和「ふう……ごちそうさま」

憂「ごちそうさま~♪」

和「さて、後片付けをしないと」

憂「あっ、それは私が一人でやるよ!和ちゃんは座ってて!」

和「でも……」

憂「いいからいいから!」

和「う~ん……それじゃお言葉に甘えさせてもらおうかしら」

憂「うん!」

楽しい楽しい夕食も終わりました。
和ちゃんと二人っきりでご飯なんて久しぶりだったので、とても楽しかったです!
でも……

憂「和ちゃん、もう帰っちゃうよね……」ジャー

そう、もう夜も遅いので和ちゃんも家に戻らないといけないでしょう。
また明日の夜まで一人ぼっちかあ……

憂「……」ジャー

……私って、一人でいるとダメなんだなあ。
いつも一緒にいるお姉ちゃんがいないと、改めて痛感させられます。


憂「……」カチャッ

憂「……終わっちゃった」

後片付けも終わり、あとは和ちゃんを見送るだけです。

和「憂~?」ヒョイッ

憂「!」

和「お風呂はどうする?憂が先に入る?」

憂「え……お風呂……?」

キョトン、と。
てっきり「もう帰るわね」と言われると思っていたので、思わぬ言葉を聞いて目を丸くしました。

和「何よその顔」クスクス

憂「えっ、えっ?」

和「まったく……いつでも頼っていいって言ったでしょう。そんな顔してる憂を放って帰るなんて、私には出来ないわ」

憂「の、和ちゃん……!」

和「今日は泊まらせてもらっていいかしら?」

憂「はい、もちろん!ありがとう和ちゃ~ん!」ガバッ

和「きゃあっ!?」

憂「えへへ、和ちゃん大好き!」スリスリ

和「ち、ちょっと……。もう、こんなところは唯とそっくりなんだから」

憂「姉妹だもん」

和「はあ……そうね」

憂「和ちゃ~ん♪」

和「よしよし」

和ちゃんあったかい……
本当に頼りになるお姉ちゃんです。


和「……」

憂「……」

和「……それで、お風呂はどうするの?」

憂「えっと……一緒に、入りたいなあ」

和「やっぱりそうなるのね……」

やれやれ、といった表情の和ちゃん。
わがまま言いすぎちゃってるかな?
でも、今日は誰かと一緒に入りたい……そんな気分なのです。

憂「だめ、かな?」

和「……」

憂「和ちゃん……」ウルウル

和「もう、そんな顔しないの!分かったわよ、一緒に入るから」

憂「わあ……!」

和「まったく、コロコロ表情変えるんだから……」

憂「お風呂溜めてくるね!」ダダッ

久しぶりに和ちゃんと一緒にお風呂です!


……

憂「いいお湯だったね~♪」

和「……そうね」ゲッソリ

憂「元気ないけどどうしたの?」

和「憂、あんたがはしゃいだからよ……」

憂「え?そうかなあ……」

確かにいつもよりはしゃいじゃった気もします。
あんまり自覚はないんですけどね。


和「唯と一緒に入ったのかと思ったわ……。憂の評価を改めないといけないかも」

憂「えへへ、そうかな~?」テレテレ

お姉ちゃんと似ている、ってことでしょうか?
だとしたら、私にとってはすごく嬉しい言葉です!

和「褒めてないわよ」コツンッ

憂「あいたっ!?」

和「もう……子供っぽいとこは唯とそっくりね」

憂「……えへへ」

私が子供っぽくなってるのは、和ちゃんの前だからだよ?

……

和「さ、寝ましょう」

憂「うん、電気消すね」

お風呂を上がってからは二人でのんびりと話をしました。
色々な話を聞けて楽しかったのですが、あっという間に楽しい時間は過ぎてしまいます。
夜更かしするのもよくないので、もう寝ることになりました。

