梓「聡君の分も作ってきましたから、どうぞ召し上がってください」

律「気を使わせちゃって悪いな」

聡「あの、本当にいいんですか?…」

梓「遠慮しないでいいから、はやく食べましょう」

律「それじゃあ遠慮なく、いただきます」

律「…」モグモグ

梓「…いかがですか?」

律「…」ボロボロ

梓(号泣した!?)

聡「お姉ちゃん、これ塩の味がするよ!!」

梓(なに言ってんのこの子!?)

律「久しぶりの塩分だからな、味わって食えよ」

梓(だめだこの二人はやく何とかしないと…)

梓「いったいどんな食生活を送ってきたんですか…」

律「え?三食パンの耳食うのは現代人の常識だろ?」

梓「そんなコモン・センス地球上のどこ探してもありませんから」

律「うちでは当たり前だけどなあ…」

梓「…」


梓「それで、聡君はさっきから何してるんですか?…」

聡「このハンバーグを八等分して冷凍保存すれば、向こう三週間は凌げるかなと思って…」

梓「お願いだから今食べて!!」

…しらない間に田井中家は恐ろしい状況になっていたらしい
お弁当だけは毎日作ってあげよう、私は心に誓った


律「久々に満腹になったな~」

梓「食器片付けましょう」

それぞれの食器を台所に運ぶと、水道の蛇口をひねる

梓「…あれ?」

梓(水が出ない…)

律「あ~、今水道止められてるから、このポリタンクに溜めた水を使ってだな…」

梓「ぱーどぅん?」

梓「ちょ、ちょっと待ってください…ということはお風呂なんかも…」

律「失礼な!お風呂ならちゃんと深夜の公園で…」

梓「」ポカーン

律「梓?」

梓「律先輩…いまから私のうちに来てお風呂に入りましょう…」

梓(だめだ、こっちが泣きそうになってしまう…)




梓「せっかくだから聡君も一緒に…」

聡「あっ、自分はエネファームにされると嫌なんでやめときます」

梓「そっか、それじゃしかたないね…」






梓の家

律「ごめんな、いろいろ迷惑かけちゃって…」

梓「迷惑だなんて思ってませんよ、それより早くお風呂に入ってきてください」

律「それじゃ、お言葉に甘えて」

梓「いってらっしゃ~い♪」

梓(さて、律先輩が上がるまでなにしてようかな)

律「ただいまー」

梓「おかえりなs…って上がるのはやっ!」

梓「カラスでももっとましな行水しますよ!いったいなにしてたんですか!」

律「だって…無限にお湯が出てるところ見てるとなんだか怖くて…」

梓(なんちゅー考え方だ…)

梓「しょうがないですね…」

律「…」ショボーン

梓「一緒に入ってあげますから…ちゃんと綺麗にしましょう?…」



お風呂

律「二人だけで入るのって、ちょっと恥ずかしいな///」

梓(律先輩って意外と照れ屋さんなんだな)

合宿の時と雰囲気が違うせいか私も緊張してきた

律「あのーあんまり見られると恥ずかしいんだけど…///」

いつの間にか律先輩の裸に見とれてしまっていた

梓「ご、ごめんなさい…つい…」

律先輩の体は小柄で、華奢で…すこし興奮する

梓「そうだ、背中流しましょうか」

律「あ、ありがとう」

梓「痛くないですか?」ゴシゴシ

律「ん~気持ちいいよ」

律先輩の背中をこするとアカがたくさん出てきた

梓(これはちょっと入念に洗ってあげないと)

十分後ようやく洗い終えたので、今度は髪を洗ってあげる

律「それくらい自分でやるのに…」

梓「いーからいーから♪」

律先輩の髪を洗い終えた後、湯船に入る

梓「あれ?律先輩入らないんですか?」

律「いや、二人じゃ入れないだろ」

梓「ここに座ればいいじゃないですか」

膝を指差しながら私が言う


律「いや、それは…その///」

梓「どうしたんですか?なにか問題でも?」

律「あの、問題というか…///」

梓(また照れてる、かわいい)

梓「いいから早く入りましょうよ、別々に入るのも面倒ですし」

律「わ、わかったよ!今入るから…///」


律先輩が私の膝にちょこんと座る

梓「気持ちいいですか?」

律「う、うん///」

照れている時の律先輩は最高にかわいい、思わずイタズラしたくなる

律「ひゃう!?」

梓「どうしたんですか?」

律「梓の手が…」

梓「狭いんだから、少しぐらい我慢してください」

もちろんわざとだが、律先輩の反応がかわいいのでそのままにする

律「う、うう……///」

梓(律先輩って意外と押しに弱いんだな)

首に手を回して、律先輩の体を抱き寄せる

ギュウ

律「ちょ、ちょっとタンマ!」

梓「なんでですか?…」

律「だ、だって///」

梓(じれったいなあ…)

