律「しかもその1年、入部次の日にいきなりきれたんだぜ?」
澪「あははっ。そうだったな」
唯「ティーセットは全部撤去すべきです!」
紬「結局ティータイムにも慣れちゃったけどね」
梓「…そんな過去の話はもう忘れました」
澪「その1年生が入部してすぐ辞めそうになってはらはらしたよな」
律「合宿ではだれよりも遊んで真黒になってた」
梓「誰でしょうね、その1年生」
唯「あずにゃんだよーん」
紬「くすくす」
紬「梓ちゃんが入ってからの1年は去年とは違うものになったわね」
澪「私たちも先輩になったんだなーって」
律「思った思った」
澪「いや、お前は変わって無かったぞ」
律「ぶー」
澪「初めての学園祭はどうだった?梓」
梓「楽しかったです!」
唯「はは…」
律「お、こっちにもトラウマ発見」
紬「私たちもドキドキしてたのよ」
澪「演奏しながら唯のことばっかり考えてたよな」
唯「お騒がせしましたー」
澪「皆で鍋食べて、初日の出迎えて、ライブハウスにも行ったな」
紬「それであっという間に3年生になって」
唯「トンちゃんが入部しました!」
律「まさか新入部員がトンちゃんだけだとは」
梓「5人が結束して見えるから入りにくいんだよーって純が言ってました」
律「ほぉ。梓さんはそんなことを思っていたのか」ニヤニヤ
梓「純です!純!」
紬「3年生は澪ちゃんのお茶会も開いたわね」
律「あのポエムなんだったんだよ」
澪「よかっただろ?」
唯「あ、あはは」
律「あの唯でも苦笑いするくらいの出来だぞ」
澪「な、何だよもう!」
律「夏フェスも楽しかったな」
澪「話逸らすな」
唯「あのときの星空きれいだったね」
梓「はい!私あんなにきれいなの初めて見ました!」
唯「夏休みは楽しかったね」
紬「お祭りに行って花火も見たね」
律「あっという間に終わってしまった」
澪「宿題もせずにな」
律「部室が無くなったり、歌詞が出来なかったり」
澪「だから話を逸らすなって」
梓「唯先輩の歌詞素敵でした」
唯「ごはんはおかず!」
梓「U&Iのほうです」
唯「ごはんはー?」
紬「学園祭は大成功だったわね」
律「劇もライブもな」
梓「ジュリエット」
律「中野ぉ?笑ったな?」
梓「気のせいです…ぷっ」
唯「皆でバイトしたよね」
紬「おかげで澪ちゃんの笑顔も完璧!接客のみね」
梓「私あれが初めてのバイトでした」
唯「バイトといえば、ねー?」
律「ああ。そんなこともあったな」
梓「なんです?」
唯「私のギターを買うために皆がバイトしてくれたんだ」
梓「へぇ。初耳です」
唯「交通量調査?カチカチするの」
梓「あ、知ってます。たまに道路でやってますよね」
律「あのあとなー、ぷぷっ」
紬「皆ことあるごとに数数えちゃって」
唯「そうそうそうそうそう」
律「5回!」
梓「あはははっ」
唯「結局、ムギちゃんのお店で安くしてもらったんだけど」
律「あれ返したのか?」
唯「うん。お小遣い我慢しましたー」
紬「良く頑張りましたー」
唯「ギー太のためだもん!」
梓「もう忘れないであげてくださいね?」
唯「3年生の時は持ってきたもーん」
紬「皆お揃いのTシャツ着たわね」
律「さわちゃんのサプライズ、まじびっくり」
梓「それで、その後は…」
律「こうやって、いつの間にか澪が静かに泣いてたからなー」
澪「…う、うるさい…ぐすっ…馬鹿律…」
唯「もう引退だなー。最後の学園祭だったんだなーってしみじみ思って」
紬「この部活に入って良かったって…そう思って…」
律「おいおいムギまで泣くなよー」
梓「はいムギ先輩、ちーん」
紬「あり…がと」チーン
梓「どういたしまして」
唯「受験まで早かったよね」
律「まだ覚え切れてないのにーって」
紬「唯ちゃん…英単語こぼれちゃ…うって」
唯「そうそう、実はあのときちょっとこぼれたんだ、あはは」
律「笑い事じゃねーし、まぁ皆受かってよかったよ」
梓「もうすっごい不安だったんですよ」
律「律様をなめるなよー?」
梓「律先輩の心配はしてません」
律「私は受かるからってこと、それとも単純に心配してないのか、ねぇどっち」
梓「どっちでしょう」
律「あー…これがあのとき照れながらチョコを渡してくれた後輩と同一人物なのか」
紬「おいしかった…ね。あの…ひっく…チョコケーキ」
梓「憂に手伝っもらったんです」
唯「あずにゃんが作ってくれたから美味しいんだよ」
梓「じゃぁまた放課後に…」
律「うんうんって学園祭と同じノリやないかい」ビシッ
梓「いたっ」
唯「あははっ」
紬「ふふっ」
律「ほーら!澪もいい加減に泣きやむ!」
澪「う…うん」
唯「いつもずっと一緒にいたのに言葉にすると短かったねー」
梓「言葉に出来ないもののほうが大きかったです」
唯「こうやって制服着ることも、もうないのかなー」
紬「夕日が差し込む部室に…いるのが当たり前だった」
澪「皆で…演奏して…律がドラム走って…唯がコード忘れて…」
梓「今日で終わりなんですよね」
律「もう、放課後はないから、放課後に私たちがいなくなるから!」
唯「りっちゃん…」
律「今日をもって、か…かい…」
梓「律先輩泣いてるんですか?」
澪「人には…泣くなって言ったのに…」
律「うっうるせーよ…えぐっ…」
唯「あずにゃんも」
梓「…ひっく…うっ…」
律「さっき…あんなにたくさん…泣いただろっ…」
梓「仕方ないじゃない…ですか…みっ…みなさんが…大好きなんですから…」
律「へへっ…ばぁーか…」
紬「梓ちゃん…ひっく…」
澪「あず…さぁ…」
唯「あずにゃん私も大好き!」ギュ
律「それじゃぁ…解散!」
帰り道!
