憂「行こうお姉ちゃん、私一人の力じゃ大変だよ」
唯「いやっ、いやーーーーっ!!!!!」
憂「お願いお姉ちゃん、言う事を聞いて」
憂「協力してくれないと、私達、一緒にいられなくなっちゃう」
唯「やだよっ!!!行きたくないっ!!!!あずにゃんを見たくないっ!!!」
憂「いいから来てっ、私達の為なのっ!!!!!」グイグイ
唯「やだよーっ!!!」
憂「お姉ちゃんも、梓ちゃんの場所知ってるよね?」
唯「ガレージから入る…地下の倉庫…」
憂「そこにお父さんが使ってた、大きな古い旅行鞄があるの」
憂「梓ちゃん、小柄だから入ると思うのっ」
唯「そんなものにあずにゃんを入れて、どうするの?」
憂「埋めるためには掘らなきゃいけないから」
憂「海まで行って、鞄ごと捨てようっ」
憂「中に石をいっぱい入れて、紐や鎖でしっかり縛ってね!」
唯「そんな事したくないよーっ!!!!」
憂「私達姉妹が一緒にいる為だよっ!?」
憂「いいの?これから私がいなくなっても?」
唯「ううっ」オロオロ
憂「さあ、早くっ!部活があるから少し時間があるけど」
憂「澪先輩が来るかもしれないよっ」
憂「あの人は油断ならないからっ」
憂(本当は…わざと来るように仕向けたんだけどね)
憂「さあっ行くよ、お姉ちゃん!」グイッ
唯「ううっ、う…」ヨロヨロ
地下の倉庫
憂「ここだね、お姉ちゃん」
唯「うっ…うん…」
憂「梓ちゃん、ビニールシートに包まれてる」
憂「なんか液が出て汚くなってるよ」
憂「拭いてあげれたら良かったんだけど…」
憂「お姉ちゃんも、見る?」
唯「ああっ!嫌だよっ!!!!」ブルブル
憂「ダメだよちゃんと見ないと…」
憂「大好きな梓ちゃんでしょ?」グイッ
唯「きゃっ!」
唯「!!!!?」
唯「うっ」
唯「おえっ、おええっ!!!!」ゲボゲボ
憂「なんだかもう、梓ちゃんだかわかんないね」
唯「おえっ、おええっ」
憂「お姉ちゃん…」
唯「私、無理だよっ、それっ、運べないよっ!!!!!」
唯「ダメだよっ!出来ないよっ!!!」ガクガク
憂「……」
憂「うん」
憂「わかってた」
唯「えっ?」
憂「ごめんね、梓ちゃんを運ぶってのは嘘なの」
唯「どういうこと?」
憂「うん…」
憂「はじめは本当に、梓ちゃんを海へ捨てに行くつもりだったけど…」
憂「私が帰ってきてからの、お姉ちゃんの様子を見てると、気が変わったんだ…」
憂「こんなこと、お姉ちゃんには辛すぎるよ」
唯「憂…」
憂「このまま計画がうまくいっても、私とお姉ちゃんは救われない」
憂「たとえ、生涯この罪がばれなくても」
憂「その分、生涯苦しみ続けなきゃいけないの…」
憂「私達、どうすればいいと思う?」
憂「現実に向き合うの?嘘をつき続けるの?」
憂「本当は辛いし、嘘は傷つくし」
憂「あははっ、どっちもいやな事だね」
唯「憂!?一体どうするつもりなの?」
憂「おねえちゃん…」
憂「終わりにしよう」
憂「もう、これしか無いんだよ…」
唯「えっ?ちょっと憂!?」
憂「ごめんねお姉ちゃん」
憂「ごめんねっ、ごめんねっ」
学校!
澪(一人でも唯の家に向かうぞっ!)
澪(梓だけじゃない、唯のあの怯えよう)
澪(考えたくも無いが…)
澪(憂ちゃんが梓に何かしたというのなら…)
澪(唯もっ…)
純「澪先輩っ!」
澪「純ちゃん!?」
純「憂の事で、先輩とお話しがあって…」
澪「ごめんなっ、今から唯の家へ行かなきゃいけないんだ」
純「憂の家へ?どうしてです?」
澪「ちょっと嫌な予感があってね、急ぐんだ」
純「!?」
純「じゃあ、私も連れて行ってくださいっ!」
澪「えっ?純ちゃんを!?」
純「私も梓や憂のこと、心配なんです」
純「お願いしますっ」
澪「……」
澪「もしかしたら、危険かも知れないぞ?」
純「構いませんっ!」
純「親友の為ですっ!!!」
澪「そっか…」
澪「よしっ、行こうっ!!!」
純「はいっ!!!!」
唯の家!
