#11
『散髪!』


梓「うーん…前髪がだいぶ伸びてきたなぁ…」

憂「切らないの?」

梓「今月中には美容院に行く予定」

純「私が切ってあげよっか?」

梓「いらない」

純「遠慮しないでって」

梓「いらないって言ってるのに…」

純「いいからいいから」

梓「もう…ちゃんと切ってよね?」

純「まっかせて!手先は器用だから!」チョキチョキ

梓(すごく心配…)

純「じゃあいくよー…」

梓「あっ、ちょ…!?」

純「えいっ」ジョキリ

パサァ

梓「……」

純「……パッツンパッツンになっちゃったね」


唯「みんなとお買い物~♪」テクテク

梓「……」

唯「……あれ?」

梓「……」

唯「あずにゃん!?」

梓「どうもです」

唯「どうしちゃったのその髪!」

梓「純のせいでこうなっちゃって…」

唯「かわいい~!」

梓「最悪ですよ…前髪パッツンなんて」

唯「あっそうだ、これから軽音部のみんなと買い物に行くんだけどあずにゃんも来る?」

梓「いえ、こんな髪ですから…いいです」

唯「そっかぁ……せっかくかわいいのに勿体無い」

梓「かわいくないです」

唯「お人形さんみたいでかわいいよ?」

梓「そ、そんなこと言われても嬉しくないです!」


唯「お待たせ~」

律「遅いぞ、唯」

唯「ごめんごめん、途中であずにゃんに会って」

紬「梓ちゃんに?」

唯「うん、連れてこようとしたんだけど髪切ったばかりだからいいって断られちゃった」

澪「へぇ、髪切ったんだ」

唯「なんか純ちゃんのせいだって言ってた」

律「純のせい?どういうことだ?」

紬「それってまさか……失恋!?」

律「は?」

紬「だってそうじゃない…女の子が誰かのせいで髪を切るなんて…」

紬「それぐらいしか理由はないわ!」

澪「な、なるほど…」

唯「あずにゃん…・そんな悲しいことがあったんだ…」

律「いやいやいや、それは違うんじゃないか?」

唯「りっちゃんは女心が分からないからそんなこと言えるんだよ」

律「おい、私も女だぞ」


翌日、軽音部

梓(はぁ…やだなぁこの髪)

梓(絶対みんなに笑われる…)

ガチャッ

梓「こんにちは…」

唯澪律紬「!?」

梓(ほら…やっぱり…)

紬「こんにちは、梓ちゃん」

紬「ケーキの用意できてるわよ」

梓「…え?」

唯「あずにゃん、早く座りなよ」

梓「は、はぁ…」

梓(あれ?)

紬「今日は梓ちゃんのために、いっぱいケーキを用意したのよ」

梓「私のため?」

澪「その…たくさん食べれば元気がつくぞ」

澪「ヤフーの知恵袋にもそう書いてあったし」

律「まぁ…なんかそうみたいだな」

梓「はい?」

唯「あずにゃん、これからは脇道にそれずにギターだけ頑張ればいいんだよ」

梓「はぁ…頑張ってますけど」

紬「元気出してね、次の出会いがあるから」

澪「そうだな」

唯「うちの憂なんてどう?」

唯「妹自慢じゃないけど器量も良いし優しいし…」

梓「あの…何の話ですか?」

律「言わせんなよバカ野郎」

紬「そうよ、これ以上自分を傷つける必要はないの!」

梓「?」



翌日


梓「なんか昨日の部活で先輩達の様子がおかしくてさ…」

憂「そうなんだ…」

梓「何なんだろう?」

憂「そうだ、梓ちゃんのためにお守り買ってきたの」

梓「私のため?」

憂「はい、これ」

梓「ありがとう…」

梓「……縁結び」

梓(なんで?)

憂「お姉ちゃんから聞いたよ、二人の間にそんなことがあっただなんて…」

梓「二人?」

憂「次は素敵な人に出会えるといいね」

梓「憂まで……一体何なの?」

憂「え?」

梓「私が何したって言うの」

憂「梓ちゃん、純ちゃんのことが好きだったんでしょ?」

梓「はぁ!?」

純「なるほど、そんなことが」

梓「誤解を解こうよ」

純「まぁ…私としては振った立場だから世間的ダメージないし」

梓「私はあるの!!」

梓「だいたい、私が純のこと好きって勘違いされることがショックだって」

純「えっ、私のこと嫌いなの!?」

梓「いや…そういう好き嫌いじゃなくて…」

純「冗談冗談」

梓「はぁ…絶対澪先輩に変だと思われたよ」

純「ちゃんと話せばいいじゃん」

梓「聞いてくれる雰囲気じゃなかった…」

純「……実際梓はさぁ、私の事どのくらい好き?」

梓「えっ?な、なにそれ…」ドキドキ

純「なーんちゃって」

梓「…は?」

純「またまた冗談」

梓「…思わせぶりなこと言わないでよ」

純「だって梓のことからかうと面白いし」

梓「……」

純「梓?」

梓「…このくらい」バッ

純「へ?」

梓「腕いっぱい広げて、それでもまだ全然足りないくらい…」

梓「純のことが好き」

純「!?」ドキッ

梓「純…」

純「あ、梓…?」

梓「……ぷぷっ」

純「え…?」

梓「やーい、騙されたー」

純「は…はぁっ!?」

梓「仕返しだよ、私をからかった」

純「…やってくれたね」

梓「本当はね…ケーキの苺ぐらいかな?純に対しての好感度は」

純「なにそれ…ちっちゃ」

梓「いいじゃん…美味しいし、あると嬉しいし」

純「んもー、適当に言ってるだけでしょ?」

梓「さぁ?」

純「…あんまり人をからかわないほうがいいよ?」

梓「そっちこそ」

純「あ?」

梓「お?」

純「……ぷっ」

梓「クスクス…」

純「あはは、いったなこいつぅ!」コチョtコヨ

梓「にゃー!やめてー!」ジタバタ



翌日


梓「いい?ちゃんと五回を解くんだよ?」

純「はいはい、分かってるって」

憂「おはよう、二人とも」

梓純*1

梓「あっ…おはよう憂」

純「おはよう」

憂「あれ…二人とも一緒にいる…」

憂「仲直りしたの?」

純「ま、まぁそうなんだけど…」

梓「その事についてちょっと話が…」

憂「よかった、じゃあ今日はお赤飯炊いておくね」

梓純「「いや、いらないから!!」」


#11
『散髪!』 おわり



最終更新:2010年08月18日 02:05

*1 来た…!