澪「っ!!」サッ モッコリ

梓「……」ギュ

澪「あず……」プルプル モッコリ

梓「……飛ぶ鳥、跡を濁さず。逃げるときにもそんな感じでお願いします」

澪「……くっ」モッコリ

律「……」

憂「生えましたよね?」モッコリ

律「……ああ」

憂「私は、フタロイドに関しては、それなりに正しい知識を持っているつもりです」モッコリ

憂「それでも信じてもらえませんか?」モッコリ

律「……信じない」

唯「りっちゃ

律「唯」チュ

唯「ん、う……」

澪「……」ギュ モッコリ

律「それに、憂ちゃんの言ってることが本当だとしても何かおかしいんだよ」

律「唯から聞いてるけどさ。憂ちゃんもそのアンリミテッド型を飲んでるんでしょうに」

律「なんでそんなモン飲んだの? 死ぬ気だったのか?」

憂「死ぬ気があったわけじゃないです。覚悟はきちんとしてましたけど」モッコリ

律「へー」

憂「……律さん。私、律さんを軽蔑します」モッコリ

唯「う、憂、やめてよ……」

憂「リミテッド型……3型や7型や14型は、一度服用すれば、同じリミテッド型のフタロイドの効果を得られなくなります」モッコリ

憂「つまりこれらは1回きり。うたかたの夢なんですよ」モッコリ

憂「ですがアンリミテッド型は、リミテッド型の服用後でも効果を得られます」モッコリ

憂「その代わり、寿命は残り5年になりますが」モッコリ

律「まだ言うんだ、それ」

憂「……私は、3度や7度や14度お姉ちゃんを犯すだけでは、満足できるなんて思えませんでした」モッコリ

憂「だから寿命と引き換えに、無限のちんちんを生やしたんです」モッコリ

憂「……その後、どうなったかは皆さんの知るところでしょう」モッコリ

憂「……くやしいけど、それがお姉ちゃんの気持ちだというなら受容します」モッコリ

憂「律さんと争おうなんて思ったりしません。……これだったら、リミテッド型で十分だった――そんなこと思いません」モッコリ

憂「何十年もの寿命を擲っても、何百回とセックスしたいお姉ちゃんがいるんですから」モッコリ

唯「……」グッ

憂「……もしかしたら、私が死ぬ前にウイルスを退治する薬が出来るかもしれません」モッコリ

憂「でも、そんな一縷の望みも抱かない。私は死ぬ覚悟でフタロイドを飲んだんです」モッコリ

憂「生きられるなんて思わない。そんなブレた覚悟でお姉ちゃんを犯したんじゃありません」モッコリ

憂「……私は私のやったことと向き合う。約束された死と向き合いながら、お姉ちゃんを支えていようと思います」モッコリ

憂「……なのに、あなたは何なんですか? 律さん」モッコリ

律「……」

憂「これでお姉ちゃんと好きなだけセックスできる、ラッキー、なんてことを思ってるんでしょう」モッコリ

憂「……そういうことばかり信じて、自分の都合の悪い事は一切耳を傾けない」モッコリ

憂「あなたみたいな臆病な人に、私のお姉ちゃんは任せません」モッコリ

憂「言いたいことはそれだけです」スッ モッコリ

 トン トン トン

 バタン

律「……」

澪「……」モッコリ

梓(4人になった……スマブラやりたい……)

