……
ガチャッ
和「失礼するわね」
唯「あ、和ちゃ~ん♪」モグモグ
律「おう和!どうしたんだ一体?」ズズー
和「練習しているのかと思ったら、ティータイムの真っ最中なのね……」
澪「は、はは……。それで、軽音部に何か用?」
和「ええ、最近室内外を問わず熱中症になる人が増えているから、生徒会でも各クラブへ注意に回ってるの。このプリントに熱中症対策について書いてあるから、部長は目を通しておいて」
律「りょ~かい」
和「あとこれは澪に頼まれてた先週の模試の解説ね」
澪「わざわざ持って来てくれたのか?ありがとう」
和「これは唯に頼まれてた数学のノートのコピー。ちゃんと授業は聞かないとダメよ?」
唯「えへへ、いつもスイヤセン」
和「これは梓ちゃんに頼まれてた本ね。『絶対に成功するバストアップ術』……頑張ってね?」
梓「あ、ありがとうございます。……って、こんなの頼んでませんよ!?」ガーン
和「ノリ突っ込みもこなせるなんて……やはり逸材ね」
梓「意味分かりませんって!あと唯先輩、くっつかないで下さい!」
唯「もう~、あずにゃんってばおっぱい小さいの気にしてたの~?私が揉んで大きくしてあげるよ!」
梓「ひっ!?さ、触らないで下さい!」
紬「あらあらまあまあ!」キラキラ
和「ふむ、これで用事は済んだことだし私は戻るわね?」
澪「あ、待って和!せっかくだから和もお茶して行かないか?」
和「え?でも……」
律「遠慮なんかすんなって。ささ、座った座った」グイグイ
和「もう……」
紬「和ちゃんも紅茶でいいよね?ショートケーキもどうぞ♪」カチャッ
和「ありがとうムギ。それじゃいただきます」
紬「召し上がれ♪」
和「……ん、美味しい」
紬「うふふ、良かった」
唯「……」ジーッ
梓「唯先輩、何見てるんですか?」
唯「いや~、和ちゃんのケーキ美味しそうだなって」
澪「さっき同じの食べたじゃないか……」
唯「てへへ……」
和「いいわよ、唯。一口あげるわ」
唯「えっ、いいの!?」
律「何だ何だ?和は唯には甘いな~?」
和「まあ小さい時からの付き合いだからね。ほら、食べていいわよ」スッ
唯「ありがとう和ちゃん!よいしょっと」プスッ
和「!?」
唯「はむっ。ん~、イチゴ美味しい~♪」
和「……」プルプル
唯「ん?和ちゃん、どうかしたの?」
和「何でケーキの一口って言われてイチゴを狙うのよ!?」ペチーン
唯「あいたーっ!?」
和「全く、常識で物事を考えなさい!イチゴはケーキの頂上よ?魂なのよ!?」
唯「えっ、でも和ちゃんケーキのイチゴくらいでガタガタ言うなとか、常識を疑えとか言ってたような……」
和「今はそんなことどうでもいいの。唯、基本的なことよ。自分がされたら嫌なことは人にはしない……分かるわよね?」
唯「はっ!?」ガーン
和「イチゴを取られちゃったら悲しいのよ?泣いちゃうのよ?人を悲しませるようなことは、絶対にしてはいけないわ」
唯「ご、ゴメンなさい和ちゃん!私、私間違えてた!」
和「反省してる?」
唯「してるよ!本当にゴメンなさい!許して和ちゃん……」ウルウル
和「……ふふ。分かってくれればいいのよ」ナデナデ
唯「あ……。えへへ、和ちゃんは優しいね」
和「ほら唯、ご褒美……ってわけでもないけど、もう一口あげるわ。あ~ん」
唯「あ~……んっ。美味しいよ和ちゃん!」モグモグ
和「ふふ、よかったわ」ニコッ
澪「……」
梓「……」
律「……何も言えねえ」
紬「アメとムチの政策ね!」
……
和「ちょっと律、ジュース買ってきてくれない?」
律「おう、分かった!」
和「オレンジジュース。急いでね?」
律「オッケー、じゃあ行ってくる……って、ナチュラルにパシらせようとするなよ!?」ガーン
和「あら、自然な流れだと思ったのに」
律「まあ、あまりにもサラッと言うから流されそうになったのは認めよう」
和「仕方ないわね……はい、お金」