梓「律先輩ちょっとこっち向いてください」

律「ふえ?」

チュ

不意打ち気味に律先輩の唇を奪う

律「んっ…あず、さ…?」


最初は戸惑っていた律先輩だが、すぐにおとなしくなった
口の中に舌をいれてみる

律「んんっ…ぷはっ…」

息苦しさに耐え切れなかったのか、律先輩が唇を離した

律「はぁ…はぁ…梓ぁ…」


梓「ごめんなさい…もう我慢できません」

律「それってどういう…」

梓「律先輩、襲ってもいいですか…?」





※この後の展開は作者の力量不足のためカットされました




~事後~

梓「律先輩大好き///」

律「順序が逆だろー、普通こういう事する前に言うもんだろ」

梓「いいじゃないですか別に、小さいことですよ」

律「そうかなあ」

梓「それに、律先輩だって悦んでいたじゃないですか」

律「そ、それは私も梓のこと…好きだから///」

梓「」

律「どうした?」

梓「律先輩…」

律「は…はい?」

梓「Once again」

ガバッ

律「ぁ、はぁっ…だめ、さっきイッたばかりなのにぃ…」






一方そのころ田井中家では

聡「姉ちゃん、帰ってくるの遅いなあ」ペタペタ

聡「…」ペタペタ

聡「あ、ずれた…」

聡「…」

聡「なにやってんだろ、俺…」



その後、私は律先輩の家に頻繁にいくようになった
聡君とも仲良くなれたし、作った料理を差し入れにいくと律先輩の喜ぶ姿が見れるから…
最近ではそれが楽しみの一つになってきた

梓(明日はどんな献立にしようかな♪)

プルルルルル

梓(電話だ…聡君から?なんの用だろ)

梓「もしもし?」

聡『中野さん!?バイト先で姉ちゃんが…』



病院

梓「聡君…律先輩の容態は…」

聡「お医者さんの話だと、疲労と睡眠不足だけだから心配はいらないって…」

梓「よかったぁ…」ホッ

聡「いまなら面会できますから、中野さんが行ってくれたら姉ちゃんも喜ぶと思います」

梓「ありがとう…聡君」



病室

コンコン

梓(返事がない、寝ちゃってるのかな?)

梓「律せんぱーい勝手に入りますよー」

ガチャ

律「…」

梓「なんだ、起きてるじゃないですか…返事くらいしてくださいよ」

律「あ、梓か…」

梓「律先輩が倒れたって聞いたときはすごく心配したんですよ…」

律「うん、ごめん…」

梓「…どうかしたんですか?」

律「私…今すぐ退院しなきゃ…」

梓「なに言ってんですか!!しばらくは安静にしてなきゃだめですよ!!」

律「でも、私がいなきゃ聡が…」

梓「あ…」

いままで田井中家がギリギリながらも何とか生活できていたのは、律先輩の働きがあったからだ
それが無くなってしまったら、残された聡君だけでは…

律「どうしよう…梓ぁ」

律「私が働かなきゃいけないんだ…」

梓「…」

律「でも、またこんなことが起こったら…どうしたらいいとおもう?」

…なにも答えることができない、励ましの言葉もみつからない
私は肝心な時になにもできない駄目な人間だった

律「ごめん、変なこといって」

梓「あの、律せんぱ…」

律「一人にしてくれ」

つくづく自分の情けなさがいやになる

梓(こんな時なのにそばにいてあげることさえできないのか…)


ガチャ

部屋を出た瞬間、見知った顔が目の前に現れる

澪「梓…」

梓「澪先輩…唯先輩にムギ先輩も…」

軽音部のみんながここに集まっていた

澪「聡から全部聞いたよ…お前このこと知ってたんだよな」

梓「…」

澪「なんで私たちに相談しないんだ!!同じ軽音部の仲間だろうが!!」

唯「ちょっと、澪ちゃん…」

澪「自分一人で悩もうとすんなよ…もっと甘えてくれよ…」ボロボロ

ああ、いつか私が律先輩に言った台詞だ…

唯「…私がギター買いたいって言ったとき、みんなでバイトしようって言ってくれたのりっちゃんだったよね」

梓「唯先輩…」

唯「私、あの時の恩返しがしたい…」

澪「私も…律がいなかったら、みんなに出会うことすらなかったんだよな」

梓「ふざけているようで、いちばん軽音部のこと考えてくれてましたよね…」

唯「みんなでさ、私のときみたいにバイトしようよ!!」

突然、唯先輩が閃いたかのように言った

梓「バイト…ですか?」

唯「うん、空いた時間にやるの!一人だけならたいした金額じゃなくても、みんなで頑張れば…」

澪「いける…かもしれないな!!

梓「名案ですよそれ!!ぜひやりましょう!!」

希望が見えてきた、これで律先輩を助けられるかもしれない

唯「それじゃあ!田井中家救出作戦開始!!」

唯澪梓「おーーー!!」


紬「あの~」

唯澪梓「へ?」

紬「みんな私のこと忘れてない?」ニコニコ

………………

唯澪梓「あっ…」




結局その後、どうなったかというと…
ムギ先輩が向こう数か月分の入院費用および生活費を全部だしてくれたそうだ
もちろん律先輩は断ろうとしたが…

紬『りっちゃんならそう言うと思って、今回は貸しにしておいたわ』

紬「いずれゆっくりと返してもらうから、よろしくね」ニコニコ



梓(結局ムギ先輩に全部もってかれちゃったな)

律先輩のご両親も順調に回復に向かっているらしい
狂った歯車は元に戻りつつある…

律先輩「どうしたあずさー考え事か?」

梓「いえ…なんでもありませんよ」

終わりよければ全てよし、何はともあれ一件落着だ


律「ところでさー」

梓「はい、なんですか?」

律「病院食ってすごい豪華なんだな…」

梓「」

律先輩の貧乏癖が直るのはまだまだ先になりそうだ….


おしまい



最終更新:2010年09月14日 21:49