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紬「斎藤、何故このようなことをしたの?」

斎藤「申し訳ありません」

紬「この野外ライブに来ている人たちに迷惑だとは考えなかったの?」

斎藤「お嬢様のおっしゃるとおりでございます。この斎藤、お嬢様しか見えておりませんでした」

紬「あなたには罰が必要ね」

斎藤「なんなりとお申し付け下さいませ」

紬「あなたを今日限りで琴吹家の執事から解任します」

斎藤(ああ……、琴吹家に仕えて40年。ついにわたくしの執事人生も終焉を告げた……)

斎藤「わかりました、お嬢様。今まで琴吹家にお仕えすることができてこの斎藤は幸せでした」

斎藤「どうぞ、旦那様にもそうお伝え下さいませ」

斎藤「それでは……失礼いたします」

紬「何を勘違いしているの? 斎藤」

斎藤「はっ?」

紬「琴吹家の執事を『解任』と言ったのよ。解雇じゃないわ」

斎藤「と、申されますと……?」

紬「新たに、私個人、この琴吹紬の使用人に任命します」

斎藤「お、お嬢様……!!」

紬「だから、明日からは、あなた自身で私を守ってみなさい」

紬「SPを使って裏から姑息な真似をせずに、紳士的に私を守ってみなさい」

紬「私が小さい頃、屋敷で飼っていたライオンが逃げ出し、庭で遊んでいた私を襲ってきた」

紬「そのとき貴方は、私をその身一つで守ってくれた」

紬「そのときのように私を守ればいいのよ」

斎藤「はい、お嬢様のためなら喜んで」

紬「頼りにしているわ、なんせ私は貴方を第二の父と思ってるんだから」

斎藤「お、お嬢様……、有り難きお言葉に御座います!」よよよ……

紬「そして、今日は焼きそばを食べたので、明日は必ずお好み焼きを手に入れるのよ!」

斎藤「かしこまりました、お嬢様!」

梓「なんだかんだで一件落着、ですね」

澪「まぁな」

律「でも、本当に良かった~」

唯「私たち不細工じゃなかったんだね♪」

紬「そうね、安心したわ」



澪(でもな~……)

紬(私たち、結構色々と曝け出しちゃったし……)

唯(皆、なんだかんだでキャラ作ってたよね……)

律(これから先、なんだかやりにくくなりそうだな……)

梓(先輩たちも、同じとこ考えているんだろうな……)



軽音部一同「はぁ~……」



新学期 軽音部部室

律「ちょっと、小腹が減ったな……」

紬「今日は結構暑いから、おやつはかき氷なんだけど……」

澪「それじゃあ、腹は膨れないな」

唯「今日の体育は、なんだかいつもよりきつかったもんね~」

律「仕方ない、最終兵器を取り出すか」

唯「なになに?」

律「じゃ~ん! カップヌードル!」

唯「ああ~! いいなぁ……」

律「へっへ~ん、備えあれば憂いなしってな」

律「あ、ムギ、お湯沸かしてくんない?」

紬「お湯をどうするの?」

澪「ムギは知らないのか? カップヌードル」

紬「初めて見たわ!」

唯「へ~……」

律「お湯を注ぐだけで、ラーメンができるんだよ」

紬「すごいわ! それって屋敷のシェフ要らずね!」

澪「……うん、まぁ、そうかな」

紬「たったの3分でそれなりの美味しさのものが食べられるなんて
  さすが日清さんね!! ちなみに私はシーフード味が好きよ!!」

律「知らないのに、色々知ってるんだな」

澪「3分も日清もシーフード味があるっていうのも誰も言ってないぞ」

紬「……あっ!?」

律「……」

澪「……」

紬「……」

唯「お嬢様キャラの世間知らず気取り」ボソッ

紬「!?」

梓「遅れてすみません!」

唯「あ! あずにゃ~ん!」ダキッ!!

