日曜日 平沢家
ピンポーン
憂「はーい」パタパタ
ガチャ
和「こんにちは」
憂「こんにちはーどうしたんですか?」
和「唯と約束してるの。聞いてない?」
憂「そうなんですか?えっとお姉ちゃん軽音部の練習でまだ帰ってなくて…」
和「あら。一時には帰ってきてるって聞いてたんだけど…しょうがないわね。また後で来るから唯に帰ってきたらメールするように言ってくれない?」
憂「帰っちゃうんですか?」
和「?えぇ」
憂「……久しぶりに和ちゃんとおしゃべりしたいなぁ」チラッ
和「…じゃあお邪魔しようかしら?」
憂「うん!」パァッ
和(全く…姉妹揃って甘え上手なんだから)ふふっ
憂「麦茶どうぞ」コトッ
和「ありがとう。ん…冷えてておいしい」
憂「もう暑いですもんね」
和「そうね。近いと言ってもやっぱり外出るとこういうものがほしくなるわ」
憂「お姉ちゃんも暑い夏は麦茶だ!ってよく言ってます」にこにこ
和「あの子らしいわね。…ところでさっきの甘えた口調はもうやめたのかしら?」クスクス
憂「う…ごめんなさい…」カァッ
和「いいのよ。私としてはずっとあぁでいてほしいわ」
憂「だって和さんのが年上だもん」
和「年上って言っても一つじゃない。それともそんなに老けてるかしら?」
憂「ちっ違うよ!えっと…じゃあ……和ちゃん」
和「なぁに?」
憂「…えへへー」にこー
和「ふふっ」ニコッ
憂「二人っきりって久しぶりだね!」
和「そうね。いつも唯がいるし」
憂「学校じゃ全然会わないもんね」
和「憂が生徒会に入れば毎日会えたわよ?」
憂「んー…でもお姉ちゃんのご飯作らないといけないし…」
和「少しくらい待たせても平気よ。どうしても遅くなっちゃったときは私も手伝うし」
憂(和ちゃんと料理かぁ………すごくいい)ぽっ
憂「あ、でも和ちゃんも弟さんのお世話とか…」
和「唯より手かからないから大丈夫よ」
憂(否定できないよおねえちゃーん!)
和「私本当に憂に生徒会に入ってほしかったのよ」
憂「そうなの?」
和「えぇ。なんでもそつなくこなすから憂がいたら仕事も早く終わるだろうし」
憂「褒めすぎだよー」
和「そんなことないわ。それに憂ならいてくれるだけでもいいし」
憂「えっ…」どきっ
和「なんだか癒されるのよね。唯もだけど平沢姉妹はマイナスイオンでも出てるのかしら?」
憂「…私癒し系グッズじゃないもん」ぷいっ
和「拗ねちゃった?」
憂「………」ぷーいっ
和「ごめんね」いいこいいこ
憂「……ふーん」
和「顔赤くして拗ねてもかわいいだけよ?」
憂「っ…もう!」カァッ
和「ごめんね」ふふっ
憂「…もうちょっと頭撫でてくれたら許してあげようかなー」ちらっ
和「はいはい」なでなで
憂(…えへへー)
和「憂って意外と甘え上手よね」
憂「……そう?」
和「うん」
憂「でも頭撫でられたのなんか久しぶりだよ?」
和「唯は撫でてくれないの?」
憂「ないなぁ」
和「そう…甘え上手っていうより懐っこいのかしら」
憂「犬じゃないもーん」
和「また拗ねちゃった?」
憂「…うん」
和「じゃあまた撫でないとね」いいこいいこ
憂(えへへー)
和(喜んじゃって…なんだか本当に尻尾が見えてきそうだわ)クスッ
憂「生徒会…入ろうかなー」
和「本当?」
憂「うん…あ、でも卒業したら和ちゃんはもう居ないんだよね…」
和「そうね。でもむしろいなくなったあとの生徒会を任せたいわ」
憂「あと?」
和「憂に生徒会長任せたいわ」
憂「えぇっ!ダメだよ今から入ったとしても途中から入った人が会長になんてなっちゃ…」
和「どうして?」
憂「だって和ちゃんみたいに一年生のときから生徒会入ってたわけじゃないし…」
和「いいじゃないそんなの。憂なら誰も文句言わないわよ」
憂「んー……でもやっぱり和ちゃんいないならやだな…」
和「そう…残念」
憂(あ…落ち込ませちゃったかな…)
和「でも私がいないなら嫌なんてかわいいこと言ってくれるのね」
憂「あ……(つい言っちゃった…)」カァッ
和「ふふっありがとね」なでなで
憂「うぅー…」
憂「…和ちゃん卒業したらお姉ちゃんと別の大学行っちゃうんだよね?」
和「合格できたらね」
憂「……………」
和「憂はまた唯についていくの?」
憂「…うん」
和「じゃあ唯のことよろしくね」なでなで