唯「嫌だよ憂っ!止めてよっ!!!」
憂「お願いお姉ちゃん、言うことを聞いてっ」
唯「やめて、だめっ!!!」
憂「お姉ちゃん、一生苦しむのよ?」
憂「こっちの方がイイに決まってるっ!!!!」
憂「もっと早くに『して』あげればよかったっ!!!」
憂「お姉ちゃん、だから暴れないで、大人しくしてっ」
唯「わーっ!!!」ガバッ
憂「ああっ、くっ、ああっ!!!!」ドッ
ドゴッ!!!!
バタッ…
澪「唯っ!ココにいるのかっ!?」
純「憂ーっ!」
澪純「!!!!!?」
澪「えっ…うっ、そんな…」
純「きゃーーーっ!!!!」
唯「……」
憂「」グッタリ
唯「澪…ちゃん」
唯「私…憂を……」
澪「ああっ、くそっ、もう少し早ければ…」
純「あーん憂ーっ!!!ういーっ!!!!」ガバッ
純「ううっ、えっ?ああっ?」
純「梓?梓なの!?そんなっ、そんなぁっ!!!」
純「わーーーーーーーんっ!!!!!」グシャグシャ
澪「悲劇だっ、最悪…だ」
唯「あ…ううっ……」ペタン
数ヵ月後 某病院
和「面会をお願いします」
看護士「平沢さんですね」
看護士「こちらです」
和「はい…」
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和「唯、調子はどう?」
唯「わあっ、和ちゃん!うふふっ」
和「何か困った事なんかは無い?」
唯「えっ?何にも無いよ?」
唯「和ちゃんは遊びに来てくれるし」
唯「それに」
唯「なんでも憂が面倒見てくれるしねっ!」
和「……そうね」
看護士「もうご存知でしょうけど」
看護士「私達の事を『憂』って呼ぶんですよ」
看護士「平沢さんの頭の中では」
看護士「妹さんが、身の回りの世話をしているんでしょうね」
和「ええ…」
和「すいません、少し唯と二人にさせてもらえませんか?」
看護士「ええ、どうぞ」
キイッ バタンッ
唯「あはは、また後でね憂っ」
和「唯…」
和「あの時、本当は何があったの?」
唯「えへへ、うふふ」
和「私は、何にも関れなかったし、あなた達の事見過ごしてしまっていた」
和「あなた達とは幼馴染のはずなのに、何にも…」
和「大体の話は分かってる」
和「でも、分かってるってなんなのかしら?」
和「情報を結びつけて、予想はしてみた」
和「警察の話し、澪の話し、純ちゃんの話し」
和「足りない部分は私の思いで勝手に紡いだの」
和「それで分かった気になったりするけど」
和「本当の事なんて誰も知らないわ」
和「当事者の唯すらも、今では分からない」
唯「あははっ」
和「唯の中では憂ちゃんは生きてるもんね」
和「真実って何かしら?」
和「ちょっとバカらしい話だけどね」
和「私、夢を見たんだ」
和「そう、あの事件の夢…」
和「私の予想した事件と、途中まで同じ様なんだけどね」
和「梓は死んでないのよっ、もちろん憂もねっ」
和「それどころか、梓が平沢家の飼い猫になっちゃったり」
和「憂と梓が尻相撲で、ふふっ、なんで尻相撲なんだろ?」
和「なんだか熱血な勝負をしたりするのよっ!」
和「あははっ、面白かった、面白い夢」
唯「わーい、和ちゃん笑ってるっ、わははっ」
和「ふふっ」
和「その夢が現実だったほうが、どれだけいいだろうな…」
和「……」
和「でもね、最近思うのはね」
和「この私が予想した事件も、本当の姿じゃないの」
和「私の見た夢と同じ様なもの…」
和「私の思いがつくった世界…」
和「私達はいろんな事を知ったり、分かったり」
和「それが重要だって、ずっと教わってきたわ」
和「でも、それで本当にいいの?」
和「分かるということは、こういうものだと知る事」
和「こういうもんだと知ったら、そうとしか見えなくなる」
和「唯も憂も、こういう子だって、わたし分かってた」
和「でもね、だからね、よく知っているからこそ、見えなくなってたのかも」
和「知ってしまう事は、考えなくてよくなること」
和「考えなくて良いということは、そのものに向き合わないという事」
和「私、あなた達に、本当に向き合っていたのかしら?」
和「なんだか事件の後から、本当に向き合った気がするわ」
唯「うふふっ、えへへっ」
和「本当に大切な事はね」
和「分かってないってことかもね?」
和「それならずっと向き合える」
唯「……」
和「ん?どうしたの唯?」
唯「和ちゃん、本当のこと、知りたい?」
和「!!!!?」
和「えっ、唯?あなた…」
唯「今はなんだか頭が冴えるんだ」
唯「少しの間だけ、ちゃんとお話できると思う」
唯「こういう機会は何時来るか私にも分からないの」
唯「もしかしたら、もう二度と来ないかもしれない」
和「あんた、やっぱりっ!?」
唯「だから、今のうちに、本当のことを話すね」
唯「あの時、憂と私は…」
未完(寝オチ)
最終更新:2010年08月14日 22:07