憂「」ジー

和「・・・」モグモグ

憂「」ジー

和「・・・」モグモグ

憂「」ジー

和「・・・ねぇ、憂?」

憂「何?」

和「そんなに見られてると食べ辛いわ。それと何より、憂も食べなさい」

憂「だって、和ちゃんが美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて」

和「憂も一緒に食事してくれたら、私はもっと美味しくいただけるわ」

憂「そうだね、じゃ私も・・・あ、和ちゃん」

和「何かしら?」

憂「あーん」

和「」

和「はい?もう憂ってば・・・」

憂「あーん!」

和「・・・はい、憂の作った特製唐揚げよ」

憂「んっ!美味しい!美味しいよ、和ちゃん!」モグモグ

和「作ったのは、憂だけどね」

憂「和ちゃんが食べさせてくれたからだよー」

和「はいはい」

憂「はい、じゃあ次は私ね。ほら、あーんして?」

和「・・・何言っても無駄よね。あ、あーん」

憂「はい!」

和「ありがと・・・」モグモグ

憂「美味しいー?」

和「・・・当然よ」


憂「美味しかったね」

和「公共の場所でこんなことやるなんて、途中から私は恥ずかしくて仕方なかったわ」

憂「でも道行く人も微笑ましそうに見てたよ?」

和「まぁ他にやってるカップルも居たけど・・・それにスキンシップと言えばそう見えなくもないとは思うわ」

憂「次はどこに行くの?」

和「私、服を見に行きたいんだけど」

憂「じゃあそうしよう!」



和「ここならいいかな」

憂「可愛い感じのが多いね」

和「さて、私もぬいぐるみを受け取ったし駄目とは言わせないわよ?」

憂「え?」

和「ここには、憂の服を買いに来たの」

憂「私!?」

和「そうよ、憂っていつもパンツルックじゃない?」

憂「あーうん、そうだね」

和「だから私は、憂のスカートとかワンピース姿が見たいのよ」

憂「わ、私はそういうのいいよ!」

和「良くない!私が見たいの!」

憂「えー・・・」

和「今日私が買ったの、次のデートに着てきてね」

憂「あっ!もう既に選び始めてる!?」

和「何だかんだ言って憂が私のお願いを断る訳が無いもの」



和「これ良いわね、きっと憂に似合うわ」

憂「えー、こういう如何にも可愛らしい感じのワンピースはお姉ちゃんとかが似合うのであって私は・・・」

和「貴方達、そっくりじゃない。ほら、つべこべ言わず試着しなさい」

憂「うぅー、和ちゃんが強引だよー・・・」


和「着替えたー?」

憂「うん、着替えたけど・・・」

和「じゃ、開けるわよ」シャー

憂「ど、どう?似合ってる、かな・・・?」

和「・・・」

憂「和ちゃん・・・?」

和「いい!すごく可愛いわ、憂!」

憂「本当?」

和「本当よ、次のデートはこれ着てきなさいね」

憂「・・・うん、和ちゃんに選んでもらえたのが嬉しいから、そうするよ」

和「納得してもらえて良かったわ、じゃあ会計しちゃいましょう。また着替えちゃって」

憂「はーい」



和「憂に似合うのが見つかって、良かったわ」

憂「ありがとう和ちゃん、結構高かったのに・・・」

和「お互い様よ、私も嬉しかったしね」

憂「・・・そうだね。お互い好きだから、いいんだよね」

和「そういうことよ。あとは、澪に美味しいケーキ屋さん教えてもらったからそこに行かない?」

憂「うん、じゃあそこに行こうよ」


憂「あ、本当に美味しい」

和「本当ね、流石澪達御用達だわ」

憂「達?」

和「律と一緒によく来るらしいわ」

憂「あ、そういうことなんだ・・・じゃあ、そのうちお二人に会うかもしれないね」

和「うん・・・そのことなんだけど」

憂「何?」

和「澪達には私達のこと、話してもいいかしら?」

憂「いいと思うよ、軽音部の皆さんは信用できるもん」

和「まぁ、本人達もそうだしね」

憂「それに、梓ちゃんと純ちゃんはもう知ってるの」

和「そうだったの?」

