唯「違うよー憂ー。頼むから黙ってようね」
憂「んー!(了解)」
監督「
平沢唯を
平沢憂役にして平沢憂を平沢唯役にすればあるいは…元々、平沢唯はおバカキャラだし…」
監督「いやしかし顔が同じと言っても平沢憂の方が胸が大きいから役の中では平沢唯の胸が大きくなってしまうわけで…ん?」
監督「こんがらがってきた…唯が憂で憂が俺で…?」
唯「監督!気を確かに!」
憂「んー!(アイス食べたい)」
唯「とりあえず今回は私が一人二役で、後で合成することになりました…」
憂「んー!(良かったね~お姉ちゃん~)」
唯「もう喋っていいよ」
憂「わーい」
律「わだすの弟も大概だけど、ここまでひどくはねぇべ…」
唯「憂、お姉ちゃんが助けるのは今回だけだからね。次はちゃんと台本読んでくるんだよ?」
憂「わかった~」
唯「何がわかったの?」
憂「お姉ちゃんが助けるのは今回だけってこと~」
唯律「…」
監督「本番5秒前、4、3…」
ガチャ
律「どうりゃあー!」
ゴロゴロ
律「おいしょっとぉ!」
澪「やかましい!」
ドゴ!
律「いでえ!」
監督「カーット!秋山ちゃん、そこはホッペにグーパンじゃなくて拳骨だから…それと本当に当てなくていいよ」
澪「あ、そうだっけぇ。ごめんなさぁい」
律「いってぇ…」スリスリ
監督「アクション!」
ガチャ
律「どうりゃー!」
ゴロゴロ
律「おいしょっとぉ!」
澪「やかましい!」
パシィン!
律「へぶっ!」
監督「カーット。秋山ちゃん、ビンタじゃないって…」
秋山「聞き間違えてましたぁ。ごめんなさぁい」
律「…」スリスリ
監督「はぁ…アクション!」
ガチャ
律「どぉりゃあー!」
ゴロゴロ
律「おいしょっとオラア!」
ドゴ
澪「きゃっ!いったぁ…何タックルしてんのよ田舎猿!」
監督「カーット!田井中ぁ!」
律「な、なんでわだすだけ…」
休憩中
律「理不尽だべ!」
紬「ああいうのは反抗したら負け…」
唯「秋山さんは芸歴も長いし売れっ子だから監督も強く言えないんだよ」
律「だども…」
律「だどもこれじゃあいい芝居ができねぇだ!唯の初主演作品を汚す気だか!」
唯「私の主演はどうでもいいけど…でも私もちゃんとした作品を作りたい」
律「だったらあんな奴解雇だべ!解雇解雇さっさと解雇しばくぞ」
唯「そんなこと言ったらダメだよ」
紬「心を通わせるいい方法がある…」
紬「4人でバンド練習をする…」
唯「うん、それはいいかも」
律「いいと思うけんど、あいつがやるかどうか」
紬「秋山さんも演奏に関しては焦ってる…誘えば乗る…」
唯「そうだね。それじゃあ、私から頼んでみるよ」
紬「唯ちゃんは先日秋山さんと言い争った…止めた方がいい」
唯「だからこそだよ。私にやらせて」
唯「秋山さん」
澪「何よ」
唯「今日から毎日、一緒にバンド練習しようよ」
澪「はぁ?勘弁してよ」
唯「バンドはみんなの心を通わせてなんぼでしょ?やっぱりみんなで協力しなきゃ。お芝居も同じことだよ」
澪「…」
唯「それに秋山さんだって一人でベースの練習って言ってもどうしていいかわからないでしょ?」
澪「まぁ…」
唯「じゃあ一緒にやろうよ!ね?」
澪「めんどくさ」
律「じゃあ来るな」
澪「はぁ?何か言った?猿」
律「別に言ってねぇだ、女狐」
澪「随分な口聞くわねぇ新入りのくせに」
