唯「ところでりっちゃん。 あのポケモンのニックネームはつけた?」
律「ん? まぁ一応な」
唯「なんて名前にしたの?」
律「『ハリケーン』って名前にしたよ。 せめて名前だけでもカッコよくしようと思ってさ」
唯「おぉー! なるほど!!」
律「進化して強いポケモンとかになるんなら別にいいけど、今のところ全然期待できないんだよなー」
唯「そうかなー?」
律「唯、あのゲートを超えれば"コトブキシティ"に着くぞ」
唯「どんな所かなー?」ワクワク
コトブキシティ
ワイワイガヤガヤ
唯「おー! でっかい町だねー!!」
律「こりゃ思った以上に都会だなぁ……」
唯「あっ! テレビ局があるよりっちゃん!!」
律「おい唯、そう騒ぐなって」
唯「えーでも……ん?」
律「どうした?」
唯「りっちゃん、あの人……」
律「ん?」
???「………」キョロキョロ コソコソ ダッ ソー サッ キョロキョロ
唯「見るからに怪しい人がいるね」
律「最早怪しいってレベルじゃねぇな」
唯「あのー……」
律「おい!」
???「!! ナヌー!!」
???「……何故私が国際警察の人間だとわかってしまったのだ!?」
唯「えっ?」
律「えっ!」
唯律「えーっ!?」
唯「私普通に話しかけただけですけど!?」
???「普通に話しかけただけ? いーや私を只者では無いと見抜いて話しかけたのだろう? その眼力恐るべし……」
???「君達出来るな!!」
律(……ってか自分から正体バラしたんじゃないか)
唯「いやぁ、それほどでも……///」
???「正体がバレたんだ。 自己紹介をさせていただこう」
???「私は世界をまたにかける国際警察のメンバーである。 名前……いや君達にはコードネームを教えよう」
ハンサム「そう! コードネームは"ハンサム"! 皆そう呼んでいるよ!」
唯「おぉー!!」パチパチ
律(別にそこまでハンサムってわけでも……)
ハンサム「ところで君たちは人のものを盗ったら泥棒という言葉を知っているか?」
唯「はい! もちろん!!」
律「そりゃもちろん」
ハンサム「そうとも! 人のものを盗るのは悪いことだ!」
ハンサム「で、このシンオウ地方にも人のポケモンを奪ったりする悪い奴らがいるらしい」
ハンサム「そして私は怪しい奴がいないか探していたのだよ!」
ハンサム「ところで君達トレーナーならこれを使いこなせるかい?」
ポケッチをもらった!
唯「うわぁー! 何これ!?」
ハンサム「そのポケッチは色々な機能が付いている。 時計、電卓、万歩計など色んな機能が付いている」
ハンサム「この町で貰ったんだが、私はあまり必要無いのでね。 君達が持っておいた方がいいだろう」
ハンサム「………」キョロキョロ
ハンサム「……それでお願いだが、もし私を見かけても仕事だから話しかけないでくれ」
唯「はい!」
律(自分から話したくせに……)
ハンサム「いや、寂しいから……じゃなくて怪しい奴を見かけたら何かあれば声をかけてくれ!」
唯「はい! わかりました!!」
律(あんたが一番怪しいよ……)
ハンサム「それではまた会おう!!」
ハンサム「………」キョロキョロ コソコソ ダッ!