律「そういう問題じゃないし、奢らせる気だったのかよ!?」
和「もう、わがままねえ律は」
律「いや……わがままとかいう問題じゃない気がする……。でもまあ、私ものど渇いてるしなあ」
和「丁度いいじゃない、私の分も一緒に……」
律「いや待て!それだったら和が行ってもいいじゃないか」
和「そうかしら?」
律「そうだろ」
和「しょうがない、それじゃあ公平にジャンケンで決めましょう」
律「ジャンケンか。それなら公平だな」
和「でしょう?勝負ごとは公平にやらないとね」
律「よしそれじゃあ行くぞ!最初はグー、」
和「ちょっと待って律」
律「何だよ?」
和「このまま始めるのはあまりにも不公平だわ」
律「え、何で?」
和「だって『ジャンケンで勝負』というルールを作ったのは私よ?律がそのルールに納得したとはいえ、私の決めたルールに従って決まった決定に律が不満を漏らさないとも限らない」
律「それはないから安心してくれ」
和「ダメよ、勝負は完全に公平じゃないと納得できないわ」
律「……私にどうしろと?」
和「私はジャンケンというルールの大枠を作ったわ。なら、あとの細かいルールを律が決めればいいのよ」
律「なるほど。じゃあジャンケンは一回勝負だ」
和「ええ、分かったわ」
律「よっし。それじゃあ負けた方が二人分のジュースを買ってくるってことで」
和「ちょっと待って律。あなたはどこまで傲慢なの?」
律「えっ何で!?」
和「確かに大枠のジャンケンは私が決めたわ。だから細かいルールを作る権利は律にある」
律「だから私は……」
和「そう、だから律は一回勝負というルールを決めたじゃない。それに付け加えて負けた方が何をするだの決めるのは越権行為と言えるわ。不公平よ」
律「そんな細かいことまで考えるのか!?」
和「当然よ。後から揉めるのはゴメンだからね」
律「だったら残りは和に任せるよ」
和「それはダメ。また不公平感が出てしまうわ」
律「だったらどうやって決めるんだよ……」
和「またジャンケンをすればいいのよ」
律「ええ?」
和「ジュースを買いに行くという役割を決めるためのジャンケンという大枠を私が決め、一回勝負というルールを律が決めたわ。そして次の詳細なルールもジャンケンで決める」
律「……」
和「そのジャンケンに勝った方が詳細なルールを決めるということよ」
律「凄くシンプルなはずなのに、妙に難解な取り決めになってきたな……。まあいいや、とにかくジャンケンをすればいいんだろう?」
和「待ちなさい律」
律「まだ何かあるのか……?」
和「確かに詳細ルールはジャンケンで決めようと言ったけど、私は律から同意を得てはいないわ」
律「心配しなくても反論はしないって」
和「だったら尚更ジャンケンは出来ないわね」
律「何でさ」
和「いい?役割を決めるために公平なジャンケンという提案をした私に対して、一回勝負というルールは律が決めたわ」
和「そして、さらに詳細なルールを不公平感が出ないよう決めるために私がジャンケンをしようと決めた。となると、そのジャンケンのルールを決める権利が律に発生すると思わない?」
律「そろそろついて行けなくなってきた……。というか、これって無限ループじゃね?」
和「そう?」
律「だって詳細を決めるためにジャンケンまたジャンケンってなれば、キリがないだろ」
和「だったらどうやって決めるのよ。私は勝負事は完全に公平じゃないと納得しないわよ?」
律「それは……」
和「それは?」
律「……」
和「……」
律「私が行って来ます……」
和「あらそう?何だか悪いわね」
律「絶対そう思ってないだろ……はあ、何かどっと疲れた」
和「じゃあ……はい。ちょっと温くなっちゃってるけど、ジュースあげるから元気出しなさい!」
律「持ってんじゃねーか!」
……
澪「和、何してるんだ?」
和「あら澪。丁度よかったわ、パンツ何色?」ピラッ
澪「ひゃわあああっ!?な、何すんだ!?///」