律「老害のくせに」
唯「二人とも、仲良く仲良く!」
律「んじゃいくべ1、2、3」
唯「」ジャカジャカ
紬「」ポロポロポロン
律「」ドンドンガッシャーン
澪「あ、あれ?こう…?」べ、べん
澪「あぅっ!指の皮が剥けた!」
唯「…」
律「おめ、本当に練習してただか?」
澪「し、してるわよ!1日10分くらい」
律「だから下手くそなんだ」
澪「はぁ!?あんた何様なの!?」
唯「またケンカ…」
紬「意外といいコンビ…」
唯「そうかな…?」
ビーチ
律「今日からはわだすにとって初のロケだべ。楽しみだぁ」
唯「遊びに来た訳じゃないよりっちゃん。私達は撮影に来たんだからね」
律「遊ぶ時間ないのけ!?」
唯「撮影が押してるしね。私達のバンドもまだまだだし…」
澪「…」
唯「べ、別に秋山さんがどうとかじゃないからね?」
澪「何よ!私が下手なら下手って言えばいいのよ!コソコソ話して感じ悪いわ!」
律「なんだべ秋山さんの奴。被害妄想丸出しだぁ」
唯「焦ってるんだよ秋山さんも。撮影もあるし台本も覚えなきゃないしね」
律「でもあいつだけ下手なままだべ。個人練習してないんでねぇか?」
唯「そんなことないよ。秋山さんの手を見て。あんなに傷だらけになってる。きっと寝る間を惜しんでベースの練習してるんだよ」
律「ふ、ふん。それが普通だべ」
初日終了
律(秋山さんは不器用ではあるけど芝居に一途だべ。嫌な奴だけどあんなに手をボロボロにしてベースの練習頑張ってるだ)
律(人間くせぇとこもあるもんだな。ちょっと秋山さんのこと好きになっただよ)
律(せっかくだ、ジュースでもおごってやるかや)
監督「ダメダメ!もう一度!」
律(ん?監督の声?)
澪「は、はい!」
律(秋山さんの声も)
律「二人で何やってるだ?」
澪「萌え萌えキュン!」
監督「何度言えばわかるんだ!萌え萌え~キュン、だ!」
澪「は、はい!もう一度お願いします!」
律「デジャブ…」
澪「萌え萌え~キュン!」
監督「違うって言ってるだろ!やる気がないなら今すぐ荷物をまとめて島から出ていけ!」
澪「…!」
律(うわちゃ~…秋山さんキレチまうぞ。それより、監督が秋山さんを叱ってるのは初めて見ただ)
澪「帰りません!もう一度やらせてください!」
澪「萌え萌えーキュン」
監督「角度が違うんだバカ野郎!」
澪「はい!」
…
律(あれから5時間、まだ萌え萌えキュンの練習してるだ…)
律(しかし監督があんなに怒るのは初めてじゃないのけ?唯は監督が怒るのは期待の裏返しと言ってたが…やっぱり秋山さんに一番期待してるのかもしんねぇな)
律(今日は出ていける雰囲気でねぇな。もう寝るべ)
律(気張れよ、秋山さん)
澪「萌え萌え~キュン☆」
監督「よし、オッケーだ!」
次の日
AD「萌え萌えキュンの撮影いきまーす」
律「頑張れよ秋山さん」
澪「はぁ?あんたに言われなくても頑張るわよ」
律「そうけ」
澪「何よ、反論しないの?今日は随分しおらしいわね」
律「そんなことねぇだ。早く行け糞ビッチ」
澪「なっ!?あんた誰に向かって…」
AD「本番でーす」
澪「くっ…み、見てなさいよ!一発で決めてやるんだからっ」
律「見てるだよ」
監督「アクション!」
澪「萌え萌え~キュン☆」
監督「…」
澪「…!」
監督「カーット!はいオッケー!」
澪(よし!)
