律ママ「それじゃ、また今度ね」
澪ママ「えぇ。またねー」
律ママ「・・・さて、と」
律ママ「誰も家にいないのよね・・・」テクテク
律ママ「考えてみればすごい久々かも」
律ママ「DVDでも借りて帰ろうかな」
律ママ「うーん・・・」
律ママ「色々と観たいものが溜まっちゃってるのよねー・・・」
律ママ「・・・あ」
律ママ「考えてるうちに家に着いちゃった・・・」
律ママ「ま、いっか」ガチャ
律ママ「・・・」バタンッ
律ママ「夕飯も済ませちゃったし、暇だなー」
律ママ「かと言って行くあてもないし」
律ママ「美容のために早寝でもしようかな」ピッ
律ママ「とか言いつつテレビつけちゃう私って・・・」
律ママ「・・・」ピッ・・・ピ・・・ピ・・・
律ママ「面白そうなのもやってない、かぁ」
律ママ「・・・」
律ママ(そういえば、律と澪ちゃんは仲直りできたのかな)
律ママ(そもそも本当に喧嘩してたのかしら、あの二人)
律ママ(いや、澪ちゃんの塞ぎこんでるタイミング的にきっとそうよね・・・)ハァ
律ママ(親友との喧嘩、かぁ・・・)
律ママ(若いんだもん、たくさんぶつかりなさい)
プルルルル・・・
律ママ「ん・・・?」
『秋山さん』
律ママ「どうしたのかしら?」ピッ
律ママ「はい、田井中です」
澪ママ「田井中さぁん・・・!!」
律ママ「どうしたの?」
澪ママ「や、や、や・・・ヤツがいた・・・!!」
律ママ「え?何?」
澪ママ「ヤツがいたのよぉ・・・!!」
律ママ「何そのホラー映画のノリ」
澪ママ「だ、だって・・・」ガタガタ
律ママ「ほら、落ち着いて?どうしたの?」
澪ママ「澪が部屋にいたの・・・!」
律ママ「あっそう、ふーん」
澪ママ「なぁに?その『あっそう、ふーん』みたいなリアクション!」
律ママ「いや『みたいなリアクション』っていうか実際にそうやって言ったからね」
澪ママ「あのね、話し声が聞こえるのよ・・・」
律ママ「は、話し声?もしかして律と?」
澪ママ「うん、物音からして部屋に二人でいるっぽいの。憶測だけど」
律ママ「へー、秋山さん帰ってきたのに気付いてないんだ?」
澪ママ「結構大きめに音楽流してるから気付いてないのかも」
律ママ「あー、なるほど」
澪ママ「まぁ、澪の部屋の照明がついてるのが見えたから、こっそり家に入ったんだけどね」
律ママ「忍者か」
澪ママ「スパイと言って」
律ママ「うるせぇよ」
澪ママ「とりあえず、一応りっちゃんが部屋にいないか確認してみてくれない?」
律ママ「い、いいけど。秋山さん今どこにいるの?」テクテク
澪ママ「今?居間よ。悔しい・・・!こんなダジャレ言わされるなんて・・・!」ビクンビクン!
律ママ「他意はない。そして感じるな」ビクンビクンジャネーヨ
澪ママ「あ、でも大丈夫よ?電気つけてないから!」
律ママ「ヒキコモリみたい」
澪ママ「バレないようにするためよ!」エッヘン!
律ママ「ば、バレないようにって・・・」
澪ママ「仲直りの最中かもしれないのに水を差したら悪いじゃない」
律ママ「ま、まぁそうかな」
澪ママ「りっちゃんの部屋、ついた?」
律ママ「えぇ。開けるわよ?」
澪ママ「うん、お願い」
律ママ(・・・なんか緊張してきた)ゴクリッ
澪ママ「・・・」ドキドキ
律ママ「り、りつー?・・・いないの?開けるわよー?」コンコン
澪ママ「・・・」ワクワク
律ママ「ドキドキは許す、だけどワクワクは駄目だ」
澪ママ「ちぇー」シュン
律ママ「・・・開けるからね?」ガチャ
澪ママ「・・・」
律ママ「あー」
澪ママ「どうしたの?」
律ママ「うん、いないみたい」
澪ママ「やっぱり・・・!」
律ママ「二人で澪ちゃんの部屋にいるっぽいわね」
澪ママ「ねぇ、ケータイじゃなくて家の電話にかけ直していい?」
律ママ「いいけど、どうするの?」
澪ママ「田井中さんは固定電話で私と通話しつつ、ケータイからりっちゃんのケータイにかけるの」
律ママ「待て、そんなことをして何になる」
澪ママ「澪の部屋から着信音が聞こえたらやっぱりりっちゃんは部屋にいるってことになるじゃない」
律ママ「あ、なるほど・・・っていうか」
澪ママ「なに?」
律ママ「なんでそんな確実に確かめたがるの?律が澪ちゃんの部屋にいるっぽい、それでいいじゃない?」
澪ママ「わ、私にも色々あるのよ・・・(嘘だけど)」
律ママ「なんだそれ」
澪ママ「いいから!とりあえずかけ直すわね?」
律ママ「え、えぇ。わかったわ」ピッ
律ママ「色々って、どういうこと・・・?まぁ、十中八九遊んでるだけだろうけど」
デンワデースヨー♪
律ママ「あ、来た来た」ガチャ
澪ママ「もしもし?それじゃ、準備はいい?」
律ママ「うん、律のケータイにかければいいのよね?」
澪ママ「そうよ!」
律ママ「でもよく考えたら、秋山さんのところまで電話の音聞こえるの?無理じゃない?」
澪ママ「私は澪の部屋の前まで移動するわ・・・!」キリッ
律ママ「あっそう」
澪ママ「なんてったって・・・スパイだから!」キリキリキリッ!
