律「ふぅ~いいお湯だったぜ…」チラッ

律「!!」

律「これが私!?めっちゃカッコいいじゃん!」

鏡には顔の血行がよく、いい具合に前髪が整った

イケメンりっちゃんがそこにいた

律「かっけーし!!」

律「携帯で撮って澪に送ろうっと!」

パシャッ


律「うわっ!携帯のカメラだとブサイクだ!」

律「お、落ち着け!角度だ、角度の問題だ!」

自分がもっともイケメンに映る角度を模索する田井中律

律「お、この角度だったらイケメンじゃないか!?」

パシャッ


律「あ…」

律「なんか目の大きさが右と左で違っててキモい…」

律「わ、私ってこんなにブサイクだったのか!?」ガクガク


律「こ…こんなツラで澪みたいな美人の隣にずっといたのか!?」

いままでの行いを振り返る田井中律

~~~

律「世紀の美少女田井中律だよ~ん♪」

澪「調子に乗るな!」

ガツ~ン!

律「あいたっ><」

唯「ぷ~くすくすwwwwwww」

紬「あらあらwwwwwww」

~~~

律「もしかして…あれってブスの私が調子に乗ってたから笑われたんじゃあ…」


律「自分がこんなブスだったなんて…」

律「ブスのクセにカチューシャとか救えないじゃん…」

律「田井中ブスに改名しようかな…」


聡「ねーちゃん、さっきから何ひとりごと言ってんの?」

律「さ、聡!?私ってイケメンだよな!?そうだよな!?」

聡「え…」

律「正直に答えてくれよぉ!ぶったりしないからさぁ!!」

聡「イ、イケメンではないだろ…」

律「!!」ガーン

聡(ねーちゃんはイケメンというよりどっちかというとかわいいし…)

律(うぅ…私って本当にブスだったんだな…)



つぎのひ

澪「おーい律!学校行こうー?ってうわぁ!?」

律「みーおー…」

澪「どうしたんだ律!?小学校からのトレードマークおでこを前髪で覆っちゃうなんて…」

律(もう私、恥ずかしくてカチューシャなんて出来ないよ…)

律「澪…いままで調子に乗っててゴメンな…これからは相応の振舞いするから…」

澪「…?」

律「…」トボトボ

澪(律が静かだとなんか調子狂うな…)

澪「なあ律、なんていうかその…」

澪「前髪下ろしてる律も、か…かわいいぞ///」

律「…」チラッ

律は近くのガラスに映る自分の姿に目を通す
よく見てみると不審者のようにブサイクではないか

律(うっ…うぅ…おかしいし…)

律(きっと澪は自分が美人だから私みたいなブスお世辞を言う余裕があるんだな…)

律(ずっと気を使ってくれてたんだな…)

律「澪はいつ見ても美人だよな…」ボソッ

澪「えっ///」

律「うらやましいよ…」

澪「そ、そんなことないよ///」あせあせ

律(かわいい…男の人ってきっとこういう娘がタイプなんだろうな…)

律(仮に私がこんな照れた顔したとしても…)


男A「田井中ってかわいいなwww(皮肉)」

律「そ、そんなことないよ///」

男A「うわっ、谷亮子が照れてるwwww」

男B「ちょwwwグロ注意wwww」


律「…」


律「澪ってそんなに美人なら男共が放っておかないだろ…」

澪「えぇ///そんなことないよ!わ…私男の人苦手だし…」

澪「律みたいな奴といるほうがたのしいよっ///」カアァァ

律(これは…)

律(私がブサイクだから気兼ねせずにすむってことか…)

律(そうだよな…そんな理由がないと私みたいなブスといっしょにいる意味無いよな…)

律「はぁ…」

澪「えっ…」

澪(律は私といっしょにいるのは楽しくないのかな…?)ショボーン


なんだかんだで部活の時間になりました!キリッ(CV.平沢唯)

