映画館!

姫子「次は映画かあ」

いちご「何か見たいのある?」

姫子「あ、何見るかは決めてないんだ」

いちご「うん、姫子と見れればなんでも」

姫子「んー、そうだなあ…(なんか今さりげなくすごいこと言われた気がする)」

姫子「あ、最近流行りの3Dは?」

いちご「…目が疲れそう」

姫子「む…あ、じゃああれ!」

いちご「(恋愛ものか…)いいよ、あれで」

姫子「えーとじゃあポップコーンと…なにか飲み物いる?」

いちご「ん…コーラ」

姫子「うん、じゃあコーラふたつね」

姫子「なんかいちごが炭酸ってめずらしいかも、エリはいっつも飲んでるけど」

いちご「…定番だから」

姫子「あはは、そんなもんかな」

いちご(…とりあえずデートっぽいことがしたいから)

姫子「そろそろ始まるね」

いちご「ん…(たまにはコーラもいいかも)」チュー

姫子「おー暗くなってきた♪」

いちご「…なにはしゃいでんの、ふふ」

姫子「あはは、映画館久し振りだからさ」

いちご「ふーん(…心の中ではわたしの方がたぶんはしゃいでるけどね)」

姫子「お、始まった始まった♪」

いちご「………」ブルブル

いちご(映画館の冷房って…ききすぎてて寒い…)

姫子「!…いちご、寒い?」ボソッ

いちご「うん…ちょっと」

姫子「じゃあわたしの上着かけとくね」サッ

いちご「あ…あ、ありがと」

いちご「…姫子は、寒くないの?」

姫子「うん、わたしは割と大丈夫かな」

いちご「でも…あ、じゃあ」

姫子「うん?…!」

姫子(……手、にぎってる…///)

いちご(…いいよね、これくらい…//)

いちご「………」ボーッ

いちご(この映画…)

いちご(…どんなストーリーだっけ…)

いちご(緊張して、あまり頭に入らない…)

いちご(暗いなかで、姫子と並んで手つないでるんだもんな…)

いちご(…なんかそう思ったらまた照れてきた…///)

姫子(…なんかそわそわしてるな…)


いちご(……この二人…)

いちご(お互い好きなら、なんで早くくっつかないんだろ…)

いちご(好きなら好きって言っちゃえばいいのに…)

いちご(あ、でもそれだと10分で映画終わっちゃうか…)

いちご(…でも、時間かけてるのはわたしも同じか…)

いちご(…でも、今日こそは…)

いちご(…あ)

いちご(ストーリーよくわかんないけど、泣けてきちゃった…はは)

姫子「………」グスッ

いちご(姫子も泣いてる…DVD出たらもっかいこの映画見よ)


姫子「いやー、結末がわかってても泣いちゃうもんだね、はは」グスッ

いちご「うん…面白かったね」

姫子「うん、適当に選んだ割にはけっこう良かったね」

いちご「…そろそろ帰ろっか」

姫子「うん、そうだね」

いちご「ちょっと遠いけど、歩いて帰ろ」

姫子「うん、そうしよ」



帰り道!

姫子「はっしるーまーちーをみおーろーしーてー♪」

いちご「なつかしいね、それ(…ポンキッキ)」

姫子「わたしボーカルじゃないけどね、はは…あ!」

いちご「なに?…あ」

いちご(夕陽…)

いちご(……キレ…)

姫子「………」

姫子「……いちご、あのね?」

いちご「…なに?」

姫子「……相談があるんだけどさ」

いちご「うん…なに?(…なんだろ)」

姫子「わたし…好きな人がいるんだ」

いちご「!!」

いちご「……そう、なんだ」

姫子「うん…それでね?」

いちご(………)

姫子「その人は…普段はちょっと冷たいけど、いっつも周りの人のことを考えてくれて…」

いちご(……どうしよ、頭がぐらぐらする…)

姫子「わたし、気付いたら大好きになってたんだ」

いちご(……でも、姫子がどんな気持ちでも…誰のことが好きでも…)

姫子「その人は…わたしのことなんか、全然好きじゃなくて、なんとも思ってないかもしれない…」

いちご(…そうだよ、エリにも約束したし…)

姫子「でも、このまま自分の気持ちに嘘はつきたくないんだ…どうすればいいのかな?」

いちご「…決まってるでしょ(うん、決めたんだ…)」

いちご「自分がその人のことを好きなら…その人が自分のことをどう思っていようと」

いちご「好きだって、ちゃんと伝えなきゃ…自分の気持ちに嘘はつかないために…」

いちご「その人が誰のことを好きだろうと、自分はその人が大好きだって…!」

いちご(だから…わたし…!)