律(面倒くせー奴と出会ってしまった)
唯「カッコいいなぁ……///」ポー…
律「唯、目を覚ませ。 ……っていうか今の人本当に国際警察の人か?」
唯「どういうこと?」
律「だっておかしいだろ? 国際警察ってことはこのシンオウ地方だけじゃなくて他の地方の事件についても知ってるはずだろ?」
唯「そうだね」
律「……ということは私達がカントーのポケモンリーグのデータを盗んだことも知ってるはずだ」
唯「……そうかな?」
律「ポケモンリーグはどの地方でも凄いところなんだろ? だったら私達の顔見てすぐ捕まえようとするはず」
唯「バカなんじゃない?」
律「……唯、ハンサムさんに失礼だぞ」
律「それにもし私達が本当に指名手配されていたらゲンさんだって私達に話しかけてこないだろ?」
唯「そういえば……」
律「……マサキに聞いてみるか」
唯「答えてくれるかな?」
律「聞くだけ聞いてみよう。 ポケモンセンターに行くぞ」
唯「どうして?」
律「ポケモンセンターのパソコン使って聞いてみるんだよ。 ほら行くぞ!」
唯「あぁ待ってー!」
コトブキシティ ポケモンセンター
律「出るかな……」カタカタ
唯「電話で聞くの?」
律「一応な。 もし出なかったらメールで送って時間がたったら見てみるよ」
プルルルルル……
律「………」
唯「………」
マサキ「はい、もしもし」ガチャ
律「あっ! もしもしマサキか!?」
マサキ「んっ? その声は……律か?」
律「そうだ律だ!」
マサキ「えらい久しぶりやなぁ……元気やったか?」
律「あぁ、まぁ元気でやってるよ」
マサキ「律がいるってことは唯とかもおるんか?」
律「いや、今は私と唯だけだ」
唯「やっほー♪」
マサキ「うおっ!? ビックリしたぁ……おったんかいな……」
唯「ねぇりっちゃん、聞いてみようよ」
律「あぁ、なぁマサキ聞きたいことがあるんだけどさ……」
マサキ「なんや? 答えられる質問やったら答えたるで!」
律「なぁ私達がポケモンリーグのデータを見たことなんだけど……」
マサキ「あぁ……そのことか……」
律「知ってたら教えてほしい」
マサキ「あの出来事はカントー・ジョウトポケモンリーグとジムリーダー以外は誰にも知られていないことになってんねん」
律「えっ!?」
唯「えーと……?」
マサキ「あの出来事について知ってるのはカントー・ジョウトのジムリーダーと四天王、そしてポケモンリーグの関係者以外誰にも知られていないねん」
律「一般の人とか警察も?」
マサキ「あぁ。 こっちではテレビやラジオであのことは流れてへんし、警察も何にも知らされて無いらしいねん」
マサキ「しかも今律と唯はシンオウにおるんやろ?」
律「うん」
マサキ「シンオウ地方であの出来事を知っているのはほとんどおらんはずや」
律「そうなの!?」
マサキ「あぁ、だからシンオウ地方におる限りは大丈夫のはずや」
律(だからさっきの国際警察の人も私達のこと知らなかったのか……)
唯「……ってことは私達指名手配はされてないってこと?」
マサキ「そうゆうことやな」
律「ちょっと安心したぜ」
マサキ「それに知っていたとしてもポケモンセンターやフレンドリィショップの店員は何もせえへんからな」
唯「どういうこと?」
マサキ「ポケモンセンターやフレンドリィショップの店員は仕事熱心っていうか……」
マサキ「ロケット団が来てもポケモンセンターの人は何事もなく対応するからな」
律「じゃあたとえ私達のことを知っていても?」
マサキ「あぁ、フレンドリィショップの店員なんて強盗が来ても普通の客と同じように笑顔で『いらっしゃいませ!』って言ってたぐらいやからなぁ……」
律「それはそれで問題ありだろ……」
マサキ「仕事熱心なのはええけども、もうちょっと……なんていうか……」
唯「じゃあ少なくともポケモンセンターやショップは安全ってこと?」
マサキ「まぁそういうことやな」
律「ふーん……」
律「ありがとう、色々教えてくれて」
マサキ「なーに構わんて!」
唯「そういえばマサキさんは今どこで何してるの?」
マサキ「今カントーにある家や。 律達とワイが初めて会った場所や」
律「そんなとこにいて大丈夫かよ!?」
マサキ「あぁハヤトっていうジムリーダーが見たのは律達だけでワイは陰に隠れてたせいか見られてないんや」
唯「そうなの!?」
律「くそー……自分だけ助かりやがって……」