唯「りっちゃん前髪下ろしたんだね~」

紬「新鮮ね~」

梓「なんだか別人みたいです~」

律(そういえば、こいつらもみんな美人だよな…)

律(美人グループはブスを一人入れておくことで最下層を争わず穏便に落ち着くとか聞いた事がある)

唯「りっちゃんとってもかわいいよ~」

紬「えぇ、素敵だわ~」

梓「似合ってますね」

律(ちくしょう…こいつら…心にも無い事を…)

律(ちょっと照れそうになったけど、これは私をおだてていい気分にさせる罠なんだ…)

律(私が自分が可愛いと錯覚させて美人グループの最下層を続けさせられるという罠…)

律(ぜったいに照れないぞ…)

律「そんな事より練習しようぜ」

唯「ほぇ!?」

梓「あれ?律先輩なんだかいつもと雰囲気違いますね…」

律「そうか?気のせいだろ」サラリ


唯(ねえねえ今日なんだかりっちゃんの様子がおかしいと思わない…? )ヒソヒソ

梓(そうですね、いつもなら調子に乗って「私は世界一の美少女だからなー」って言って澪先輩にぶたれる場面です)ヒソヒソ

澪(みんなもそう思うか…どうしたんだろうな…)ヒソヒソ

紬(これはひょっとして…)ヒソヒソ

唯(知ってるの?ムギちゃん…!?)

紬(恋ねぇ~♪)

唯澪梓「!!」


律(みんなヒソヒソ何言ってるんだろう…私の悪口言ってるのかな…)ショボーン


澪(えっ…そんな…)

唯(あ~りっちゃん可愛いもんね、きっとあれなら相思相愛になっちゃうよ~)

梓(そういえばやたら静かで女の子らしく振舞ってますもんね)

紬(きっとそうよ、今日誰かに告白するつもりなのよ~)

唯(そっか~…ほぇ~りっちゃんの好きな男の子ってどんな人なんだろ~…)

紬(えっ私相手は女の子のつもりで話してたんだけど)

澪(い…嫌だ…!律が誰かと付き合うなんて…)ブツブツ


律「あの~皆さんそろそろ練習しませんか…」


澪「り…律!」

律「え、急にどうかしたの澪…」

澪「律は…前髪下ろしてもかわいくないよ!」

律「!!」ガーン


梓(なっ!?澪先輩ひどいですー!!)

紬(あれはりっちゃんを他の男に取らせまいとする澪ちゃんの作戦ね…)

唯(ほ~げ~)


律「やっぱり…やっぱり内心では私の事を見下してたんだな!!」

澪「えっ!?」

律「ちくしょう!美人なんて滅びてしまえー!!」ダッ

澪「あっ律!?」

梓「すごい勢いでどっかに行っちゃいましたね」

さわ子「りっちゃん…きっと自分の顔にコンプレックスがあったのね…」

唯「きゃっ!?さわちゃん先生いつのまに!」

さわ子「私にも経験があるわ…あれはスーパーの鏡で自分の顔をみたときのことだった…」

~~~

さわ子「あっ牛乳が159円…安いわー」チラッ

さわ子「…!?」

さわ子「あはは、何かの間違いよね~」チラッ

さわ子「…」

