#8
『ゴールデンチョコパン!』
学食
純「こ、これは…!」
純「一日限定3個のゴールデンチョコパン!」
純「まさか今日買えるなんて思えなかったよ~」
純「ラッキー……」
いちご「すいません、これください」
純(あっ…)
いちご「……」スタスタ
純(私のゴールデンチョコパンが!?)
純「奪われた…私のゴールデンチョコパン…」
憂「純ちゃん、元気出して」
梓「もともと手に入らないものなんだから仕方ないじゃん」
純「……」
憂「純ちゃん?」
純「諦めないもん!必ず今学期中にもう一度ゴールデンチョコパンをこの手に!」
梓「もうすぐ一学期終わるよ」
純「だから、それまでに!」
純「絶対もう一度食べるんだから!」
憂「じゅ、純ちゃんが燃えている…!」
翌日
いちご「これください」
純「すでに取られた!」
翌々日
いちご「これください」
純「また!?」
純「三連敗!三連敗だよこれで!」
梓「向こうは勝ち負けとか意識してないと思うけど」
純「あの巻き髪の先輩…きっと私のこと恨んでるんだ」
憂「何かしたの?」
純「何もしてないし初めて見た先輩だけど」
梓「もう諦めなよ、ゴールデンチョコパンは純に食べられたくないんだよ」
純「そんなことないよ!ゴールデンチョコパンだって私に食べられたいと思ってるよ」
純「それなのにあの巻き髪先輩め…!」
純「次こそ私の全てをかけてゴールデンチョコパンを!!」
梓「その情熱を別のことに使えばいいんじゃないかな」
純(ゴールデンチョコパンをゲットするには、まず三年生より早く学食に行かなくてはいけない)
純(ここが一番大事、このをチャンス逃すとゲットできる確立がぐっと下がってしまう)
純(まさに一世一代の大勝負…!)
キーンコーンカーンコーン
純(きた!!)
純「学食行ってくる!」ダダダッ
憂「は、早い!」
梓「本当に全力だ…」
学食まで全力で走った。
教室を出て階段を下り、学食まで一本道。
なんとしても三年生より早く…!
純「はぁ、はぁ…」
もてる限りの力で足を動かす。
腕も早く振る。
心臓が早く鼓動しているのが分かった
わき腹もちょっと痛い。
それに普段運動してないせいか、すでに息は切れていた。
それでも諦めるわけにはいかない。
ゴールデンチョコパンを手に入れるためには!!
純「はぁ、はぁ…」
今の私は光。
そう、光よ。
この世のあらゆるものより早い。
まさに光。
この調子なら確実に一番乗りできる。
そしてあのパンを我が手に…!
さわ子「こら、廊下は走らないの!」
無視した。
さわ子「待てこらぁ!!」
追ってきた!?
さわ子「ガミガミくどくど…」
純「はい、すいません、ごめんなさい…」
怒られてる時もゴールデンチョコパンで頭がいっぱいだった。
初めてゴールデンチョコパンに出会ったときの感動。
今でも忘れられない
普通よりも大きいあのゴールデンチョコパン。
パンの上にチョコがいっぱいかかったあのゴールデンチョコパン。
パンの中にもぎっしりちょこが入ってるあのゴールデンチョコパン。
あぁ、ゴールデンチョコパン、ゴールデンチョコパン。
ゴールデンチョコパン……
早く…早く食べたい!
さわ子「はいこれまで、じゃもう廊下を入っちゃダメよ?」
純「分かりました!」ダダダッ
さわ子「走るなって言ってんだろうが!!」
学食
純「ゴールデンチョコパ…」
純「!?」
ワイワイ ガヤガヤ
純「人がこんなに…」
あの説教さえなければ…
こうなったら無理やりでも前に。
純「うぐぐっ…」
純「ゴールデン…チョコパン…!」
純「前にでれた!」
ゴールデンチョコパンは…
純「!」
あった!ラスト一個!!
純「や、やった…」
純「すいません!!これ…」
いちご「これください」
「はい、まいど」
純「!?」
純「あ、あぁ…」
終わった…何もかも。
全身の力がいっきに抜ける
その場で座り込んでしまった。
純「……」
あれだけ頑張ったのに…買えなかった。
結局、絶望のまま夏休みを迎えるのね。
ふっ…私らしい一学期だった…
純「……」
いちご「……」
純「……」
いちご「……これ」
純「え…?」
いちご「半分あなたにあげる」
純「な、なんで…」
いちご「欲しそうな顔してたから」
純「でも、それ先輩の…」
いちご「いいの、あなたが食べなさい」
純「先輩…」グズッ
いちご「じゃあね」
純「あ、ありがとうございました!」
私は勘違いしてたようだ。
あの巻き髪の先輩は一見冷たそうに見える人だったけど、そんなことはなかった。
とても…とても優しい先輩だった。
憂「あっ、それ買えたんだ」
純「うん、半分だけだけどね」
梓「なんで?」
憂「いいな~」
純「……」
いちご『半分あなたにあげる』
純「ふっ…」
純「憂と梓にも分けてあげるよ」
梓「いいの?」
純「私は今まで自分のことしか考えてなかった」
純「けど、それじゃあダメなんだよ」
純「それをあの先輩が…教えてくれた」
梓「?」
純(巻き髪先輩…名前は知らないけどありがとうございました)
純(私、先輩みたいな立派な高校生になってみせます!)
律「あっ、それゴールデンチョコパンじゃん!ちょっとちょうだい」
いちご「やだ」
#8
『ゴールデンチョコパン!』 おわり
最終更新:2010年08月18日 01:56