憂「うん、そもそも純ちゃんが私に行けって言ってくれてね・・・」

和「そうなのね・・・まぁ憂が信用してる子達なら大丈夫でしょう」

憂「うん」

和「・・・」

憂「・・・」

和「あっという間ね・・・」

憂「そうだね、もう夕方だもんね・・・」

和「憂と一緒だと、こんなに時間の流れって早いものなのね」

憂「私もびっくりだよ」

和「・・・ふふ、それじゃそろそろ帰りましょうか。今日は、遅くなるって言ってないしね」

憂「うん・・・そうしよっか」



憂「・・・何か」

和「・・・うん」

憂「名残おしいね」

和「そうね」

憂「でも、またすぐにでも逢えるもんね」

和「そうね、毎日だって逢えるわ。お互いがそれを望めば、いつだってね」

憂「うん!そうだね!」

和「あっという間に、平沢家ね」

憂「そうだね」

憂「ねぇ、和ちゃ・・・」

チュッ

和「さよならのキス・・・違ったかしら?」

憂「・・・うん、違うよ。『さよなら』じゃなくて、『またね』だもん」

和「そうね・・・その方がいいわね」

憂「でしょ?・・・じゃあね!和ちゃん!またね!」

和「うん、またね。唯によろしくね」

こうして、私達の初めてのデートは終わりました。

      • 不思議だな。
私はこんなにも和ちゃんが好きで、これ以上好きになんてなれないと思ってたのに。

こうやって和ちゃんと逢う度に、もっともっと、どんどん和ちゃんのことが好きになっていっちゃうよ。

でも、それでいいんだよね?和ちゃんもきっと、同じ気持ちなんだから―



―翌月曜日

憂「でねー、和ちゃんったらねー」ニコニコ

純「あはは、もうすっかりラブラブなんだね。本当上手くいって良かったよ」

梓「すっかりバカップルだね、甘々すぎて砂吐くよ」ザー

憂「えへへ?そう?」ニコニコ

純「梓の砂にも、全く動じてないね」

梓「幸せすぎて気にならないんじゃない?羨ましいことだよね」ザー

憂「うん、私本当に幸せだよー・・・純ちゃんが背中を押してくれたおかげ、本当にありがとう」

純「いえいえ、どういたしまして。私も憂が笑ってる方が嬉しいもんね」

梓「・・・」ザー

憂「・・・ねぇ、梓ちゃん?」

梓「何?」ザー

憂「梓ちゃんも、純ちゃんに相談に乗ってもらったら?」

梓「!」ザ…

純「え?何なに?梓も好きな人居るの?」

梓「ちょ、ちょっと!憂!」

憂「ね?そうしなよ」

純「そうだそうだ、水臭いぞー私にも応援させろー」

憂「ほら、純ちゃんも乗り気だよ?」

梓「別にいい!はい、この話は終わり!」

純「えー・・・」

憂「ふふ・・・」


純「ねー梓ー」

梓「何?」

純「・・・私って、口軽そうで信用できない?」

梓「な、何で!?そんなこと言ってないじゃん!」

純「んー・・・憂には相談してる感じなのに、私には全然教えてくれないからさー」

純「ちょっとショックだよねー」

梓「・・・純」

純「あはは、いいよいいよ。無理矢理聞き出すのはよくないし、気にしないで。むしろ変なこと言ってごめんね」

梓「・・・私、好きな人が、居る」

純「あ、無理しなくていいってば」

梓「ううん、私意地張ってた。純に、相談に乗って欲しいんだ」

純「・・・わかった、純ちゃんに任せておきなさい!」

梓「うん、上手くいったらその人と水族館とか一緒に見に行きたいなー、なんて考えてるんだよね」

純「何か、梓らしいね」

梓「はは、そうかな?・・・その人ってさ、すごく自分勝手に見えるんだけどね」

梓「実は周りのこと誰より気にかけてて、友達思いですごく優しい人なんだよね」

純「・・・うん(まさか、律先輩?それは相手が悪すぎだよ梓ー)」

梓「最初は自分勝手な奴だと思って苦手だったんだけど、そういうところを見てるうちに、気付いたら好きになってたんだ」

純「そう、なんだ(うーん、この場合はどうしよう・・・)」

梓「だからさ、純」

純「何?(あんまり無茶はするなよ、梓ー・・・)」

