梓「先輩、見てください。私魔法を使えるようになったんです」

唯「えっ?」

梓「メラ!」

梓の指先に小さな炎が灯る。

唯「わぁすごーい」

澪「嘘だろっ!」

律「おーすげー。どういうタネがあるんだ?」

梓「タネなんてないですよ。魔法です…わっと」

梓の指先が滑り、火球が律と澪の座っている席の間に飛ぶ。

律「うおっ」

澪「ひゃあ」

ボウッ

紬「大変!机の上に置いてあったプリントが燃え始めたわ」

唯「私水汲んでくるね」


律「あっ危ないぞ、梓!」

梓「ごめんなさい、まだ魔法の扱いに慣れてなくて…」

唯「でも、すごいねあずにゃん。本当に燃えるんだねー」

梓「燃えるんですよ!」

澪「メラメラっていってたもんな」

梓「メラですから!」

紬「ところで梓ちゃん、氷の魔法は唱えられるの?」

梓「はい、唱えられますけど…」

紬「私、かき氷機もってるの。明日はかき氷にしましょう」

梓「はい!」


次の日

紬「かき氷機持ってきたわ」

唯「あずにゃん、早く氷だしてー」

梓「わかりました。いきますよー」

梓「ヒャド!」

梓の目の前にりんごくらいの大きさの氷ができる。

唯「すごーい、あずにゃん」

律「早速、かき氷作ろうぜ!」

紬「じゃあ、その氷をこっちにちょうだい。」

梓「どうぞ」

紬「いくわよー」

ガリガリ

紬「できたー」

澪「でもこれ一人分だな」

梓「もう一回やります」

梓「ヒャド」

梓の目の前にさっきと同じくらいの氷ができる

紬「じゃあ削るわねぇ」


紬「五人分できたわ」

梓「ふぅ、疲れました」

紬「シロップはこっちよ」


みんな「いただきまーす」

唯「おいしいよ、あずにゃん!」

梓「そういってもらえると嬉しいです」

律「やっぱり夏はかき氷だな」

澪「体が涼しくなるな」

紬「おいしいわねー」

唯「いたっ、頭がキーンとなったよ」

梓「一気に食べるからですよ」

紬「私もキーンとなったわ」

梓「むぎ先輩まで」

律「ところで、そろそろ合宿の季節だな」

澪「今年も行くのか?」

律「行くに決まってるじゃないか。なぁ、みんな」

唯「行く行くー」

紬「楽しみだわぁ」

律「というわけで、合宿行くぞー」

唯「おー」


梓「合宿って海ですか、山ですか?」

紬「どっちでもオーケーよ」

律「さすが、むぎ」

唯「海がいいよー」

澪「唯は遊ぶ事しか考えてないんじゃないか?」

唯「そんな事ないよ。海で泳いで、ビーチバレーして、砂場作るんだ」

律「おいおい、遊ぶ事ばっかじゃねーか」

唯「そういうりっちゃんだって遊びたいんじゃないの?」

律「まぁ、せっかく合宿行くんだからちゃんと遊ばなきゃな」

澪「二人とも主旨がずれてるぞ」

梓「そうですよ。ちゃんと練習しましょうよ」

律「わかってるよ、練習もする」

唯「少しだけ遊ぶんだよー」

澪「おいおい」

律「まぁ、いいじゃないか」


夕方

澪「そろそろ帰る時間だな」

律「おぅ、ちょっと梓は残ってくれ」

梓「何ですか、律先輩?」

律「ちょっとな」

梓「それで何の用ですか、律先輩」

律「よくぞ聞いてくれた梓」

律「合宿の事なんだけどな、みんなを怖がらせようと思って」

律「そのために梓の「魔法」が必要なんだ」

梓「はぁ、どういうことですか?」

律「つまり、肝試しだよ!」

律「魔法でありえないことを起こして、みんなを驚かせようぜ」

梓「なるほど」

紬「話は聞かせてもらったわ」

律「むぎ!!!」

紬「うふふ、私も手伝うわよ」


合宿当日!

