─家

唯(ふ~あぶないあぶない)

唯(材料は買ってきたから、これでどうにかなるはず!)


憂「ただいまー」


唯(うっ……早いな、憂め)

唯「おかえりー!」

憂「おね、唯、それどうしたの!?」

唯(……まぁバレちゃうのはしょうがないよね)

唯「お夕飯の材料だよ~」

憂「えっ、おねえ、唯が作るの?」

唯「そうだよ!任せてっ!」

憂「大丈夫?」

唯「大丈夫だよ~…心配性なんだから憂は」

憂「うん……」

唯「っと、その前におうちをお掃除します!」

憂「私も手伝うよ!」

唯「いーや!憂はゴロゴロでもしてて!」(手柄は私1人のものにしないと)

憂「そ、そお?」

唯「うん!大船で酔ったつもりで待ってて!」

憂「大船に乗ったつもりで……」

唯「そう!それ!」

唯(……というわけで、お掃除を始めようと思ったら)

ピカピカ ピカピカ

唯(すでに綺麗……)

唯(くそぅ、憂め、日頃から私の手柄を奪っていたとは)

憂「……そういえばいつか窓拭かないとなぁ…あはは」

唯(なんと!)

唯「今、なんて!?」

憂「ま」唯「あ!!そうだ!窓拭きやろう!」

唯「あ、憂、さっきは?」

憂「ううん、なんでもないよ♪」

憂(ふふ、聞こえなくても気付いたお姉ちゃんさすが)

唯(よしっ!聞こえないフリもしたし、バレてなければ完璧に私の手柄!)


唯(この泡の出るスプレー面白い!)

プシュー

唯(ふふ…)

トントン!

唯「うい~」

憂「なぁに、ゆね、唯」(お姉ちゃん外にいるけど、どうしたのかな)


唯「じゃーん!しろひげっ」


憂「わぁ!」

唯「ほら~サンタさんだよぉ」

憂「かわいい~♪」


唯(……くそ、憂を笑わせられなかった)

憂(お姉ちゃんかわいいなぁ~♪)

唯(でもなんか喜んでくれてるし、いいや)



─しばらくして

唯「…」フキフキ

憂(お姉ちゃん真剣にやってるけど……そろそろ終わりでいいんじゃ)

憂「唯」

唯「…」フキフキ

憂(…私が言わない方がいいかな)

唯「…」フキフキ

憂(真剣なお姉ちゃんもかわいいなぁ)ウットリ


─ちょっとして

唯「…終わったぁ!」

憂「お疲れさま!!お、唯!」

唯「いや~……どお!?」

キラキラ ピカピカ

憂「すごいよ!!窓輝いてるし!」

唯「へへ……すご……」

憂「…おね、唯?」

唯「……は……ふぁ……」

憂「唯!?だいじょ」唯「ふぁっくしょいっ!!」ズズ

ベチャッ

唯「んっと……えへへ」(自分の手で良かったぁ)

憂「大丈夫~?風邪引いちゃったのかな……」

唯「へーきへーき!」


唯(いやぁ~はっはっは、我ながら最高の窓拭きだったね!)

憂(お姉ちゃんの集中力すごいなぁ……さすがお姉ちゃん)


唯「んよし、次はお夕飯つくるよ!」

憂「うん……何か手伝えることはあるかな」

唯「大丈夫大丈夫!憂は見てるだけでいいよ!」

憂「そう?」

唯「うん!これ見たから大体分かるし!」

憂「『とってもごちそう』…それ私が読んでた」

唯「そうだよ!お借りしましたっ」

憂「うん!もちろんいいよ♪」

唯「ん~……」(なんか物足りない気が)

憂「お唯、なんか手伝うよ?」(お姉ちゃん浮かない顔してる……)

唯「大丈夫!あ、でもおトイレ行ってくる、お鍋かき混ぜといて」タタッ

憂「うん!」


憂(ちょっと味見……)ペロ

憂(おいしい……!お姉ちゃんはやっぱりやればできる人だよねぇ)

憂(でもこれをちょっと足したらもっとおいしく……)ササッ

唯「あ、憂、ありがと」

憂「全然いいよ~」

唯「待っててね~……おいしいのができるよぉ」

憂「うんっ!」

唯「味見しよっと」ペロ

唯(ふふ、よくなってきてるねぇ)


憂(楽しみだなぁ~お姉ちゃんのお料理食べるの)


コトコト

唯「ねえ、うい」

憂「なぁに?お、唯」

唯「憂はいつもなに考えながらお料理してる?」

憂「う~ん……特にこれといって考え事は」

唯「そうなの?」

憂「特に考えごとをしてすることは無いけど……唯は?」

唯「私はどうしたら美味しくなるかなーとか、美味しくなりますようにって願ってたよ」

憂「あ…」(私もそれは思ってるけど……なんかお姉ちゃんに気付かれされたかも)

憂(やっぱりなんでも心を込めて作ることが大切だよね、うんうん)

唯「うい?」

憂「ううん、私もいつも、おいしくなりますようにって!」

唯「えへへ……同じだね」

憂「うんっ」

唯「もうすぐできるよ~」


憂(やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだな~)

唯(…これを食べたら多分憂は喜んでくれるハズ)

唯(そして、私が真のお姉ちゃんだということを憂に思い知らせてあげよう)