梓「今度の土日にでも、私と一緒に水族館・・・行かない?」

純「・・・んん?えっ!?」

梓「・・・///」

純「(わ、私のことだったの!?あぁ頬を赤らめてる梓可愛いなー、ってそうじゃなくて・・・!)」

純「(私は梓のことどう思ってる!?梓って小さくて可愛くてその癖生意気だけど、そこがまた可愛かったり・・・)」

純「(・・・って、私も和先輩と同じじゃん!人の相談に乗るとか言っておいて自分のことすら見えてなかったよ!)」

梓「・・・駄目、かな?」

純「だ、駄目じゃないよ!いい!行こう、梓!」

梓「本当!?」

純「本当!絶対!」

梓「よ、良かった・・・私楽しみにしてるね、純!」ニコッ

純「・・・梓の笑顔、超可愛い」ダキッ

梓「わっ!?き、急に何するのよ!」

純「む、何だよー。憂のお姉さんは良くて私は駄目なのかよー」

梓「だ、だって・・・!唯先輩とはそういう感情は無くてあくまでスキンシップだけど、純は違うもん!」

純「やばい、梓超可愛いじゃすまないや。言葉では表現できない可愛さだね梓は」ギュッ

梓「じゅ、純・・・///」

純「お?大人しくなったな?」

梓「・・・本音を言えば、嬉しいに決まってるじゃん」

純「へへへ、そっかそっかー。・・・安心しなよ、今度からは私が一杯抱きしめてあげるよ」

梓「うん、ありがとう・・・純」


律「で?書類の書き忘れも無いのに、話がしたいからティータイムに混ぜてくれって、どういう風の吹き回しだ?」

澪「別に構わないけど、和からこういう誘いって珍しいよな」

紬「そうよね、何故か唯ちゃんもすごく乗り気だし。一体何を隠してるの?」

唯「へへへーさぁ和ちゃん、どうぞ!」

和「私と憂、付き合うことになったから。それだけ言っておきたかったのよ」

律「おぉ!マジで!?」

澪「ひょっとして、先週の憂ちゃんがどうって話って・・・」

和「そう、私絡みよ。貴女達にも気を使わせちゃったし、言っておいた方が今後何かと楽だしね」

紬「そうだったのね・・・!和ちゃん、おめでとう!」ボタボタボタ

和「ムギ、鼻血出てる」

紬「あら、ごめんなさい。でも気にしないでもいいわよ?」ボタボタボタ

和「それにしても、律と澪が付き合い出した時もそうだったけど、よく鼻血出すわね」

澪「ちょ、ちょっと和!」

律「別にいいじゃんか、私達が誰よりラブラブなのは周知の事実だろ~?」

澪「まぁ、そうだけど・・・///」

紬「あぁ・・・やっぱり王道ね。それはともかく・・・ だって、素晴らしいじゃない」ボタボタボタ

和「自分も唯と付き合ってるでしょうに・・・それでもそういうものなの?」

唯「えへへー」

紬「それとはまた別じゃない、私と唯ちゃんもそうだし、りっちゃんと澪ちゃんもそうだけど」ボタボタ

紬「皆それぞれ、出会いも違うし、お付き合いすることになったきっかけも違う、その後どうしていくかも違うと思うわ」ボタボタ

紬「けど、そこには一つだけ共通の事実があるの。『愛する二人の気持ちが通じ合った』っていう事実」ボタボタ

紬「それはきっと、二人にとってこの世のどんなことより素晴らしいことだと思う」ボタボタ

紬「だから私はそうやって誰かと誰かが結ばれたら、嬉しくて鼻血も出ちゃうのよ」ボタボタ

唯「ムギちゃんは優しいねー」

紬「ありがとう、唯ちゃん」ボタ…

和「鼻血さえ出さなきゃ、いいこと言ってると想うんだけどね・・・まぁとにかく、祝福ありがとう」

唯紬律澪「どういたしまして」


和「―という訳で、皆に祝福してもらえたわ」

憂「私も、嬉しいよ」

和「そうよね、私達は良い友人を持ったものだわ」

そして、何より―

憂が、私の隣に居てくれるんだもの。

和「ねぇ、憂?」

憂「何?和ちゃん」

和「改めて、言いたいことがあるの」

憂「うん、何かな?」

和「今まで待たせた分、今後は憂のこと大事にしていくわ」

和「私も、憂のことが大好きだからね」

fin



最終更新:2010年09月11日 21:56