姫子「………」

姫子「……うん、そうだよね」

姫子「結果がどうなろうと、自分の気持ちに嘘をついたらだめだよね」

姫子「…よし、決めた!わたし、告白するよ!」

いちご「うん、姫子、だからわたしも、伝えたいことが」

姫子「いちご!」





姫子「…大好きです!」



いちご「………え?」

姫子「わたしは、いちごが大好きです」

いちご「……え、えと、あの…」

姫子「さっきの話の、わたしの好きな人って、いちごだから!」

姫子「いちごの気持ちはわからないけど、わたし、いちごが大好きなの!」

いちご「」

いちご「………」ヘナヘナ

いちご「………」ペタン

姫子(あれ、座りこんじゃった…)

いちご「………ひっぐ」グスッ

姫子(…嘘!?)

いちご「……う、うぅ、ひめ…この…ぐすっ…ばかぁ…」グスッ

姫子「え…え、えと、泣くほど嫌だったかな?」

いちご「…ちが、ちがうけど…ひぐっ…わたしから、言うって…うぅ…決めてたのにぃ…」グスッ

姫子「え、えと、落ち着いて?いちご、ゆっくり話してごらん?」

いちご「…ひめ…この、あほ…だか、ら…ぐすっ」

いちご「……わたしも、姫子のことが…大好きなの」

いちご「世界で…一番、ぐすっ…大好き、なんだからぁ…」


姫子「………う、そ…」

いちご「嘘なんかじゃ…ひっぐ…ないん…だからぁ…」グスッ

姫子「や…………ったーーー!!!!!」ギューッ

いちご「わ!……ひめこ、く、苦しいよぉ…」グスッ

姫子「あ、ああごめんごめん…嬉しすぎてつい///」

いちご「うぅ…姫子のばかぁ…」グスッ

姫子「あはは、でもいいじゃんお互い好きってことで」

いちご「…違う、もん…」グスッ

姫子「?」

いちご「今日は…えぐ…わたしから、告白するって…決めてたん、だもん…」

いちご「…なのに、姫子から…告白、しちゃって…ぐすっずるいよぅ…」

姫子「あー…えと、ごめんごめん」ナデナデ

いちご「うう…姫子のばかぁ…あほ…ひどいよぉ…」グスッ

姫子「あー…えと、いちご、泣かないで?」ナデナデ

いちご「…うっさい」プイ

姫子(あちゃー…そっぽ向かれちゃった)

いちご「……告白」

姫子「うん?」

いちご「わたしから…えぐ…ちゃんとさせて?」グスッ

姫子「あ…はい!」

いちご「わたしは…ぐすっ…姫子のことが…好きです…」

いちご「…中身は子供っぽいし…しずかにばっかり抱きつくし…心配ばっかりかけるし…」グスッ

いちご「…だけど…えぐ…そんな姫子が…大好きなの…」

いちご「姫子じゃなきゃ…ひっぐ…だめ、なんだからぁ…」グスッ

姫子「………いちご!」

いちご「…なに?」

姫子「わたしも、世界で一番、いちごが大好きです!」

いちご「うん…えへへ」グスッ

姫子「あ、やっと笑ってくれた!」

いちご「…姫子」グスッ

姫子「なに?」

いちご「ずっと、一緒にいてくれる?」

姫子「うん」

いちご「ほんと?」グスッ

姫子「ほんとにほんと」

いちご「ありがと…」グスッ

いちご「……ぎゅってして?」

姫子「うん」ギューッ

いちご「なでなでも」

姫子「よしよし」ナデナデ

いちご「えへへ…」

姫子「これからは、いつでもこうしてあげるからね」

いちご「ん…ありがと」

姫子「うん♪」

いちご「わたし以外の人にしない?」

姫子「もちろん!」

いちご「しずかにもだきつかない?」

姫子「あ…う、うん!そうする!」

いちご「…だきつきたいの?」

姫子「えと…しずかは、その…あったかいし、かわいいし、やわらかいし…あ、あとこないだわかったけどちかもなかなか…じゃなくて!」

姫子「うん!いちご以外にはしないよ!」

いちご「…ふふ、」

いちご「別に、いいよ」

姫子「え?で、でも…」

いちご「…まあちょっとは控えてね」クスッ

姫子「が、がんばります!」

姫子「………あのさ」

いちご「なに?」

姫子「わたしたち…つきあうってことだよね?」

いちご「あ…うん、そうなるんだね」

姫子「なんか実感わかないね、あはは」

いちご「そうだね、ふふっ」

姫子「まあとにかく」

姫子「お互い好きってことでいいんだよね?」

いちご「そうだよ、大好き」

姫子「えへへ、わたしも」


姫子「軽音部のみんなにも、教えなきゃだね」

いちご「あ、そうだ」

姫子「なに?」

いちご「そのことを、一番最初に教えたい人がいるの」

姫子「うん、誰?」








ピロリロリロ

「お、電話…だれからだろ」

「!……いちごからだ」




エリ「もしもし、いちご?」



おわり



最終更新:2010年09月14日 00:18