澪「フゥー…」

律「お前、タバコなんて吸うんだな」

澪「まあ…気持ちを落ち着かせたい時だけな」

紬「唯ちゃん…変わった子だとは思ってたけど…」

澪「まさかあんな過去があったなんてな」

律「で、でも、唯は唯だろ?私達軽音部の仲間だ!」

澪「当たり前だろ」

紬「そうよ…唯ちゃんは、大切な仲間です!」

律「…だよなー!」


和「あっ!みんな!遅くなってごめんなさい」

律「和!久しぶりだな。講堂仕様許可証の催促にでもきたか?」

和「ちょっと…いつの話よもう!」

澪「…そろそろ戻ろうか」

律「そうだな」

紬「日記の続き、読まないと」

和「日記?もしかして唯のあの日記?」

澪「うん。和は知ってたのか?」

和「うん…あの子急に頭良くなったから…私も気になってて」

和「高校三年の時に聞いたのよ。何かあったのって」

和「そしたら泣きながら日記を渡されて…」


律「…戻ろう。憂ちゃんが待ってる」


憂「あ、みなさんもういいんですか?」

紬「うん。ごめんなさい、お待たせして」

和「憂ちゃん久しぶり。唯…残念だったわね」

憂「和さん!いえいえ、和さんが来てくれてお姉ちゃんも喜んでますよ、きっと」

澪「…じゃあ…続き読もうか?」

律「うん。そうだな」


ペラッ


5月10日

今日は軽音部のみんなと、ギターを買いに行きました。
私の欲しいギターは25万円…。
手が出ないけど…あのギターかわいいんだもんなー。
でもみんなが一緒にバイトして買ってくれる事に!
なんていい人達なんだろう!!
今までこんなに良くしてくれるのは、憂と和ちゃんだけだったから、私は幸せものだね。
賢くなって本当に良かった!

でも部活始めたから、トレーニングする時間がないんだよね。
ちょっとくらいサボっても…大丈夫!たぶん!



5月14日

土日でみんなとバイト!
交通量調査です。
指が痛いよー…
ムギちゃんはとっても綺麗だけど、意外とたくましかったなあ。

バイト代は結局みんなにお返ししました。
こんなに良くしてくれてるのに、この上お金なんて申し訳なさすぎるよ。

トレーニング再開してみました。
バカに戻ってみんなといられなくなるのは嫌だもん。


平沢唯


5月15日

ギター!
ついにギターが!
かわいい!
かわいいよー!
ちょっと重いけど…

値切ってくれたムギちゃんありがとう!
…本当にお嬢様だったんだねー

トレーニングなんてしてる場合じゃない!添い寝添い寝~

でもまたバカになったら、もうみんな仲良くしてくれないのかな。

平沢唯


6月1日

クラスでただ一人…追試です…。
トレーニングしてなかったから頭悪くなってきたのかな…。
勉強もしてなかったし。
また嫌われ者になるのかな…。
軽音部存続の危機なので勉強しないと!
ギターは封印!

平沢唯


唯!お前がバカになっても私は友達だからなっ!
でも追試はクリアするよーにっ!
by律




紬「あ、あの…これは…」

澪「り、律…人の日記を勝手に読んだ挙げ句、書き込むなんて…」

律「え?やっぱりまずかったかなあ?アハ…アハハハ」

和「私も最初にこれを見た時は呆れたわ。でも…ちょっと嬉しかった」

律「そうだろ!?私、いいこと書いただろ?」

澪「律っ!」

紬「あ、あの、続き…読みましょう…?」



6月2日

今日、みんながウチに来て勉強を教えてくれました。

でもりっちゃんに日記を見られちゃった…。
私がバカになっても友達でいてくれるって書いてあったけど…
やっぱり怖い。
もうバカには戻りたくない。
この事は軽音部のみんなには黙っておこう。
明日りっちゃんと話さなきゃ。

平沢唯


6月3日

追試は無事合格。
しかも100点!
澪ちゃん、ムギちゃん、ありがとう!
手術は怖かったけど、やっぱりしてよかった。
バカなままだったら、私は軽音部にもいられないし、みんなと仲良くもできなかった。

りっちゃんには話を切り出せなかった。
明日こそ、話そう。


平沢唯


6月4日

部活のあと、りっちゃんと二人で話した。
りっちゃんは手術については詳しく聞いてこなかった。
昔の私がどうであれ、これからの私がどうであれ、友達だと言ってくれた。
りっちゃんの言葉は力強くて、優しくて、暖かかった。
私は泣きそうになったけど、必死で我慢した。

りっちゃんは誰にも言わないって約束してくれた。
澪ちゃんにも言わないって約束してくれた。
でも軽音部のみんなには、いつか話そうと思う。
本当の私を知ってもらおう。
私にその勇気があるかはわからないけど。


平沢唯


8月10日

ムギちゃんの別荘で合宿です!
ていうか本当に別荘持ってたんだ…すごすぎるよムギちゃん!
私が寝坊して危うく電車に乗り遅れるところでした…。
賢くなってもこれだけは治らないんだねー…。
澪ちゃんはおっぱいが大きかった。
うー!
りっちゃん隊員、私は羨ましいです!

初めてみんなと音を合わせたんだけど、感動しました!
もっとうまくなって、目指せ武道館!


平沢唯


8月18日

病院にはもう行きたくないな。
また叱られました。
トレーニングさぼりすぎで、知能が下がってきてるらしい。

軽音部にいられなくなるのは嫌だ。
だからトレーニングはやらないと…。

でも普通の人はこんな事しなくても賢い状態でいられる。
何で私だけこうなんだろう。
今日は最悪の気分なので、もう寝よう。


ダメダメな平沢唯


10月10日

祝!平沢唯、初ライブ!
さわちゃん先生とヴォーカルの特訓をしたけど…声が枯れちゃいました。
澪ちゃんが急遽ヴォーカルになりました。
澪ちゃんはすっごく緊張してて、なんだか申し訳なかったなあ。
でも本番ではビシッと決めてくれました。
色んな意味で。


平沢唯


10月11日

また病院。
ヴォーカル特訓中は、全くトレーニングしてなかった。
先生はもう呆れていた。
私は何度も謝って、知能を維持するだけの、最低限のトレーニングはする事を誓いました。
先生に見捨てられたら、私の人生は終わりです。
もうあの頃には戻りたくない。


平沢唯




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最終更新:2010年07月03日 05:10