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ざぱーん ざざー

唯「ふいー♪」


唯「うん、大丈夫!」

唯「これでもう、憂に悲しい思いをさせずにすむね」 ふんす

唯「……」

唯「……」

唯「…ん」

唯「……なんか…ものたりない…」 しゅん


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唯「ごちそうさまー♪」

憂「おそまつさま♪」

唯「にこにこ」

憂「?」

カチャカチャ ジャー

憂「うん、片付けも終わったし、私もおふろはいろっかな」

唯「にこにこ」

憂「?(にこにこしてるおねえちゃんかわいい♪)」


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ざぶ


憂「ふー♪」


バチャ バチャ

憂「うーん、いいお湯ー♪」


ごくごく

憂「……!?」


憂「いつもと味がちがう!」


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唯「ふふーん、いまごろ憂はかつてない最高のお風呂を」


ガチャバターン

憂「おねえちゃーん!!」

唯「わっ、憂!服も着ないで!?そんなに感動し」

憂「お姉ちゃんどうしたのお姉ちゃん!!病気!病気なの!!?」 ぶんぶんぶん

唯「わ、あ!?ちょ、う、い、ち、つい、いー」 がくがくがく


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かくかくしかじか


唯「……と、いうことなの…」 しゅん

憂「……」

唯「ごめん、なさい……憂には、本当に、なんて謝ったらいいかぁぁ」 ポロポロポロ

憂「…はっ。 あ、お姉ちゃん!大丈夫だよ!私怒ってないよ!むしろお礼を!いやそうじゃなくて」

唯「おれ……い?」 グスッ

憂「え、あ、う」

憂「あ、ほら!その、おねえちゃんが正直に話してくれたことが嬉しいのっ!」

唯「うい……」 ジーン

憂「それに、黙ってたのも、私を気遣ってくれてのことでしょう?嬉しいよ」

唯「うん…でも、本当にごめんね?いままで、ずっと…」 グスッ

憂「んもう、ちゃんと謝ってくれたんだからいいよ。ね?」

唯「ぐすっ。うん!」 ニコ


憂(そう。おねえちゃんに罪はないよ。本当に許せないのは……ッ!) ギリッ

憂(本当に許せないのは……私ッッ!!) ギリリッ

憂(おねえちゃんのおしっこ入りの湯船!気がつかなかった!気づかなかった自分が許せないッ!!!)

憂(そんな貴重なものを無自覚なまま、文字通り!文字通り湯水のように浴びていた自分が許せないッッッ!!)

憂(思えば、物心ついた時からあの味だったッ。…当然。違いがわからないのは当然といえるが)

憂(しかしッ!!真実を知ると同時にそれを失うとは、あまりに!あまりに残酷ではないかッ!!)

憂「失ってから……はじめて実感するのだ、人間はッ。それが、かけがえのないものだと……ッ!」


唯「…憂?」 キョトン



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梓「こんにちわ、梓です。」

梓「あれから、唯先輩の湯船でおしっこをする癖は治ったそうです。」

梓「しばらく憂が元気なかったけど、まあなんとなく理由は想像つくんでほっときました。」

梓「まあこれで、唯先輩もお風呂でおしっこしないという、人として最低限のマナーが守れるようになったわけです」

梓「この調子で軽音の練習をするという軽音部員としてのマナーも身に着けてくれればいいんですが。」

梓「まあ、お風呂でのおしっこも止められたんですから、きっとできますよ。ね、唯先輩。」

梓「さあ、その日を目指してさっそく練習です練習。」

唯「」

梓「……唯先輩?」


ピー      ピー
    ポー       ポー

梓「唯先輩!唯先輩っ!」

紬「唯ちゃん!唯ちゃあああん!!」

憂「おねえちゃああああんっ!なにが!なにがあったのおおっ!」

律「わ、わからないっ。練習始めようとしたらいきなり倒れてっ」

澪「唯っ、唯いっ!!」


救急隊員「付き添いの方、1名お願いしますっ!」

憂「はいっ!私、私がいきます!!」


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梓「原因不明!?」

憂「……うん。異常に身体が弱ってるけど、精密検査でも何一つ異常はなかったって…」

澪「そんな……なんで唯が、そんなに」

律「貧血で倒れるようなタマじゃないだろ、あいつがっ!!」

憂「……」 ぐすっ



紬「……もしもし。斉藤、琴吹家の顧問医師団を呼びなさい」

斉藤『しかし、お嬢様。ご学友には琴吹家の力を振りかざすような真似は控えるのでは』

紬「そんなこと言ってる場合じゃないもの。私の家の力で唯ちゃんが救えるなら、何でもするわ」

斉藤「お嬢様……」


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唯「ストレスだって」


紬「スト……」

律「レス?」

精神科医「おそらく最近何か強い抑圧を受けたのでしょう。
       精神的なストレスが身体に影響を及ぼすのはよくあるケースです」

澪「最近……というと、もしかして」

唯「いやあー、やっぱお風呂でおしっこできないと何かものたりなくってさー」 テレテレ

梓「唯先輩……」 ハァ



ピ ポ パ

紬「斉藤、医師団キャンセル…え、もう出発した?え、ええ。じゃあお給金は私のお小遣いから…え、そんなにかかるの?」


憂「もう、我慢は身体に毒だよっ。身にしみてわかったでしょ」

唯「てへへ、めんぼくなやー」

憂「これからはお風呂でおもいっきりおしっこしていいからね♪」 ニコ

唯「わぁ!」 パァー

梓「いやいやいや」

律「まあ、でも他に方法がないなら仕方ない……のか?」

唯「……で、でも!憂をおしっこ入りの湯船に漬からせるなんて、耐えられないよ…」

憂「お姉ちゃんやさしい ///  …ううん、そうじゃなくて!お姉ちゃんの身体の方が大事だよっ!」

唯「でも憂が!!」

憂「お姉ちゃんが!!」


梓「病院でイチャイチャしないでください」


澪「……別に憂ちゃんが先に入ればすむ話じゃないか」

律「おおっ、なるほど!!」

唯「やっぱり澪ちゃん天才!!」

憂「そ、そんな!おねえちゃんが私の身体で汚れたお湯に漬かるなんて!」

唯「大丈夫だよっ!憂のなら、汚くないもんっ!」

憂「お、おねえちゃんったら。もう /// 」

唯「私が一番あとに入れば、誰にも気にせず出せるしね!澪ちゃんは本当に頭いいなあ!」

澪「こ、こんなの誰でも思いつくだろ、ふふ」 ドヤッ


紬「それはそうと、りっちゃんお願い。後でおいしい駄菓子屋さん教えてほしいの」

律「ん?別にいいけど。なんで?」



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憂「おねえちゃんごめんね?先にお風呂入っちゃって」

唯「なあに気にしなさんなー♪おっふろおふろー」

ガチャ


ざぶーん

唯「ぷはー♪」

唯「はひー。極楽極楽ー」

唯「……」

唯「…んっ」 ぷるぷる

唯「あはーん♪天国ぅー」 ツヤツヤ


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憂(お姉ちゃんがあがったら……むふふ)



唯『憂ぃー?』



憂「はーい。なあに?おねえちゃん」



唯『わたし最後だから、お湯抜いとくねー』 キュポン



憂「ギャーーーーーーーーーーーッ!!」


                                    完




最終更新:2010年09月22日 22:42