唯「和ちゃん、どこの高校行くの?」

和「私は桜が丘にしたわ、ちょっと難しいかも知れないけど頑張ってみようと思って」

唯「んじゃ私もそこにする~」

和「軽っ!」

唯「でも今から勉強して間にあうかな~」

和「ホントに桜が丘にするの?他の高校でもいいんじゃ・・・」

唯「いや!私和ちゃんと一緒のとこがいいの!」

和「唯・・・」

和「分かったわ、それじゃあ私と一緒に勉強しましょ」

唯「うん!」

唯「私の家に集まって勉強する日が来るなんてね~」

和「ホント、あの唯が勉強なんてね」

唯「う~なんか人に言われると傷つくな~」

和「ごめんごめん、でも唯が勉強してるとこ見た事ないから」

唯「だって和ちゃんと一緒にいたいもん!」

和「ふふ、嬉しい事言ってくれるわね」

唯「えへへ」


唯「ただいま~」

憂「お帰りお姉ちゃん」

和「お邪魔するわね」

憂「和ちゃんいらっしゃい」

和「今日から唯と勉強する事になったの」

憂「ええ!?お姉ちゃんが勉強!?」

唯「憂まで・・・」

和「唯ったら、桜が丘高校受験するんだって」

憂「ええ!?桜が丘って結構レベル高いとこじゃ・・・」

和「ええ、でも・・・」

唯「和ちゃんと一緒の高校行きたいからね!」

憂「お姉ちゃん・・・」

和「そういう事みたいだから、私も精いっぱい教えるわ」

憂「・・・うん!お姉ちゃんならきっと出来るよ!頑張ってね!」

唯「うん!ありがと憂!」

和「それじゃそろそろ始めましょうか」

唯「うん、じゃ私の部屋に行こうか」

唯「和ちゃ~ん・・・分かんないよ~」

和「じゃあもう一度説明するわね、いい?ここはこうなって・・・」

唯「う~・・・」

和「ここは・・・」

唯「むむ~・・・」

和「・・・今日はここまでにしましょうか」

唯「ふ~疲れた~」

和「うん、唯もやれば出来るみたいだし、この調子ならなんとかなるかも」

唯「ホント?良かった~」

和「でも油断は出来ないわよ、受験まではちゃんと毎日勉強するからね」

唯「ふぇ~・・・でも頑張るよ私!」

和「ふふ・・・」

・・・・・・

桜が丘高校入学試験日

唯「和ちゃん、いよいよ受験日だね!」

和「ええ、普段通りやればきっと大丈夫」

唯「ちょっと怖い・・・」

和「唯・・・わたし」

唯「でも和ちゃんがいるから大丈夫だね!」

和「えっ」

唯「和ちゃんは私にたくさん勇気をくれるから!」

和「唯・・・」

唯「だから大丈夫だね!私頑張る!頑張れる!」

和「うん・・・」

和(勇気をもらったのは私の方よ、唯)

和(私、そんなに強くないの)

和(私が頑張れたのも唯のおかげなのよ)

和(唯がいたから今日まで頑張れた)

和「ありがとう、唯」

唯「お礼を言うのは私の方だよ、それに今からが正念場だよ!」

和「・・・そうね、しんみりするのは合格発表の時までとっておきましょうか」

唯「うん!じゃあ行こう!!」

・・・・・・

桜が丘高校合格発表日

唯「和ちゃん!合格だよ!」

和「ええ、やったわね」

唯「ホントにありがとう和ちゃん!」

和「私の方こそありがとう、唯」

唯「これからもずっと一緒だね!」

和「ずっと一緒・・・そうね、ずっと一緒に」

唯「ずーっと一緒にいようね!和ちゃん!!」

唯「和ちゃん大好き!!」

唯(高校に入ったらどんな事が待ってるんだろう)

唯(和ちゃんとまた一緒に楽しく過ごすのかな?)

唯(何かやりたい事がみつかるのかな?)

唯(思い出に残る高校生活が送れるのかな?)

唯(和ちゃん以外にも・・・大切な友達が出来るのかな?)

唯(ずっと一緒にいたくなるような大切な友達が・・・)

唯(・・・)

唯「・・・きっと!!」


――――

澪「律はどこの高校に行くの?」

律「あたしはどこでもいいよ、って言っても入れるとこは限られてるだろうけどな」

澪「ねえ、私と一緒に桜が丘に行かない?」

律「桜が丘ぁ!?無理無理!あたしじゃ無理だって!」

澪「今から勉強すれば大丈夫だって!一緒に行こう!」

律「澪なら行けるだろうけど・・・あたしは・・・」

澪「・・・そっか、ごめん・・・」

律「・・・」

律(あたしだって・・・)

律(あたしだって、澪と一緒の高校行きたいよ)

律(でも桜が丘なんて無理だって!)

律(なんで澪は桜が丘に行きたいんだろう)

律(あたしのレベルに合わせてくれれば・・・)

律(・・・)


澪(律・・・)

澪(桜が丘は女子高だから、少しは安心して通える・・・)

澪(もう共学なんて恥ずかしくて無理だよ・・・)

澪(最近胸も大きくなってきて、男子がじろじろ見てくるし・・・)

澪(だから女子高に行きたかったのに・・・)

澪(私達、中学でお別れなのかな・・・)


澪の自宅

ピンポーン

澪「はい、どちらさまで・・・」

律「・・・」

澪「律・・・」

律「澪がなんで桜が丘に行きたいのかはわかんねーけど・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・澪が一人になったら心配だから、あたしも一緒に行ってやるよ」

澪「!」

律「・・・桜が丘に入ったら、一緒にバンドやろうぜ!」

澪「律・・・」

澪(バンドとかは恥ずかしくて無理だけど)

澪「ありがとう!律!」

律「・・・へへ」

澪「あ、じゃあ今から勉強しようと私の家に?」

律「い、いや~勉強はまたの機会に・・・」

澪「そんなんじゃダメだ!今から勉強するぞ!」

律「え~・・・」

澪「ほらほら、今日から受験までは毎日勉強するからな!」

律「そんな~」

澪「り~つ~」

律「う~」

澪(本当に・・・ありがとうな、律)

律(あたしにはまだ・・・澪が必要なんだよ)

律「ったく、澪はあたしがいなくなると泣いちまうからな!仕方ないから勉強す」

ゴツン!!

