紬「はーいどうしたのー?」

梓「お茶入れて~」

紬「わかったーちょっと待ってね~」

梓「うん」

紬「しゃらんらしゃらんら~」

コポコポ

紬「はい、どうぞ」コト

梓「ありがと」

梓「ん……」

紬「おいしい?」

梓「うん、おいしいよー」

紬「よかった」

梓「ありがとね」ギュッ

紬「わっ」

梓「あったかい……」ギュウ

梓「ねえ」

紬「ん?」

梓「お姉ちゃんっていい匂いするよね」

紬「そうかな」

梓「うん、いつもいい匂い」くんくん

紬「嗅がないでよ~恥ずかしいなあ」

梓「だってこの匂い好きなんだもん」

紬「梓ちゃんだっていい匂いするよ」

梓「ほんと?お姉ちゃんと同じ匂い?」

紬「それは分からないけど……でもいい匂い」

梓「へへへーじゃあ嗅いでいいよ~」スリスリ

紬「ふふふっ……うん、いい匂い」

梓「もっと嗅いで~」

紬「もういいよ、ありがとね」

梓「え~終わり?」

紬「もう、梓ちゃんたら」

梓「なに?」

紬「部活の時はあんなにつんつんしてるのに……」

梓「だってお姉ちゃんの前だと落ち着くんだよ」

紬「……」

梓「いい匂いだし、優しいし、やわらかいし……」

紬「……もう、でもちょっと嬉しいかも」

梓「でしょー?だったらいいじゃ~ん」

紬「でも、柔らかいは余計です!」こつん

梓「あてっ!……ほめ言葉なのに……」

紬「あんまり嬉しくないなあ」

梓「う~……もったいないよ!こんなにやわらかいのに!もふもふ!」

紬「ちょ、ちょっと!」

梓「あ~髪もふわふわだねー」

紬「……ふふ」

梓「……」

紬「……?」

梓「ねー」

紬「なあに?」

梓「お姉ちゃんとわたしって……全然似てないよね」

紬「そうかな……」

梓「全然ちがうよ!わたしなんか髪も真っ黒でストレートだし、目付きも性格も体つきも違うじゃん!」

紬「う~ん……なにか嫌なことある?」

梓「……ないけど……」

紬「じゃあいいでしょ?実はわたし梓ちゃんみたいにストレートがよかったんだよ」

梓「それはダメだよ!」

紬「え?」

梓「お姉ちゃんはふわふわの髪じゃなきゃだめ!」

紬「でも、梓ちゃんの髪きれいだし……」

梓「お姉ちゃんのほうがきれいだよ!それにいい匂いだし!」

紬「梓ちゃんもいい匂いだよ」

梓「お姉ちゃんのほうがいい匂い!それに……」チラッ

紬「?」

梓「む、胸も……全然ちがう」

紬「あ、気にしなくても……」

梓「わたしなんてこんなぺったんこじゃん!」

紬「でも梓ちゃんはかわいいから心配いらないよ」

梓「そうじゃないの!わたしだって……もっとおおきくしたいもん」

紬「梓ちゃん……」

梓「……お姉ちゃんみたいになりたかった」

紬「!そんなこといっちゃだめ!」

梓「!」

紬「梓ちゃんはそのままでいいの!」

梓「でも……」

紬「わたしは今の梓ちゃんが一番好きだよ」なでなで

梓「……ほんと?」

紬「うん、そうだよ」なでなで

梓「そっか……」

紬「うん、だからそんなこともういっちゃだめだよ?」

梓「……わかった」

紬「よしよーし」

梓「……えへへ」

紬「どうかした?」

梓「んーん。やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだね」

紬「へ?」

梓「なんでもないよ!」

紬「そう……?」

梓「うん、じゃあもう寝よ?」

紬「そうね、明日もあるしね」

梓「じゃあ一緒に寝よー」

紬「また?」

梓「……いや?」

紬「そんなことないよーほら、おいで」

梓「うん!」



紬「じゃあおやすみなさい」

梓「おやすみ」

紬「……寝ないの?」

梓「……ね、手繋いで」

紬「ふふ、はい」ギュ

梓「!」

紬「じゃあ寝ましょう」

梓「うん……また明日ね……」ウトウト

紬「うん、また明日」

──
────

紬「梓ちゃん、起きて」

梓「んぅ……?」

紬「もうご飯できてるから顔洗ってきてね」

梓「ん……わかった」ゴソ

紬「ほらしっかり」

梓「連れてって……」ギュ

紬「うん、一緒に行くからちゃんと起きて」

梓「はぁい」ゴシゴシ



紬「梓ちゃーん!もう出るよー」

