平沢家

憂「おかえりお姉ちゃん!いらっしゃい律さん!」

律「どうも憂ちゃん!今日は宿題やるから冷たい飲み物頼むよ~」

唯「コーヒー牛乳がいいなー!」

憂「はーい!持っていくから待っててね?」




唯の部屋

パタン

唯「ふう…今日も疲れたねえ」

律「ああ…なあ唯?憂ちゃんが来る前に…その…」

唯「んもうりっちゃんたら…いいよ?」

律「ありがと唯…好きだよ」

唯「私も…」

チュッ…

ガチャーン!

律「!?」

唯「う…憂!?」

憂「な…なに…してるの…?」

唯「え、えっと…」

律「キスだよ?」

憂「な…」

唯「り、りっちゃん…」


律「別に隠す必要もないだろ?私たちは恋人同士なんだからさ」

唯「そ…そうだね…」

憂「つ…付き合うって…そういうことするってことなんですか…?」

律「別にそういうわけじゃないよ憂ちゃん…ただ、私たちの気持ちだから」

唯「憂、別に変な意味はないんだよ?私、純粋にりっちゃんのこと好きなの」

憂「わ…わからないよ…そこまでするなんて…私、わからない…」


唯「あっ憂!」

律「憂ちゃん、部屋から出てきたか?」

唯「ううん…」

律「はあ…でもあそこまで動揺しなくてもな…」

唯「私たち…やっぱりキスなんてしないほうがよかったのかな…」

律「なんでだよ!私たちは恋人同士なんだぞ?」

唯「だ、だって…憂があんな風に閉じこもっちゃうなんて…やっぱり…」

律「…お前、私のこと好きじゃないのか?」

唯「ち、違うよ!りっちゃんのこと大好きだよ?」

律「じゃあそんなこと言うなよ!」

唯「う…でも…憂…」

律「…もういいや、私帰る」

唯「え、りっちゃん!?」

律「そんなに憂ちゃんが心配なら…い、いっそ憂ちゃんにキスでもしたらどうだ?」

唯「どうしてそんなこと言うの!?そういう話じゃないじゃん!」

律「お前はやっぱり私より妹のほうが大事なんだよ…帰る。憂ちゃんによろしく言っといて」

唯「う…りっちゃんのバカ!もう知らない!」


律(なんで…なんでこうなっちゃうんだ…ちくしょう…)



……

憂(付き合うって…ただ仲良くするだけかと思ってたのに…あ、あんなこと…)

唯「う…憂?」

憂(お姉ちゃん…私、わからないよ…付き合うって…どういうことなの…?)

唯「えっと…キスするってことはね?憂」

憂(なに…?)

唯「お互いのこと信じてるって…大好きだって…伝えるためにするんだと思うの…」

憂「お姉ちゃん…」

唯「で…でも…私、りっちゃんとケンカしちゃった…」

憂(お姉ちゃん…律さんのこと、そこまで…?)

唯「私…どうしたらいいんだろ…憂、教えてよ…」

ガチャ

憂「お姉ちゃん…」

唯「憂…」

憂「ごめんなさいお姉ちゃん、私、間違ってたよ」

唯「うう…」

憂「キスするってことは悪いことじゃないんだよね…
 お姉ちゃんは、律さんのことが大好きだからするんだよね」

唯「う…うん」

憂「…私、お姉ちゃんのこと応援する…律さんのこと、大事にしてあげなきゃダメだよ?」

唯「う…うっ…ういぃ…」

憂「だから明日、ちゃんと律さんに謝ってね?」

唯「わ…わがったよ…」

憂「きっと律さんならわかってくれるから…」

唯「うん…」

憂「あ、でもキスは人目につかないとこでしなきゃダメだからね?」

唯「はーい…」





翌朝、音楽室

梓(昨日は…ほとんど眠れなかったな…ギター弾いて気を紛らわそう)

ガチャ

唯「あれ、あずにゃん…」

梓「あ、先輩…こんな朝からどうしたんですか?…律先輩は一緒じゃないんですか?」

唯「うん、ちょっとね」

梓(先輩元気ないな…何かあったのかな…?)

唯「実はね、私…りっちゃんとケンカしちゃったの」

梓「え…」

唯「色々あったんだけど…私りっちゃんにひどいこと言っちゃったんだ」

梓「そ…そうなんですか」

梓(これって…もしかしてチャンスなのかな…)

梓(チャンス?なんの?)