律「いてて・・・」

澪「全く・・・調子に乗り過ぎだ」

律「・・・ふふっ」

澪「・・・あはは」

・・・・・・

桜が丘高校入学試験日

澪「ききききき緊張するなよ律!」

律「緊張してんのはお前だろ・・・」

澪「ぜぜぜぜ絶対大丈夫だって!」

律「・・・ああ」

ギュッ

澪「あ・・・手・・・」

律「一緒の高校に通うんだろ?」

澪「・・・うん!」

律「よっしゃ!行くぜ!」

澪「おー!」

・・・・・・

桜が丘高校合格発表日

律「あ、あった!受かってるぜ澪!」

澪「私もあった!良かった・・・良かったよ~」ポロポロ

律「泣くなよ澪~」

澪「だって、これでまた・・・」ポロポロ

律「・・・これでまた一緒だな」

澪「・・・うん!」

律「これからもよろしくな、澪!」

澪「よろしく、律!」

ギュッ

澪(春から高校生か・・・)

澪(また律と一緒!)

澪(高校では何が待ってるんだろう?)

澪(どんな思い出が出来るんだろう?)

澪(・・・高校では律みたいな友達が出来るかな?)

澪(今は律がいればそれでいいけど)

澪(こんな風に笑いあえる友達が・・・)

澪「・・・きっと!!」


律(また澪の面倒みてやるか!)

律(高校生か~・・・)

律(私と澪のバンド、どうなるのかな?)

律(文化祭でバンド演奏なんかしちゃってさ)

律(楽しくなりそうだな!)

律(それに・・・澪と同じくらい大切な友達も出来るといいな!)

律「・・・きっと!!」


――――

斉藤「桜が丘・・・ですか?」

紬「ええ」

斉藤「お嬢様ならもっといい高校に行けるのでは・・・」

紬「自分の行く高校くらい自分で決めるわ、もう下がってなさい」

斉藤「は、失礼しました」

紬「・・・」

紬(高校に行けば・・・なにか変わるはず)

紬(今まで・・・お父様の言うとおりに生きて来た)

紬(これが・・・生まれて初めてのわがまま)

紬(お父様の勧める高校に行っても、きっと何も変わらない)

紬(自分で決めて・・・自分で見つける)

紬(やりたい事も・・・友達も・・・)

紬「女子高・・・」

紬「うふ♪」

紬「はっ・・・違う違う」

紬「別にそういう理由で選んだ訳じゃないわ!」

紬「って誰に言ってるの私・・・」


桜が丘高校入学試験日

紬(勉強はばっちりだし・・・)

紬(あとは力を発揮するだけ!)

紬(・・・)

紬(周りの子たちは誰かと一緒に来てる・・・)

紬(うらやましいな・・・)

紬(あそこの髪止めの子とメガネの子も・・・)

紬(黒髪の子とおでこの子も・・・)

紬(楽しそうね・・・)(どんな風に絡み合うのかしら♪)

紬「はっ」

紬(何か神の意志のようなものが介入してきた)

・・・・・・

桜が丘高校合格発表日

紬「あっ」

紬(良かった・・・受かってた・・・)

紬(これで・・・変われるかな?私・・・)

斉藤「お嬢様おめでとうございます」

紬「ありがとう、斉藤」

斉藤「いえ・・・ではお帰りの用意をしてきます、車をまわしてきますので少々お待ちを」

紬「あ、斉藤」

斉藤「はい」

紬「私、電車で帰ってみたい」

斉藤「!?」

斉藤「・・・それでは私もご一緒に」

紬「いいの」

斉藤「・・・」

紬「私・・・これからも電車で高校に通うから」

紬「少しずつだけど・・・私、変わっていきたい」

斉藤「・・・左様でございますか」

紬「私のわがまま聞いてくれてありがとう」

斉藤「めっそうもございません」

紬(私が桜が丘に行くって言った時も、斉藤がお父様を必死で説得してくれた事・・・)

紬(ちゃんと知ってるんだから)

紬「・・・本当にありがとう」

斉藤「・・・私にはもったいないお言葉です」

紬(高校生・・・)

紬(何から始めようかしら)

紬(部活・・・とかかなやっぱり)

紬(楽しい思い出がいっぱい出来るといいな)

紬(友達・・・出来るかな?)

紬(一生の友達に出会えるかな?)

紬(こんな私でも、ずっと一緒にいてくれる)

紬(ずっと一緒にいたいと思える友達に出会えるかな?)

紬「・・・きっと!!」

・・・・・・

ジリリリリリリリリリリリリ!!

唯「う~ん・・・」

憂「お姉ちゃ~ん、そろそろ起きないと」

唯「はっ!」

唯「ちこく~!」

ダダダダダ

つるっ!

ドシン!

唯「いたた・・・」

唯「ち~こ~く~!」

唯「いってきま~す!!」



唯「中三!」

おしまい



最終更新:2011年10月18日 02:14