和「んしょ……っと」

憂「いらっしゃい、和ちゃん♪」

何も言わずに一緒に寝てくれる和ちゃん。
本当に私のことはお見通しのようです。
何だか少し恥ずかしいなあ……

和「……」

憂「……」

和「……」

憂「……」

シン、と静まり返った部屋。
時計の針が時を刻む音だけが響き渡ります。

和「ん……」

憂「……」

今、私は和ちゃんと向かい合っています。
和ちゃんは目を閉じていますが、私はその顔をじーっと観察中……
本当に端正な顔立ちです。

憂「……コンタクトにすればいいのに」

和「……コンタクトは怖いのよ」

憂「ふえっ!?」

ボソッと呟いただけなのに、返事が返ってきました。
見ると、和さんの目はしっかりと開いてこちらを見つめています。

憂「えっと……怖いの」

和「……怖いの。目に何かを入れるって行為が」

憂「……」

どうしよう。
和ちゃんすごく可愛いです。

和「な、何よ悪い!?」

憂「悪くないよ!和ちゃん可愛いよ!」ギュー

和「こ、こら!暑いんだからあまりくっつかないの!」

憂「暑いの?じゃあクーラーつけるね」ピッ

和「そういう問題じゃ……」

憂「和ちゃんあったかい……」

和「……もう」

憂「……」

和「……」

和ちゃんとくっついたまま、静かに時間が流れます。
心地よい沈黙……
和ちゃんはあったかくて、すごく安心します。

和「……コンタクト、ね」

憂「……ん?」

和「怖いっていうのもあるんだけど……あの眼鏡、気にいってるのよ」

憂「そうなの?」

和「ええ。だってあれは……」

憂「あれは?」

和「唯と憂が選んでくれたものだから……」

憂「!」

そうです。
あの眼鏡は、高校進学時に私とお姉ちゃんが和ちゃんに似合う眼鏡をプレゼントしよう、と思って選んだものなのです。

和「だから、しばらくはこの眼鏡を使わせてもらうわ」

ふわっと、優しく笑う和ちゃん。
わあ……!

憂「のどかちゃ~ん!」ギュウウッ

和「わっ!?ち、ちょっと憂……苦しいわよ」

憂「和ちゃんはいい人だよ~!」

和「はいはい……さあ寝るわよ」

憂「うん!」

今度は目を瞑って眠りにつくことにします。
もちろん和ちゃんに抱きついたまま……

憂「……」

和「……」

和ちゃんは優しくて、しっかりしてて、頼りになって……
勉強が出来て、お料理も上手で、色々なことに気が回せて……
私の憧れの存在です。

憂「おや、すみ……のどか、ちゃん……」

和「おやすみ、憂」


……

唯「うい~!たっだいま~!」

憂「おかえり、お姉ちゃん!」

和ちゃんのお泊りから時間がたち、翌日の夜。
ついにお姉ちゃんが帰ってきました!

唯「一日ぶりだねうい~!」ギュウッ

憂「お姉ちゃん、苦しいよ~」

一日ぶりのお姉ちゃんのハグです。
えへへ……やっぱりあったかい。


唯「憂、一人で大丈夫だった?」

憂「うん、和さんも来てくれたし……」

唯「え~、和ちゃん来たの!?もしかしてお泊まりしたの?」

憂「うん、一応。一緒にお風呂に入ったり、寝たり……」

唯「ええっ!?ずるいずる~い!」

憂「そんなこと言われても……」

どうやらお姉ちゃんは、和ちゃんとのお泊まりに参加できなかったことが不満のようです。
いくらお姉ちゃん相手でも、これは自慢したくなりますね。
えへへ、羨ましいでしょ?

唯「む~……よし!今度は三人でお泊まり会しよう!」

憂「えっ?」

唯「私と、憂と、和ちゃん。久しぶりに三人でね!」

憂「……」

唯「えへへ、楽しそうでしょ?」

憂「……うん、そうだね!」

私と、お姉ちゃんと、和ちゃん。
それは、きっと昨日の何倍も楽しくなることでしょう。

唯「でも、その前に!」ギュッ

憂「ひゃっ!?」

唯「今日は私と憂でお泊まり会だよ!まずは一緒にお風呂!」ダダッ

憂「お、お姉ちゃん引っ張らないで~!」

唯「せっかくの夏休みなんだし、思いっきり楽しまないと!ね、憂♪」

憂「……そうだね、お姉ちゃん♪」

しっかりしてて、頼りになる優しい和ちゃん。
あったかくて、私を元気にしてくれるお姉ちゃん。
すごく可愛くて、とても素敵なお姉ちゃん二人に囲まれて、私はきっと……

唯「うい~、ほらほら早く~!」

憂「お姉ちゃん待って~!」

きっと私は、世界で一番の幸せ者です♪







憂「でもお姉ちゃん、受験生なんだから勉強もしなきゃダメだよ?」

唯「はうっ!?痛いところを……」

終わり♪



最終更新:2010年08月09日 21:25