梓「あの夜、腕を切りつけられて狂ったのは唯先輩じゃない」

梓「血を見て狂ったのも、殺人を繰り返していたのも憂自身でしょ!」

憂「……はあ?」

憂「わけのわからないわからない冗談は止めて!」

憂「お姉ちゃんならそこにいるよ!!」

梓「……唯先輩は死んだ。もうこの世にはいないんだよ」

憂「嘘!! 嘘、嘘、嘘!!!」

梓「憂……」

律「……だったら」

律「その頬の腫れはなんだ? ソレはさっき私が通り魔を殴った時の傷じゃないのか?」

憂「!」

律「それにその制服は? いつから憂ちゃんのリボンは青くなったんだ?」

憂「……!」

憂「馬鹿げてる!!」

憂「お姉ちゃんからも何か言ってあげてよ!」

憂「……」

憂「……お姉ちゃん?」


「…………」

「……」

「」




憂「……いない。いない! お姉ちゃんがいない!」

律「……」

梓「……」

憂「あ……ああ……」

憂「……お、思い出した」

憂「あの夜のこと……」


グサッ!

憂『いやああああああああ!!』

唯『憂! う、腕を!』

リ『はははははは! いーい悲鳴だ』

リ『おい、お前ら。後任せたぞ』

『はい!』

スタスタ


D『……へっへっへっ。人を殺すってどんな感じだろうな』

E『やればわかるだろ。さっさとやれよ』

D『わーってるよ』チャキ


憂『痛いぃ……いたいよお……』

唯『憂……』

憂『うう……うう…………』

唯『しっかりして、憂!』

憂『あ……ああ……あ、あ……』

憂『……あははははははははははははは!!!』

唯『!?』

D『な、なんだぁ!?』

憂『……それ、貸してよ♪』カシッ

D『こいつ! 俺のナイフを……!』

憂『……あは♪』

グサッ!

D『あ゛』バタリ

憂『あははははははははははははは!!!』

グサッ! グサッ! グサッ!

F『く、狂ってる……! うわああああああ!』ダッ

E『お、おい。待てよ!』ダッ

憂『……♪』ダッ

唯『ま、待ってよ憂!』

憂『……?』

唯『憂……』

憂『……』

唯『憂』

憂『……』

唯『憂!』

憂『……』

唯『……』

憂『……お姉、ちゃん?』

唯『憂!』


憂『……あははははははははは!!!』


唯『!』

グサッ! ザクッ!



……

律「憂ちゃん」

律「憂ちゃんは、あの夜唯を殺したんだ。でもどうしてもその事実を認めたくなかった」

梓「だから、今も唯先輩が生きていると信じ込もうとした」

律「そのために自分の記憶をねじ曲げて、自分で唯になって、やつらに復讐を……」

憂「あ……ああ……あああああああああ!!!」

梓「憂!」

憂「そ、そんな……」

憂「それじゃあ、それじゃあ……」

憂「……私が?」





私ガ、オ姉チャンヲ殺シタノ……?





憂「……嘘だ」

憂「嘘だ! 嘘だ!! 嘘だ!!!」

梓「ひっ!」

憂「お姉ちゃんが死んだはずない! 私がお姉ちゃんを殺すはずな


パアンッ!


憂「い゛っ……!」

律「!?」

梓「て、鉄砲!?」

リ「は、はははは。当たった、当たった!」

憂「あ……ああ……」

梓「憂!」

律「あ、あの野郎!」

リ「今のは腕に当たっただけだが、今度は脳天に


憂「……あははははははははははは!!」

ダッ


リ「!」

憂「……バイバイ♪」

リ「は?」

グサッ!

リ「がっ……!」バタリ

憂「……」


憂「……あはは。復讐、終わっちゃったね」

憂「今度は誰を殺そうか、お姉ちゃん」

憂「……あは」


憂「あははははははははははははは!!!」

グサリッ!


梓「!」

律「じ、自分を自分で!?」

憂「……あははははははははは!!!」

グサッ! グサッ! グサッ!

梓「……止めて、止めてーっ!!!」

憂「……あは、はははは」

バタリ



一週間後



律「と、いうわけだったんだ」

澪「……」

律「憂ちゃんには耐えられなかったんだな。唯が死んだ事実も、唯を殺した事実も」

澪「……」

律「そういえばさ、いつか澪に血文字のメッセージ見せたじゃん」

澪「ああ。"Not man"だったっけ?」

律「うん。それのホントの意味、ムギが突き止めてくれたんだ」

澪「ホントの意味?」

律「澪が最初に言ったのが正解だったんだよ」

澪「?」

律「かすれていたのは"r"。メッセージは"Norman"」

澪「"Norman"?」

律「昔のスリラー映画の主人公の名前でな」

律「そいつは愛する母の死を受け入れられず、自分が母を演じた殺人鬼だったんだ」

澪「それって……」

律「ああ。憂ちゃん、そのまんまだよ」

律「異常者として目覚めた憂ちゃんの中に残る、人間としての人格が」

律「自分のゆがんだ正体を血文字のメッセージに残したんだ」

澪「……もしかすると憂ちゃんは誰かに止めて欲しかったのかもな」

律「そうかもな……」




おしまい







※元ネタはULTRSEVENX ep9 BLOOD MESSAGE
さらにこの話はサイコって映画を下敷きにしててNormanもこの映画の主人公らしい


ご愛読ありがとうございました
最終更新:2010年08月15日 22:05