部室
エリ「勉強会をしよう!」
ちか「どうしたの急に?」
エリ「定期考査まであと一週間となりましたので!」
ちか「うーん、でも勉強は一人でしたほうがはかどらない?」
エリ「あう…で、でも、軽音部でさらなる友情を深めるために!」
いちご「テスト期間も毎日部室にきてるじゃない」
エリ「そ、それは…」
ちか「…エリ」
エリ「…はい」
ちか「正直にいってごらん」ニヤニヤ
エリ「…すいません勉強教えてください」
ちか「よろしい」
エリ「ちか様ぁ~」ダキッ
姫子「…あ、あの…」
エリ「うん?」
姫子「わたしも、その、勉強…」
いちご「…してないのね」
しずか「わたしも数学が不安かも…」
エリ「よーし、じゃあ今日はこのままお勉強会にしよう!」
いちご「…教えてもらう側が仕切らない」
エリ「ごめんなさい」
ちか「いいけど、どこでやるの?」
エリ「うーん、図書館は私語厳禁だし…誰かの家とか?」
姫子「うーん、わたしおの部屋は五人はきついかも」
ちか「うちも~」
いちご「あの…」
エリ「うん?」
いちご「うちなら…別にいいよ、五人入るし…」
エリ(いちごから何か誘うなんてめずらしいな…)
姫子「そうだね、いちごの家大きいし」
ちか「姫ちゃん知ってるの?」
姫子「ん、まあね」
エリ(それだけ、皆と打ち解けてきたってことかな)
エリ「…ふふ、」
ちか「どうしたのエリ?」
エリ「ううんなんでも!じゃあいちごの家にいこっか!」
いちごの部屋!
いちご「…じゃあ、ここだから」
しずか「うわーかわいい!」
姫子「改めてみるとけっこう広いね」
エリ「女の子のにおいがする…」
ちか「あはは何いってんの」
エリ「いや、こころなしか甘いにおいが…」
いちご「……アロマ」ボソッ
エリ「はい?」
いちご「なんでもない、飲み物持ってくるね」
しずか「………」ジーッ
エリ(何見てんだろう…)
エリ(視線の先には…テディベア)
エリ「…しーずか」
しずか「え?」
エリ「クマしゃん、気になるの?」
しずか「え?え、えと、可愛いなと思って…///」
エリ(可愛いものが可愛いものを…)
しずか「…おっきいなぁ~」
エリ「え?」
しずか「クマさん」
エリ「え、あ、クマさんね」
いちご「紅茶もってきたよ」
エリ「お、ダージリン?」
いちご「わかるの?」
エリ「いや、ダージリンって言ってみたかっただけ」
いちご「…そう」
ちか「じゃあそろそろ勉強始めよっか」
エリ「え~もうちょっとティーブレイクしようよ~」
いちご「…エリ」
エリ「はいすみません勉強しましょう」
ちか「何の教科から始める?」
姫子「あ、わたし数学やばいかも…」
エリ「わたしも!」
ちか「じゃあ数学から始めよっか」
ちか「だからここは合成関数の微分をつかって…」
エリ「えと、日本語でお願いします…」
しずか「………」ジーッ
いちご「?(……あ)」
いちご「…しずか?」
しずか「え?なに?」
いちご「抱いて、いいよ」
エリ「え?」
いちご「クマ」
エリ「え、あ、クマさんね」
しずか「あ、ありがと!」ギュッ
しずか「♪」カキカキ
姫子「………」ポーッ
エリ(無意識でやってるからすごいよねこの子)
ちか「姫子、エリ」
姫子「え?な、なに?」
エリ「うん、わたしたちは勉強に集中しなきゃだね」
姫子「あ、ああ、そうだね…」チラ
エリ(まだ気にしてる…)
エリ「結局」
ちか「うん」
エリ「数学だけでこんな時間になっちゃったね」
ちか「まだ終わってないしね~」
姫子「でもだいぶわかったかな、みんなありがとね!」
エリ「わたしはまだまだ…帰って一人で勉強しなきゃだ」
いちご「……一人で大丈夫?」
エリ「うーん、自分で教科書見るだけじゃ半分もわかんないけど、仕方ないよ」
いちご「…じゃあ、さ」
エリ「ん?」
いちご「…泊まって、いきなよ」
エリ「うん?」
いちご「…今日、うちに泊まって勉強していけば?」
エリ「」
エリ「えと…いいの?」
いちご「うん」
ちか「そうしなよ!じゃあいちご、エリをよろしくね」
いちご「うん」
姫子「じゃあわたしたちはそろそろ帰るね…」
しずか「あ…そ、そうだね」シュン
姫子(そんなにクマさん気に入ったんだ…)
エリ「あ、じゃあわたしも着替えとか取りにいったん帰るから!」
いちご「うん」
エリ「また来るね!」
いちご「ん、待ってる」
エリの部屋!