マサキ「いやーホンマありがとうな! ハッハッハッ!」
律「そうだマサキ。 もし澪や梓に私達のこと聞かれたら元気でやってるって伝えといてくれ」
マサキ「おう、わかったわ」
律「それじゃあ切るよ。 また何かあったら連絡するからさ」
マサキ「おう、精々気ぃつけや」
ガチャ
律「ふぅー……」
唯「いやー! 良かったねりっちゃん」
律「まぁこれで一安心だな。 ムギ探しの続きしようぜ」
唯「でも次どこ探すの?」
律「あ?」
唯「ポケッチで地図見てみたら東西南北に道があるよ?」
律「うーん……」
唯「……どこに行く?」
律「南にいってみよう」
唯「南?」
律「まず南に進むと"マサゴタウン"ってところに出る」
唯「ふむふむ」
律「このマサゴタウンで一回別れよう」
唯「えぇ!? どうして!?」
律「大丈夫だって。 西へ行こうが南へ行こうが行き止まりなんだ。 ムギが見つかろうが見つからなかろうが一通り探したらマサゴタウンまで戻って待ち合わせしよう」
唯「なるほど!」
律「とりあえず今の目的はマサゴタウンへ行こう」
唯「おー!」
……………
マサゴタウン
律「それじゃあ私は西にある湖の方を探してみるから唯は南の方を調べてくれ」
唯「あいあいさー!!」
律「探し終わったらマサゴタウンのポケモンセンターで待機。 いいな?」
唯「もっちろん!!」
律「それじゃ頼むぞ!」
唯「じゃーねー!」
……………
唯サイド
唯「……えーと、今この221番道路にいるからポケッチではこの辺か。 便利だなーこれ」ピッ
唯「おっ! おいしそうな木の実発見!!」
唯「………」キョロキョロ
唯「誰かの物って訳でもなさそうだしちょっとぐらいいいよね?」プチッ
唯「そういや前にゴン太が凄い木の実を食べてたからゴン太にちょっとあげよう。 ゴン太!」ボン
ゴン太「ゴン?」
唯「はい、そこで木の実たくさん見つけたから分けてあげる!」
ゴン太「♪」パクパク
唯「あっ! こら! 全部食べちゃダメ!!」
……………
唯「あれ? なんだろうこの建物……?」
男1「ん? 珍しいなお嬢ちゃん? こんなところまでどうしたんだい?」
唯「ちょっとこの建物が気になって……」
男2「なんだ?お嬢ちゃんはこの建物を知らないのかい?」
唯「あ、はい」
男1「ここは"パルパーク"! ここではどれだけポケモンを早く捕まえるか競う場所になる予定なんだ!!」
唯「……予定?」
男2「……あぁ、今はまだ建設中だ」
唯「あらら……」
男1「俺達もいつ完成するかわかんないんだよなぁ……」
唯「建設中ってことは、まだ誰も入っちゃいけないってこと?」
男2「あぁ、今は関係者以外は立入禁止だ。 悪いね」
唯「なんだ……じゃあしょうがないからマサゴタウンに戻って……」
男3「た、大変だー!!」バタバタ
男1「なんだ? どうした?」
男3「作業してたら野生のポケモンに襲われたんだ!!」
男2「えぇ!? どういうことだよ!?」
男3「とにかく今は避難して……って来たぁ!!」
唯「え?」
野生のムクバード達「クェェェェェェェェ!!」
男1「うわぁ!? 集団かよ!?」
男2「おいお嬢ちゃん! はやく逃げねぇと!!」
唯「カメ太!!」ボン
カメ太「カメェ!!」
男1「おいおいどうするつもりだい!?」
唯「もしかしたら倒せるかも!」
男2「でもどうやって倒すんだよ!?」
唯「皆集団で集まってるなら一気にやっつける! "ハイドロポンプ"!!」
カメ太「カメェ!!」ドン!
ドバァァァァ!!
野生のムクバード達「クエェ……」バタバタバタ
男1「おぉ!」
男2「お嬢ちゃんやるな!」
唯「えへへ……///」
男3「いや安心するのはまだ早いぞ! 確かボスのような奴がいたから……」
唯「ボス?」
バッサバッサ
男3「あぁ! アイツだ!!」
野生のムクホーク「クェェェェ!!」バッサバッサ
唯「でかい!」
野生のムクホーク「クェェェェ!!」ゴォ
カメ太「!?」ドカ!
唯「あぁカメ太!? 大丈夫!?」
カメ太「………」フラフラ
男1「お嬢ちゃん! 今のは"ブレイブバード"って技だ!!」
唯「"ブレイブバード"?」
男1「ムクホークの得意技だ! かなり威力が高いぞ!!」
唯「えぇ!?」
野生のムクホーク「クェェェェェ!!」バシ ドカ ドス
カメ太「カメ……」バタ
カメ太は倒れた!
最終更新:2012年09月27日 00:19