梓「先輩達が第一志望の大学に合格しますように!」
梓「それから卒業までの残りの間、みんなで楽しくすごせますようにっ!!」
「おう、待てや」
梓「え?」
「そや、あんたやねーちゃん」
梓「だ、誰ですかあなた……」
「俺か?俺はここの神様や」
梓「か、神様?」
「そや」
梓「……」
スタスタ
神様「待て待て、逃げるな逃げるな」
梓「……」
ダッシュ!
神様「あ、こら!逃げるな!ええぃっ!」
ピタッ!
梓「か、からだが動かない……ぎぎ……ぎ」
神様「まぁ話くらい聞けや」
梓「うぅ……動けない……」
神様「解いてやるけど逃げるなよ?」
梓「は、はい」
神様「よし」スッ
梓「どうも……」
ダッシュ!
神様「おいっ!」
ビタッ!
梓「あがが……また金縛り……」
神様「逃げるなって、傷つくっちゅうねん」
神様「今度はもう逃げたらアカンで?」
梓「はい」
神様「んじゃ」スッ
梓「……はぁはぁ」
神様「とりあえず話聞こうか」
梓「はい」
神様「ねーちゃん、お賽銭入れて願い事言ったな」
梓「はい」
神様「アカン」
梓「え?」
神様「手ぇ洗ったか?」
梓「いえ」
神様「神社来たら手、口ゆすいで身を清めな」
梓「……」
神様「やり直しや」
梓「はい?」
神様「もう一度神社に入って来るところからやり直しや」
梓「えええぇ……」
神様「面倒くさそうな顔すな、願い事かなえてやらんぞ」
梓「……わかりました」渋々
…………
梓「終わりました」
神様「まぁ、微妙に間違えてたけどええわ」
梓「はぁ……」
神様「ほな、もう一度お賽銭と願い事言えや」
梓「もう一度……ですか?」
神様「そや、さっきのは間違ったやり方やったからノーカンなんや、無効や」
梓「……」
神様「叶えんでええのか」
梓「わかりましたよ……」
梓「じゃ10円で」
神様「待て待て」
神様「なんでや」
梓「はい?」
神様「1000円や。野口さんを入れなさい」
梓「え、いや……」
神様「なんや」
梓「さっきは100回分ってことで1000円だったんで今度は10円でもいいんじゃないかな~って」
神様「せやからさっきも言ったやん。あれは無効や、もっかい1000円。ほれ」
梓「……はぁ」1000円札ポイッ
神様「はい、ご苦労様でした」
梓「どうも」
神様「一ついいかな?」
梓「はい」
神様「君の願い事のひとつ、先輩達の大学合格だけど」
梓「はい」
神様「いま、問い合わせたらもう試験終わってるやん」
梓「えぇ」
神様「ならアカンわ」
梓「?」
神様「合否なんてテスト用紙集めた時に決まってるやん」
梓「……」
神様「不合格の人を無理矢理合格させるとかさすがに神様でも無理やわ……アカンわ……」
梓「ちょ、ちょっと!」
梓「誰か不合格なんですか?」
神様「知らんがな、"もしも"の話よ、もしも落ちてたらってこと」
梓「あぁ、なんだ。よかった」
神様「それから100回分で1000円?あれもアカンわ……」
梓「えっ……」
神様「あれが一番ダメなんよ、私達神様は毎日お参りに来てくれるのが一番嬉しいんよ」
梓「はぁ……」
神様「知り合いの神様のとこには隣の家の子が毎日お参りに来てくれてるんだって!」
梓「そうですか」
神様「しかも自分のお願いじゃなくてお姉さんの大学合格なんやて」
梓(憂のことかな?)
神様「偉い子やでホンマに」
梓「すみません」
神様「その子の願いは叶えてあげるゆうてたわ」
梓(やたっ!じゃあ先輩達受かるんだ!)
神様「ねーちゃんも見習いや」
梓「はい」
神様「あと願いは基本一回に一つやからな。欲張ったらアカン」
梓「わかりました」
神様「というわけでねーちゃんのもうひとつのお願い、楽しく部活は受理されてません」
梓「えぇっ!?」
神様「卒業までみんなで楽しく叶えたいんならもう1000円な」
梓「ちょ、ちょっと!!なんですかそれ!!」
神様「あ?ええのか?」
梓「……」
梓「じゃあいいですよ、もう。さようなら」くるっ
神様「待て待て」
梓「何ですか?」
神様「500円でええわ」
梓「はぁ?」
神様「特別に500円で叶えたるわ、だし」
梓「嫌ですよ、てかあっちのお願いは100回分じゃないんで」
神様「うわー」
神様「ちっ」
梓「舌打ちしないでください」
神様「してないわ」
梓「しましたよ、もう……」
神様「ねーちゃん、他に願いはないの?今なら一つ500円で叶えるで」
梓「私からお金を巻き上げようとしないでください!」
神様「せっかく叶えたるゆうてんのに。もう今度来ても叶えたらんからな!」
梓「いいです!別のとこに行きますから!」
神様「勝手にせいっ!はよかえれやっ!ガキが!」
梓「ばーか!」
ダダダッ!
梓「なんなのあれ、最悪!結局2000円取られただけだし」
完
最終更新:2010年09月13日 21:21