梓「に゛ゃっ!?」

澪(またキャラ作ってる……)

梓「暑苦しいのに、抱きつかないでくださいですぅ~」

梓「それに、夏休みも終わって学園祭も近いんですから、早く練習始めるです!」

紬(無理がありすぎるわ……)

梓「ほら、唯先輩も早くギター持ってください!」

唯「……う、うん」

梓「今年こそは完璧なライブをやってやるです!」

律「必死だな、見苦しいぞ」

梓「!?」

澪「そ、そういえばさ~、新しい詞書いてきたんだけど」

唯「あっ! 見たい見たい!」

律「どれどれ?『恋のサインは ヒット・エンド・ラヴ』」

梓(また、そんな斬新な……)

澪「甲子園見てるときに思いついてさ」

紬「りっちゃん、読んでみて」

律「私の気持ちを貴方の本塁(ハート)に届けたい でも今はそんな気持ちもまだ一塁ベース上」

律「早く思いを伝えなきゃ だけどライバルは豪速球投手」

律「送りバント? ノンノン ワンナウトも無駄にしたくない だから作戦はヒット・エンド・ラン」

律「ライナーバック 失恋ゲッツーはご勘弁 ショートの脇を抜けたなら もうこの気持は止められない」

律「貴方の本塁(ハート)まで長駆ホームイン 恋のサインはヒット・エンド・ラヴ」

澪「どうかな……? 頑張って書いてきたんだけど……」

律(こいつ、わざとやってるんだろうな……)

紬(変わってるわね、って言ったら満足なのかしら……)

唯(もっと普通の歌詞書いてきてよ……)

澪「やっぱり、私の感性って他人とはちょっと違うからなぁ~」チラッ


律「……」

紬「……」

梓「……キモッ」

澪「!?」

律「そ、そういや、甲子園って言えばさ、延長15回の熱闘!」

唯「○×高校の△□君だよね! 私感動しちゃった!」

紬「確か一人で15回まで200球以上投げたのよね」

律「そうそう、途中で爪が割れて血が出ても投げ続けたんだよな」

律「だから血染めの球って話題になってさ」チラッ

澪「聞こえない聞こえない……」

律「あーっ! 私も練習のし過ぎで豆が潰れて血染めのドラムスティックだー!」

澪「いやーーー!!!!」

律「へへへ~」ニヤニヤ

梓(また、こうやって人気のある澪先輩をいじめて注目を得ようとしている……)

唯(りっちゃんも、あいかわらずワンパターンだよね
  まぁ、澪ちゃんも、本当は怖がってないんだろうけど……)

紬「……コバンザメ女」

律「!?」

唯「ね、ねぇ、そろそろ練習しようよ。さっきあずにゃんが言ったみたいに
  学園祭も近いことだしさ」

澪「そうだな」ケロリ

梓(もう、私たちにはバレてるから立ち直り早い……)

律「じゃあ、やるか!」

紬「そうね!」

唯「それじゃあ、皆がんばろー!」

一同「おーっ!!」

唯「ギー太も頑張ろうね!」フンスッ!!

紬(唯ちゃん、まだギー太とか言ってる……)

唯「なになに? ふむふむ……」

梓「どうしたんですか? 唯先輩」

唯「澪ちゃんのエリザベスも頑張るって言ってるよ!」

澪「……」

唯「りっちゃんのドラミもちゃんとエリザベスと協力しなきゃ駄目だよ
  いつも一人で突っ走ってエリザベスに迷惑かけてるんだから」

律「あ~……、そうなんだ~、へ~……」

唯「ムギちゃんとキー坊はすごく息が合っててキー坊も喜んでるよ♪」

紬「そ、そう……、よかったわ……」

唯「あずにゃんとむったんは、もはやツーカーの仲だね」

梓「そうですね、あ、あはは……」

唯「皆も自分のパートナーとしっかり心を通じ合わせてね!!」

澪「唯」

唯「なぁに? 澪ちゃん」

澪「すごく痛々しい」

唯「!?」

唯「……」

律「……」

澪「……」

紬「……」

梓「……」


律「あっ! UFO!! ほら澪、あれってきっと地球侵略に来たんだぜ!
  韮澤潤一郎が言ってたから間違いない!」

澪「ひっ! ついに地球最後の日か!? 助けて大槻教授!」ガクブル

紬「それってどんな焼きそばなの!?
  もちろんかやくは麺の下にしてからお湯を注いだ方が良いなんて知るわけないわ!」

梓「そっちのUFOじゃありませんですぅ~! たとえ宇宙人が攻めて来たとしてもやってやるです!」

唯「違うよ、きっと宇宙人さんたちは私たちの演奏を聴きにきてくれたんだよ!
  だから歓迎の意味も込めて、皆で演奏しなきゃ!」フンスッ!!


 心にシコリを残しながらも、お互いにその点には目を瞑り
 空気を読み合おうと決めた軽音部であった

 おしまい



最終更新:2010年09月22日 21:00