唯「……りっちゃん」

律「……」フッ

律「なんだ、唯?」

唯「りっちゃん、ほんとは分かってるよね?」

律「……」ガバッ

唯「痛っ!」ドサッ

律「……」

唯「り、りっちゃん……」

律「……」チュッ

唯「ん、んむぅ……」

律「……はぁ」

唯「やなの! りっちゃん、そんなのやだ!」ジタバタ

律「……」グイッ

唯「やだっ! やめてりっちゃん!」ギュッ

律「……っ」

唯「りっちゃん、あの時と同じだよ。また自分が見えなくなってる」
ギュ

唯「憂もおんなじだった。続けてやろうとして痛がったんだよ」

唯「怖いんだよね。りっちゃん本当は分かってる」

唯「大丈夫だよ、憂が何て言っても私はりっちゃんのこと好

 バシンッ

唯「き……」

律「……はぁ」

唯「……っ」グッ

唯「だから、一緒になんとかする方法を見つけようよ」

唯「一緒にそのウイルスやっつけてさ、死ぬことなんて怖くなくなるくらい、二人で幸せに……」

 パァンッ

唯「生き……よ?」ニコ

律「……生きれる訳ない」

唯「……」

律「持ってたはずの体をねじ曲げて、私たちは唯のことを愛したんだよ」

律「その為には結局寿命って対価を支払う必要があったんだ」

律「リミテッド型は命を削らないとか、関係ない」

律「ふたなりのちんこを生やして、唯を愛して、セックスをした時点で」

律「私たちは倫理を踏み越えて、道徳に背いてるんだよ」

律「そういうあるべき姿から外れた以上、ペナルティはまとわりつくんだ」

律「それが私たちの場合5年後の死だった」

律「天罰だよ……不可避の事態なんだよ、もう……!」

 ブンッ

律「生きれる訳なんか、ないんだっ!!」

唯「……」グッ

澪「こらぁ……バカ律っ!!」モッコリ

 バキッ

律「――!?」フワッ

澪「……っ」グッ モッコリ

 ブォンッ

律「かはっ」ドンッ……

律「っう……」ドサッ

梓(ビンタでもゲンコツでもなく……蹴り飛ばした!?)

梓(いや、そんなことより……今のは間違いなくファルコンの横スマッシュにヒントを得た動き……!)