律ママ「わかったから静かにして」
澪ママ「1分後にかけてみてね!」
律ママ「わ、わかったよ」
澪ママ「・・・」ソーット・・・ソーット・・・
律ママ(律が澪ちゃんの部屋に行ったってことは律から仲直りを持ちかけたってことかしらね?)
律ママ(さすが私の娘、偉い)
律ママ(まあ、まだ一緒にいるって決まったわけじゃないけどね・・・)
律ママ「それを、これから確かめるのよ・・・!」ピッ
プルルルル・・・
律ママ「呼出はしてるみたいね」
律ママ「あとは任せたわよ、秋山さん」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
澪ママ(音もなく近づくのよ、私!)ソロリソロリ・・・
澪ママ(あとちょっと・・・!)
澪ママ(・・・)ピタッ
澪ママ(つ、着いた・・・ここら辺なら大丈夫よね)
澪ママ(・・・うん、音楽も鳴ってるけど、これだけ近ければきっとわかるハズ)
澪ママ(あ)
澪ママ(りっちゃんがマナーモードにしてたらどうしよう・・・)
澪ママ(耳をそばだてないと・・・!)
澪ママ(会話は・・・さすがに聞こえないか)
澪ママ(あぁんっ、田井中さん早くぅー)
ママーママーママカラデンワー♪
澪ママ「!!!!?!!?!?」ビクゥッ!?
澪ママ(び、びっくりしたー。でも、これで決まり、ね・・・!)
ママカラデンワダヨー♪
澪ママ(それにしても何この着信音)
澪ママ(っていうか電話とってあげて)
澪ママ(音楽が小さくなった・・・きっと電話の声が聞こえやすくするためね)
澪ママ(・・・)
澪ママ(とりあえず、この場を離れないと)
澪ママ(そっとね!)スッ
ギィ
澪ママ(!!?)
澪ママ(床ぁ!なに音たててるのぉ!?)
澪ママ(ま、まずいわ・・・音楽が小さくなったから物音が澪達に聞こえやすくなっちゃった・・・)
澪ママ(あ、あれ?私ここから動けなくない?)
澪ママ(ここで田井中さんが大きな声で話しかけてきたらバレるわ、確実に)
澪ママ(かくなる上は・・・!)ピッ
澪ママ(切っちゃったー♪)ウッフー
澪ママ(大丈夫、田井中さんは物分りがいいからわかってくれる)
澪ママ(それよりも、この状況をどうするか、ね・・・)
澪ママ(会話が聞こえればいいんだけど・・・)
澪ママ「・・・」
澪ママ(駄目だわ、声も聞こえない)
澪ママ(考えて!考えるのよ私!)
澪ママ(何かないかしら・・・)ゴソゴソ
澪ママ(こ、これは・・・カラオケの会員証?)
澪ママ(そうか、すぐに出せるようにポケットに入れといたんだっけ・・・)
澪ママ(よし、これで・・・!!もうこうなったら一か八かよ・・・!!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
律ママ「駄目だ、律ったら電話でない」
律ママ「やっぱり澪ちゃんといるのかしら・・・?」
律ママ「うーん・・・」
律ママ「そろそろ秋山さんも離れたかしら」
律ママ「もしもーし?」
律ママ「あ、あれ?」
律ママ「こっちも切れてる・・・」
律ママ「・・・」グスッ
律ママ「お、落ち込んでる場合じゃないわ」ゴシゴシ
律ママ「一体何がどうなってるっていうのよ」
律ママ「わけがわからないわ・・・」
律ママ「いいや、秋山さんから連絡が来るまでテレビでも見てようっと」ピッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
澪ママ「・・・」スッ
澪ママ(よし、こうして・・・)
澪ママ(そーっと、そっとね)ス・・・
澪ママ「・・・」ドキドキ
澪ママ(うん、気付いていないみたいね。成功ね)
澪ママ(うふふ。扉の隙間から二人を観察することができる)
澪ママ(あ、りっちゃんだ。ケータイをいじってる・・・)
澪ママ(・・・あれ?電源切っちゃったみたい)
澪ママ「・・・」
澪ママ「・・・」
澪ママ(話し声が聞こえてこなかったのは扉のせいじゃなくて、二人とも声を発していないせいだったのね)
澪ママ(こういうときに『おっぱい!』って叫びたくなるのは何故かしら)
澪ママ(あ、澪が立ったわ!)