律「随分嬉しそうだな。練習した甲斐でもあったのけ?」
澪「はぁ?私がこんなシーンのために練習するわけないでしょ?休憩時間が増えるから嬉しいだけよ」
律「さよけ」
律(可愛い奴だ)
AD「唯がギターを演奏した後のシーンでーす」
AD「秋山さん、目薬は?」
澪「い、いらないわよ」
澪「唯にできて私に出来ないはずがないわ」
紬「無理しない方がいい…」
澪「何よ、煩いわね。私の勝手でしょう」
紬「唯ちゃんは若手No.1…あたなが敵う子じゃない…」
澪「わかってるわよ…」
紬「なに…?」
澪「煩いっ!見てなさい。このシーンを撮り終わった後、私がNo.1になってるんだから!」
監督「5秒前!」
澪「見てなさいよ。私にだってできるんだから」
唯「はぃ?」
監督「4、3…」
澪「武道館目指すならこのくらいできるようにならないとな」
ラジカセ「ジャガジャガ」
律「へーうまいなー」
唯「あれ?この曲…」
ラジカセ「お前らが来るのを待っていたー!」
紬「テープがB面に変わったのね」
律「ん?」
澪「聞こえない聞こえない聞こえない…」
律「フジツボ…」
澪「いやー!やだよぉ…」
唯「りっちゃん、やりすぎだよぉ」
紬「澪ちゃん、オバケなんかじゃないわ」
澪「本当ぉ…?」
澪「…」
監督「カーット!秋山ぁ!全然涙目になってないぞ!」
澪「す、すみません!」
唯「監督が秋山さんを怒るなんて…」
監督「カーット!もう一度!」
澪「すみません!」
監督「ダメダメ!もう一回!」
澪「はい!」
監督「テイク30!アクション!」
…
AD「監督、時間が押してます。秋山さんに目薬の指示を…」
監督「それじゃあ秋山が成長しない。若手の成長を促すこともできなくて何が監督だ。ここは何回でもやり直すぞ」
AD「は、はい…!テイク39!」
澪「くっ…どうして…」
律「秋山さ…」
紬「りっちゃん…」フルフル
律「ムギ…」
澪「唯にできて私に出来ないはずない…」
唯「秋山さん」
澪「何よ、バカにしたいの?したければすればいいのよ。若手No.1の平沢唯様の言葉なら甘んじて受けるつもりよ」
唯「そう、だったらそんなに殺気立ってはダメだよ」
澪「何が?」
唯「このシーンは
秋山澪の性格が如実に表れる場面だよ。考えてみて?そんなにイライラした人がオバケに怯える女の子を演じれると思う?」
澪「…」
唯「秋山さんと正反対で役の秋山澪はとっても怖がりなの。
田井中律の言葉にすら怯える女の子」
唯「一度深呼吸して、この空気と秋山澪の性格を受け入れて、役の秋山澪になりきって。そうすれば、きっといい演技ができるはずだよ」
澪「…」
唯「ね!」
澪「ふん、あんたに言われなくても次に本気を出すつもりだったのよ。さっさと離れなさいよ」
唯「うん、応援してる」
監督「テイク39、アクション!」
澪「うっう…」
唯「やりすぎだよぉ」
律「ごめん…悪かったなぁー澪ー」
唯「澪ちゃん、大丈夫だから」
紬「オバケなんかじゃないわ」
澪「本当ぉ…」ウルウル
唯律「キュルルルリン」
澪「…」ウルウル
唯律「萌え萌えキュン」
監督「カーット!オッケー!」
唯「秋山さん」
澪「グスッ、何よ」
唯「はい、ハンカチ。さっきの演技すごく良かったよ」
澪「ふん、私が本気を出せばあんなの余裕なんだから」
唯「そう、でもさっきの秋山さんすごく可愛かったよ」
澪「何当たり前のこと言ってるの?可愛いに決まってるじゃない。プピー!はい、ハンカチ返すわ」
唯「えっ、なんでハンカチで鼻かむの…」
律「相変わらず素直じゃねぇだ」
紬「でもなんだか嬉しそう…」
最終更新:2010年01月22日 23:26