―2年教室―

律「鈴木さーん」

純「えっ、はい!」

律「あのさ、今日の放課後って空いてる?」

純「えっ、今日はちょっと……。何かあるんですか?」

律「それがさ、澪が話したいことあるんだってよ」

純「澪先輩が!? ちょっ、ちょっと待ってください!」

律「ん?」

純(あれー、唯先輩、澪先輩になんて言ったのかなぁ……)

律「どうかな? 体育館の裏なんだけど……」

純「わ、分かりました! 行きます!」



放課後

―体育館裏―

唯「憂っ、いるー?」ヒソヒソ

憂「いるよ、お姉ちゃん」ヒソヒソ

唯「いやぁ、楽しみですなぁ」

憂「でも覗き見なんて後ろめたいね……」

唯「大丈夫だってぇ」

ガサッ

唯憂「」ビクッ

律「あれ?」

紬「あら?」

律「お前らっ、なんで!」

紬「みっ、みんな!?」

憂「皆さんここにいるってことは……」

唯「そっか! みんな今から何があるか知ってたんだねぇ」

律「へ? そーなの?」

紬「なぁんだ。私だけが知ってたわけじゃなかったのね♪」

憂「私も……、てっきり私とお姉ちゃんしか知らないのかと思ってましたっ」

唯「じゃあさじゃあさっ、せっかくだから、みんなで見守ってあげよーよ!」

律「そだなっ」ニカッ

紬「ええ」ニコッ

律「おっ、来た来た」

澪『』スタスタ

唯「来ました、ターゲットっ」

紬「驚くでしょうね~」

律「あ? 何言ってんだ?」

憂「あっ、来ましたよ! 今日の主役がっ」

紬「どこどこっ?」

純『』スタスタ

律「えー、主役ではないだろー」

紬「鈴木さん……? なんで?」

澪『や、やぁ、来てくれたんだな……』

純『こ、こんにちはっ』

澪純『……』

律「あちゃー、固まっちった」

憂「頑張って、純ちゃんっ」

紬「あの……、なんで鈴木さんが?」

澪『じー、実はー』

律「よしいけっ」

純『伝えたいことがあるんですっ!』

唯「よしいけっ」

澪『え……?』

純『えっとぉ……、実は!』

憂「お願いっ」

紬「待って! 本当の主役が来たわよ!」

唯「え?」

律「ここに誰が来るって言うんだよ?」

梓『』スタスタ

律唯憂「なっ、なんで?」

梓(澪先輩と……、純!?)