梓「ま、待ってー!おいてかないでー!」バタバタ

紬「もう……」

梓「今いくー!」

梓「お、お姉ちゃん……今行くから……」ゴソゴソ

梓「……?」

梓「お姉ちゃーん!」

「……」

梓「!や、やだ待ってよ……」バタバタ

梓「お姉ちゃん!」ダダダ

紬「あ、やっとね」

梓「あ!いるなら言ってよー!」

紬「梓ちゃん遅いから待ちくたびれちゃった」

梓「いじわる!」

紬「ふふっ、おいていったりしないよ、行こ」

梓「……うん」

紬「……わたしも梓ちゃんと行きたいからね」

梓「!し、知ってるよ!行くよ!」ずかずか

紬「あっ待ってよー!」


すたすた

紬(そろそろかな?)

梓「……わたしもう先行くね」

紬「うん、わかった」

梓「また、ね」チラッ

紬「うん、放課後ね」

梓「じゃ、じゃあ」タタタ

紬(恥ずかしがらなくてもいいのに)

梓「……」チラッ タタタ

紬(ふふふっ、かわいいなあ)

──

ガチャ

憂「あ。梓ちゃんおはよー」

梓「おはよ」

憂「今日は紬さんと来たの?」

梓「いや……ひとり」

憂「そっか」

梓「……うん」

憂「あっ!わたし日直だった!」

憂「職員室行かなきゃ。じゃね梓ちゃん!」

梓「うん」

タタタ

梓(ほんとは……ひとりじゃないけど)

梓(……だって、恥ずかしいもん)

──

ガチャ

紬「おはよ~」

唯「お!ムギちゃんおはよー」

律「どうした?良いことでもあったのかー?」

紬「えっどうして?」

律「ん~なんとなく」

紬「いつも通りだよ」

律「そかー」

紬(りっちゃんはこういうところが鋭いなあ)

澪「今日は梓と来たのか?」

紬「えっ?」

澪「いや最近ばらばらだなって……」

紬「あっうん!今日は……」

律「?」

紬「あ!べ、別々に来たよ!」

唯「一緒に来ればいいのにー」

紬「う、うん。そうだよね」

紬(あぶない……言いそうになっちゃった)

紬(内緒にしておいてあげなきゃ)

唯「わたしはいつも憂と一緒だよー!」

澪「はは、ほんとに仲良いよな。平沢姉妹は」

唯「そうです!誰にも負けません!」

律「なにー!?こうなったらわたしも聡と来てやろうかー!」

澪「方向ちがうだろ!」

「あはははは!」

紬(唯ちゃん、仲の良さだったら負けないよ!)



─昼休み。

純「よし、ふたりとも来たね!」

梓「何様なの」

純「純様」

梓「ふーん」

純「流すなー!」

憂「ははは、じゃあ食べよ」

「いただきまーす」

純「……」じー

憂「な、なに純ちゃん」

純「……はーっ」

梓「?」

純「憂のお弁当ってほんとおいしそうだよねー。うらやましい!」

憂「や、やめてよ恥ずかしいよ」

純「いやほんとほんと。ていうかずるい!これもらった!」ヒョイパク

憂「あっ」

純「うまーい!」

梓「あ、憂かわいそう……」

純「なによー」

憂「き、気にしないで。よかったらもっと食べていいよ」

純「ほんと?よっしゃー」ぱくぱく

純「あーおいしー」

純「やっぱり憂のお弁当最高!」

梓「……」

梓(お姉ちゃんだって……料理上手だもん)

梓(時間がないから、作れないだけだもん)

憂「梓ちゃんもどうぞ」スッ

梓「えっ?あ、うん……」パクッ

梓(……おいしい)

純「でも憂すごいよねーお姉ちゃんの分まで作ってるんでしょ?」

憂「うん」

純「いいなーわたしも平沢家に入る!」

憂「はは、無理だよー」

純「ひどっ!」

梓「……」もぐもぐ

純「でもまあそうだよね。憂、お姉ちゃんとすごい仲良しだもんね」

梓「!」

憂「えへへー」

純「入る余地ないや」

憂「純ちゃんも兄弟いるでしょ?」

純「あーダメダメあんなの。姉をばかにしてるんだもん」

梓(わたしだって仲いいし……それに……)

純「あ。梓はどうなの?」

梓「へっ?」

純「梓にもお姉ちゃんいるじゃん。ムギ先輩」

梓「う、うん」

純「仲良いの?」

梓「え?その……」

憂「紬さんきれいだよね~」

梓「え!?」


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最終更新:2010年09月02日 22:57