唯「何に変えても憂の笑顔が見たいって思ったから…」

唯「でも、一番大切な事に気付いてなかったよ」

唯「私が犠牲になっても憂が喜ぶはずなんてないっ…」

唯「だって憂も、私の事を愛してくれてるんだもんね」ギュウ

憂「………うん……っ…」グス

唯「夢の中で聞いたかな?私はね、憂がどんな立派になっても憂の事心配してない瞬間なんてないんだよ?」

唯「だって私はお姉ちゃんだから……憂は、たった一人のかけがえの無い妹だから……」

憂「ひぐっ……ぐすっ……」

唯「私ね、もう軽音部を辞めるなんて言わないよ、憂の為にも!」

唯「だからっ!憂も私の為に自分を犠牲にしないで!」

憂「うんっ……ひっく………うんっ……」

唯「だから……だからっ……憂の本当の気持ちを……ぐすっ……教えてっ……!」

唯「憂の口から…憂の言葉で……!」

憂「私っ…軽音部で頑張ってるお姉ちゃんが大好き…」

憂「お姉ちゃんの幸せは私にとっても幸せなの」

唯「…」ギュ

憂「でもっ、でもやっぱり帰りが遅い日も、練習で疲れてすぐ寝ちゃう日も、ううん、毎日…」

憂「お姉ちゃんと話したい事、聞きたいこと聞いて欲しいこと一杯あって、でもっ」

憂「優しいお姉ちゃんをいつか私のエゴで軽音部の皆さんから奪っちゃうのが怖くてっ…ひぐっ…」

憂「なにより…お姉ちゃんの幸せを台無しにしちゃうと思って……」

憂「だからっお姉ちゃんが心配しなくても大丈夫なように今まで強がってたけど……っ…」

憂「それでもやっぱり…お姉ちゃん、ごめん私、寂しいよっ…」ボロボロ

憂「本当はもっと…っ……お姉ちゃんに甘えたいんだようっ……」

唯「いいんだよっ私は…ひっく…憂の事全部受け止められるんだからね…」

憂「お姉ちゃんっ…」

唯「うい…」ギュウウウ

憂「……うわああああああああん!!!寂しいよもっと一緒にいたいよお!!」

唯「ういいい!!!!私もずっと一緒にいたいよおおおおおおお!!!!」



えりか「唯さん良かったね…」ジーッ

つぼみ「赤い椿の花言葉は【控えめな愛】」

つぼみ「決して自己主張せず、相手に気づかれないくらい自然体で、それでいて大きい愛情」

つぼみ「今までずっと唯さんの後ろで背中を支え続けてきた憂さんにピッタリの花言葉なんです……」

えりか「すごいよね、いつも一緒にいるから逆にその愛情に気付けないんだもん…」

えりか「唯さんの事を本当に愛している憂さんだからこそ成せる芸当だね」

つぼみ「自分を犠牲にしてでも愛する人の本当の気持ちに応えたかった唯さん」

つぼみ「愛する人に幸せになってもらいたいから自分を犠牲にし続けた憂さん」

つぼみ「お互いを誰よりも愛する事で生まれてしまった二人の悲しいすれ違い…でも…」

えりか「うん、今まで後ろで唯さんを支え続けていた憂さんも…今日からは唯さんの隣で素直に甘えられるんだね」

えりか「唯さんなら憂さんの愛情をもっと大きな愛で包み込んでくれるはずだよね、きっと…」ニコ

つぼみ「はいっ!」ニコ

えりか「それにしても………う、うぅっ」ジワァ

えりか「二人の想いが通じ合って本当に良かったよおおおお」ブワワッ



唯「うい!私日曜日はやっぱり憂と一緒にいたいよ!」パッ

憂「うん、私もお姉ちゃんと一緒にいたい!」グス

唯「あ、プッ!ふふ、あはははは!!!」

憂「?? もぉお姉ちゃん!?人の顔見て笑うなんてひどいよぉ!」

唯「ぷくく、あははは、ごめんねでも、憂ってば涙でグシャグシャの酷い顔だよ~?」

唯「ほれ、鏡」スッ

憂「わぁ!!ホントに酷いって、あ…ふふ、ふふふ」クスクス

唯「わっ、憂が壊れたぁ!?」

憂「ふふふ、違うよぉお姉ちゃん!ほら見て!」クル

唯「うわ!私の顔も涙でグシャグシャ…!あ、それに…憂とそっくり…」

