夜・平沢家リビング
唯「・・・って事があったんだ」
憂「猫さんかー。ムギさんの性格なら、猫と同じ名前でも喜びそうな気がするけど」
唯「でもそれは、私達の勝手な思い込みだったのかも知れないから。案外本人は、気にしてるかも知れないよ」
憂「なるほど。お姉ちゃん、本当にムギさんの事考えてるんだね」
唯「だって、友達なんだもん。澪ちゃんもりっちゃんもあずにゃんも。私は言葉にするのは苦手だけど、その分色々考えなきゃって思うんだ」
憂「お姉ちゃん」
唯「たはは。ちょっと、格好付け過ぎちゃったね」
憂「そんな事無いよ。やっぱりお姉ちゃんは、お姉ちゃんだよ。そうやって真剣に考えてくれるから、みんなもお姉ちゃんの事が大好きなんだよ」
唯「ありがと、憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
翌朝・教室
唯「という訳で昨日は、憂と一緒に寝ました」
和「昨日も、でしょ。つくづく、のんき姉妹ね」
唯「和ちゃんは、動物と名前が似てたり見た目が似てたらどう思う?」
和「別に、どうとも思わないよ。似てる動物もいないから」
唯「そうかな。フクロウってイメージだよ。フクロウ博士って。ほーほー」 ばさばさ
和「どうとも思わないわよ」 ぴく
律「おーす」
唯「だったらりっちゃんは何だろ思う?」
和「アライグマとか、イタチとか。そういう小動物じゃないかしら」
律「私の事か?和は、フクロウってイメージだよな。ほーほー」 ばさばさ
和「どうとも思わないわよ」 ぴくぴく
紬「みんな、おはよう♪」
律「じゃあ、紬はどうだ?」
唯「キタキツネじゃない?」
律「ああ、っぽいな」
紬「私を動物に例えるとって事?だったら和ちゃんは、フクロウかしら。ほーほー」 ばさばさ
和「どうとも思わないわよ」 ぴくぴくぴく
澪「おはよう」
唯「澪ちゃんはどうかな」
律「クロヒョウとか、そんな感じだろ」
和「なるほどね」
澪「動物に例えるって事か?だったら和は、キタキツネだな」
和(空気読まないし、被ってるし)
放課後・軽音部部室
梓「済みません、遅れました」
紬「梓ちゃんはどうかしら」
律「黒猫だろ。澪の親戚だよな、ある意味」
梓「私を動物に例えるとって事ですか?和先輩は、フクロウってイメージですけど」
和「どうとも思わないわよ」 ぱたん
律「いたのかよ」
……
唯「かなり本気よーっ♪」 じゃーん
律「よーし、一旦休憩。紬、お茶頼む」
紬「・・・」 きょとーん
律「紬?お茶、お願い」
紬「え?ああ、はい。今用意するわね」 あたふた
律「なんだ、あれ」
澪「今度はムギって呼んで欲しくなったのかな。それとも、紬って呼び方に慣れてないのかも」
律「だったらどうするんだよ。いっそ、琴吹さんって呼ぶか?」
澪「それはあまりにも、他人行儀だろ。大体、田井中さんって誰だって話になるぞ」
律「悪かったな」
唯「むつぎちゃん。美味しいね、このお菓子」 はむはむ
紬「北海道から取り寄せた、バタークッキーよ♪」 ニコニコ
律「
カオスだな、もう。やっぱり、名字で統一するか?」
澪「でもそうなると、梓が呼びにくいだろ。中野って呼び捨てか?」
梓「私は構いませんよ」
律「じゃあ、中野にゃんは?なかのにゃーん♪どははー♪」 ばんばん
梓(デコ、デコ、デコ、デコ、デコ、デコ)
律「片付けも完了、と。さて、そろそろ帰るか」
紬「今日は、みんなと一緒に帰れて嬉しいわ♪」 るん
唯「私もだよー♪」 にかー
紬「うふっ♪」 にこー
澪「なんだかんだと言って、仲良いよな」
律「だって、友達なんだもん」
澪「ああ、そうだな。でも、お前が言うと腹が立つ」