エリ「えーと、着替えと、充電器と、勉強道具と…明日は土曜日だから制服はいらないし…」
エリ「うん、こんなもんかな」
エリ「お泊まりかあ」
エリ「…姫ちゃんも誘えばよかったのに」
エリ「よし!そろそろ行こっと」
ピンポーン
エリ「いちごー、来たよーっ」
いちご「…あがって」ガチャ
エリ「ん、おじゃましま…あ」
いちご「なに?」
エリ「制服から着替えてる」
いちご「家だしね」
エリ「そりゃそうか」
エリ「………(かわいい、な)」
いちご「何してるの?早くあがって」
エリ「え?ああ、おじゃまします」
エリ(…やっぱり姫ちゃんも呼べばよかったのに)
…
エリ「ご飯もいただいたところで」
いちご「うん」
エリ「何する?」
いちご「…勉強しにきたんじゃないの?」
エリ「えー、食後は頭に入らないっていうじゃん、スペイン人はシエスタするし!」
いちご「…それは昼でしょ…」
エリ「あはは、ごめんごめん、勉強しよっか」
いちご「……あのさ」
エリ「うん?」
いちご「この前は…ありがとね」
エリ「ん?えと、この前って?」
いちご「…モンブラン」
エリ「ああ、いいっていいって」
いちご「…ん」
エリ「…今日、さ」
いちご「ん?」
エリ「姫ちゃん…呼ばなくてよかったの」
いちご「…うん」
エリ「ん、そっか」
いちご「…今日はね」
エリ「うん」
いちご「エリに…来てほしかったから」
エリ「え?あ、あ…りがと!」
いちご「…わたしね?」
エリ「うん」
いちご「この前、演奏がうまくいかなかった日にね?」
エリ「うん」
いちご「エリが追いかけてきてくれて、一緒に帰ってくれてね」
エリ「うん」
いちご「本当に、嬉しかったんだよ」
エリ「…ん」グスッ
いちご「…ふふ、」
エリ「…なに?」グスッ
いちご「だかあ、なんでエリが泣きそうなの?」
エリ「え、ああ、いや、その…」
エリ「自分、不器用なんで…へへ」
いちご「…ふふ、」
エリ「…でも、わたし…」
いちご「わかってるよ」
いちご「何も言わなくても、話を聞いてもらってるだけで」
エリ「…うん」
いちご「すごく、きもちが楽になったから」
エリ「……ん」グスッ
エリ「…いちご?」
いちご「なに?」
エリ「ひとつ、わがまま聞いてくれる?」グスッ
いちご「いいよ」
エリ「…ぎゅってしていい?」
いちご「ん、いいよ」
エリ「…姫ちゃんじゃなくてごめんね、へへ」ギューッ
いちご「そんなことないよ」
いちご「…うれしいよ」
エリ「…あのね?」
いちご「うん」
エリ「あの日、わたしね?」
いちご「うん」
エリ「本当に心配だったの」グスッ
いちご「………」
エリ「いちごは…普段演奏上手いし、落ち着いてるし…」
エリ「だから、絶対何かあったんだって思ったの」
エリ「それでね?」
いちご「うん」
エリ「なんだか、そのままいちごが…上手く言えないけど…わたしたちから離れていっちゃう気がしたの」
いちご「…うん」
エリ「いちごは…普段、あまり喋らないけど、みんなのことをちゃんと考えてるし」
エリ「みんなに何かあったら一番心配してくれるし…」
いちご(………)
エリ「でも、自分のことは一人でためこんじゃうから、みんなにはあまり話さないようにしてるからさ…」
いちご(すごいな…全部あたってる)
いちご(ちゃんと見てくれてたんだなあ…)
エリ「わたし、いちごが…いちごも、ちかも、姫ちゃんも、しずかも…軽音部のみんなが…大好きだから…」グスッ
いちご「…うん」
エリ「だから、このままいちごが、軽音部が…ぎくしゃく、していっちゃうなんて、絶対嫌だって思ったのね?」グスッ
いちご「…うん」グスッ
エリ「だから、いちごを追いかけたんだけど…だけどね?」
いちご「うん」
エリ「わたし…何も、言えなかったから…いちごのこと、励ましてあげれなかったから…」グスッ
いちご(………ばか)
エリ「そんな自分が、情けなくって、嫌になってたんだけど、うぅ」グスッ
いちご(……あーあ、もう涙ふきなよ)
エリ「…だけど、今の、いちごの話聞いて、わたし、わたし…」グスッ
いちご「…エリ」
エリ「ふぇ?あ、えと、なに…わっ!」
いちご「…ありがと、心配かけてごめんね」ギュッ
エリ「~~~ッ」グスッ
エリ「………い、いちごぉ…ひっく…うわああああああん!」
いちご「…よしよし」
エリ「うぅ…よかったよぉう…ひっぐ…」
いちご「…エリってさ…」
エリ「…ん…なに?」
いちご「本当に優しいんだね」
エリ「え…え、えへへ…」グスッ
いちご「…だけどね?」
いちご「一人でためこみすぎなのは、エリも同じだよ」
エリ「………ん」グスッ
いちご「…これからは、さ」
エリ「うん?」
いちご「エリも、何かあったら、わたしに言ってね?
エリ「………うん!」グスッ
いちご「ふふ…エリ」
エリ「なぁに?」グスッ
いちご「…大好き」
エリ「…わたしも…えへへ…」グスッ
いちご「………」ギューッ
エリ(…あったかいなぁ…)
エリ「…なんかわたし泣きすぎちゃったね、はは」
いちご「そうだね、ふふ…もう落ち着いた?」
エリ「うん、ありがと…あ、もうこんな時間かぁ」
いちご「わたし、お風呂入ってくるね」
エリ「ん、いってらっしゃい」
いちご「くつろいでていいからね」
エリ「うん、それとも一緒に入る?」
いちご「…ばか」
エリ「あはは、冗談冗談」
いちご「………いいよ」
エリ「」
最終更新:2010年09月14日 00:12