梓(そんなの決まってる…唯先輩と律先輩を引き離して…そして…)

唯「あずにゃん?」

梓「は、はい…それで…唯先輩はどうするつもりなんですか?」

唯「もちろん謝るよ?謝って…また好きって言うの」

梓「そ…そうですか…」

梓(何してるの?今なら唯先輩を律先輩と引き離せる…)

梓(でもダメだよ…二人はすごく仲が良くて…お互いを必要としてて…)

梓(なにきれいごと言ってるの?唯先輩は大事な人なんでしょ?みすみす律先輩に奪われていいの?)

梓(で、でも…)

梓(奪われたなら…奪えばいい…だってそれが私の正直な気持ちなんだから…)

唯「よし決めた!今からりっちゃんに謝りに行くよ!」

梓「別れちゃえばいいじゃないですか」

唯「へ?」

梓「何があったかはよく知らないですけど…
付き合い始めて1日も経たないうちにケンカするなんて、唯先輩は律先輩と合わないんですよ」

唯「な…なに言ってるのあずにゃん?」

梓「律先輩は多分、そこまで唯先輩のこと、好きじゃないんですよ…だからケンカしちゃうんです」

唯「そ、そんなことないよあずにゃん!だってりっちゃんは…」

梓「そうなんです!だから別れてください!」

唯「ち…違うよあずにゃん…だって、だって私たちは…」

梓「私たちは…なんですか?」

唯「好きだよって言い合ったり…き、キスだってしたんだから…」

梓「……!」

梓(そんなことまでしてたんだ…や、やっぱり私には…
 いやでも…弱気になっちゃダメだ…だったら…)

梓「私、律先輩よりも、もっと唯先輩のことが好きな人を知ってるんです」

唯「え…だ、誰?」

梓「それは…」

ギュッ

唯「なっ…ちょ、あずにゃん?」

梓「私…です」

唯「だっ…ダメだよあずにゃん!私…りっちゃんと付き合ってるんだから…」

梓「前は…唯先輩から抱きついてきてくれたじゃないですか」

唯「今は…今はダメなんだよ!私はりっちゃんのことが…」

梓「そう…ですか…だったら…」

チュッ…

唯「!!」

唯「んっ…あずにゃん!な…なにするの!?」

梓「えへへ…私…唯先輩とキスしちゃいました…」

唯「わ…私、りっちゃんのことが好きなんだよ!?あずにゃんとなんて…そんな…」

梓「そんなの…関係ないです…私は…私は唯先輩のことが大好きなんです!」

ガバッ

唯「きゃっ…あ…あずにゃ…」





教室

律「なあムギ、唯知らないか?」

紬「唯ちゃんなら、音楽室行くって…昨日何かあったの?なんか元気なかったけど」

律「ああ…ちょっとな…まあ、ちゃんと解決してくるよ」

紬「そう…ならいいけど」

律(そうだよ…ちゃんと謝ろう!そんで、今日は手作り弁当を食わせてやろう!)

律(しかし…なんて言って入るか…)

律(いやーごめん唯!ホント悪かったよ!…なんか軽いな)

律(唯!悪かった!好きなだけ殴ってくれ!…どこのスポ根だ)

律「ま…とにかくなるようになれだ!…ん?なんの声だ?唯か?」


ガチャ

唯「んっ…あっ…あず…あずにゃ…や…やめ…ハァ…ハァ…」

梓「先輩…私の…私のことだけ…見て…?お願い…」

唯「やっ…やだ…あず…やっ…」


律「お…おま…おまえら…な、なに…なにやってんだよ!!!」

梓「律先輩…見てわからないですか?キスして…体触ってるだけです」

律「だけって…梓、お前…なに考えてんだよ!!」

梓「私は…唯先輩のことが好きだから…だからしてるんです」

律「な…なんだよそれ…ゆ、唯!大丈夫か?」

唯「り…りっちゃ…こ、来ないで!」


律「ゆ、唯…?」

唯「わ…私…私…うぅ…う…」

梓「律先輩…嫌われちゃいましたね」

律「梓…お前…」


キーンコーン…

梓「あ…授業始まっちゃいますね…じゃあ私行きます」

律「ちょっとま…」

梓「あ、あと私…唯先輩は絶対に渡しませんから」

律「あ、梓…」

唯「うっ…うえ…うええ…」

律「ゆ、唯…梓としてたこと…べ、別に怒ってないから…だから…」

唯「だ…ダメ…ダメだよ…私…私…」

律「ゆ…唯…」

唯「わ…私…りっちゃんのこと好きだって…言ったのに…あ、あずにゃんと…あ、あ…あんな…」


律(わ、私…どうすれば…)




……

澪「なあ律、唯のヤツどうしたんだ?ずっとふさぎこんだままだぞ」

律「……わからない」

澪「わからないって…」

紬「二人とも…一体どうしちゃったの?」




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最終更新:2010年07月03日 05:03