 21:37