律「おい」
夕方・商店街
紬「あ、ペットショップ」
唯「入ってみる?」
紬「ええっ」 るん
唯「でもむつぎちゃんの家だと、動物園とかありそうだね」
紬「まさか。だって、ホワイトタイガーはもう飼ってないもの」
律「突っ込む気にもなれん」
ペットショップ内
九官鳥「オハヨー、オハヨー」
律「だから、夕方だって。本当、澪は馬鹿だな」
澪「それはもう良いんだ、デコッパチ。・・・って釘付けか」
律「え、何が?」
梓「デコッパチの方に突っ込んで下さいよ」
紬「可愛いー♪」 すりすり
唯「本当、可愛いね-」 ちょいちょい
律「ああ、スコティッシュホールドか」
澪「猫を嫌ってる様子は無さそうだけど」
梓「猫を嫌いな人なんて、この世の中にはいませんよ」
律「いや。普通にいるだろ」
梓「だったらその人は、人じゃないんですよ」
律「笑顔で言うなよ」
女性客「あの猫、可愛いね」
男性客「スコティッシュ何とかだっけ」
女性客「スコティッシュホールドよ。ほら、名前も付いてる」
男性客「ペットショップの猫に名前なんて。……本当だ、iqum。いくむ?」
女性「逆でしょ。mugi。むぎちゃんじゃない」
紬「・・・」 ぴく
女性客「むーぎちゃん」
紬「・・・」 だらだら
女性客「おーい、むぎちゃん。むぎちゃんって」
紬「・・・」 だらだらだらー
唯「ムギちゃんっ、行こうっ」 だっ
紬「ゆ、唯ちゃん。ちょっ、ちょっと。引っ張ったら、手がっ」 ずるずるっ
女性客「え?」
男性客「あれ?」
律「いえ、こちらの事はお構いなく。澪、梓。私達も行くぞっ」
澪「おう」 だっ
梓「はいっ」 だっ
街外れの公園
紬「ゆ、唯ちゃん。わ、私もう、走れ、ない」 はぁはぁ
唯「わ、私も」 ぜぇぜぇ
紬「で、でも。どうして、急に走り出したの?」
唯「え、えと。それはあの。ム・・・。つ・・・。紬ちゃんが、嫌がってるのかと思って」
紬「え?」 ぱちりこ
唯「はい?」 ぱちりこ
唯「ちょっと、落ち着こう。ちょっと落ち着こうよ」
紬「落ち着くのは、人生にとって大切な事よ♪」 ニコッ
唯「そうだね」 ニコッ
紬「それで?」
唯「そう。さっきペットショップで女の人が、むぎちゃんって呼んでたじゃない。あれを、紬ちゃんが嫌がってるのかと思って」
紬「え?・・・ああ、そうか。唯ちゃんは、そう思ってくれたんだ。・・・ありがとう」 ぺこり
唯「あれ、何か違った?」 あせあせ
紬「そ、そうじゃないんだけど。そう勘違いされてると、私も言い出しづらいというか。恥ずかしいというか」 あせあせ
紬「えーと。何というのか。私、先週あのペットショップに行った事があるの」
唯「うん」
紬「その時にもスコティッシュホールドがいて。可愛いなーって思いながら見てたら」 だらだら
唯「見てたら?」
紬「さっきみたいに他のお客さんが、「むぎちゃん」って呼んだのよ」 だらだらだら
唯「・・・それで」 だらだら
紬「私思わず、「はいっ♪」って最高の笑顔で振り向いちゃったの」 かー
唯「お、落ち着くのは、人生にとって大切な事だね・・・」 おどおど
紬「だからムギって呼ばれても反応しないようにと思って。軽音部でも、つい」 しょぼーん
唯「そうだったんだ。私、てっきり嫌われてるかと思って」
紬「そんな、まさか。初めもそう言ったじゃない」 あせあせ
唯「う、うん。でもやっぱり呼ばれて反応しないと、ちょっっと寂しいから」 しゅん
紬「ご、ごめんなさい。でも呼ばれて反応して、恥ずかしい思いをしちゃったから」 しゅん
唯「そっかー」 遠い目
紬「そうなんですよー」 遠い目
紬「でも私、すごい嬉しかったの」
