病院
看護士「それじゃあ、平沢さん、お散歩の時間ですよ」
唯「えへへ、わかったよ憂っ!」
看護士「だから私は憂さんじゃないですよー」
唯「あははっ、今日は花壇のとこ行くっ」
看護士(自分が殺してしまった妹が)
看護士(まだ生きていて、世話を焼いてくれていると思っている)
看護士(彼女は彼女で、幸せなのかもしれないな)
唯「ふふっ、へへっ」
唯(……)
唯(ごめんね、お姉ちゃん)
事件当日
唯「憂!?一体どうするつもりなの?」
憂「おねえちゃん…」
憂「終わりにしよう」
憂「もう、これしか無いんだよ…」
唯「えっ?ちょっと憂!?」
憂「ごめんねお姉ちゃん」
憂「ごめんねっ、ごめんねっ」
唯「えっ?わかんないよっ!!!何をするのっ!?」
憂「さあ、服を脱いで」
唯「へっ、なんで?」
憂「私の服と、交換するんだよ」
唯「ええっ、何で?」
憂「それはね、私がお姉ちゃんのふりをして」
憂「澪先輩を騙す作戦なの」
唯「???」
唯「なんで、澪ちゃんを?」
憂「えっとね、後で分かるよ」
憂「……」
憂「お姉ちゃん、今日澪先輩に問い詰められなかった?」
唯「うん、すごく恐かったよ…」
憂「それなら、もし澪先輩がココに来たら」
憂「私が代わってあげられるよっ」
唯「ホンと?」
唯「じゃあ、換えっこする」ヌギヌギ
憂「そうしようっ」ヌギヌギ
憂(ごめんね、おねえちゃん…)
澪「唯っ!ココにいるのかっ!?」
純「憂ーっ!」
澪純「!!!!!?」
澪「えっ…うっ、そんな…」
純「きゃーーーっ!!!!」
憂「……」
唯「」グッタリ
憂「澪…ちゃん」
憂「私…憂を……」
澪「ああっ、くそっ、もう少し早ければ…」
純「あーん憂ーっ!!!ういーっ!!!!」ガバッ
純「ううっ、えっ?ああっ?」
純「梓?梓なの!?そんなっ、そんなぁっ!!!」
純「わーーーーーーーんっ!!!!!」グシャグシャ
澪「悲劇だっ、最悪…だ」
病院!
憂(ごめんね、お姉ちゃん)
憂(私、こうしないと捕まっちゃうから)
憂(お姉ちゃんの名前と、戸籍、もらうねっ)
憂(お姉ちゃん…)
憂(これでやっと一つになれた)
憂(邪魔な梓ちゃんは始末できたし)
憂(お姉ちゃんをこの手で殺したんだもん)
憂(お姉ちゃんは、もう誰にも汚されない)
憂(永遠に私のもの…)
憂(わたし、お姉ちゃんになったんだね)
看護士「平沢さーん、こっちですよー」
憂「えへへっ、はははっ」
憂「あははははっ!!!」
……
和「きゃーーっ!!!!!」バサッ
和「はあ、はあっ」
和「」
和「恐い夢…」
和「また梓が猫になったりするのが良かったわ…」
和「やっぱり」
和「澪の言うとおり…」
和「まだ私、ハッピーエンドを求めてるの」
和「梓の死も、憂の死も、唯の罪も」
和「みんな認めたくないっ」
和「新しい史実がどこかに無いの?」
和「何か見落としてない?」
和「わたし、まだあの事件から離れられない…」
ピリリリッ ピリリリッ
和(電話っ、とらなきゃ)
和(なにこれ?知らない番号ね…)
ピッ
和「はい」
?「お久しぶりです」
和「えっ、何方ですか?」
?「私を忘れたんですか?ひどいですね」
和「ごめんなさい、聞き覚えのある声なんだけど…」
?「最近、唯先輩のところによく行きますね」
和「!?」
?「そのことで、ちょっと会えませんか?」
和「まさか、あなたっ!?」
?「場所を教えますね、会えるのが楽しみです!」
和(そんなっ?嘘でしょ!?)