唯「りっちゃん!」ダダッ

唯「りっちゃん大丈夫? 頭打ってない?」ユサユサ

律「あ、ああ……」

唯「澪ちゃん……」キッ

澪「律、目は覚めたか」モッコリ

律「……んだよ、澪」



澪「どうして唯をぶった?」モッコリ

律「……わかんねぇ。目の前にいたから殴りたくなった」

澪「目の前にいたらどうして殴りたくなるんだ?」モッコリ

律「私が……すさんでるからだろ」

澪「どうしてすさむんだ?」モッコリ

律「決まってるだろ……死ぬからだ」

澪「死ぬからなんだよ。それだけで悲観するような暗い人生なのか?」モッコリ

澪「死ぬくらいで難しい事考え始めて。めちゃくちゃな理論で自分はもうだめだーなんて決めつけて」モッコリ

澪「せわしない奴だな。ポジティブとネガティブの合間にいられないのか?」モッコリ

律「……澪にはわかんねぇだろうが。死ぬくらいとか……軽く言ってくれるじゃん」グッ

唯「りっちゃん、動いちゃだめ……」

律「澪ぉ」フラッ

律「ぶっ殺す」ズビシ

澪「ああ。ぶっ殺していいよ、律」モッコリ

律「その虚勢がいつまで続くか、見ててやるぞ」スタスタ

 ガタン スラッ

唯「りっちゃん、やめてぇ!」

律「さすが憂ちゃん、よく研がれてる」

梓(いざとなったら、私が……)グッ

唯「りっちゃん!」ガシッ

律「おいっ、危ないだろ唯!」ドキッ

唯「……う、うちの包丁じゃだめ!」

律「……」

唯「包丁はお料理に使うものだから、ね?」

律「わりぃ」カタン

梓「……」ホッ

唯「ありがと、りっちゃん」ホッ

律「……じゃ、それ専用のものを使うか」

唯「へっ?」

律「唯、黙って見てろよな」スタスタ

澪「……」モッコリ

律「……」ガッ

澪「ぐっ……」モッコリ

律「……自分が死ぬって気持ちがわかんねぇやつが」

律「人の生き死ににけち付けんじゃねえ」ギリリッ

唯「や、やめてりっちゃん! 澪ちゃんが死んじゃう!」キョロキョロ

澪「……ゆい、気にしなくていい……ぐっ!」モッコリ

律「唯に話しかけるな!」ギリッ

澪「……わたし、りつに殺されるなら、いい、から」モッコリ

律「……」

梓(喋れるくらいなら……大丈夫かな?)オロオロ

澪「みんながいて……好きな人がいて……」モッコリ

澪「好きな人に殺されるなら……ぜんぜん、いやじゃない」モッコリ

律「……そうか」

律「ならこれでも……同じことが言えるよなっ!」ググッ

澪「あ……が……かはっ」モッコリ

梓「澪先輩!」

律「ほら、私に殺されるぞ? どうなんだ?」ギリギリ

澪「ぐ……うう、うう……!!」モッコリ

律「言えないだろうが! 死んでもいい状況なんかないんだ!!」ギリギリ

澪「いえ、るさ……」モッコリ

律「……うらあっ!!」グググッ

澪「っく……りつになら、殺されたっていい」モッコリ

澪「みんなと一緒に過ごせた、時間があるから……いやなことなんて、ひとつもない」モッコリ

律「……」ギリッ

梓「律先輩、もうやめてください! 本当に死んじゃいますよ!」

律「! ……望むところだっつの!!」ギリギリ

唯「やめてよ、りっちゃあん!!」

澪「……」モッコリ

律「……」ギリギリ

澪「……」モッコリ

梓「澪先輩……?」

律「……みお?」

梓「うわああああああああ!!」ダダッ

律「梓っ!? ……くっ」パッ サッ

梓「ふべっ!」バンッ

唯「あずにゃん!」

澪「……」ドサッ モッコリ

律「……みお、みお!?」ユサユサ

澪「う……ゲホッ、カハッ! ……ゴホ、は、はぁ……」モッコリ

律「……」ハー

澪「はっ、はっ、はぁ……」モッコリ

梓「うぶ……らいじょうぶれふか、みおしぇんぱい」ダラダラ

澪「……ああ。律、殺さなかったんだな」モッコリ

律「殺せるわけないだろっ!」

澪「……優しいんだな」モッコリ

律「……」

唯「りっちゃん、もうやめよ?」

律「……唯」

唯「大好きなりっちゃんが、これ以上ボロボロになるの見たくない……」ギュ

律「……ん」ギュッ

律「そうだな……唯がいる」

律「澪がいる。梓がいる。ムギがいる」

律「唯と一緒になれた……それだけで、生きてきてよかったじゃんか」

唯「……りっちゃんっ!」ギュウウ

律「……ごめん、唯。さっきはひどい事して」

唯「ううん、全然いいの。りっちゃん、気が動転してたんだもんね?」

律「はは、その優しさが痛えや……」

律「……みんなも、ほんとごめん」

澪「気にするな。むしろ私こそ、蹴りいれて悪かった」モッコリ

梓「いいがら、てぃっひゅくれまへん?」

律「……ありがとうっ」ポロポロ

梓「てぃっひゅー」



 月曜日、放課後 音楽準備室

律「唯の話を整理しよう」

律「あの後、純ちゃんが来たことを澪が思い出し」

律「つられて、純ちゃんから薬を受け取っていたことを梓が思いだした」

律「使えない子ね。とか言わないの。ほら泣いちゃった……」

律「私たちは純ちゃんが薬について何か知っているのではと思って、純ちゃんの家に向かった」

律「そこで事情を説明し、純ちゃんに解除薬をもらった後、彼女から衝撃の事実を聞かされる」

律「なんとフタロイドは純ちゃんが開発・製造し、憂ちゃんを通じて、彼女が信頼する女性の同性愛者にのみ販売されていたらしい」

律「私が純ちゃんにフタロイド開発の停止と、抗ウイルス剤の開発を依頼すると」

律「憂ちゃんが食事にフタロイドを混ぜたことを知って激怒していた純ちゃんは快諾してくれた」

律「これから私がどうなるかはわからない」

律「もしかしたら、やっぱりなす術なく死んでしまうのかもしれない」

律「それでも……私は幸福だったと思う」

律「だって、こうやって音楽室で話している時間が、きらきら輝いているだろ?」

律「私の隣に、唯がいてくれるだろ? 周りにみんながいてくれるだろ?」

律「だから、いつ死ぬとしたって幸せなんだ」

紬「へー」

律「え?」

紬「いや、ふたなりはちょっと……」

律「へー」

紬「え?」


 終わり。




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最終更新:2010年09月15日 23:42