唯「あずにゃんにも澪ちゃんにも爆笑されちゃったんだ」
澪「ごめん。真面目に笑えたんだ」
和「…………ぷ」
唯「へ?」
和「くくく……ぶふっ……ふふふふ、ひひっ……」
紬「の、和ちゃん?」
和「ひひ、ひひひっ…………くくくくくく、ぶひぃっ……はははははは、あはははは!」
和「ヤバいwwwww死ぬ!唯の前髪で私が死ぬwwwwwwwwwww私を殺す気かwwwww貴様は笑いの天才かwwwwwwwwww」
唯「」
和「今日も唯のためにクリップもってきたのにwwwwwwww無駄になってしまったわwwwwwwwwwwww」
和「お前の前髪ねえからwwwwwwwwwwwwwww」
和「ドゥフwwwwwwwwwwwwwwwぶひひひひっwwwwwwwwww」
唯「ひ、ひどいよ」
和「ひどいのはあんたの前髪wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
和「あはははwwwwwぶひひwwwwwwwはははははははあんたは最高よwwwwwwww…………がくっ」
和「」
律「笑いすぎて鼻血出して失神したぞ」
紬「すごいわ唯ちゃん!唯ちゃんは本当に笑いの天才だわ」
澪「…………」プルプル
唯「は、はは」
唯「私、もうダメみたい」
澪「そ、そんなことないよ……プッ」
唯「肥満の人はさ、ダイエットという努力をすれば痩せられるじゃん」
律「なにか言い出したぞ」
唯「でも髪の毛は努力してものびないよね。真理だよねこれ」
律「悟りを開くにはまだ早いぞ」
紬「育毛剤つけれるのは?」
唯「女子高生が育毛剤とかやめてよ」
律「ていうかむしろなんの努力をしなくても唯一のびるのが髪の毛だろ?」
唯「そうだね」
唯「ほんと、さっきの和ちゃんの言葉で死ぬかもとマジメに思ったね」
律「そこまで……」
唯「前髪がもうちょっと短かったら死んでるところだったよ」
澪「で、でもさ、それはそれで唯、とっても似合ってるって」
和「私もそう思うわ」
唯「うん、ありがとう」
紬「それに今日は卒業アルバム写真を撮るからそんな顔してたらダメよ、唯ちゃん」
唯「ああ鬱だ」
和「情けないわね。元気出しなさいよ」
唯「うん」
唯「いよいよ写真撮影がの時間が迫ってきた。ああ鬱だ死のう」
さわ子「はい、ここで緊急連絡」
さわ子「今日は本当は写真撮影をしてもらうはずだったのですが、業者さんが来れなくなったので中止です」
唯「なんと!」
さわ子「ちなみに写真撮影は明日になりました」
唯「喜んだのもつかの間、日にちはあまり変わってなかった」
唯「お昼休み。私はみんなに前髪のことで相談することにした」
和「ぶつぶつ独り言が多いわね」
唯「気分がどんよりしたときはつい独り言が多くなるんだよ」
和「たかが前髪でしょ?」
唯「まあね」
澪「おでこを晒すのはダメなのか?一年の頃は文化祭であげてただろ?」
唯「今はおでこアレルギーなもんで」
律「まあおでこは私の特権だからな」
紬「あ、そうだ」
唯「なにムギちゃん?」
紬「写真を撮ってもらうでしょ?」
一同「うんうん」
紬「それで撮ってもらった写真をもらうの」
一同「ほうほう」
紬「そしたらその唯ちゃんの写真に」
一同「写真に?」
紬「前髪を書いちゃえばいいのよ」
一同「おお~」
紬「どうかしら?」
唯「か、完璧だよムギちゃん!」
和「そうかしら?」
紬「なにかダメだったかな?」
和「写真に髪を書くのはいい案だけど、卒業写真を私たちが手に入れられるのは、アルバムをもらったときだけよ」
唯「うう~ダメか~」
律「いや、まだ諦めるには早いんじゃないか?」
唯「なにかあるの?」
律「前髪ウィッグつければいいんだよ」
唯「ああ、その手があったね」
律「だろ?これなら簡単に髪ごまかせるし」
唯「あ、でもうちにはウィッグなんてないよ……」
律「買えばいいじゃん。ドンキとかで千五百で売ってるわけだし」
唯「二百円しかないんだ……あ、誰かお金を……」
和「じゃあ諦めるしかないわね」
唯「え、だからお金」
和「だいたいウィッグなんてつけてたら先生にバレるからやめときなさい」
唯「うう~」
唯「結局なんの対策も浮かばずに私は家に帰った。憂に愚痴りまくった」
唯「けれど前髪のない私にはやはり妙に冷たい憂であった」
憂「お姉ちゃん、ご飯食べて」
唯「はい」
憂「……っくしゅんっ!」
唯「あれ?憂風邪?」
憂「そうかも。最近クーラーかけて寝てたから」
唯「大丈夫?」
憂「お姉ちゃんの前髪よりは大丈夫だから気にしなくていいよ」
唯「妹、冷たいね」
憂「気のせい風邪のせい……くしゅんっ」
唯「ねえ、憂……アルバム写真どうにかならないかな?」
憂「無理だよ。どうしようもないから諦めたほうがいい」
唯「やっぱりそうなのか」
憂「卒業アルバムに恥ずかしいこと書くよりはマシでしょ?」
