唯「ほえ?」
さわ子「彼氏出来ないし、出来てもすぐ別れちゃうし、いっそ唯ちゃんと付き合おうかしら」
唯「お断りします」
さわ子「おい」
唯「だって私にはギー太というフィアンセが」
さわ子「はいはい、解ったからさっさとその問題終わらせてね」
唯「はーい」
さわ子「唯ちゃんの補習が終わらないと、私も帰れないんだから」
唯「でもさー、さわちゃんは音楽の先生なんだから、他の教科の補習するのもおかしいよね」
さわ子「仕方無いのよ、担任だから」
唯「せっかく夏休みなのに」
さわ子「それ私の台詞」
唯「暑いー」
さわ子「もう、静かにやってよ」
唯「暑い暑い暑いー!」
さわ子「はいはい」
唯「アーイースー」
さわ子「終わったら買ってあげるから」
唯「わーい!」
さわ子「あれ?」
唯「ふんふーん♪」サラサラ
さわ子「唯ちゃん、意外とズルいわね」
唯「えへへ」
唯「ねー、さわちゃん」
さわ子「何ー?」
唯「さわちゃんはさー、高校生の頃頭良かったの?」
さわ子「まぁ平均以上には出来たわよ」
唯「えー!」
さわ子「何その反応」
唯「そんなのロックじゃないよ!」
さわ子「あのねぇ……ロック=ダメ人間みたいな認識はよしなさい」
唯「仲間だと思ってたのに……」
さわ子「て言うか、バカだったら先生になれないでしょ」
唯「あ、そっか」
さわ子「まぁバカな先生も大勢いるけどね」
さわ子「セクハラとかね、何考えて生きてるのかしら」
唯「さわちゃんは言えないと思う」
さわ子「私は良いの、可愛がってるから」
唯「えー」
唯「そういえば、この間の水泳の授業で」
唯「体育の中島先生にすっごい見られた」
さわ子「あの人エロガッパだもんね……ハゲのくせに」
唯「ハゲてるからスケベなのか、スケベだからハゲてるのか」
さわ子「永遠の疑問ね」
唯「数学終わったー」
さわ子「答え合わせするから貸しなさい」
唯「ほい」
さわ子「ふんふん……なんだ、やれば出来るじゃない」
唯「えっへん」
さわ子「逆に言えばやらなきゃ出来ない子なのよね」
唯「それは皆そうだよ」
さわ子「要領悪いって言ってるの、普段からこれくらい出来てれば補習なんかいらないのに」
唯「なかなかそうはいかず……」
さわ子「まぁ、だからこそ可愛い部分でもあるけど」
唯「ふい?」
さわ子「いいから、英語もやりなさい」
唯「はーい」
唯「英語苦手」
さわ子「何が得意なのよ?」
唯「……ホームルーム」
さわ子「……」
唯「あ、あと音楽!」
さわ子「部活でやってる曲以外ダメダメじゃない」
唯「あう……」
さわ子「はぁ……軽音部は優等生揃いですねって言われてるのに」
唯「えへー」
さわ子「唯ちゃん以外はね」
唯「り、りっちゃんは?」
さわ子「あの子は普通には出来るもの」
唯「おぉ……裏切られた」
唯「ねぇねぇ、何ヵ月くらい彼氏いないの?」
さわ子「……担任にそういう事訊くとはいい度胸ね」
唯「気になるんだもん」
さわ子「全く……裏表の無い子ね」
さわ子「…………三ヶ月」
唯「おぉー!」
さわ子「何の感嘆よそれ」
唯「私なんて未だに彼氏出来ないよー」
さわ子「唯ちゃんならその気になればすぐよ」
唯「そうかなー」
さわ子「大体、男なんてこうすれば……」
~~~~~
唯「さわちゃんの汚れ」
さわ子「女の武器って言って」ケラケラ
唯「私は結婚する人としかしないもん」
さわ子「失礼ね、私だって誰とでもするわけじゃないわよ」
唯「むー……」
さわ子「まぁ唯ちゃんもしてみれば解るわ、意外にたいした事無いわよ」
唯「しないもん」
さわ子「そう思ってた時期が私にもあったわ」ケラケラ
さわ子「なんなら教えてあげようか?」
唯「うえっ!?」
さわ子「冗談冗談、そんな逃げないでよー」
唯「目がマジだったよ……」
さわ子「まぁ真面目な話、彼氏は学生の頃に作った方が良いわよ」
さわ子「社会人なんてもう出会い無いもの」
唯「作り方解んないし……て言うか女子高じゃん」
さわ子「やり方なんていくらでもあるわよ、例えば……」
唯「聞かなーい」
さわ子「あらあら、お子ちゃまの唯ちゃんには早い話だったかしら?」
唯「汚れた大人にはならないぜー」
さわ子「そういうのが子どもなの」
唯「ロックなのにー」
唯「英語終了!」
さわ子「後は化学だけね」
唯「もう夕方だよ」
さわ子「誰かさんに1日潰されたわね」
唯「悪い人もいるんだね」
さわ子「あんたよ、あんた」ビシビシ
唯「いたーい!」
さわ子「早く終わらせてよね」
唯「アイアイサー」
唯「それにしても暑いよ……溶ける……」
さわ子「そしたら冷凍庫で固めてあげる」
唯「酷い!」
さわ子「そんなに暑いならブラウスのボタン開けなさいよ」
唯「……えっち」
さわ子「……今更でしょ?」
唯「さわちゃんには裸も見られてるもんね」
さわ子「止めてその言い方」
唯「さわちゃんの裸も見てるもんねー」
