紬「唯ちゃん?」
唯「ん?」
紬「あの・・・手紙、見てくれた?」
唯「手紙?」
紬「う、うん」
律「ムギが唯に手紙出したのか?」
紬「え、えっと、うーんと・・・」
澪「?どうしたんだ?」
紬「な、なんでもないの!さっ、練習しましょう、練習!」
澪(出したんだな)
梓「さすがムギ先輩。素晴らしいです」
律「うげっ」
唯「あーあ、りっちゃんが余計なこと言うから・・・」
律「にゃにおー!?」
唯「きゃー」キャイキャイ
梓「楽しそうですね、二人とも」
澪「ほら、お前ら準備しろー?」
唯律「はーい」
帰り道
唯「手紙って、そんなの来てたっけ・・・」
梓「なんで自分宛の郵便物がわからないんですか」
唯「だってー、そういうのは憂が全部やってくれてるんだもん」
梓「あー、っぽいですね」
唯「むぅー。私だけに出したのかな、ムギちゃん」
梓「どうなんでしょう?それにしても、直接言ったりメールしたりすればいいのに・・・内容が気になりますね」
唯「うん、どうしよう。早く帰りたくなっちゃった」
梓「え?ど、どうぞ」
唯「なんてねー。あずにゃんと分かれてからダッシュで帰るからいいんだー」ムギュ
梓「ちょっ!?道端でやめてくださいよっ」
唯「えー」スリスリ
梓「全く・・・少しは人目も気にしてください」
唯「つまり人前じゃなかったらいいんだね?」
梓「そ、そういう意味で言ったわけじゃないですよ」
唯「そーなの?」
梓「そーなの」
唯「じゃあ、そーゆーことにしといてあげよう!」
梓「はい、そーゆーことにしといてください」
唯「へへー」
梓「あ・・・」
唯「うん。ここでお別れだねー」
梓「ですね。それじゃ・・・」
唯「ほい、また明日ねー」バイバーイ!
梓「はい、お疲れ様でした」ペコッ
唯「・・・」
唯「よしっ!」ダッ
唯(なんだろう、ムギちゃんからの手紙、なんだよね・・・?)タッタッタッ
唯(さっきあずにゃんも言ってたけど、なんで手紙?)
唯(うーん、気になるよ・・・)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
憂「ふんふんふーん♪」
憂「今日の晩ご飯はお姉ちゃんの大好きなアレだよー♪」カチャカチャ
憂「明日の晩ご飯もお姉ちゃんの大好きなアレだよー♪」トントントン・・・
憂「私の頭の中はお姉ちゃんが大好きでアレだよー♪」コトコトコト・・・
ガチャ
唯「ただいま!!」バタンッ!
憂「うわったああぁぁぁぁ!!?!?!?」
唯「憂、ただいまー!」ヒョコッ
憂「び、びっくりしたー・・・おかえり、お姉ちゃん」
唯「うん!あのさ、私宛に郵便物届いてなかった?」
憂「ゆ、郵便物?来てなかったと思うよ?」
唯「あれー?」
憂「あ、もしかしてあれのことかな」
唯「なんか来てるの!?」
憂「う、うん。私取ってくるからお鍋見ててくれる?」
唯「了解でございます!」ビシッ!
憂「ふふ、それじゃちょっと行ってくるね」
唯「うー」ジー
唯「わっ!あぶない!?・・・っと、ギリギリセーフ!」
唯「ちょっと火弱くした方がいいのかな」
唯「・・・」ウズウズ
唯「でも憂すぐ戻ってくるだろうし、いっか」
唯「吹きこぼれちゃ駄目だよー?絶対駄目なんだからねー?」ジー
憂「戻ったよー」ヒョイッ
唯「あ・・・あぁん!ちょっ・・・そ、んなぁ・・・だ、駄目だってばぁ・・・!!」
憂「お姉ちゃんそれやめて。私の理性の糸がブチ切れるから即刻やめて」
唯「あ、憂!戻ってきたんだねー」ニコ
憂「うん。はい、お姉ちゃん宛の郵便物はそれくらいかなぁ」スッ
唯「ん。ありがと」
憂「でも危なかったよー。ゴミの日にシュレッダーにかけて捨てるつもりだったから」
唯「んな!?ムギちゃんのお手紙にそんなことしちゃ駄目だよぉ!」
憂「え?」
唯「え?」
憂「それ、紬さんからの手紙なの?」
唯「・・・」ジー
唯「ううん。これはシュレッダーにかけていいと思う」
憂「だよね」
唯「セールのお知らせかー」
憂「紬さんがお手紙出したって言ってたの?」
唯「う、うん。あの口ぶりだともう届いてるはずなんだけど・・・」