唯「べつに私は恥ずかしいこと書いてないよ」
憂「でもなにか書いてたよね?」
唯「うん、逆境にくじけるな!って中学の卒アルに一言書いたね」
憂「じゃあ実行しなくちゃ」
唯「でもなあ、やっぱこんな前髪やだよ」
唯「絶対前のほうがいいよね?」
憂「お姉ちゃんを好きな人たちならどんなお姉ちゃんも好きでいてくれるでしょ」
唯「そうかな?」
憂「そうだよ、たぶん」
唯「じゃあ憂は私がどんな髪型になっても好きでいてくれる?」
憂「当たり前だよ。たとえドレッドだろうとアフロだろうと金髪モヒカンだろうと、愛してる」
唯「憂、うれしいよ」
憂「だから明日の卒業アルバムは自信をもって写ってきて」
唯「わかったよ、ありがとう憂」
憂「事実を言っただけだよ」
憂「はっくしょん!」
唯「憂、鼻ちーしてあげる」
憂「ありがとう……ふふ、あはは」
唯「憂?」
憂「なんでもないよ。ただ前髪が目にかかって鬱陶しいなあと思っただけ」
唯「そう」
憂「明日は頑張って」
唯「うん、ありがとう」
憂「じゃあ私食器片付けるからお姉ちゃんは勉強してね」
唯「はーい」
憂「素直でよろしい」
唯「ああやっぱり憂はいい妹だなあ。私に顔はそっくりなのに全然性格は似てないや、あはは」
憂「早く勉強する」
唯「はーい……と言おうとしたところで私はナイスなアイディアを思いついた」
憂「お姉ちゃん」
唯「憂、私は今すごいアイディアを思いついたよ」
憂「予想はついてるけど言ってみて」
唯「憂が私のフリをすればいいんだよ」
憂「やっぱりそうくるよね」
唯「ダメ?」
憂「だって写真撮るの授業中だよ?」
唯「憂が私のフリしてる間は私が憂のフリするよ」
憂「まあどうしてもと言うなら……」
唯「やったー!」
唯「こうして私は憂と入れ替わるという完全犯罪を思いついた。えへへ」
唯「さて、気分もいいことだし眠るか……」
ふわふわた~いむ ふわふわた~いむ
唯「と、明日の懸念材料を完璧になくし、心行くまで安眠を貪ろうとした私に一つの電話が……」
唯「もしもーし」
唯「はい、唯だよ」
唯「え?ああ、そのことなら問題ないよ」
唯「うん、憂がね私の代わりに写真撮影に出てくれるから」
唯「うん」
唯「そういうこと」
唯「……え?」
唯「それだけじゃダメ?」
唯「じゃあどうすればいいの?」
唯「……ふんふん、なるほど、おお!たしかにそれは名案だね!」
唯「さっそく実行するよ!ありがと……うんまた明日ね」
唯「時刻はすでに深夜1時。私は妹の部屋に侵入した」
唯「もちろんやることはただ一つ」
憂「……お姉ちゃんうるさぃ……」
唯「寝言でさえツッコミを入れるとはなかなかこの妹やるね」
唯「まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね」
唯「私の理想の卒業写真のために憂には犠牲になってもらうよ」
唯「というわけで、ちょこっと前髪を切らしてもらいまーす」
唯「憂の前髪もなかなか長いからね。私の理想の長さにさせてもらうよ」
唯「よし、今の私にはくしゃみの兆候もないし……さあ、妹の髪を頂戴する!」
憂「はっくしょん!」ビクン!
唯「あ……」
バサッ、パラパラパラパラ……
唯「」
唯「次の日。写真撮影の時間です。私は結局憂とは入れ代わりませんでした」
律「唯、ボロボロだけどどうしたんだ?」
紬「す、すごいね。髪、整えてあげようか?」
唯「……おねがいしやす」
澪「服もすごいことになってるぞ。いったいなにがあったんだ?」
唯「はは、憂にね。私の代わりに写真撮影してもらおうと思ったんだ」
律「名案じゃん……って、じゃあなんでそんなボロボロになってるんだよ?」
唯「一つの電話が入ってね」
紬「電話?」
唯「どうせ入れ代わるなら、唯の理想の前髪にしたほうがいいって言われて」
唯「夜中に忍んで、憂が寝ている最中に前髪を切ろうとしたんだよ」
澪「それで……?」
唯「切ろうとするまでは成功した。けど切ろうとした瞬間、憂がくしゃみしてさ」
律「前髪バッサリやっちゃったんだな」
唯「はい」
唯「自分のくしゃみは警戒してたけど、まさか憂がくしゃみするなんてね」
澪「それは気の毒だったな。憂ちゃんが」
唯「うん。よく考えたら憂が風邪っぽかったのには気づいてたんだけどね」
唯「で、憂に、朝に事情説明したんだ。そのあとは怒った憂にケンカというか、一方的にボコボコにされた」
唯「姉妹で初めてのケンカだったよ」
律「胸が苦しいな」
紬「ところで唯ちゃんに電話したのは誰なの?」
唯「ああ、それは……」
和「唯wwwwwwwwww昨日はどうだったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
おわり
最終更新:2010年09月23日 21:59