憂「でしょ~?やっぱり姉妹だね~」クスクス

唯「えへへ、でもなんか嬉しいなぁ~」ズビ


澪「唯ーーーっ!!!」

唯憂「!!?」


唯「どどどどうしよっ!涙で顔グチャグチャだよっ!」

憂「あわわっ、お姉ちゃん、はい!ハンカチ使って!」

唯「憂の顔もグチャグチャだってば!憂がハンカチ使って!私はこれで拭くよ!!」フキフキ

憂「そっか!って、きゃああ!お姉ちゃん、それ私のスカート!!」

梓「な…なにやってんすか……?」

律「うわぁ~、ひっどい顔だなぁ~」

唯憂「み、見ないでぇ~~~~~///」

澪「ゆ、唯…」

唯「澪ちゃん、ごめんね?やっぱり私日曜日は…」ゴシゴシ

澪「いいんだ、私の方こそごめん…」

唯「な、なんで澪ちゃんが謝るの?」

澪「唯の覚悟を聞いて思い出したんだ」

澪「みんなで集まって演奏してるだけで幸せだったって事」

紬「澪ちゃん…」

澪「私達は自分達の力だけで演奏してるんじゃない、皆誰かに支えられて演奏してるんだよな」

唯「うん、その人達も幸せにしてあげなきゃ意味ないんだよね…」

唯「だからこそ、私の覚悟は間違ってたよ!」

唯「この子が教えてくれたんだよ!」

憂「……///」

律「!! 唯、じゃあ…」

唯「うん、もう私軽音部を辞めるなんて言わないから!」

紬「唯ちゃん!」ダキッ

唯「わっ、えへへ、ムギちゃんも黙っててごめんね?」

紬「ううん!私も唯ちゃんやみんなと、楽しく演奏できるだけで満足だから!」

唯「ムギちゃんありがと~!!」ギュウ

唯「澪ちゃん!私ね、たとえ日曜日に部活しなくても最高のライブにしたいっ!」

唯「だからね、残りの時間を使ってもっともっと、完璧に演奏したい曲があるんだ」

澪「ああ、あの曲だろ?分かってるよ」ニコ

唯「うんっ!いつも一緒にいてくれる事に感謝の気持ちをこめて作った曲」

唯「今はいつも一緒にいてくれるその理由も十分分かってるからね!」

梓「唯先輩…」

唯「あずにゃんもごめんね?」

梓「私、唯先輩がどんな気持ちで軽音部に参加してるか知らなくて勝手なことばっかりすいませんでしたっ!」

梓「でも、でも…憂の事大事にするのは分かりますけど…ちゃんと私達の気持ちも考えてください!」

梓「私達だって、唯先輩に辞められて悲しくないわけないんですからっ!」

唯「うん…本当にごめんね…」

梓「もう、辞めるなんて言わないでください!そしたら許します!」プイ

唯「ありがと~あずにゃん!もう言わないから安心してね!」ギュウ

律「唯、私もうっかり口が滑って皆にバラしちゃって悪い!」

唯「えへへ、私の名誉の為に、でしょ?分かってるよりっちゃん」

律「唯…」ウル

唯「りっちゃん…」ウル

唯「今までずっと一人に背負わせちゃってごめんね…」

律「ゆいいいいっ!!!」バッ

唯「形だけの部長なのにありがとね…」グス

律「…おい」

唯「えへへ、うそだよ!りっちゃんは最高の部長だよお!!」ダキッ

律「そうだぞお部長だぞおおお!!!」ダキッ

紬「ねえねえ、そろそろ学校に戻ってお茶にしない?」

澪「ああ、そうしようか」

梓「憂も来るよね?」

憂「ううん、私は洗濯の途中だったからせっかくだけど…」

紬「あっ…そうなの…」シュン

憂「ふふ、大丈夫ですよ!」

紬「憂ちゃん、でも…」

憂「えへへ、だって日曜日はお姉ちゃんが一緒にいてくれるし、それに…」

憂「お姉ちゃんに私の本当の気持ちが伝わったから、ちょっとくらい離れてたって寂しくないんです!」

唯「うん、これからはいーっぱい甘えてもいいんだよぉ~♪」ダキッ

憂「そのつもりだよぉお姉ちゃん♪」ギュ

律「……」

紬「りっちゃん?どうかした?」

律「いや、ホントに良かったなぁって思ってさ…あと憂ちゃん欲しくて…」