さわ子「そんなの自慢にならないわよ」
唯「お腹の周りが……」
さわ子「……」グイー
唯「ごめんなひゃいー!」
唯「うう……体罰だぁ……」
さわ子「正しい教育です」
唯「ちぇっ」
さわ子「唯ちゃんも生意気になったわね」
唯「あ、スズメさんだ、可愛い!」
さわ子「前言撤回」
唯「うーん……」
さわ子「高校の化学なんて覚えるだけよ」
唯「かき氷はブルーハワイにすべきか、練乳が正しいのか……」
さわ子「……下らない事考えてないで早くやって」
唯「下らないとは失敬な!」
さわ子「そんなに怒るとこ?」
唯「さわちゃーん」
さわ子「はーい」
唯「彼氏出来たら楽しい?」
さわ子「ん、まぁ、ね。色々面倒もあるけど」
唯「例えば?」
さわ子「えー……なんだかんだで男の都合に合わせなきゃいけないし」
さわ子「したくなくてもするし」
さわ子「彼氏いるからこそ一人になりたい時もあるし」
さわ子「……って、教え子に話す事じゃないわよね」
唯「えっと、酸化化合物が……」
さわ子「何なのこの子」
唯「よーし終わったー!」
さわ子「良く出来ました」
唯「疲れたー」グデー
さわ子「自業自得ではあるけどね」
唯「さわちゃんって良い先生だよねー」
さわ子「急に何よ」
唯「わざわざ私のためだけに学校来てくれて良い先生だよ」
さわ子「……ありがと」
唯「えへへ」
さわ子「そもそも唯ちゃんが補習受けるような事態にならなければ私も来なくて良かったんだけど」
唯「それは言わないお約束」
さわ子「うん、全問正解」
唯「やったー!」
さわ子「じゃあちょっと職員室行ってくるわね」
唯「ふーい」
~~~~~
さわ子「お待たせ……あら」
唯「お帰りー」ジャカジャカ
さわ子「ギター弾いてたの?」
唯「退屈だったもんで……」
さわ子「ま、アンプも付けてないし良いけど」
さわ子「……」
唯「上手くなった?」ジャカジャカ
さわ子「まぁまぁね」
唯「ふえー」
さわ子「私が唯ちゃんくらいの頃はもっと上手かったわ」
唯「むぅ」
さわ子「……でも、唯ちゃんなら私よりもっと上手くなれるわ」
唯「そうかなー」
さわ子「ちゃんと練習すればね」クスクス
唯「頑張ろうっと」
さわ子「……ねぇ」
唯「ん?」
さわ子「唯ちゃんは私が育てたって、いつか言わせてね」
唯「私を育てたのは憂だよ」
さわ子「色んな意味で間違ってるわよ」
さわ子「さて、帰りましょうか」
唯「……」
さわ子「なーに?まだお勉強したい?」
唯「それは嫌」
さわ子「なら帰るわよ」
唯「たまにはセッションしようよー」
さわ子「えぇ……」
唯「音楽室使ってる人もいないでしょ?」
さわ子「私のギター無いし」
唯「探せば出てくるよ」
さわ子「んな訳ないでしょ」
音楽室
さわ子「……転がってるものね」ジャカジャカ
唯「こないだ掃除してたら見つけたんだー」
さわ子「メンテも何もしてないから酷い状態だけど」
唯「整いました」
さわ子「?」
唯「メンテしてないギターとかけて、すっぴんのさわちゃんと解きます、その心は……」
さわ子「……」ゲシゲシ
唯「痛い!」
さわ子「自分がすっぴんだからって調子に乗れるのも今の内だけよ」
唯「嫌な話……」
唯「さっそく弾いてみよう!」
さわ子「一曲だけね」
唯「じゃあふわふわ時間で」
さわ子「はいはい」
唯「さわちゃんがボーカルね」
さわ子「はいはい……え?」
唯「いっくよー!」ジャカジャカ
さわ子「ちょ、ちょっと!」
唯「ほらほら」
さわ子「き、君を見てると、いつもハートどきどき」
さわ子(屈辱)
唯「いえーい!」
~~~~
さわ子「……」
唯「さわちゃん可愛いかったよ」
さわ子「澪ちゃんしばく」
唯「えっ」
さわ子「それは冗談としても、もういい時間だから帰るわよ」
唯「はーい」
さわ子「ビール飲まなきゃ死んじゃう」
唯「アイス食べないと死んじゃう」
さわ子「急ぐわよ!」
唯「ラジャー!」
コンビニ
店員「しゃせー」
さわ子「あぁ……涼しい……生き返る……」
唯「へっくしゅん!」
さわ子「唯ちゃん冷房に弱かったわね」
唯「汗かいてるから余計寒い~」
さわ子「女の子なんだからハンカチくらい持っときなさいよ」フキフキ
唯「どうもどうも~」
さわ子「世話の焼ける子ね」
唯「実はハンカチは持ってたり……」
さわ子「いるわよね、何故か自分のを使わない人」
さわ子「これとこれと」
唯「お酒とおつまみばっかり」
さわ子「何か文句あんの?」
唯「モテないOLさんって感じ」
さわ子「アイス買ってあげないわよ」
唯「ごめんなさーい!」
さわ子「もう……早く取って来なさい」
唯「えへへ、これ」
さわ子「ガリガリ君……唯ちゃんにしては普通ね」
唯「夏はガリガリ君!スイカバーは素人!」
さわ子「そうなの?」
唯「だってガリガリ君は当たりが出るんだよ!」
さわ子「……あ、そう」
最終更新:2010年08月16日 00:46