4月20日
これからは先生のところでお手伝いをする事になった。
私はもう、頭が良くなるのは嫌だと伝えると、先生は溜息をつきながら了承してくれた。
先生、ごめんなさい。
5月10日
日記を書くのはこれで最後です。
これからは普通に暮らす事にしました。
先生は奥さんいるけど…今まで面倒みてくれてたし、まあいっかあ。
平沢 唯
3月11日
この日記を書くのは何十年ぶりだろう。
あれから私は、適度なトレーニングで知能を維持しつつ、なんとか普通の暮らしをしています。
先生は6年前に亡くなって、私は実家に戻りました。
今日はさわちゃん先生のお葬式。
軽音部のみんなにも会えました。
みんなヨボヨボで可笑しかった。
でも、みんな幸せそうで良かった。
お葬式なのにこんな事書いたらさわちゃん怒るかな。
澪ちゃんは相変わらず綺麗だった。おっぱい垂れてたけど。
ムギちゃんは素敵なおばあちゃんでした。暖かいままで良かった。
りっちゃんはやっぱり元気だね。カチューシャも復活。それが一番いいよ。
あずにゃんは小さくてかわいかった。
和ちゃんは欠席。残念。
皆に会えて今日は良かった。
平沢 唯
4月4日
10年ぶりの日記。
大学時代は憂鬱だったけど、高校時代の…軽音部の記憶は今も色褪せない。
私の人生で最高の時。
今日、病院で私はもう長くないと言われた。
私もそれは感じていた。
自分の体の事は自分が一番知っている。
ギー太は壊れたままだけど、家に置いてあるから、今度お墓を作ってあげよう。
憂、花束お願いしますね。
平沢 唯
4月5日
結局、軽音部のみんなには話せずに終わりそうです。
りっちゃんがもう喋っちゃったかな?
そうだったら気が楽です。
憂にお願いしました。
私が死んだらこの日記をみんなに見せてあげてって。
憂、メロンありがとう!
私はみんなが大好きです。軽音部は最高です!
平沢 唯
澪「これで終わりか…」
律「…私が読んだのは、追試勉強のところまでだった。そうか…大変だったんだな、唯…」
紬「…唯ちゃん…」
憂「もう私が何も言わなくてもお姉ちゃんの気持ちは伝わったと思います…。」
憂「あ、そろそろ納棺ですね!行きましょう」
憂「じゃ、開けますね…」
ギィ
憂「お姉ちゃん、みんなが来てくれたよ」
澪「…」
紬「唯ちゃん、綺麗ね」
律「はは…なんだよ、結局唯が一番美人になったな」
和「あら、唯は昔から美人だったわよ。みんな気づかなかっただけ」
澪「そうだな…」
憂「じゃあ、思い出の品を…入れましょうか…」
紬「私はお菓子とティーセットを…」
澪「私は…二人で録音したCDを…」
律「じゃあ私は…水着かな…」
和「私はこれね。海苔」
憂「お姉ちゃん良かったね…」
憂「じゃあ、あとはこの日記と…壊れちゃったけどギー太を…」
律「ん?お墓はいいのか?」
憂「やっぱりギー太もお姉ちゃんの傍がいいと思うんです。これなら天国でも弾けますから」
バタン…
半年後
梓「すいません、遅くなりました」
律「やっとお出ましか!」
澪「…いいのかな、唯のお墓の前で演奏なんて。死者が目を覚ますんじゃ…」
紬「うふふ、楽しそうね」
律「よっしゃ、演奏するぞ!天国の唯とライブだ!」
律「みんな、楽器を持てっ!」
梓「うぐ…ギターが重い…」
澪「ベースが持てない…」
律「ライトシンバルに手が届かない…」
紬「わ、私は……あ、大丈夫か…」
澪「ふらふら時間だな…」
律「うぐ…気にするな!演奏するぞ!ワンツースリーフォー!!」
音楽室
律「…っていう小説なんだけどどうかな?」
梓「り…律先輩…練習もしないでこんなものを書いてたなんて…」
さわ子「なんで私が冒頭で死んでるのよ…」
澪「ていうか「アルジャーノンに花束を」のパクリだろ!」
紬「もう少し女の子同士の恋愛要素を入れたほうが…」
律「あれ?だ、ダメかなー?」
澪「大体、唯に失礼だろ!」
律「そ、そう?」
梓「確かに唯先輩は…その…変わってますけどそこも含めて先輩なんです!」
澪「その通りだ!バカなくらいでいいんだよ唯は」
紬「ええ、ドジな唯ちゃんもかわいいわ」
律「アハハハ…わ、悪いなー唯!」
部活後
律「な?あいつらは唯を受け入れてくれるよ。だから心配するなって!」
唯「うん…うん…りっちゃん…ありがとう…。私、みんなにちゃんと話すよ…」
完
最終更新:2010年01月21日 03:20