……
「せーんぱーい?」
梓「なに?」
「なんか物置あさってたら変なのが…」
梓「あれ…いつか片付けしたはずなんだけどな」
「よっこいしょ!」
ガスン
梓「ギター……みたいだね」
梓(あれ……?)
「先輩?早く開けましょうよ!もしかしたらお宝かもしれないですよ!」
ジーッ
梓「新しい…」
「いいじゃないですか!これ!」
梓「ちょっと待って…」
(なんでだろ…このギターどこかで…)
「私にください!」
梓「だめ!先生のかもしれないから」
ガサガサ
「って先輩弾く気満々じゃないですか」
「私も先輩のギターテクが見たいです!」
「私もー!」
梓「そんなに見つめられると照れるよ…」
ジャカジャカ♪
「お~っ!」
梓「えへへ……」
ジャーン……
「あれ…もうおしまいですか?」
「もっと見たーい!」
梓(なんで…なんで…?)
梓「ギー…」
「?」
梓「あれ…ギー…」
梓「って、あはは…私何言って…」
『ギー太!』
梓「……え?」
「先輩?」
『あなたはあずにゃん!』
『もーあずにゃんー?』
『ほらーケーキ食べないのー?』
梓「あ……」
梓『先輩は……幸せでしたか?』
『うん。とっても!』
梓「行かなきゃ……」
「ちょっ先輩!?」
梓「待ってる人がいるの!私のことずっとずっと!」
タッタッタ
「行っちゃった……」
梓(あそこだ……先輩たちと一緒に星を見に行ったあの場所…!)
梓(でも…誰なの?)
梓(妙に温かい気持ちにさせるその声は誰?)
梓(なんで私は覚えているの?)
『あずにゃーん!』
『はい!猫耳!』
『目指すは武道館!』
梓「はぁはぁ……」
梓(誰も…いない)
梓「はぁ……」
「やっと来てくれた」
梓「……!」
さわ子「けど、ちょっと遅かったわね」
梓「せん…せい…?」
さわ子「昔ね、あの子と同じことを考えた生徒がいたの」
さわ子「その子はいけないことをして神様に罰を与えられちゃったんだけど」
梓「いけない…こと?」
さわ子「そう…どうしてもその子には諦められない好きな子がいてね、一度だけ過去に戻ったの」
梓「?」
さわ子「もちろん過去に戻っても何も変わらなかった……だけどね」
梓「だけど…?」
さわ子「だけどその子はその時初めてわかったのよ」
さわ子「過去ばかり振り返っても何も始まらないってことにね」
さわ子「もちろんその子は罰を受けた」
さわ子「だからその子はその想いを違うかたちで伝えようとしたの」
梓「ギター……」
さわ子「そう。あなたが今日見つけたみたいにね」
さわ子「それを見つけた子は思った」
さわ子「『誰だかわからないけど、面影だけは覚えてる……そして自分は大切なものをその子から受け取った気がする』って」
梓「……結局、その子はその人と会えたんですか?」
さわ子「ごめんなさい…その続きは知らないわ」
梓「そうですか…」
さわ子「でもあなたも同じよね?」
梓「……?」
さわ子「あなたが『自分は生きてるぞー!ここにいるぞー!』って証明できたらその子はきっと迎えにくるはずよ」
梓「証明…」
さわ子「そしたらあなたも全てを思い出すかもしれないわ」
梓「…ってそれ何の話ですか?」
さわ子「あらー知らないの?桜高の都市伝説」
梓「そんなのあったんですか」
さわ子「ともかく、あなたがそう思うのならそうなのよ」
梓「会えますかね?」
さわ子「会えるわよ」
さわ子「というかあなたをどこかで待ってるのよ」
さわ子「世界中のどこかで」
さわ子「ただ…一ついい?」
梓「はい」
さわ子「これからどんなに辛いこと悲しいことがあっても進み続けなさい」
梓「はい」
梓「……ってそんなキャラでしたっけ?」
さわ子「うるさいわね。でも…そうすればきっと会えるから!」
梓「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
梓「先生ってもしかしてスゴい人?」
さわ子「何回も言わせないでくれる…私は顧問!あなたたち軽音部の。そして…」
梓「そして?」
さわ子「あなたたちのファンよ」
数年後
マネージャー「いやー今回も良かったですねー!みなさん!」
「無事終わってよかったわー!」
「ふーっ、あービールでも飲みたい!」
「居酒屋タイムじゃないですか……」
「喉が痛いー!」
マネージャー「…にしても人気はうなぎ登りみたいで本当に私も嬉しいですよ」
「まさか…って感じですけどね」
マネージャー「もうきっと観客のみなさんで外は埋め尽くされてますよ!」
「いやだ…コワイコワイ」
「なに言ってんだよ、人気がある証拠じゃないか」
「そうよ?嬉しいことじゃない」
「あ、すいません!私お手洗いに…」
マネージャー「えーっと突き当たりを右です」
「はーい」
スタッフ「お疲れ様ー!」
「お疲れ様ー!」
「あっ、ここか…」
トントン
「はい?」
「あ、あのー」
「え、スタッフの方?」
「い、いえ…私昔からの大ファンで…」
「はい…?」
「それでどうしても
中野梓さんのサインが欲しくて…」
「いや…今はちょっと…」
「ダメ……かな?」
「………!」
「もう……」
「私……待ちくたびれちゃいましたよ」ポロポロ
唯『ねえ、みんな……』
梓『どうしたんですか?』
唯『私たち、ずっとずっと一緒だよね……?』
律『なーに言ってんだよ、あたりまえじゃんか』
紬『そうよ?私たちはずーっと一緒よ』
澪『そう。ずっとな』
唯『みんな……』
梓『だいたい、唯先輩は一人じゃ危なっかしくて見てらんないですよ!』
梓『それに…』
唯『?』
いつか見たあの星空をみんなは知らない
唯『……あ!流れ星!』
でもその星空は今でも私の心の中では輝いている
梓『……』
唯『えー?あずにゃんなにお願いしたのー?』
それは消えることはないんだ
晴れの日も雨の日も永遠に
梓『えー…』
律『言ってみ?笑わないからさ』
澪『別に願い事するなんて恥ずかしいことじゃないぞ?』
紬『気になる気になるー!』
梓『恥ずかしいですよ…』
唯『教えてよー!』
梓『えーっと……その…ですね』
星の降る夜に君は呟く
その甘くて温かい、幸せな夢を
消えることのないその星に
おしまい
最終更新:2010年09月12日 23:57