紬「着いたわよ」

唯「やった、海行こう」

梓「先に練習…」

律「まぁいいじゃん。おーい唯ー」

梓「もう、唯先輩、律先輩」



唯「あずにゃんも遊ぼうよー」

梓「わっ、私はいいです。パラソルの中にいます」

梓(日焼けしたくないなぁ)

唯「いいから、あずにゃん!」

梓「ちょっと、唯先輩ー」

梓の手を引く唯。


夕方

紬「今日はバーベキューよ」

唯「やった、お肉」

紬「梓ちゃん点火お願いできるかしら」

梓「はい。いきますよ、メラっ」

薪に火がつく。

唯律「おおー」

唯「お肉、お肉」

澪「唯、野菜も食べないとだめだぞ」



律「というわけで、唯と澪にはこれから肝試しに行ってもらう」

澪「ちょっと待ってくれ、わっ私は行かないぞ」

唯「えー、澪ちゃん。おもしろそうじゃん」

澪「ゆっ唯一人で行けよー」

律「説明を続けるぞ。」

律「その神社の境内にあるおまんじゅうを持って帰る事ができたら、作戦成功だ」

紬「はい、これが地図よー」

澪「マジでやらなきゃいけない?」

律「うん」

唯「大丈夫だよ、澪ちゃん。私がついてるから」

澪「ゆっ唯…」

紬「はい、これ。ランタン」

律「じゃあ、私達は先に神社にいってるからなー」

澪「えっ、ちょちょっと律ー」

唯「私達も行こう、澪ちゃん」

澪「やだよー、怖いよう」

唯「大丈夫、おばけなんて出ないから」

澪「うっうん、わかった。行く」

てくてく

澪「暗いよう、怖いよう」

唯「大丈夫だよ澪ちゃん」

唯「そうだ、歌を歌えば平気だよ」

澪「うん」

唯「♪君を見てるといつもハートドキドキ」


神社

唯「澪ちゃん、あとちょっとだよ」


律(よし、梓。いまだ)

梓(はいっ)

梓「ドルマ」

梓が詠唱すると、梓の掌に黒球が現れる。
その黒球は、唯の持っているランタンの火めがけて飛んでいく。
そして、そのランタンの火が消えた。

澪「ひっ、ひぃーーーー!!」

澪が唯にしがみつく。

唯「みっ、澪ちゃん。大丈夫だよ」

さすがの唯も少し怯える。

澪「怖くない怖くない怖くない怖くない」

唯「澪ちゃん」

澪「ゆゆゆ唯いー」

律(ヒヒッ、澪のやつビビってる、ビビってる)

律(梓、次の呪文だ)

梓(はいっ)

梓「マヌーサ」

梓が詠唱すると、澪たちのまわりに魔法の霧が現れる。

澪「ゆ唯?なんだか視界がぼやけて見える」

唯「澪ちゃん、私はまっくらで何も見えないよ」

澪「唯ー、怖いようー」

澪が唯の腕をしっかりつかむ。
ぎゅう

律(うししし、梓とどめだ)

梓(はい)


梓が詠唱すると、柱の影から火球が現れる。
その火球は紬がバケツを持ってスタンバイしている茂みの方へ飛んで行く。

澪「ひぃーーーー、火の玉ーーー!!!」

ばたん

唯「澪ちゃん、澪ちゃん!」

律「ありゃー、ちょっとやりすぎたかな?」

梓「大丈夫ですか、澪先輩?」

紬「うふふ、ごめんなさいね」

唯「りっちゃん、あずにゃん、むぎちゃん!」


唯「もう、ランタンの火が消えた時はホントにびっくりしたんだからね」

律「ごめん、ごめん」

唯「でも、あずにゃんだったとはねぇ」

梓「えへへ」

澪「ん、うん…」

唯「あ、澪ちゃん」

澪「ん、ここは?」

律「むぎの別荘」

澪「あっ…。わわわ私見たんだ、ひひひ火の玉が!」

律「梓だよ」

澪「あっあ梓?」

梓「ごめんなさい、私の魔法だったんです」

澪「梓…?魔法?」

紬「かくかくしかじか」

澪「なんだ、そういう事か」

澪「良かったー、おっお化けじゃなくて」

律「まさか澪のやつ、気絶するとは思わなかったぜ」

澪「もう、とっても怖かったんだからな。なぁ、唯」

唯「うん、怖かったよう」

紬「みんなー、今日使ったおまんじゅうを食べましょう。お茶も入ったわよ」


梓(あーあ、日焼けしちゃった)

梓(日焼けに効く魔法ってないかな…)

梓「ニフラムっ!ニフラムっ!」

梓(…だめか)

唯「あーずにゃん」

梓「わぁ!唯先輩」

唯「さっきから何か言ってるけど、なーに?」

梓「なっなんでもないです」

終わり



最終更新:2010年10月01日 03:15