─ちょっとして

唯「できたよー!ちょっと待ってね」

憂「うんっ!」

唯「よし……んしょ」

憂「あぁぁ……おね唯、私が運ぶよ」

唯「ううん、憂は座ってて」

憂「でも…」

唯「私に任せなさいっ!……わぁ!」

憂「わ!」

唯「…なんちゃって~」

憂「……もお~お唯ちゃ、唯ったら」

唯「えへへ……余興だよぉ」(本当にこぼすところだった……)


唯「……というわけで用意が出来ましたっ。憂さm……お姉さま」(そういえばお姉ちゃんって呼ぶの忘れてた)

憂「ふふっ、ありがとう唯」

唯「さあ召し上がれ!」

憂「いただきます」

唯「めしあがれ…」じーっ

憂「…」(お姉ちゃん近い……)

唯「…」じーっ

唯(私の作品は……さぁ、どうでる!?憂!!)

憂「えへへ……頂きます」

唯「うんうん」じーっ

パク

憂「うんうんうん……」モグモグ

唯「…」ドキドキ


唯(さあこいっ、憂!!こいっ!!きてっ!!)

憂「わぁ……」

唯「…どお?」ゴクリ

憂「お姉ちゃ」唯「唯 でいいよ」憂「唯、」

憂「……すっっごく、おいしいよ!!」


唯「ふおおおおおおお!!」

憂「今まで食べた中で一番おいしいかも!」

唯「ほんと!?」

憂「うんっ!ほんとだよ!」

憂(お姉ちゃんが作ってくれたんだからマズイわけ無いよ!)



─食べ終わって

唯「ふー」

憂「おいしかった~」

唯「また今度作るよ」

憂「えっ…ありがとうお姉ちゃん」唯「唯でいいよ」


憂「いや……お姉ちゃん、やっぱりお姉ちゃんだよ」

唯「!」(きたかっ!?)

唯「でも……」(もっともっと!!)

憂「私はお姉ちゃんの妹で、お姉ちゃんがお姉ちゃん」

憂「私はやっぱりそれが一番いいと思うなぁ。お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだから!」

唯「憂……」(なんか足りない…)

唯「でもでも、やっぱり私はお姉ちゃんの 資格 が……」(あるよね!)

憂「お姉ちゃんには資格も何もいらないよ。お姉ちゃんだからお姉ちゃん。私はそんなお姉ちゃんが大好き……なんて」

唯「えっ……憂……」(そんなぁ……)

憂「えへへ~……」

唯「資格は無いけどとりあえず私がお姉ちゃん……」

憂「ううん!資格があるよ!お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ!」

唯「だよねっ!!?」

憂「えっ……うんうん!あるよ資格!」

憂「お姉ちゃんのお料理すっごくおいしかったし、窓拭きも凄かったもん!」

唯「うっ…っ…ういうい~えらいえらいうい~」グス

憂「えへへ……」


憂(勢い余って凄いこと言っちゃったかも……聞こえてたかな)

唯(やっぱり私がお姉ちゃんだよね!うんうん!それに憂は私のこと好きって言ってくれたし!)


憂「お姉ちゃん♪」

唯「どうしたの?うい」

憂「ううん♪お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだね~」

唯「?」


憂(やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんって呼ぶのが一番しっくりくるなぁ)



─翌朝

ピピッ

憂(朝だ……)ぬくっ


カチャン!

憂(二階から?何か落ちたのかな……)

バンッ!

「わぁ!」

憂(お姉ちゃん!?)



─キッチン

唯「あ、憂、おはよー!」

憂「お姉ちゃん!?こんな早起きして…」

唯「私と憂のお弁当作ってるんだよ~」

憂「お姉ちゃん……」

唯「えへんっ」

憂「えらい!……けどエプロン変だよ~」くいっ

唯「あっ……えへへ」

憂「ふふ♪……今日のお弁当もすごいね~」

唯「でしょお!」


憂(なんかお姉ちゃんが急にお姉ちゃんらしくなって、嬉しいような寂しいような)



─朝、通学路

唯「私はお姉ちゃんだからね、憂の前にいないとダメなんだよ」

憂「お姉ちゃん……」

唯「だからね、憂、お姉ちゃんをもっと頼りなさい!」

憂「う、うん…」

唯「結構頼りになるよ~ふふふ」

憂「うんっ!それは分かってるよ」

唯「えへへ~…」

「唯!!」

唯「あ!和ちゃん!」

─お姉ちゃんはもうすぐ受験を迎えます

和「おはよ」

唯「おはよー!」

憂「おはよー和ちゃん!」

─お姉ちゃんとは同じ大学に進む予定だけど

唯「和ちゃん、今日のお弁当もまた私が作ったんだよ!」

和「へぇー、すごいじゃない」

唯「あれ……なんか反応薄くない?」



─お姉ちゃんと一緒に過ごせる貴重な時間を

和「そう?だって、普段から自分で作るのってそんなに……」

唯「ま、まあ、確かに。でもね、すごいんだよ!」

和「すごいのは見たわよ、昨日」

唯「あ、そうだよね~」

─これからも大切にしたいと思います♪

唯「憂?行くよー!!早く早く~」

憂「うんっ!!」




おわり♪



最終更新:2010年09月07日 21:47