純『私、澪先輩のことが好きですっ!』

梓『え……?』

澪『えっ!』

唯憂「言ったぁっ!」

律「はあああ!?」

紬「えええっ!?」

梓『え……』

純『お願いしますっ!!』ペコッ

律「くそっ、先を越されたかっ」

紬「先を越されちゃったわ!」

唯「先?」

澪『私は……、今、鈴木さんに……』

梓『ま、待ってください!!』

純『あ、梓っ!?』

律「だからなんで!」

憂「梓ちゃんが入って来るのぉ!?」

梓『わたっ、私も!』

澪『え?』

梓『私も、澪先輩のことが大好きですからぁ!!』

紬「よしっ」

律「なあああ!?」

唯憂「えええっ!?」

澪『あれっ、えっ……、ちょっと!』

律「ああっ、澪がパニック状態に!」

唯「どおなってるの?」モンモン

憂「私にも分からないよ……」

梓『純……、やっぱりライバルは純だったんだね』

純『それはこっちのセリフ!』

梓純『『澪先輩は、渡さないっ!』』

紬「いいわぁ……」

梓『さぁ、澪先輩!』ズイッ

純『私か梓、どちらかを選んでください!』ズイッ

澪『私が……、今日伝えたいのは……』

律「澪が言うぞっ」

唯「もう難しくて分かんないよぉ」

澪『す、鈴木さんにっ!』ビシッ

純『!』パァァァ

梓『!』ガーン

澪『鈴木さんの気持ちには答えられない、って……!』

憂「ええっ!」

純『え……』

唯「なに? 純ちゃんフラれたの?」

純『そんなぁ……』

憂「純ちゃん……」

梓『じゃ、じゃあ!』

澪『そ、そして梓!』

紬「来たわぁっ!」

梓『は、はいっ!』パァァァ

澪『お前はっ……、なんだ!?』

梓『』

紬「」

律「うむ」

紬「そんな……」

梓『なんだ、って……。告白を……』

澪『こくっ、告白っ!?』

律「ダメだ、もう澪の頭は限界を超えてる!」

憂「こっちもですー!」

唯「うう~ん」ポワポワ

澪『わた、私、私は……』

純『澪先輩!』

澪『』ビクッ

純『どうして……、どうして私じゃダメなんですか!』

憂「純ちゃん……」

律「もっともな疑問だけど、今の澪には……」

澪『あ、いやっ! だってぇ……』

梓『私でもダメなんですか!?』

紬「梓ちゃん……」

律「ああー、またややこしく!」

澪『私にはっ!』

澪『私には、他に好きな人がいるんだー!』

梓純『えっ……』

律「ええええええっ!?」


梓『どっ、どういうことですか!?』

純『誰なんですか!?』

律「そんな……、澪……」ガクッ

唯「りっちゃん?」

紬「りっちゃん、まさか……」

澪『あー……、それはー、ほら』

梓『私の知ってる人ですか!?』

澪『私が好きなのはー……』

澪『……りつ?』ボソッ

律「」


梓『そん……な……』

純『そうですか……、分かりました』

澪『?』

純『私、澪先輩のことは忘れます! 律先輩には敵いそうもありません!』

澪『鈴木さん……』

憂「純ちゃんっ」ウルッ

梓『そんなの……、ズルイです!』ダッ

澪『あ、梓っ!』

紬「梓ちゃん!」

梓『もう知りません!』タッタッタッ

澪『まっ、待って!』

律「みおおおーー!!」ガシッ

澪「うわぁっ! って律!?」

紬「待って、りっちゃん!」バッ

澪「ムギ!?」

唯「待ってぇ」

憂「あっ、お姉ちゃんっ」

純「唯先輩! 憂!」

澪「お前ら見てたのか!?」

律「うわああん! 何が起きたのか分からないけど嬉しいよおおお!」ボロボロ

紬(りっちゃん、やっぱり……)

澪「梓が行っちゃって、……って放せよ!」

律「もう放さない!」ギュッ

唯「あずにゃん……!」ダッ

憂「お姉ちゃん、待って!」ダッ

純「あっ、ちょっとぉ!」ダッ

紬「ええ、良い流れよ」ダッ


律「みおー、みおー」ギュッ

澪「もうっ……、分かったよ」

律「あはっ」



……

梓「あーあ……」

澪『お前はっ……なんだ!?』

紬『澪ちゃんは梓ちゃんの想いを全部受け止めた上で、返事をすると思うわ』

梓(結局、私は向き合ってももらえなかったなぁ……)

梓「……」

梓「……んっ」

梓「……うっ、ああっ」グスッ

梓「……先輩ぃ……」ボロボロ

唯「あ~ずにゃんっ」ピョコッ

梓「んっ……、唯先輩?」

唯「えへへ~」

梓「なっ、何してるんですか、こんなとこで!」

唯「私ね、あずにゃんのこと好きだよ?」

梓「なっ!」

唯「私にギター教えてくれるし、よく怒るけど軽音部のこと考えてくれてるし」

梓「……やめてください」

唯「あずにゃんだ~い好き!」ギュッ

梓「やめて……くだ……」

梓「ううっ……」グスッ

梓「唯先輩ぃ……」ボロボロ


純「梓っ……」

憂「ふふっ」グスッ

梓「じゅ、純! 憂! なんで……」

律「おーい!」タッタッタッ

澪「あ、梓ー!」タッタッタッ

梓「みっ、澪先輩……」

澪「梓……、ごめん」

梓「えっ」

澪「私、さっきまで混乱しててさ……、なにも考えられてなかった」

梓「……はい」

澪「でも、勘違いしないでほしい! 梓が、その……告白してくれたことは、素直に嬉しかった!」

梓「え……」

澪「けど、私には……」

律「私がついてるのさっ」

澪「こ、こらっ」

梓「……ぷっ」

律「へっ?」

梓「あははははっ」

律「なーに笑ってんだよぉ」

梓「あはっ、すみませんっ」

澪「だから……」

梓「はいっ、私も……、澪先輩のことは諦めます!」

澪「梓……」

唯「あずにゃんには私がついてるもんね~。むちゅ~」ムチュー

梓「やっ、やめてください」

唯「ええっ」ガーン


紬「うふふふっ」

純「? どうかしたんですか、ムギ先輩?」

紬「ううん。ただ、いろいろあっても結局はこういう形になっちゃうのかなぁ、って」

純「こういう形?」


律「みおー、みおー」

澪「はいはい」


梓「もっ……、少しだけですよ!」


純「なるほど……」

紬「うふふっ」

おわり



最終更新:2010年08月29日 22:52