澪ママ(こっちこないでよー?本当にこないでよー?)
澪ママ(う、うるさっ)キーン
澪ママ(また音楽の音上げちゃって・・・りっちゃんが電話しないからよー?もうっ)
澪ママ(二人とも、会話してみなさいよ。私とあなた達を隔てるものはもう何もないんだから)ウフフ
律「いいじゃん」
澪ママ「!?」
澪「よくないって」
澪ママ(喋ったぁぁぁ!!!で、何がよくないのかしら?)
律「・・・じゃあ、どうするんだよ」
澪「わからないけど・・・」
律「親に勘当されたら、それまでだろ」
澪ママ(なんか重い話してるぅぅぅぅ)
澪「・・・」
澪「いやだよ・・・怖いよ・・・」
律「・・・そりゃ、私だって」
澪「私、パパもママも大好きだもん」
澪ママ(私も大好きよぉぉぉ!!)
律「わかるよ。でも、このままじゃ駄目だって・・・わかるよな?」
澪「それは・・・うん・・・」
律「じゃあ・・・!」
澪「ねぇ、律?」
律「・・・何?」
澪「しよ?」
澪ママ(何を!?)
律「嫌だよ、そうやってまた先延ばしにするのか?」
澪「・・・」グイッ
律「え、っちょ、ちょっと、おい!」ボフンッ
澪ママ(押し倒したぁぁぁ!!?!?)
澪「律と喧嘩してるときに、ずっと律のことばかり考えてた」
律「私もそうだよ。でも、今は駄目だ。話をしようぜ」
澪「厭」
律「・・・」
澪ママ(え?え?まさか、『しよ?』って・・・う、嘘でしょ?)
澪「りつ・・・」チュ・・・チュパ・・・
澪ママ(えええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっぇええ!!?!?!??!?)
律「やぁ、ん・・・みぃお・・・だめだって・・・」チュ
澪ママ(りっちゃんしおらしいぃぃぃぃぃぃ!!!!!)
澪「私、もう我慢出来ないよ・・・」スッ
澪ママ(やだっ澪ったら大胆!)
律「で、でも・・・」
澪「今日は私がしてあげるね・・・」
澪ママ(いつもはりっちゃんがしてくれてるのね、わかりました)
律「みぃお、ちゃんと・・・話しよう・・・?」
澪ママ(りっちゃん可愛い過ぎだろ)
澪「・・・」プチプチ
澪ママ(脱がせた!?)
澪「うん、ちゃんと話し合おう。終わってから」
澪ママ(肉欲>>>(超えられない壁)>>>げんじつ!!)ホゥ!
律「・・・ばぁか」
澪ママ(こ、これは・・・!)
ドンドンジャカジャカジャジャッジャッジャ♪
澪ママ(全く、音楽がうるさい・・・!あ、あれ?)
澪ママ(そ、そっか!今なら居間に戻れる!)
澪ママ(あ、また寒いダジャレ言っちゃった・・・)シュン
澪ママ(とりあえず、田井中さんに報告よ・・・!)ソーット・・・ソーット・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
プルルルルルル・・・
律ママ「ん、秋山さんから電話だ」ピッ
澪ママ「もしもし!!?!?」
律ママ「うわぁ!!?」
澪ママ「たたた大変なのよ!!」
律ママ「ちょっと、落ち着いて?っていうか遅かったわね?」
澪ママ「色々あって・・・」
律ママ「あー、バレちゃったかー」
澪ママ「いいえ、それは多分大丈夫」
律ママ「あれだけ時間かかっといて大丈夫だったんかい」
澪ママ「えぇ!」ホメテ!
律ママ「それで、やっぱり律は澪ちゃんの部屋にいた?」シカト!
澪ママ「いたわ。いたけど・・・」
律ママ「どうしたの?」
澪ママ「えっとね、まず、衝撃的なお知らせがあるの」
律ママ「・・・なに?」
澪ママ「・・・」
律ママ「なによ?気になるじゃない」
澪ママ「りっちゃんと澪、付き合ってるわ」
律ママ「」
律ママ「」
律ママ「」
律ママ「あ、ごめん。電波障害で変な風に聞こえちゃった。もう一回言ってくれる?なんだって?」
最終更新:2010年09月16日 21:21