憂「いつ出したか聞いてみたら?」
唯「あ、それもそうだね。私ちょっと部屋行ってくる!」
憂「うん。あと30分くらいしたらご飯だから声かけるね」
唯「うん!よろしく!行くよ、ギー太!」ダッ
憂「・・・お姉ちゃん可愛い」ボソッ
唯「あ、そうだ」ヒョイッ
憂「うわぁ!?」
唯「さっきの曲、可愛いかったよ!んじゃね!」タッ
憂「聞かれてた、だと・・・!?」
唯「ふぃー。部屋着にも着替えたし、これでゴロゴロしながらムギちゃんと電話できるね」
唯「えーと、ケータイどこだっけ?」ゴソゴソ
唯「制服のポケットかなー」ゴソゴソ
唯「ないや。っていうことはカバンの中だったかー」ゴソゴソ
唯「ない」
唯「なんで・・・」
唯「えーと、えーと。あ!・・・そうだ!」
唯「りっちゃんに電話して私がどこにケータイしまってたか聞こうっと」
唯「えーと、りっちゃんに電話は・・・」
唯「あ、無理か」
唯「・・・」ショボーン
唯「・・・ギー太弾こうかな」
唯「よいしょよいしょ」ゴソゴソ
唯「よしっ、頑張ろう!」
唯「あ、そういえば・・・」
唯「昨日ムギちゃんに新しい曲のスコアもらったんだ。練習しないと」
唯「確かギターケースのポケットに・・・」
唯「あ、あったあった」ガサッ
唯「よーし、やろう!」ペラッ
ヒラッ・・・
唯「ん?今、何か・・・なんだろ」ヒョイッ
『唯ちゃんへ』
唯「」
唯「あ、あ、あ、あったぁぁ!!!」
唯「ムギちゃんの手紙って、これだよね!?」
唯「あった!あったよー!」
唯「んもー、こんなところにいたんだね?」
唯「あ!もしかして・・・!」ゴソゴソ
唯「!?・・・やっぱり、君もここにいたんだね?」
ケータイ「・・・」
唯「これでムギちゃんに電話出来るね!」
唯「手紙もケータイも見つかってよかったよー」
唯「・・・あ、そっか。手紙見つかったんだから電話する必要ないよね」
唯「この手紙、何が書いてあるんだろう?」
紬「・・・」
斉藤「紬お嬢様」
紬「・・・はぁ」
斉藤「お嬢様」
紬「あ、ごめんなさい。なに?」
斉藤「心ここにあらず、ですか?」
紬「うん・・・そう」
斉藤「先日の手紙の件ですよね・・・?」
紬「うん・・・」
斉藤「後悔、してますか?」
紬「・・・いいえ、まさか」
紬「これはいつか伝えなければならなかったこと。ずっと伝えたいと思っていたこと。後悔なんてしてないわ」
斉藤「そうですか」
紬「えぇ。ただ・・・昨日渡した楽譜に忍ばせたんだけど、まだ気付いてないみたいなのよね」
紬「それがちょっと、肩透かしというか、寂しかったというか・・・」
斉藤「えぇ、わかりますよ」
紬「早く唯ちゃんに読んで欲しかったから、残念だなって思ったの」
斉藤「・・・」
紬「今日は、読んでくれるかな」
斉藤「・・・さて。そろそろお食事の時間です」
紬「えぇ。すぐに行くわ」
唯「えーと?」
『唯ちゃんへ』
唯「綺麗な封筒だぁ」
唯「開けるのが勿体無いくらい」
唯「・・・なんだろう、早く開けよう」
唯「・・・」ガサガサ
唯「ほっ!中身は1枚かー」
唯「さて、読みますかなー」ピラッ
唯「えーと、どれどれー?」
唯「え・・・?」
唯「・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
憂「お姉ちゃーん?ご飯できたよー」コンコン
憂「お姉ちゃん?」
憂「・・・」
憂「・・・入るよ?」ガチャ
唯「・・・」グスッ
憂「え・・・?」
唯「どう、しよう・・・」
憂「泣いてる、よね?何があったの?」
唯「ん・・・あのね、ムギちゃんからの手紙、昨日もらった譜面の間に挟まってたんだ・・・」
憂「うん、それで?」
唯「私、私・・・すごく、嬉しいんだ」
憂「・・・え?」
唯「ムギちゃんが、私のこと、こんなに想ってくれてるなんて、知らなくて・・・」グスッ
憂「えっと・・・ラブレター、とか?」
唯「ラブレター・・・?そう、かも」
憂「」
唯「憂?」
憂「あ、ごめんね。うんと・・・」
唯「ん?」
憂(中身が気になる・・・!)