和「また縞パン……可愛いけど、ちょっと子供っぽいわよ?」
澪「う、うるさいなあ!それより何なんだよいきなり!」
和「え?澪ってパンツを見せびらかして興奮するタイプじゃなかったっけ?」
澪「私そんな変態じゃないよっ!?」ガーン
和「でも一年のライブの時に……」
澪「わーっ、わーっ!昔のトラウマを引っ張り出さないでくれ!」
和「……」
澪「うう……」ブルブル
和「……本当は好きなんでしょう?見られるの」
澪「!?」
和「ほら、正直になりなさい?ふふふ……」
澪「の、和……?怖いよ、近づかないでぇ……」ビクビク
和「怖がらないで。ほら……」
澪「あっ!?そ、そこは……はうぅ///」
和「……とかどうよ?」
紬「採用」
澪「ねえよ」
……
紬「和ちゃ~んっ」
和「あらムギ。今帰り?」
紬「うん。和ちゃんが歩いているのが見えたから、走ってきちゃった」
和「唯たちはいないの?」
紬「私は用事があったから少し残ってたの。待たせたら悪いから、皆には先に帰ってもらっちゃった」
和「そっか。ムギは優しいのね」
紬「えっ!?ふ、普通のことだと思うけど……///」
和「そういうことを普通に出来るから優しいのよ」ナデナデ
紬「あ……えへへ」
和「何だか嬉しそうね?」
紬「うん、私あんまり頭を撫でられたりとかされないから……」
和「なるほど」
紬「あの、和ちゃん。よかったら一緒に帰らない?」
和「そうなんだ、じゃあ私は生徒会に行くね」
紬「ええっ!?」ガーン
和「冗談よ。一緒に帰りましょうか」
紬「も、もうっ!和ちゃんったら……」
和「せっかくだし、どこかに寄って行きましょうか?」
紬「いいの!?是非っ!」フンス!
和「まあ私は帰るけどね」
紬「ひどっ!?」ガーン
和「冗談だってば」クスクス
紬「和ちゃんの意地悪!もう知らないっ」プイッ
和「あらあら、拗ねちゃった」
紬「……」プクーッ
和「ほっぺ膨らませちゃって……子供みたいね。ほら、行きましょう。皆待ってるわよ」
紬「え?」
唯「お~い、ムギちゃ~ん!」
梓「お疲れ様です」
律「おっ、和も一緒か」
紬「みんな……どうして?」
澪「ムギに気を使わせちゃうと悪いから、外で待ってたんだ」
唯「よし、みんな揃ったしアイスを食べに行こう!」
梓「またですか……」
律「いいじゃないか、暑いし。ほれほれ行くぞ~っ」グイッ
梓「引っ張らないで下さい!」
澪「おいおい、あんまり急ぐなよ……。ムギも和も早く行こう、置いて行かれちゃうよ」
和「ええ。ほら、ムギ」ギュッ
紬「あ……うん♪」
……
和「……」
和「疲れたわね」
和「ちょっと働きすぎよね、私。歴代生徒会長の中でも一二を争う仕事量じゃないかしら?」
和「このままだと、きっと私は過☆労☆死してしまうわ」
和「休養は大切よね」
和「そういうわけで、お休みなさ~い」モフッ
憂「……」
和「……」
憂「あの、和ちゃん?」
和「な~に、憂ちゃん?」
憂「憂ちゃんって……///えっと、そこは私の膝の上なんだけど……」
和「ああ、気にしなくていいわ」
憂「和ちゃんの台詞じゃないよ~……」
和「柔らかくてあったかいから、心休まるわ……」グリグリ
憂「ちょ、顔押し付けないで!///」
和「それじゃあお休み、憂」
憂「もう……和ちゃんてば」
和「……すう」
憂「……」
和「……」
憂「えへへ、和ちゃん……♪」ナデナデ
唯「あ~っ!」
憂「ひゃっ!?お、お姉ちゃん?大声出すと和ちゃん起きちゃうよ」
唯「憂と和ちゃんだけずる~い!私も私も~♪」ガバッ
和「ん……唯?」
唯「えへへ~、和ちゃ~ん♪」ギュウッ
憂「お、お姉ちゃんずるい!私も!」ギュウッ
和「あらあら……仕方ない子たちね、まったく」
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最終更新:2010年09月17日 23:56