憂「……和ちゃんも同じところ行こうよ」ぎゅっ
和「(ん?…ふふっ服の裾なんて掴んじゃって可愛い)そうできたらいいんだけどK大でやりたいことあるのよね」
和「いつになく甘えん坊ね?」
憂「……………」
和「大学違くてもこうやって会えるわよ」
憂「いっしょがいい」
和「憂…?」
憂「きっと最初のうちは来てくれても勉強が忙しくなったり、大学のお友達優先したりしてだんだん来てくれなくなっちゃうもん…」
和「そんなことないわよ」
憂「あるもん。今日だって来てくれたの久しぶりでしょ?お姉ちゃんが軽音部に入ったり、和ちゃんも生徒会入ったりしてそれぞれの時間が出来てから前みたいに来てくれなくなった」
和「………」
憂「…さみしい」
和「………」なでなで
憂「ん……」
憂「……だっこ」
和「だっこ?」
憂「…ぎゅって」
和「…ここおいで」ぽんぽん
憂「………」そろそろ ぽてっ
和「………」ぎゅっ
憂「……あったかい」ぎゅうっ
和「うん…」
憂「……ちゅうしていい?」
和「それは…」
憂「だめ…?」
和「…………いいよ」
憂「………」ちゅっ
和「…ん」
憂「やわらかい」
和「…憂のもやわらかかったわよ」
憂「…えへへ」かぁっ
和「…………」カァッ
平沢家 廊下
律「おいどうすんだよ」ヒソッ
紬「あめぇ…あめぇよ和ちゃん……おっと、感動のあまり涙が…」グスッ
澪「………」カァァァッ
梓(憂ってあんな風に甘えるんだ…)カァッ
唯「」
律「ちょっ…おい唯!」ヒソヒソ
唯「」
律「しっかりしろ!」ヒソヒソ ユサユサ
少し前
澪「なぁ和に連絡してからのがよかったんじゃないか?」
唯「んー?平気だよ。だって今日はお勉強しようって約束してたんだもん」
紬「みんなでやった方がはかどりそうだものね」
律「だなー」
澪「…邪魔するなよ?」
律「ひでぇ!」
梓「あの…私もいてよかったんでしょうか?」
唯「憂もいるからあずにゃんも憂と勉強するといいよ!なんだったら純ちゃんも呼んでいいよ?」
梓「純は…いいです。律先輩タイプなんで」
律「どういう意味かな?」
澪「そういう意味だろ」
律「ううっ…ひどい…」シクシク
唯「あー!アイス屋さんだ!」
律「本当だ。へぇーあんな風に外で売ってるなんて珍しいな」
唯「食べたい!」
澪「おい和と約束してるんだろ?」
唯「大丈夫私10秒で食べるから!」
律「お?じゃあ競争するか?」
紬「わぁ!楽しそう!」キラキラ
唯「ふふーん。二人とも私に勝てるかな」
律「むっ生意気な!ムギ!懲らしめてやろうぜ!」
紬「がってん!」
澪「おいこら…」
律「行くぞー!」ダダッ
唯「アイスー!」ダダッ
紬「きゃー♪」ダダッ
澪「あ……」ポツーン
梓「わ、私達も行きましょうか?」
澪「……」コクッ
一時間後
唯「あわわわわ…もうすぐ2時になっちゃう…どうしよう…」
律「いつの間にか早食いから大食いに変わってたもんな」
紬「おいしかったわ~」
澪「素直に謝るしかないだろ」
律「怒って帰っちゃってたりしてな」
唯「あわわわわわ…」ガクブル
梓「そんなに怯えなくても…」
唯「あずにゃんは知らないから…和ちゃん怒ると怖いんだよ?」
澪「そ、そうなのか?」
唯「うん…」ガクブル
律「どんな風に怒るんだ?」
唯「『めっ』って…」
律「…は?」
唯「『めっ』ってやるんだよ…憂といい和ちゃんといい怖すぎ…」ガクブル
律(こいつこんなんで生きていけるのか?)
平沢家
唯「ただいま~…」そーっ…
唯「!ひぃっ!和ちゃんの靴ある!」
律「ここは様子見だな。こっそり行って敵の様子を探ろうぜ」ヒソッ
唯「りょっ了解しましたりっちゃん隊長!」ヒソッ
こそこそ
澪「なんで私たちまで…」
唯「しっ!敵はおそらくリビングにいる模様です隊長!」ヒソヒソ
律「うむっ!会話内容を聞いて敵の情報を得るんだ」ヒソヒソ
唯「はいっ!」
梓(やだなぁ…こんなこそこそした真似するの…)
紬(わくわく!)
律「──で、今にいたると」
紬「え?」
律「うん?」
紬「なにか言った?」
律「いや?」
紬「…そう?」
律「うん。それより唯が…」
唯「」
澪「ああああああの二人つっ付き合ってんのかな…」カァァァァッ
梓(そんなに顔真っ赤にするぐらいなら言わなきゃいいのに…)
最終更新:2010年10月03日 21:13