和「あなた…」
和「梓…ちゃん!?」
梓「正解ですっ!」
和「そんなっ、どうしてっ!」
梓「えへへ、ゴメンなさい」
梓「事情があって、私達、死んだ事にしなきゃいけなかったんです」
和「ええっ!!!?」
和「いやっ、まって『私達』って!?」
梓「もちろん、憂の事です」
梓「憂も一緒にいますよっ!」
和「!!!?」
和「どうして!?」
和「二人が生きてるなんて考えられないっ!?」
梓「でも、私が生きているのは事実ですよ」
和「!!!?」
梓「まあ、とにかく、早く来てくださいっ」
梓「誰にも悟られずに」
和「えっ、何でよ?」
梓「私達、死んだ事にしないといけないほどの危機でした」
梓「その危機が、和先輩にも迫っています」
和「!!!?」
和「そんなっ!?誰に狙われてるって言うの」
梓「よく考えれば分かるはずです、私たちの死体を見たのは誰ですか?」
梓「事件の形を作り上げたのは誰ですか?」
梓「和先輩は、人から聞いた話で、事件を知っているだけ」
梓「知っている事件の、根本から間違っているとしたら?」
和「へっ?急に言われても、わかんないわよっ!?」
梓「根本が間違っているといっても」
梓「一つの見落としがあるだけなんですが…」
和「見落とし…?」
梓「とにかく、何処まで敵の手がまわっているか分かりません」
梓「真っ直ぐ、これから言う住所まで来てくださいっ」
梓「そこで全てお話します」
和「わかったわっ!」
某沿岸貸し倉庫
ガラガラッ
和(確か、場所はここねっ!)
梓「ようこそっ、和先輩」
和「!!!?」
和「……」
梓「どうしました?」
和「いえ、実際この目で見るまで、信じれなくて」
和「本当に、生きていたのねっ」
梓「やだな和先輩、実際に生きている私より」
梓「話しに聞いた、死んだ私を信じていたんですね」
和「」
和「私の感も捨てたもんじゃ無かったわね…」
和「本当に、二人が生きているなんて」
和「ハッピーエンドが残されていたなんてっ!!!」
梓「へへっ」
梓「いろいろ苦労もしましたが」
梓「計画はうまく行っています!」
和「あなた達のしようとしている事も気になるけど」
和「先ずは事件の全貌を教えてくれない?」
梓「いっけない!そうですよね」
梓「でもその前に、憂にも会いたくないですか?」
和「そりゃ会いたいわよっ!ココに来てるの!?」
梓「えへへ、憂もきっと、和先輩に会えること楽しみにしてますよ」
梓「ちょっとこっちへ、来て下さい」
梓「全ての謎を一つ一つ説明するより、てっとり早いです」
和「何かしら?」テクテク
グサッ
和「かっ…は…」
梓「くひひっ」
梓「ひひひひひっ」
和「なん…で?」
梓「憂に会いたいんでしょ?」
梓「天国の憂にー?」
和「!!!?」
和「あなた…いった…い?」
梓「私は誰にも殺されたりしませんよ」
梓「ただ、私の服を着せた死体を、平沢家に置いただけですっ」
和「!?」
和(唯も、憂も、梓を殺してなんかなかった!?)
和(お互いに、お互いが殺したと錯覚させられていた!?)
和「なん、で…?」
梓「それはあの姉妹を苦しめる為ですっ」
梓「あいつらが苦しむほど、私はうれしいんですっ!?」
梓「仲が良い姉妹同士、殺しあうなんて、たまりませんっ!」
梓「思い出しただけで、もうっ、ぐへっ、ぐへへへっ」ニタニタ
和「く…や…」
梓「はぁ?」
梓「聞こえないですよ?」
和「」
和「くそ…やろう」
梓「プッ」
梓「きゃははははははははっ!」
梓「悔しいでしょー?」
梓「憎いですよねーっ?」
梓「ぎゃははっ、サイコーですっ!!!!」
梓「肉体を苦しめるなんて三流のする事ですっ」
梓「精神的に追い詰めて二流」
梓「人生をめちゃくちゃにするのが私達一流ですっ!!!!」
和「……」
梓「妹が死んで、姉はおかしくなって」
梓「責めようが無くて困っていたんですよ…」
梓「和先輩が、唯先輩の病院に通いつめてくれて助かりました」
梓「和先輩が来れなくなれば、少しは唯先輩の寂しい顔が拝めますっ」
和「……」
和(あーあ、最低)
和(馬鹿みたい)
和(今回の夢は今までで一番最悪な落ち)
和(尻相撲の方がまだいいよ…)
和(早く目が覚めないかな)
和(こんなのが真実の訳が無いよね)
和(きっと目が覚めれば、もう一度)
和(新しくはじまる)
梓「ぎゅははっ、じゃあ、死ねっ!」
グリッ
和「……っ!!!?」
和「」
和「」
続く
永遠に続く
最終更新:2010年08月14日 22:10