和「ごめんね遅くなっちゃって」
唯「ううん。私も遅くなったし」
和「もう唯と一緒に帰る事も無くなるのね」
唯「幼稚園から今までずっと一緒だったね」
和「気付いたらいつもいたわ」
唯「えへへー」
和「でも、気付いたら…もう最後なのね…」
唯「えぇ?和ちゃんまでー」
和「ごめんね…」
唯「和ちゃんはここ離れちゃうんだよね」
和「うん。…唯に気付く事も無くなっちゃう」
唯「そんなこと無いよ」
和「でも、道を歩いてても、アイス屋さんに行っても…唯がいるわけない」
唯「んー。寂しくなったら会いに行っちゃうかも、だから可能性は0じゃないよ」
和「唯ったら…」ギュ
唯「もうしょうがない子だねー」ナデナデ
和「いつもは私のセリフなのに」
唯「和ちゃん今までありがとう」
和「私も、ありがとう、唯」
唯「これからも、離れても、ずっとよろしくね」
琴吹家!
斎藤「おかえりなさいませ」
紬「ただいま」
斎藤「卒業式はどうでしたか?」
紬「…ぐすっ…思い出しちゃったじゃない…斎藤のバカ」
斎藤「失礼しました」
紬「初めての定期券、駅のホーム」
斎藤「あんまり遠くに行かせるのは心配でしたが」
紬「初めての駄菓子屋、ゲームセンター」
斎藤「いくらでも買って差しあげますのに」
紬「初めての軽音楽、大切な大切な仲間」
斎藤「合唱部に入るとばかり思っていましたが」
紬「初めてばっかりが詰まってたわ」
斎藤「紬お嬢様のそんなに幸せそうな顔も初めて見ます」
紬「あんまり見ないで…泣いた顔なんて」
寄り道!
律「澪ー見てみ?あのおっちゃん魚釣れたみたいだぞ」
澪「ひっく…」
律「…みぃーおー」
澪「何だよ…えぐっ」
律「リコピン!」
澪「もう…」
律「澪は本当に泣き虫なんだから」
澪「律だって泣いてたじゃん」
律「それは言うなー」
澪「ふふっ」
律「へへっ」
澪「律…」
律「なんだい泣き虫澪ちゃん」
澪「3年間お疲れ様、部長」
律「なっ…」
澪「律が軽音部を作ってくれたおかげで、3年間すっごい楽しかった!」
律「馬鹿…」
澪「泣くのか?」
律「な、なかねーし!」
澪「泣いてもいいぞ」ギュ
律「澪の…澪のくせに…うっ…うぇ…」
澪「よしよし」
律「私も…楽しかったんだよ…」
澪「うん」
律「寂しいよぉ…」
平沢家!
憂「お姉ちゃんおめでとう!」
唯「わぁごちそうだー!」
唯ママ「唯卒業おめでとう」
唯パパ「もう唯も卒業かー早いな」
唯「あれ、お父さん泣いてるの?」
唯パパ「な、何言ってんだ」
憂「あはは、お父さん慌ててるー」
唯ママ「あんまりお父さんをいじめないであげてね」
唯「はーい」
憂「じゃぁお姉ちゃん召し上がれ!」
唯「あ、ハンバーグだ」
憂「お姉ちゃんハンバーグ好きだったよね」
唯「うん。あ、そう言えばりっちゃんのハンバーグもおいしかったな」
憂「御馳走になったの?」
唯「りっちゃんの家庭科の宿題を、宿題をね」
憂「お姉ちゃん?」
唯「宿題…もう無いんだよね…」
憂「お姉ちゃん…」
唯「皆で宿題することも…テスト勉強することも…あんなに勉強…嫌いだったのに…」
唯「授業中に手紙回したり…ひっく…部活行くとき…誰が一番に着くか競争したり…」
唯「帰り道…アイス食べて…後ろから和ちゃんに声掛けられて…えぐっ…びっくりして落としたり…」
唯「もう…全部…無いのかな…」
唯「もう…制服…うわぁぁぁん…うぇっ…うっ…脱いじゃったよぉ…」
中野家!
梓「ただいま」
梓ママ「おかえり。ご飯出来てるわよ」
梓「うん。すぐ着替えてくるね」
梓「…」ガチャ
梓「目赤くなってないよね?鏡…」
梓「ああ!」
梓「唯先輩のタイネックレス付けっぱなしだった」
梓「どうりで帰り道人に見られてると思った…」
梓「…」
梓「…」シュルシュル
梓「…よし」キュ
梓「こうやって水色のタイ付ければ3年生みたいに見えるかな?」
梓「…似合わないか」
梓「あと少し早く生まれてたら…先輩方と一緒に卒業出来たのにな」
梓「あと少し遅く生まれてたら…先輩方とこんなに長く過ごす事もなかったのにな」
梓「それでも…」
梓「先輩の後輩になれて良かった」シュル
梓「…」
梓「ぐすっ…」
梓「…」ゴシゴシ
梓「集合~ティータイム~気が向いたら練習~ティ~タイム~」コチョコチョ
梓「もう、ティータイムばっかりじゃくすぐったくないよね」
梓ママ「梓ーご飯ー!!」
梓「今行くー!」
梓「かいさん!」
おわり
最終更新:2010年09月22日 03:13