~~~

さわ子「きっとりっちゃんはそんなショックな出来事があったのよ…」


唯「あ~私も憂の顔を見た後に鏡で自分の顔みたら落ちこんじゃうよ~」

梓「それとは違うんじゃ…っていうか顔あんまり違いがありませんよ…」

紬「私も角度によってはマユゲが太く見えて落ち込むことがあるわ~」

梓「…」


さわ子「しょせんそんなものは光の加減や思い込みなのよね」

澪「そうか…律が前髪を下ろしたのも…元気が無かったのも…」

さわ子「自分に自信がなくなってたのね」

紬「そうだったの…」

梓「あの人にもそんなナイーブな部分があったんですね…」

唯「さすがさわちゃん、生徒をよく観察していらっしゃる~」

澪「どうしよう…そうともしらず私は律にひどいこと言っちゃった…」


さわ子「澪ちゃん、すぐに追いかけなさい!」

澪「え…」

さわ子「人間っていうのは一度悪い方に思い込んだら一人では解決できないものなの」

さわ子「そんな思い込みを断ち切れるのは自分じゃない他の誰かの言葉だけなんだから」

唯「さわちゃんいい事言うね~」

澪「わ、私…律を追いかけるよ!!」ダッ


……

律「ちきしょ~…ちょっと顔がいいからって馬鹿にしやがって…」トボトボ

律「…」チラッ

ガラスに映るのはやはりブス

女子A「キャハハハ~」

女子B「アハハハハハハ」

律「え…」キョロキョロ

律(私…ブスだから笑われてる…?)

律は顔が高揚し、目が赤くなり半泣きになるのが分かった

律「…」チラッ

再びガラスに目をやると先ほどより酷くなった顔の自分

律(ひどい顔だな…)

律(こんなんじゃきっと結婚も出来やしないや…)

律(どうして…どうして私は美人に生まれてこなかったんだろう…)ぽろぽろ


律(結局、世の中はイケメンや美人に風当たりがいいんだよな…)

律(確かに顔も大切かもしれないけど…)

律(それより私は顔よりも優しくていっしょにいたら晴れるような人の方がいいよ…)

律(でもそういう人もかわいい女の子の方が好きなんだろうな…)

律(きっと澪や唯、紬に梓がそんな人と結婚できるんだ…)

律(私なんか…私なんか…)


澪「りつううぅぅぅぅ!!」

律「!」


律「澪…!なんだよ今更!」

澪「ごめん律…私ひどい言葉で律を傷つけちゃったよね…」

律「そうやってまた私を軽音部のブスポジションとして呼び戻すつもりなのか?」

律「ちょっと容姿がいいからって調子に乗りやがって!」

澪「そんな事無いよ…」

律「いーんだよもう!私気付いたから!」

律「軽音部の人気投票で私はサブキャラの憂ちゃんに負けて5位だったし…」

律「最初から私は不人気扱いだったんだよ!」

澪「りつぅ…」ポロポロ

律「内心お前らは私の事を馬鹿にしてたんだろ?」

律「顔がキモイくせに美少女を自称したり、オシャレしたりする様をさぁ?」

律「本当にいいご身分だぜ、まっしょうがないよな」

律「顔がいいもの同士仲良くするには私みたいなブスをスケープゴートにするのが手っ取り早いもんな」

澪「わ…私達はそんな事一度も思ってないよ…」

律「だってそうだろ、でなきゃ澪が私なんかと仲良くする理由が無いじゃんか!」


澪「律!!」

ぎゅうぅぅっ

律「ひゃっ!?///」じたばたじたばた

澪「馬鹿っ!そんな理由で小学校からずっと仲良くしてたわけないだろ…」

澪「私は律が大好きなんだよ!」

律「え…」


澪「私だけじゃないぞ、軽音部の皆だってそうだ!」

澪「皆お前の明るさ、優しさ…そんな人柄が大好きなんだぞ」

澪「顔なんて関係ないんだよ…」

律「澪…」

澪「それに…」

澪「今の律の顔はすごくかわいいぞ…///」

律「なっ…///」カアァ


律「こ、こらぁー人をからかうのもいい加減にしろー!!」

澪「ふふ、いつものお返しだ、馬鹿律ー!!」

どうやらりっちゃんの誤解は解けたようです
私達が駆けつける頃にはすっかり元気なりっちゃんに戻っていました
いつもの笑顔がまぶしくてかわいらしいりっちゃんの姿でした(cv.唯ちゃん)

澪「あ…あと最後にもうひとついいかな…」

律「むー…なんだよー…」

澪「前髪下ろすなよ・・・可愛い顔がよく見えないだろ?」ニカッ



おしまい



最終更新:2010年01月12日 02:01