澪「帰ろっか」

律「だな」


あとは帰るだけ



―――だった。


澪「一応さっき電話したんだが出なくて…まあメール送っておいたから事はすんでると思うんだけど」

律「あ、そうか私携帯家に…」

澪「帰ったらスゴいことになってるぞ、きっと」

律「だよねー…」


ふとその時人影が目に入った

澪「今…誰かいたような…」

律「え?」


ビニール袋か何かを背負った二人組の姿があった

ガサゴソと音を立てながらスコップで地面を掘っていた


澪「!」

ふと私は思い出した

例の事件のことを


そしてさらに悪いことに雨が降ってきた


澪「律早く逃げ――――、

律「冷たっ!……って雨か…」

澪「り、律……!」
男A「!」
男B「そこに誰かいるのか?」

澪「走るぞ!律!」
律「え?なんで?」
澪「あいつら犯人だよ!あの例の!」

律「ちょっ……マジかよ……!」

男B「待てえええ!」
澪「今のうちにメールを……」

澪「うわっ!」

ザーッ

いきなりのどしゃ降りのせいで私は滑って転んでしまった

律「大丈夫か?」
澪「け…携帯が…」
そして転んだ拍子に携帯をどこかに落としてしまった

もちろん明かりもない中携帯を探すのは無理だった

澪「しょうがない行くぞ!」

律「ああ!」

二人はぐれないように私達はお互いの手を握り必死に犯人から逃げた


男B「逃がさねえぞ!」

澪「私達…どうなるんだ……?」

律「私がこんなとこに来なきゃ…」

タッタッタ

とそのとき、私達が向かう方向に人影が見えた


――――助かった。
そんな気がした

澪「助けてください!」

律「私達通り魔の犯人に追われてて!」

「………」

男B「そいつら捕まえてくれ!」

一瞬恐怖が脳裏をよぎった

男C「時間かかりすぎなんだよお前らは」

澪「え?」

律「マジかよ…」

隠れる場所も逃げ道もない

男C「大丈夫大丈夫。お前らもあっという間に連れてってやるからな」

男C「天国に」

「それは君たちだよ」

ガスッ

男C「うっ…」バタ

男B「!?」

澪「!」

律「!」




今からさかのぼること一時間前


紬「やっぱり私達もりっちゃん探しに行くべきよ!」

梓「そうですよ!このまま黙って祈ってるわけには行かないですよ!」

唯「よし!行こう!」フンス

憂「でも澪さんどこ行ったかわからないんじゃ…それに澪さんが向かった方向がわかっても律さんがいるとは…」


プルルルル

ガチャ

憂「はい、平沢ですが」

聡「あっ、えっと律の弟の聡です。お騒がせしてすいません!」

唯「だれー?」

憂「律さんの弟の聡くん!」

聡「お姉ちゃんもしかしたら星を見に山に行ってるかもしれません!」

憂「山……?」

聡「最近どこの山が綺麗に星空が見えるか母や父に聞いていたのでもしかしたら!」

憂「お姉ちゃん星が見える山だって」

唯「やまー?」

紬「星が見える山………」

梓「!」

梓「もしかしたらあの山かもしれない!」

憂「ありがとう聡くん!」

聡「いえ…姉を心配する気持ちは同じなので」

ガチャ

唯「わかるの?あずにゃん」

梓「小さい頃見に行った記憶が…とりあえず行ってみましょう!」
唯「よっしゃー!」紬「待っててりっちゃん!」
憂「おー!」


ガチャ

憂「よし!鍵OK!」
唯「じゃあ出ぱ…………」

「遅いんじゃないの?」


唯「さ、さわちゃん!」

さわ子「さあ行くわよ!乗って!」

梓「どうして…」

さわ子「私は軽音部の顧問よ!当たり前じゃない!」

紬「行こう!」

「おー!」


ブーーン

さわ子「何もなきゃいいわね…」

梓「あ、あそこに人が!」

キキー


さわ子「すいません!」

「はい?」

さわ子「山ってこの方向であってますかね」

「あってるけど……今日は星は見えな……」

さわ子「ありがとう!」

ブーーン

「最近の若者は何が流行ってるのかわからないなあ……もう」


「あのー!」

「え?」


ブーーン


さわ子「ここだわ!」

唯「真っ暗だー」

紬「本当…何も見えないわあ」

梓「い、今誰か人が!」

さわ子「あそこから入るのね!行くわよみんな!」

唯「りっちゃん今行くぞー!」

紬「行きましょー!」

梓「おー!」



あの時聡が唯たちに伝えていなかったら私は今頃存在しないんだろう

もちろん律も

もし伝え損ねていたら文化祭や卒業ライヴの思い出なんて出来る前に私達は死んでいたのかもしれない


男C「大丈夫大丈夫。お前らもあっという間に連れてってやるからな」

男C「天国に」


「それは君たちだよ」


ガスッ

男C「うっ…」バタ

男B「!?」

澪「!」

律「!」

律「唯……それにみんな!」

梓「間に合ったみたいですね…はあはあ」

澪「お前ら…どうしてここに」

紬「聡くんがね……ここじゃないかって教えてくれたのよ」
律「あいつ…」

男B「おいおいやめてくれないか?」
男B「俺は"青春"なんつーもんは嫌いなんだよ」

律「早く逃げ…」

男A「おーっと…それはまずいねぇ」カチャ

梓「ピストル!?」

男B「悪いなあ手こずっちまって」

男A「まあいいよ……どうせみんなここの"肥料"になるわけだし」

唯「ちょっとヤバいって…」

男A「まずは手始めにお前からだ」

律「ちょっ…」

男A「たまんねぇなあ…その顔は何回見ても」

律「お前まさか!」
男B「そう俺らは例の事件の犯人」

男A「お前らどうせ一人残らず死ぬんだし?まあ関係ないかーあははー」

カチャ

男A「死ね」

ドンッ

澪「………」

ドラマなんかで聴く音と違った

あんなのよりもっと鈍い音

まるで石でもぶつけられたかのような……

石………?


男A「ぁ……」ドサッ

男B「お、おい!」

律「た…助かった…」

澪「今のなに?」

スゴいスピードだったような


「はぁ…間に合った」


唯「!」


さわ子「あ、あなたたち……どうして」


姫子「私達だってクラスメートですから、先生!」

和「仲間が大変な目にあってたら助けるのが仲間ですから」

いちご「まあ別に私は心配じゃなかったんだけど……みんな行くって言うから…」

律「みんな……ごめん!」

「謝ることないよー!」

「安心したー!」

「姫子ちゃんもう一人も倒しちゃえー!」


男B「仲間……か」カチャ

男B「俺もそんな高校時代送ってみたかったよ…」

ピーポーピーポー

男B「終わり………か」

タッタッタ

警察官「銃を下ろせ!」

さわ子「良かったー、すぐ呼んでおいて」

姫子「グッジョブ!先生!」

男B「ククク………あはははは!」カチャ

警察官「銃を下ろしなさい!」

男B「捕まるくらいなら―――――、

その時、誰かがスッと私の横を駆けていった

警察官「!」

男「じ ゃ あ な」カチャ


澪「バカ!り―――――、

唯「!」
紬「!」
梓「!」

パーン


4
最終更新:2010年08月26日 21:56