=戦慄のアズゾウゲーム=

梓「さーて、これで全員鎖で巻けましたね」

律「くっそー!手も足も全部縛りやがって。まるでイモムシじゃねぇか」バタバタ

梓「プップーッ!いい気味ですぅ」

律「あ、中野!調子にのってんじゃねーぞ!」

梓「また中野って言ってますね。いいですよー、今の私は虚無から生まれし梓蔵ですからね」

唯「アズゾウニャン、これからどうするのかな?私痛いのは嫌だなぁ」

紬「大丈夫よね。私知ってるから、梓ちゃんは本当は優し子だって私知ってるから」

梓「お母さんみたいな事言わないで欲しいです!…安心して下さい、ルールは至って簡単です。明日の朝までそうしてるだけですから」

唯「ふぇ?それだけでいいの」

梓「はいです。アズゾウはどこぞの誰かさんと違って猟奇的な趣味はないですから」

律「あれは澪が勝手に勘違いしてだなぁ!」

梓「はいはい、それじゃ鍵は…。トンちゃんの水槽に入れときます」ポチャン

律「おいムギ…、お前ならその鎖引千切れるんじゃないか?」チラッ

紬「うーん、ダメね…。これ合金製の頑丈な鎖なのよ」ジャラジャラ

唯「アズゾウニャンー私お腹空いたよぅ。何か食べさせてー」

律「そうだじぇー、餓死したら警察沙汰だぞー」バタバタ

梓「全く、どの口が言うんでしょうね…。分かりましたよ、水分なら好きなだけ摂取させてあげますです」サッ

律「おっラッキー!言ってみるもんだな。夜は長いし飲み溜めておくぜ!」グビグビ

唯「わーい、有り難うアズゾウニャン!」グビグビ

梓「いえいえ、どう致しましてです。これで餓死の心配は大丈夫です」

梓「それじゃーせいぜいアズゾウゲームを楽しむですよー!」バタン

スタスタ

唯「アズゾウニャン行っちゃったね」

律「ケッ!なーにがアズゾウゲームだ。ジグゾウゲームの方がよっぽど面白いっつーの」

紬「まぁまぁ律っちゃん。なんだかパジャマパーティーみたいで楽しそうだわ」

律「私達全員制服のまま床に寝っころがってるけどなー」ゴロゴロ

唯「これはこれでヒマだよねー」ゴロゴロ

律「……………!」

唯「ん?律っちゃんどうしたの?」

律「え、…いや何でもねぇよ!いや本当に」

唯「そう?だったらいいけど」ゴロゴロ


梓「そうそう、憂のお姉ちゃんも。うん、軽音部皆だよ。あ、…澪先輩以外。うん、それじゃね」ピッ

私は携帯電話のボタンを押し、通話を切る。そして、フト空を見上げる。
校門前から見上げる空、それは星屑の海で洪水が巻き起こり、私はただ呆然と見上げる事しか出来なかった。


律「ねぇー、ねぇー唯ちゃぁんー」モジモジ

唯「ん?何律っちゃん、そんな猫なで声でどしたの」ゴロゴロ


人は日常生活に色々な仮面を…ペルソナを被り生活をしている。今日の私は本当にペルソナを外してしまったのだろうか……。

暫くの間思案し、自嘲気味に笑う。私は私だ、例えどんなペルソナを被っていようとも、今軽音部という安息の地があるならば関係ない…。
でも、出来る事ならば私達全員がペルソナを外し。それでも笑い合えるならそれはもっと素敵な事なのかな…。


律「もう限界…、出る…。マジで出る!ゴメン、出るぅ!」ソワソワ

唯「ちょっ…、ちょっと待って律っちゃん隊員!?」

紬「出るって…、まさか律っちゃん尿意がッ…?」ガタガタ

そんな事を想いながら私は歌う様に呟く。この言葉が唯先輩達に届くと祈って。


唯「待って律っちゃん!こんな身動きの出来ない状態でオモラシしたら!?」ガタガタ

紬「頑張って律っちゃん、足を振り子みたいにすればなんとか立ち上がれるわ!諦めないで、諦めちゃダメ!」


律「え?あ、うん………。もういいです」ピタッ

紬「…………………え?」

唯「ねぇ…これって…。ねぇ、隊員のスカートから流れてコッチにくるこれって……」

律「…………………………………」ニコッ


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。

梓「ようは飲んだら出るって事ですぅ。プップーッ!」


唯『律っちゃぁあぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁんッッ!!!』


戦慄のアズゾウゲーム
=おしまい=



最終更新:2010年08月31日 20:12