唯「見る?」
憂「いいの!?・・・って、駄目だよ!妹だからって、そういうのは人に見せちゃいけないと思うよ?」
唯「ううん。できれば、見て欲しいな」
憂「え・・・?(何、言ってるの?)」
唯「はい、読んで?」スッ
憂「い、いいの?」
唯「うん」
憂「そ、それじゃ・・・」ペラッ
『唯ちゃんへ
いきなりこんなお手紙渡しちゃってごめんね。
でもね、どうしても伝えたいことあるの。
本当はメールでもよかったんだけど、
こういうのって形に残った方がいいなって思ってお手紙にしました。
いつか、そのうち、そんなことを言ってる間に
伝えられなくなってしまうのが怖いから。
何の記念日でもないけど、許してね。
私、唯ちゃんの歌が大好き。
もちろんギターも好きよ。
ライブ中の楽しそうな後ろ姿はすごく素敵。
見てる方まで楽しくなってきちゃうの。
なんて言ったらいいのかな?
とにかく、私は唯ちゃんの音楽が大好き。
いつまでも唯ちゃんは唯ちゃんのままでいてください。
そして、これからも私の作る曲を歌い続けてください。
それじゃ、おやすみなさい。
P.S.お返事はいらないからね』
憂「・・・」
唯「私、私・・・!」
憂「お姉ちゃん、よかったね」
唯「うん・・・!うん・・・!」
唯「ムギちゃん・・・」
憂「なんていうか・・・バンドって、いいね」
唯「うん・・・最高だよ・・・!」
次の日の帰り道
唯「ムーギーちゃん!」
紬「ん?どうしたの?」
唯「手紙・・・読んだよ」
紬「・・・!?」
律「手紙って?昨日言ってたやつか?」
唯「うん!」
澪「へぇ、どんな内容なんだ?」
唯「へへー、内緒!」
律「えー!?気になるだろー!?」
梓「そうですよ、教えてくださいよ」
紬「うふふ」
唯「あのさ、ムギちゃん?」
紬「なあに?」
唯「私も、ムギちゃんに手紙書いてきたんだ」
紬「え!?お返事はいらないって言ったでしょう?」
唯「うん。でも、私もどうしても伝えたくなっちゃって」エヘヘ
紬「唯ちゃん・・・」ジーン
唯「本当は会ってすぐに言いたかったんだけどね。やっぱり、形に残った方がいいなーって思ったんだ」
紬「ふふ。すごくわかるわ、その気持ち」
律「おい、私達・・・蚊帳の外じゃないか?」
澪「全く、しょうがないな」
律「へ?」
唯「はい。ムギちゃんの封筒みたいにカッコよくないけど・・・」スッ
紬「そ、そんなことないわ!」
澪「ほら、これ・・・やるよ」スッ
律「え?なにこれ」
澪「見たらわかるだろ」
律「お、おう・・・」
澪「昨日、ムギが唯に手紙出したって聞いたから、さ・・・私も書いてみたんだ」
律「そっか。えっと・・・なんか、照れるな」アハハ
澪「バカ、私だって恥ずかしいよ・・・///」
律紬「・・・ありがとう」
梓「はい、私一人で村八分ー」
紬「心配しないで、梓ちゃんにも書いてる最中だから」
梓「え、え?手紙をですか?」
紬「えぇ。梓ちゃんにも、りっちゃんにも、澪ちゃんにも」
律澪梓「・・・?」
唯「内容は読んでからのお楽しみなんだよ!」エッヘン!
澪「え、ちょっと待って」
紬「どうしたの?」
澪「ムギは唯だけに書いたんじゃないのか?」
紬「そうだけど、これからみんなにも書くつもりよ?」
澪「へ、へー」
律「なるほどな。バンドメンバーへのラブレターってとこか?」
紬「もうっ。当てちゃダメよ、りっちゃん」
律「ははは、ごめんごめん。・・・どうしよう。すごい楽しみだ」
梓「私もです!」
澪「・・・あははは」
紬「どうしたの?」
律「おっと、それじゃ私達こっちだから。またなー!」バイバーイ!
唯「ばいばーい!」
紬「さようなら」
澪「また明日なー」
梓「お疲れ様でしたー」
律の家
律「澪も可愛いことしてくれんじゃん」ガサガサ
律「あいつもなんだかんだ言って放課後ティータイムが好きなんだよなー」
律「ムギの手紙も楽しみだ」
律「私も返事書いた方がいいのかな?いや、柄じゃないか」
律「えーと、なになにー?私のドラムが大好きとか書いてあるのかなー♪」ペラッ
『律へ
ずっと前から好きだった。
付き合ってくれ。
返事はいつでもいい。待ってるから。』
律「あー、うん。こんなことだろうと思った」
おわり
最終更新:2010年09月01日 21:09