唯「何が?」
紬「唯ちゃんが、私を気遣ってくれた事。みんなが私を気遣ってくれた事が」
唯「当たり前だよ。私達は友達なんだから」
紬「それに私を、「ムギ」って呼んでくれた事が」
唯「え。だったら」
紬「ごめんなさい。・・・やっぱり私、ムギって呼んで欲しいっ」
唯「ムギちゃんっ♪」 きゅっ
紬「唯ちゃんっ♪」 きゅっ
律「よーし。二人とも、そこまでだ。どこで突っ込もうか、うずうずしながら聞いてたぜ」
唯「あ、りっちゃん?みんなも、いつのまに」
澪「まあまあ。とにかく、そういう事なら私達も異論は無いよ。むしろ大歓迎だ、ムギ」 ニコッ
紬「澪ちゃん・・・。ありがとう」
梓「私もですよ、ムギ先輩」 ニコッ
紬「梓ちゃん・・・。ありがとう」
律「勿論私もな。ムギ」 ニカッ
紬「りっちゃん。・・・ありがとう」
律「気にすんなよ。私達は仲間だろ。な、澪♪」
澪「まあ、そういう事にしておくか。ムギもこれからは一人で抱え込まないで、すぐに相談しろよ。その、律が一番頼りになるからさ」 てれてれ
唯「これにて一件落着だね。私は、ちょっと恥ずかしかったけど」
紬「ううん。全然そんな事無いわよ。あの時の唯ちゃん、すごい恰好良かったもの」 ぽっ
唯「そ、そう?私も、たまにはみんなの役に立ってるのかな」
梓「何言ってるんですか、唯先輩。役に立ってるとかどうとか、私達にそんな他人行儀な事言わないで下さいよ」
唯「お、怒られた。でも、ありがとう。あずにゃん♪」 きゅ
梓「ま、またっ。きょ、今日だけですよ」 てれてれ
律「初々しいのぅー。澪にも、ああしてやろうか」 にぎにぎ
澪「馬鹿、何言ってるんだ」 (言う前にやれよ、そういう事は)
紬「うふふ♪」 ニコッ
夜・平沢家リビング
唯「・・・って事があったんだ」
憂「そうなんだー。でもよかったね。結局みんなの勘違いで」
唯「本当だよ。まあ、私が一番勘違いしちゃったんだけどね」 あせあせ
憂「そんな事ないよ。お姉ちゃんが真剣にムギさんの事を考えてたから、またみんなと笑っていられるんだよ。お姉ちゃんも頑張ったからだよ」
唯「そ、そうかな。憂は、いつも私に優しいね」
憂「私はいつも、本当の事しか言ってないよ」 ニコッ
唯「ういー♪」
憂「お姉ちゃん♪」
翌朝・教室
唯「という訳で、昨日は憂と一緒に寝ました」
和「毎日寝てるじゃない。ともかく、丸く収まって良かったわね」
唯「ふくろう博士のお陰だよ」 ばさばさ
和「それはもう良いのよ。大体私は、何もしてないでしょ」
唯「そんな事無いよ。和ちゃんがどっしり後に構えてるから、私は自由にやれるんだよ」
和「私は唯のお母さんじゃないのよ♪」 つんっ
唯「てへへー♪」 にへー
律「おーす。相変わらず仲良いな、二人とも」
唯「和ちゃんは、私のお母さんだからね」
律「さらっと怖い話になってきたな」
和「そんな訳無いでしょ」
律「だったら唯は、私の子供になるか?」
和「そんな訳無いでしょ」 ぎろっ
澪「おはよう。・・・どうかしたのか?」
律「いや。唯を誰が引き取るかって話」
澪「ごめん。全く意味が分からない」
和「冗談よ、ただの冗談」
澪「だったら、私が引き取ろうか」
和「冗談は聞いてないのよ」 ぎらっ
紬「みんな、おはよう♪……あれ、どうかした?」
律「別に。唯を、誰が引き取るかって話」
紬「それ、何の冗談?」
和「これが普通の反応よ」
澪「私が引き取るんだから。なんて言うつもりじゃないだろうな」
紬「まさか。だって唯ちゃんは、私の親友なんだもの♪」
唯「ムギちゃんっ♪」 きゅっ
終わり
最終更新:2010年08月31日 23:31