澪「そっか、お前は二年間もふたりを見守ってたんだもんな」

紬「りっちゃんえらいわ!ちゃんと部長をやってたのね!」

澪「偉いぞ、部長」ニコ

律「ああ、部長…部長だからな!!!!」

梓「なんでそんなに喜んでるんですか?」

唯「りっちゃーん!本当にありがと!今からりっちゃんを安心させる為に憂にチューしまーす!」

憂「え、えぇぇぇ!?///」

律「ん、オッケー!」

梓「律先輩!?」

澪「いやいや!何でそうなるんだ!?」

唯「私たちはもう大丈夫だよって見せてあげるんだよ!」フンス

紬「うんうん、それしかないよね!」

唯「だよね~~~」

澪「梓、私がおかしいのか…?」

梓「大丈夫です!どう考えたっておかしいです…けど、どうしようもないです!」

唯「いっきま~~~す!」

憂「お、お姉ちゃん…さすがにそれは恥ずかしいよぉ…///」

唯「ふっふっふ、いいからいいから~~~♪」ガシッ


憂「うぅぅぅ///」

唯「ん~~~」


律澪紬梓「お、おお?」

律澪紬梓「おおおお~~~っ////」



つぼみ「も~えりか泣きすぎですよ!」

えりか「だって~、ひぐっ……良かったね、唯さん……ひっく……」ボロボロ

つぼみ「ふふ、そろそろ行きましょう、えりか!ってあれ見てください!!」

えりか「ん?」グスッ

つぼえり「お、おお?」

つぼえり「おおおお~~~っ////」



ライブ当日!

えりか「ここが唯さんと憂さんの通ってる高校だね!」

つぼみ「高校に入るのってやっぱりちょっと緊張します///」

えりか「そうかなぁ?新鮮でいいじゃん!どこでライブやってるか聞いてくるよ!」

えりか「すいませぇぇ~~んっ!!」タッタッタ

つぼみ「さすがえりか、行動が早いです…」ゴクリ


えりか「つぼみぃ~!!もう始まっちゃってるって!!急ごう!」

つぼみ「そっそれは大変です!走りましょう、えりか!」


えりか「なんとか間に合ったみたいだね!」

つぼみ「はいっ、あ、唯さんいますよ」

えりか「ホントだ!おぉ~ボーカルなんだ!かっくいい~♪」

つぼみ「あっ、憂さんも発見しました!」

えりか「あっ!つぼみ、ほら唯さんのマイクスタンド!」

つぼみ「わぁ!赤と白の椿の花飾りですね!」キラキラ

えりか「【控えめな愛】だね!憂さんの心の花だから飾ってあるのかな?」

つぼみ「ふふ、それもあるけど多分それだけじゃないですよえりか」

えりか「ほぇ?」キョトン

つぼみ「【控えめな愛】はあくまで赤い椿の花言葉なんです」

つぼみ「それに対して白い椿の花言葉は【申し分のない愛らしさ】」

えりか「へぇ~、あ!ねね、白い椿の花言葉ってさ、なんか唯さんっぽくない?」

つぼみ「はい!純粋で無邪気で一生懸命で、誰からも愛される唯さんにピッタリなんです!」

えりか「ふぅむ、そう言われると赤と白の椿が寄り添い合ってるようにも見えるねぇ~」ジーッ

つぼみ「でもね?それだけじゃないんですっ!」ズズイッ

えりか「うん、なになにっ!?」

つぼみ「赤と白両方含めて、椿の花言葉は…」

つぼみ「【理想の愛】なんです!」


えりか「うっわぁ……」キラキラ

えりか「なにそれ!超かっこいい!超憧れる!!」

つぼみ「はい!あれはきっと今の二人がお互いの理想の愛を手に入れたしるしなんだと思いますっ!」

えりか「絶対そうだよ!だって、ほら!」

憂「おねえちゃーーん!!」ブンブン

唯『ういーーー!!!』ブンブン

えりか「あはははは!ね?ライブでまであんな事やってるんだもん!」

つぼみ「はいっ!」

唯『それでは最後の曲、聞いてください!』

唯『 U&I !!』



おわり



最終更新:2010年09月28日 00:03